相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

アインシュタインのくれた夢

 現在2015年4月13日19時26分である。

 今月の初め(2015年4月1日)、私は、姪と甥に、次のような、質問をした。

「オリオン座のリゲルは、地球から千光年の距離にあるんだ。あの星に、光よりも遅いロケットで、生きているうちに行って戻ることは、出来るかな?」

 2人は、エイプリルフールの日だから、伯父さんは、何かひっかけをしようとしてるんじゃないかな、と思って、一所懸命頭をひねった。

 だが、どう考えても、光のスピードで行っても、1,000年かかる距離にある、リゲルに、1,000年かからずに、行けるとは、思えない。

 それで、2人は、これは、逆のひっかけだと思い、

「光より遅かったら、生きているうちに行ってくることは出来ない。」

と、本気で答えた。

 だが、私は、この応えを期待していたのだ。

 私は、2人の常識をひっくり返すつもりだったのだ。

「そう思うでしょ。でも、光よりゆっくり行っても、1,000年もかからないように、出来るんだ。」

「それじゃあ、光より速いってことじゃない。」

「それはね、誰にとっても、時間が同じように流れている、と思っているからなんだ。」

「時間が、流れるって?」

「地球からロケットに乗って、どんどんスピードを上げていくと、だんだんゆっくり時間が進むようになるんだ。」

「時計が狂ったんじゃなくて?」

「ロケットに乗っているもの全部が、ゆっくりになるんだ。だから、お腹が空くまでの時間も、長くなるんだ。」

「本当に?」

 相対性理論を学んだことのないほとんどの人にとって、これは、信じられないことである。

 そして、相対性理論を少しだけ学んだことのある人にとっても、この議論は、なんか怪しいな、と感じられるだろう。

 疑われてしまっては、せっかくの話が台無しなので、光が1,000年かけてリゲルに着いたとき、その半年後にロケットが到着したとして、ロケットに乗っていた人が、何歳になっていたかを、今日、私が、実際に計算したノートをお見せするのが、フェアなやり方だろう。

 これである。

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 このページを書くときも、あの大切な人が支えてくれたことは、左の縁にその片鱗が見られる。

 私は、横に地球からリゲルに向けての距離を取り、縦に、時間の経過を取っている。ただし、時間と空間を測る尺度として、秒とキロメートルでは、次元が違うので、時間の方に、光速度c=300,000km/sをかけて、表示している。

 重要なことは、相対性理論で、空間と時間が同質のものとして扱われると言っても、空間での三平方の定理をそのまま時間にあてはめてはいけない、ということだ。

 写真のノートで、この部分だけが、普通の人に理解できない部分だ。

 この部分を補うために、私は、姪と甥に、次のような話をした。

「時間が遅れるってのは、信じられないでしょ。でも、お父さまに車に乗せてもらうとき、GPSが付いているでしょ。」

「じーぴーえすって何?」

「車に乗っているとき、今の自分の場所が地図に表示されるでしょ。」

「うん。」

「あれで、自分の場所が分かるためには、人工衛星を使ってるんだ。」

「ふーん。」

「あの、人工衛星ってすごい速さで飛んでいるから、時間が狂うんだ。ちゃんと、時間がずれるっていうのが、観測されているんだよ。」

「えーっ、じゃ、本当なの。」


 恐らく、2人は、4月1日に話したので、どこかにからくりがあって、この話は、ウソなんじゃないかと思ったのではないだろうか。

 だが、そんなことを言うのは、19世紀の人間である、ということなのだ。

 ドラえもんなんていう夢のある話が生まれたのも、1905年に、アインシュタインが、特殊相対性理論の論文を発表したからだ。

 だが、私は、ここで、きちんと書いておかなければ、ならない。

 2人には、話さなかったが、速いスピードで飛んでいるけれど、人工衛星の時計は、遅れないということ。

「なんだ、やっぱり、いかさまか。」

と、思ったとしたら、私の手品には、種がなかったというのが、分かっていない。

 実は、人工衛星の時計は、進むのである。

 これを、理解するには、1915年の一般相対性理論まで、理解しないといけない。

 両方の効果が、重なって、最終的に、進むのである。

 実は、5年ほど前、NHKの『100分de名著』で、佐藤勝彦さんが、この話をしたとき、講座のテキストに書いてある、進む時間と、実際のテレヴィの講義で、佐藤勝彦さんが、話した、進む時間の量に、違いがあった。

 私は、両方を見ていたので、2つが違うことに気付いたが、あっ、と気付いて、投書しなかった。

 佐藤勝彦さんほどの人にとって、こんなものは、暗算で出せるような、易しい問題である。あの人が、こんな間違いをするはずはない。だとしたら、これが違っていた理由は、ただ1つ。



 この間違いを指摘してくるくらいに、真剣に相対性理論を勉強している人に、しっかりとした、アドヴァイスを与えよう、という目的がある。



 私は、そう解釈したのだった。


 最後に、今回入院していた時、この、人口衛星で時間が進むんですよ、という話を、看護婦さんに話したところ、

「気圧の影響かなんかで、進むんですか?」

と言われたので、一応、書いておく。

 もちろん、気圧が違えば、時計だって狂うかも知れない。だが、ここで問題にしているずれは、そういうものではなく、重力の位置エネルギーが違うところにいるので、時計の進み方が違ってくることによるものなのだ。

 きちんと言うなら、地表と、地表から20,000kmも上空では、進んでいる時間と空間の長さが同じではなく、それぞれは自分はちゃんとしている、と思っているのに、その『ちゃんと』自体が、食い違ってくるのだ。

 今日は、久しぶりに、このブログの本来の話題を論じた。

 もし、このページをグーグルクローム(無料)で見ている人は、リンク集にある、『私の論文の生原稿』の中の、『特殊相対性理論入門講義.ppt』というのをタッチして、上へ送っていけば、私が以前に作成した、時間が遅れるという方の解説画像を見ることが出来る。

 グーグルクロームだと、パワーポイントを持っていなくとも、これが見られるのである。


 私の姪と甥には、この世界で、常識と思っていることが、いかにもろいものであるか、ということが、伝わっただろうか?


 大切な人の支えで、計算された数値は、63年となっている。63歳になった時、帰ってこられるのである。

 今日も、私のノートを支えてくれてありがとう。


 では、ここまで。

 現在2015年4月13日21時50分である。おしまい。