現在2016年2月22日22時04分である。
「♪女の子なら、オシャレになろう~
すれ違う人が、振り向くように・・・
女の子なら、可愛くなろう~
一番大好きな、あなたに気づいて欲しい」
ルンルンだね、麻友さん。
「だって、去年の6月24日以来のデートですもの。」
あー、やっぱりカウントされていない。
「何が?」
去年の9月11日にも、中島美嘉さんの音楽聴かせてあげてるのに~。
「でも、あれは、私のために書かれたものでは、なかったわ。」
それは、そうだけど。
あの時は、『宇宙の年齢を求める』の連載を、中断させたくなくて、新しく音楽のデートをしたくなかったんだ。
「まあ。やっぱり太郎さんは、私より、物理学の方が、好きなのね。」
それは、本末転倒。
麻友さんあっての、物理学、数学だよ。
「本当に?」
麻友さんに、説明しようと思うから、こんなに、数学も、物理学も、研究してるんじゃない。
「それより、今日は、デート。」
はい。
「コンサート会場に、着きました。」
デートなら、当然、ボーイフレンドの側は、会場のトイレの場所や、暑すぎたとき、涼める場所や、寒かったとき、温かいものを飲める場所などを、確認しておくべきだろうね。
「それだけじゃ、駄目よ。クラシックのコンサートの会場って、女性用トイレは、特に混むのよ。だから、どうしても次の曲まで待てないとなったときのために、会場外のトイレの場所も、確認しておかなきゃ。」
そうか、女の人は、大変だね。
「それから、雨の日や雪の日には、会場の外で待つのが、辛いのよ。だから、早めに行って、近くの喫茶店の席を占有することも考えておくべきね。」
自分が、コンサートやる側だと、良く分かるね。
これ以外にも、注意すべき点があったら、ツイートしてよ。次回のデートで反映させる。
「分かったわ。」
さて、コンサート会場に入り、演奏が、始まる。
今日のメインディッシュは、
である。
これを題材にした映画を、私の『X指定』の親友が見つけ出して、プレゼントしてくれたので、以下の動画を、クリックすると見られる。
英語字幕
または、
スペイン語字幕
日本語字幕のものは、手に入りませんでした。
「クリックしたけど、いつまで経っても、『英雄』が、始まらないわよ。」
そう。これは、1時間24分30秒もの映画になっているので、開始から12分くらい経たないと、『英雄』は、始まらないのです。
「ちょっと、ちょっと。どうやっても、字幕が出ないわよ。」
そうなのです。これは、英語が聞き取れない人には、何を言ってるのか、ほとんど分からないのです。
「じゃあ、太郎さん。通訳してよ。」
無理です。
「どうして?」
私は、英語を聞き取れないからです。
「なに、馬鹿なこと言ってるのよ。どうやって、聞き取れば良いの?」
麻友さん。女優でしょう。
「そうですけど。」
だったら、シチュエーションから、感じ取るんだよ。
「えーっ、」
取り敢えず、映画を、始めておいて、音楽だけ聴きながら、このブログを楽しんで下さい。
このブログが、終わる頃、映画の一番面白い辺りに来ているはずです。
スマートフォンでは、タブをいくつも使って、画面を後ろへ回すことはできませんか?
「できなくは、ないけど。家のパソコンで、ゆっくり見るわ。」
それが、ベターではないでしょうか。
さて、麻友さんが、パソコンで見ているとしましょう。
「違うわ。デート中なのよ。」
そうでした。
今日、バックにかかっている『英雄』は、サー・ジョン・エリオット・ガーディナー指揮のものですが、現在私が、家で聴くことのできる演奏は、以下の7つのものです。
「あっ!」
良く気付いたね。
「家入レオさんの『チョコレート』の動画の。」
そう。紺色の背の低い辞書は、
だよ。
これは、収録語数は少ないんだけど、ひとつひとつの単語の解説が丁寧で、素晴らしい辞書なんだ。
例えば、
と引くと、
パンドラの箱(パンドラがから贈られた箱.パンドラが禁を犯してふたを開くと中から諸害悪が逃げ出て世に広がり,閉じた時には前知魔(人に未来を全て教える悪魔)だけが底に残った.このため人類は希望というものを失わずにすんだといわれる.転じて,災いの根源)█(比ゆ的)新たな[未知の]害悪を生み出す
と、丁寧な解説がある。
「えーっ、私、今まで、パンドラの箱の底に残ったのは、希望だって聞いてた。」
みんなそう言うんだ。
でも、この解説読むと、『前知魔』だって納得できるでしょう。箱の底に残ったのが『希望』なら、この世界に希望がないことになってしまうものね。
「あっ、そうか。この世界に、希望が残らなければ、話にならないのか。」
さて、本当なら、これらの全部の『英雄』を、麻友さんに聴かせてあげたい。
でも、今、麻友さんがこれらを聴きたいと思っても、CDが、手に入らないし、聴く時間もないだろう。
「どうして、CDが、手に入らないの?」
AKB48だけは、握手券とか選抜総選挙の投票券を入れて、CDの売り上げを伸ばしているけど、全般的にCDという媒体の売り上げは落ちていて・・・
って、麻友さん知ってるくせに。
「ウフフッ、なんて言うかなって思って。」
でね、結論から言うと、ハイレゾの配信で、クラシックが大量に出回るようになってから、聴くといいよ、と言おうと思って。
「ウソね。本当は、こう言いたいんでしょ。『私と結婚式を挙げた後、いくらでも聴けるよ。』と。」
そんな、恐ろしいこと・・・、思ってたけど。
「ほら。」
というわけで、現在、安価で手に入る、お勧めの『英雄』を、一つだけ。
ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
私が、13歳の頃から30年以上、聴き続けてきた、私を語るには、欠かせない1枚。
「それを、買わずに聴く方法は、ないの?」
じゃあ、ネットで聴ける、良い『英雄』を紹介しよう。
レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
まあ、二人が一緒になることを考えると、ものは増やさないに限るね。
さて、コンサートのメインディッシュ、『英雄』の曲自体の話をしよう。
これまでも、ブログで、私が、『英雄』を好きだということは、書いてきたし、ツイッターのアカウントが『@EROICA__』だということからしても、『英雄』気違いなことは分かる。
だから、麻友さんも、既に1度くらいは、『英雄』を聴いてみたことだろう。
「分かってるわよ。ちゃんと、聴いてみたことあります。」
ところで、どんな、聴き方をした?
「スマートフォンに、ヘッドホンを付けて。」
うーん。お勧めできない。
ベートーヴェンの交響曲第5番とか、モーツァルトの交響曲第40番のように、ダイナミックレンジの小さい曲は、どんな聴き方をしてもいいんだ。
「じゃあ、『英雄』は、ダイナミックレンジが、広いというの?」
聴いてて分かるでしょ。
「確かに、音の大きいところと、小さいところが、はっきりしてるわね。」
そうでしょ。
こういう曲は、邪魔が入らないときに、家のスピーカーで、大音量で聴いて初めて、良さが分かるんだ。
「どこの家でもできることじゃないわねぇ。」
それに、アンプやスピーカーも、良いものが求められる。
「これだから、クラシックは嫌よ。」
あっ、言っておくけど、AKB48の歌だって、駄目なオーディオセットだと、ボロボロなんだよ。
「そういえば、昔、私の歌声に、金属片が混じっているって、言ってきたわね。」
そう。あれも、良いアンプとスピーカーで聴いたら、疑いが晴れた。
「じゃあ、『英雄』を聴くときは、どれくらいの音量で、聴けば良いの?」
まず、出だしに、2つの変ホ長調の主和音があるでしょ。あれが、ダン、ダン、と鳴るのは当然。
その後、第2ヴァイオリンとヴィオラがピアノで伴奏する中、チェロが、ものすごく小さな音で、タータタータタタタタータ、と第一主題を、かすかに弾き始める。この音が、明瞭に聴き取れるくらいの音量でないと、この曲全体を楽しめない。
「えーっ、それ、ものすごく大きな音じゃないとならないわよ。」
そうだよ。
私は、いつも家で、そういう音で、聴いてる。
「本当に?」
例えば、シベリウスのヴァイオリン協奏曲というものがあるんだけど、この曲って、出だしは、弱音器つけた第2ヴァイオリンが、チャラチャラチャラチャラと、さざ波を作って、そこへ、独奏ヴァイオリンが、ターララ、ララーラ、ララーラ、ララー、とものすごく美しく入ってくるんだ。
昔、話したけど、私が昔好きだった、諏訪内晶子さんが、みなとみらいホールへ、弾きに来たとき、母と聴きに行ったんだ。
母には、あらかじめ、シベリウスのヴァイオリン協奏曲とブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番の入ったCDを渡して、
『よく聴いておいてね。』
と言っておいた。
ところが、母ったら、
『ブルッフの方が、ずっといい。シベリウスよりブルッフの方を聴きたい。』
なんて、言い出した。
でも、チケットは買ってあったから、一応聴きに行ったんだよね。
後で、判明したんだけど、母は、最初のチャラチャラチャラチャラを、聴き取れてなかったんだ。
だから、コンサートで、さっき言った、弱音器のさざ波の上に、諏訪内さんが、弾き出した途端、鳥肌が立つほど感動したんだと思う。
『すごかったねー。諏訪内さんが、私に、この曲の良さを分からせてくれた。』
と、大喜びだった。
これくらい、小さい音って、重要なんだよって、歌手に説明するのは、釈迦に説法か。
「当たり前よ。でも、太郎さんと話していると、本当に、よく、過去の女の人の話が出てくるわねぇ。」
これは、私の人生から、女の人の話を差し引いちゃうと、ほとんど何も残らないから、というのが、理由の一つ。
もう一つは、麻友さんの器を試しているの。
「どういうこと?それは、聞き捨てならないわよ。」
私が、大学1回生の終わり、1992年だった。
冬季オリンピックが、開かれていた。
前から話している、医学部の分子生物学の女の人と、先輩の男の人2人と、4人で、喫茶店でお別れ会をしていた。
メニューを決めるとき、先輩達は、コーヒーを頼んだのに、私は、
『クリームソーダ』
と言った。そうしたら、分子生物学の女の人が、
『若いわねー。』
と、笑ったのだ。
これは、私には、織り込み済みだった。
私は、分子生物学の女の人の器量を試したかった。
ちょうど、喫茶店に、
がかかっていたので、
『昨日、伊藤みどりさんが、躍ってましたね。』
と、分子生物学の女の人に、話しかけた。
『テレビ持っているのね。いいわねー。』
と、向こうは、寂しそうに答えた。
2人の先輩は、
『女の人の前で、他の女の人の話をするなんて!』
と言わんばかりで、1人が、
『あのエキシビション、4年前と同じだった。』
と反対意見を述べた。
私は、気圧されて、
『そうですか。』
と、うつむいた。
もう1人の先輩が、
『あれって、『虹の彼方に』っていう歌だよね。』
と言ったので、私は、
『はい。』
と言った。
この間、分子生物学の女の人は、何も言わなかったのだ。
私としては、がっかりだった。
結局、こういうやりとりから、私は、急速に分子生物学の女の人を好きになっていくのに、
『この人と結婚しても、私は幸せにならないだろうな。』
と思うようになっていったんだよね。
「そう思っていながら、なんで、好きになったのよ!」
好きだったのは、本当なんだよ。
「でも、結婚する気がないなら。」
違うよ。向こうが、幸せになるなら、それでいいや、と思っていたんだよ。
「私だって、同じようなことに、なるんじゃないかしら。」
いや、麻友さんの場合、悲劇は起こらないと思う。
「どうして、そんなことが、言い切れるの?」
私、運命の女の人、なんてものは、信じないから、私にふさわしいのが、麻友さん一人かどうかは、分からない。
でも、麻友さんが、私を幸せにできる、ものすごく希な女の人であるのは、確かなんだ。
「私じゃなきゃ駄目なの?」
以前から、数学と物理学のゼミをしている人がいると言ったでしょう。
その人が、
『渡辺麻友さんじゃなくて、キャバクラ嬢で、美人な人、捜したら、結婚しやすいんじゃないですか。』
と言ったんだよね。
それで、私は、言ったんだ。
『キャバクラ嬢みたいな、上品でないひとじゃ、駄目なんだよ。キャバクラ嬢と、AKB48の女の子比べて、何が違うかって言ったら、やっぱり、AKB48の女の子は、上品だよ。』
結局、ここに、重要な要素の一つが、あるんだよ。
「じゃあ、私が、下品な変顔したりしたら?」
人間の上品さって、お金でも買えないし、血筋でもない。
その人のすべてが、かかわってるんだよ。
「私の、すべてが欲しい、と言うわけね。」
『英雄』の面白いところが、近付いている。
「えー、そっちの話?」
『英雄』の第1楽章のソナタ形式の展開部の終わり・・・、ってこういう音楽的説明ついてこれるよね?
「ソナタ形式くらい、中学でも習うわよ。」
そうだった。中学でも優等生だったんだった。
まあ、今の時代、さっきの動画で、時刻が26:00のところで、面白いことが起こると言える。
私が、病気になって、大学を中退してきて、まだマンガくらいしか読めず、横浜市中央図書館へ、毎日映画を観に行ってた頃、次の本で、こんなことを読んだ。
ベートーヴェンは、『英雄』の展開部の終わりで、オーケストラが、小さな音になっているところで、ホルンに小さくタータタータと、主題を吹かせる。
これは、当時の(要するに1804年頃の)音楽常識から言ったら、絶対に間違った作曲だった。
初演前の稽古の時、その部分でホルンが吹いた途端、ベートーヴェンの弟子が、ホルン奏者が間違えたと思って、オーケストラを止めようとした。
すると、ベートーヴェンが、『あれで、いいんだ。』と、たしなめたという。
モーツァルトが、『神童』といわれるのに対し、
ベートーヴェンが、『楽聖』といわれるのも、もっともだと思えるエピソードだと思わない?
そのエピソードを、この動画では、誰でも分かるようにオーバーにやってくれる。
この監督、見どころあるよ。
長い第2楽章。皆が、良いメロディーだと思いながらも、退屈しているのが分かる。
夜が明けて、第3楽章。ベートーヴェンが、
『ホルン!』
と叫ぶのは、第3楽章のホルンパートが、3人のホルン奏者にとって夢にまで見る難曲だから。
第4楽章の最後まで、この監督は、まったくカットしてない。
この監督、『英雄』すごく好きなんだね。
『英雄』好きの私なら、これを、英語会話の聞き取り練習に使ったら、という意味も込めて、親友はくれたのかも知れないけど、本当に必要にならないと、人間って、英会話訓練なんて、しないんだよね。
英語は聞き取れないけど、最後の場面で、ナポレオンが皇帝になったことを知り、ベートーヴェンが、
『 ボナパルト様
ルードウィヒ・ヴァン・ベートーヴェン』
という献辞を、破り捨てたのは、分かる。
「確かに、『英雄』気違いの説明を聞くと、英語が分からなくても、話が分かるわね。」
それがねらいよ。
「それに、確かに、『英雄』って、良い曲ね。」
すごく良い曲だと思う。
「ただ、長いわね。」
だから、私は、小学校でも、第1楽章だけ、聴かせればいいと思うんだ。
「そうねぇ。でも、1回で、すぐ良さが分かる曲ではない気がするわ。」
そこを、突かれると痛い。私は、今までに2千回も聴いてるから、こんなに引きつけられるのかも知れない。
「私も、2,500回目くらいから、聴かされることになるのかしら。」
麻友さんは、他の女の人が出てきても、悪びれることもなく、堂々としていた。
こうあって欲しかったのよ。
「過去のことは、後悔しても、仕方ないでしょう。」
次回は、また、数学の話に、戻ろうかな。
「今回は、2月17日から16日間も、経っているでしょう。もっと、気楽にちょこちょこ書いてきてよ。その方が、早く寝られるし。」
分かった。
「今日のデートは、『EROICA』で、確かに面白かったわ。」
そう言って貰えると嬉しい。
「『EROICA』というのは、イタリア語だっけ?」
そう。よく調べてきたね。
「音楽は、イタリア語使うのが、常識ですものね。でも、私が、言いたかったのは、イタリアの男の人って女の人を口説くのが上手いのよねってこと。」
それが、どうだというの?
「私、太郎さんに丸め込まれたんじゃないかなって。」
私が、女の人口説くの上手かったら、こんなに苦労してないって。
「デート中に他の女の人の話を、平気でする太郎さんは、やっぱり変わっているし、もてなかったのは、当然ね。」
そういうことだったんだろうね。
「だけど、それが、太郎さんらしさなのよね。」
そういう風に、見てくれた女の人、今までいなかった。
「太郎さんらしさを、愛曲の『英雄』を聴きながら探ったデートでした。」
じゃあね。
「じゃあね。」
現在2016年3月5日0時38分である。おしまい。