相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

宇宙の年齢を求める(その9)

 現在2016年3月8日22時46分である。

「あれっ、もうこの連載は、終わったのではなかったかしら。」

 麻友さん。忘れ物がいくつかあったんだよ。

「忘れ物?そういえば、沢山あったと言えば、あったわね。」

 その忘れ物のうち、麻友さんにすぐ役に立つものを、回収しておこうと思ってね。

「役に立つ?」

 『宇宙の年齢を求める(その3)』で、宇宙の年齢を145億歳と予想したとき、このいつもの本、

小玉英雄(こだま ひでお)著『相対論的宇宙論』(丸善


の他に、もう一つ、

佐々木節(ささき みさお)著『一般相対論』(産業図書)

という、1996年6月14日初版の本を挙げて、これの最後に、


 1995年現在、ハッブル定数からは、宇宙の年齢は、125億歳以下と予想されるが、最も古い星の年齢は、130億歳以上と見積もられ、矛盾している。


と書いてあるんだよ、と言ったよね。

 ただ、私は、こういう本を読むとき、計算しながら読んでいるので、麻友さんが、同じページを読んでも、

『数値が違うじゃない。』

ということはある。

 でも、意味は、こういうことなんだ。


 そしてあの時、これを使ったジョークを教えたよね。

 あの時は、

『1995年当時、100億歳というのを採用して、現在の宇宙年齢が145億歳なら、麻友さんは今、45億歳だ!』

というジョークだったわけだね。


 でも、あれから、麻友さんは、かなり研究したから、1995年の100億歳,125億歳,130億歳のうち、物理学者が信じるとしたら、やっぱり長い130億歳というものだろうと、分かるだろう。

 また、現在の年齢も、137億歳かも知れないし、138億歳かも知れないし、無限大かも知れないし、と余裕を持って考え、それならば、

『私は、7億歳です。』

と言うのが、ベターだと分かるようになっていると思う。


「ちょっと、待って。138億歳と137億歳でも、揺れてるの?」

 正直言うとね、

『理科年表2016』

でも、

『宇宙年齢137億年』

という記述があるんだ。


「じゃあ、計算法を教えてよ。あのときは、速すぎて分からなかったわ。」

 まず、ハッブル定数を、今の場合、

{H_0=70\mathrm{kms^{-1}Mpc^{-1}}}

とする。

 そして、

{\displaystyle t_0=\frac{1}{H_0}\int^1_0\frac{ada}{\sqrt{0+0.27a+0a^2+0.73a^4}}}

が、求めるもの。

「これじゃ、分からないわ。」

 それは、分かってる。

 まず、ハッブル定数の逆数を取る。

{\displaystyle \frac{1}{H_0}=\frac{1}{70}\mathrm{km^{-1}sMpc}}


 ここで、

{\displaystyle 1\mathrm{Mpc}=3.0857 \times 10^{19} \mathrm{km}}

を使う。また、

{\displaystyle 1年=3.15576 \times 10^7 \mathrm{s}}

は、すぐ計算出来る。


 よって、ハッブル定数の逆数は、

{\displaystyle \frac{1}{3.15576 \times 10^7}年=1\mathrm{s}}

を用いて、

{\displaystyle \frac{1}{H_0}=\frac{1}{70}\mathrm{km^{-1}sMpc}=\frac{1}{70}\mathrm{km^{-1}}\frac{3.0857 \times 10^{19}\mathrm{km}}{3.15576 \times 10^7}年}

{\displaystyle =\frac{1}{70}\frac{3.0857}{3.15576} \times 10^{12}年=\frac{1}{70} \times 0.977993 \times 10^{12}年}

と、計算される。

 後は、

{\displaystyle t_0=\frac{1}{H_0}\int^1_0\frac{ada}{\sqrt{0+0.27a+0a^2+0.73a^4}}}

のうち、

{\displaystyle \int^1_0\frac{ada}{\sqrt{0+0.27a+0a^2+0.73a^4}}}

の部分だね。

「そう。」

 もし今後、観測によって得られるデータが変わったときのために、マセマティカで、ちゃんと求められるようにしておこう。

「その、マセマティカっていうのだけど、太郎さんが、窓の杜で紹介してくれたのは、違ってたわよ。」

 ああ、説明不足だったね。

マイクロソフト マセマティクス(Microsoft Mathematics)』

と、

『マセマティカ(Mathematica)』は、別のものなんだ。

 マセマティカの方は、アカデミック・パックなら、4万円くらいだけど、正規版を買おうとすると、50万円以上するものだから、オンラインのお試し版で麻友さんに計算して見せたわけ。

「太郎さん、いつもお試し版で、計算してるの?」

 滅多に大がかりな計算はしないから、ちょっと調べるときは、お試し版。

 でも、本気で計算するときは、7万円以上かけて修理させた、シャープのペンティアム4のパソコンに、アカデミック・パックがちゃんと積んであって、それを使う。

 1年に、1回か、2回だね。それを使うほどになるのは。

「どんな計算するの?」

 今まで、役立ったのは、


・アーベルの日付の計算(厳密値)

ゼータ関数の3での値の対数

ゼータ関数の3での値の厳密値の近似

・パイの値の計算

卒業論文での3Dグラフの描画

・アーベルの日付の計算(近似値)


くらいかなあ。10年以上持っているのに、余り使ってないな。

「なんか、意味の分からないものばかり。聞かなきゃ良かった。」

 大丈夫。この6つ全部、麻友さんは、分かるようになるから。

 そもそも、ゼータ関数の3での厳密値なんて、未解決問題だし。

「えっ、じゃあ、太郎さんも挑戦したけど駄目だったってこといっぱいあるわけ?」

 もちろんだよ。神様じゃないんだから。

「それを聞いて、安心した。」


 じゃあ、もう一度、マセマティカを使って、積分を計算しよう。

「やっと、積分(せきぶん)という言葉に、慣れてきたわ。」

 タッチしてみて。

実際の計算www.wolframalpha.com


 下の方で積分が、

{\displaystyle \int_0^1\frac{xdx}{\sqrt{0.27x+0.73x^4}}=0.992687}

と、計算されているでしょう。

「うん。分かった。これで、このページで、{0.27}とか、{0.73}を、他の数字で置き換えれば、別な式の積分ができるの?」

 もちろんその通りだよ。

 平方根だから、{\mathrm{square\ root}}で、sqrt{ }という関数が使えるんだよ。あっ、まだ麻友さんに平方根を関数だって説明してなかったっけ?

「太郎さん、どんどん知らないこと話してくるから、慣れっこよ。」

 それでも、ちゃんと、ついてきている。たいしたもんだ。

「で、積分が計算できたから、もう終わりよね。」

 麻友さんが、リードしてる。


「これが、

{\displaystyle t_0=\frac{1}{H_0}\int^1_0\frac{ada}{\sqrt{0+0.27a+0a^2+0.73a^4}}}

求めたい式で、

{\displaystyle \frac{1}{H_0}=\frac{1}{70}\frac{3.0857}{3.15576} \times 10^{12}年=\frac{1}{70}\times 0.977993 \times 10^{12}年}

と、

{\displaystyle \int_0^1\frac{xdx}{\sqrt{0.27x+0.73x^4}}=0.992687}

を計算した。だから、

{\displaystyle t_0=\frac{1}{70} \times 0.977993 \times 10^{12}年 \times 0.992687}

が、最後の計算。ウフフッ、スマートフォンでやってみようかしら。

{1 \div 70 \times 0.977993 \times 0.992687 = 0.0138691}

ということは、

{0.138691 \times 10^{12}=1.38691 \times 10^{10} =138.691 \times 10^8}

となって、

{10^8=100,000,000=1億}

だから、キャー、ワー、クゥー、138億年だー!」

 やったじゃない。

 『地球とりんご』以来、2度目だね、大感動は。

「これ、確かに、やめられなくなるわね。」

 私が、数学が恋人っていう理由、分かった?

「確かに、今まで、数学や物理学が、こんなにエキサイティングだとは、知らなかったわ。でも、恋人は私ただ1人よ。」

 あっ、イジワル-。


「ところで、なんで計算してたんだっけ?」

 麻友さんが、ジョークを言うときの根拠を示してたんだよ。

「そうだ。1995年に、130億歳だったのよね。そして、現在138億歳。」

 ただ、最新の理科年表でも、137億歳と書いてあるし、1995年の段階でも、130億歳以上という予想だった。

 だから、お互いの一番短いところ同士を取って、麻友さんが生まれてから、7億年経った、と言った方が良いよ、というわけ。

『8億年じゃない?』

と、突っ込まれたら、

『現在の宇宙年齢が、138億歳というのは、かなり不確かなんですよ。』

と言ったら、むしろ尊敬される。

「そういうものかしら。」

 突っ込んできた人の、足下がぐらついていることを、指摘すると、むしろ相手は、慌てるものだよ。

「でも、私がぼけたと思って、突っ込んできたのかも知れない。」

 それは、臨機応変にお願いしますよ。


 さて、このジョークの源になっている数学者の名前を、私は、間違えていた。

 私が持っている本ではなく、図書館で読んだだけだったのだ。

 昨日、取り寄せて、鶴見図書館から、借りてきた。


竹内外史(たえうち がいし)著『現代集合論入門』(日本評論社


 この竹内外史という人は、日本の数学基礎論の第一人者だから、名前を頭の片隅に入れておいて。

「この前は、『フィールズ賞を取った、コーエンというものすごい数学基礎論のエキスパートの考え出した、ジョークなんだ。』って言ってたのよね。」

 そう。この借りてきた本を見てみると、間違えた理由が分かる。

 28ページに、

{\mathrm{Paul\ Erd\ddot{o}s}}

という節がある。

「なんて、読むの?」

 ポール・エルデシュだよ。

 この節の第2小節に、

{吾輩の年は20億年}

というのがあって、竹内さんが次のように思い出を書いている。


 私はこのハンガリー生れの老人の年を知らない.一度年をきいたところ,「吾輩の年齢は約20億年である.なぜならば吾輩が17歳のとき地球の年齢は約20億年といわれていた.ところが現在は地球の年齢は約40億年といわれている.よって吾輩の年齢は約20億年である」ということであった.そばにいた人が「それでは爬虫類や氷河の話をきかしてほしい」とたずねたが,彼は「老人は昔のことはよく覚えているが,そういう最近のことはみんな忘れてしもうた」とごまかしていた.


 これを、読んであったから、私のあの投稿が生まれたの。

「コーエンは、どこにでてきたの?」

 このすぐ後に、


 彼の系統の問題では一般連続体仮説を仮定するとエレガントな解決を得ることが多く,そうでないと一般論は手がつかないことが多いので,一般連続体仮説が大すきである.{\mathrm{G\ddot{o}del}}がその無矛盾性を証明したので、{\mathrm{G\ddot{o}del}}のことを法王,法王と呼んでいる。{\mathrm{Cohen}}がその独立性を証明したので“最高の{\mathrm{Cohen}}”(これを彼はラテン語ヘブライ語かで呼んでいた)という敬称を奉っていた.({\mathrm{Cohen}}ユダヤ教の僧侶の階級の呼名である.)


という一文があったんだ。

 コーエン革命と言われるくらい、コーエンは有名な数学者なので、私の頭では、コーエンの手柄のように、思えてしまったんだね。

「まあ、ひどい。ところで、どうしてコーエンは、有名なの?」

 forcing(フォーシング:日本語では強制法)という画期的な集合作成法を発見というか発明して、数学基礎論を大きく成長させたんだ。

 今回入院していた時、私が、『ある意味数学で、分からないことはなくなった。』と悟ったのは、このforcingの意味が、分かったからなんだ。

「いつもなら、太郎さんは、『こういうものだよ。』って説明してくれるのに、今は、言い始めないのね。」

 悪いけど、forcingは、意味は分かったけど、証明はまだ分かってないの。

「太郎さんでも、それなら、確かに、コーエン革命と言われるだけのすごいことをやったのね。」

 そう。ただ、数学は、証明読まなきゃ、オーライとならないからね。forcingが、本物かどうか、2,3年以内にはっきりする。

「その証明を、結婚記念品になんかしないでよ。」

 アハハ。

 記念品にするなら、数学基礎論みたいな野暮ったいのじゃなくて、数学本流の代数幾何の『広中の特異点解消定理』くらいを持ってくるよ。

{Resolution\ of\ singularities\ of\ an\ algebraic\ variety\ over\ a\ field}

{of\ characteristic\ zero.(標数0の体の上の代数的多様体の特異点解消)}

「太郎さんは、こっちの方が、エレガントだと思うわけ?」

 数学の歴史上、最も長い論文と言われてる。

 今でも、易しい代数幾何の教科書には、

『ここの部分は、『広中の特異点解消定理』を必要とするので、これ以上立ち入らない。』

なんて書かれてあるものが存在するんだよ。

「『難しい』イコール『エレガント』みたいね。」

 面白いことにね、コーエンの論文と広中平祐(ひろなか へいすけ)の論文、同じ頃に出ているんだ。


{\mathrm{P.Cohen,\ The\ independence\ of\ the\ Continum\ Hypothesis.I,}}

{\mathrm{Proc.Nat.Acad.Sci.USA,}\mathbf{50}\mathrm{(1963),1143-1148;II,}\mathbf{51}\mathrm{(1964),105-110.}}


{\mathrm{H.Hironaka,\ Resolution\ of\ singularities\ of\ an\ algebraic\ variety}}

{\mathrm{over\ a\ field\ of\ characteristic\ zero,\ Ann.\ of\ Math.,}\mathbf{79}\mathrm{(1964),109-326.}}


「あっ、どっちも、1964年頃ね。面白い。でも、こんな年号調べて、何になるの?」

 同じ時に出ているということは、どっちかが、もう片方の手法に影響を受けていないか、ということが、気になる。

科学史の問題ね。」

 いや、アイディアの問題だよ。

「太郎さんの好きな『アイディア』ね。いつ芽が出るのかしら。」

 アイディアは、大切にしている人にしか、価値のないものだね。

「それで、コーエンは、どうするの?」

 コーエンの名前は、覚えておいて。

 ただし、

渡辺麻友さんは、お歳はおいくつですか?』

『7億歳です。』

『エッ、どういうことですか?』

『実は、20世紀にエルデシュという数学者がおりまして・・・』

と、言えるように、修正してね。

 ポール・エルデシュ(1913~1996)

を、お忘れなく。


「それで、今日は、おしまい?」

 そうだね。

 最後に、大きな宇宙の話から、麻友さんに取っての、大きなことに、触れよう。

「私の大きなことって?」

 今年の選抜総選挙だよ。

「そうだったわね。」

 1位になるよ。

「どうやって?」

 去年、指原莉乃さんが、1位になったのなぜだと思う?

「やっぱり、地元効果かしら。」

 それも、確かにある。

 でも、

『1位になったら、水着でコンサートします。』

と言ったのが、すごく大きかったと思う。


 あの時、麻友さんは、何も、公約を言わなかった。

「だって、公約を言うのって、ある意味、卑怯なのよ。」

 麻友さん、何も分かってない。

 AKB48の選抜総選挙は、民主主義の選挙の裾野を広げるためのもの。

 本当の選挙のように戦っていいんだよ。

「じゃあ、私に、『水着でコンサートします。』って、言えって言うの?」

 違うよ。

 真似をしたって駄目。

 麻友さんのオリジナリティーを、出さなきゃ。

「じゃあ、あれ?」

 そう。あれ。

「私に、『1位にしてくれたら、自分で作詞した歌を歌います。』と言えって言うのね。」

 そのとおり。

「でも、AKB48のメンバーの歌は、秋元康さんが、全部作詞するのが、原則なのよ。」

 私、ちゃんと調べたよ。

 麻友さん、渡り廊下走り隊時代に、『ギュッ』『手のひら』『ゴメンナサイ』の3曲、カシアス島田作詞の歌を歌っている。

「あっ、それは、触れてはならないものなのに・・・」


 麻友さん。

 優等生の麻友さんが、選挙演説で、いきなり、秋元康さんのOKも取らず、

『自分で作詞した歌を歌います。』

というのは、有り得ないと思う。

 だから、ここは、正攻法で行くの。

「正攻法って?」

 まず、全力を尽くして、秋元康さんの、『川の流れのように』にも匹敵する、ものすごい歌詞を書いてごらん。

「曲は、作れないわ。」

 それは、分かってる。

 曲は、うんと素晴らしい曲を選ぶんだ。

 平原綾香が、あんなに有名になったのは、なぜだと思う?

「それは、やっぱり『ジュピター』を歌ったから。」

「ああ、つまり、あれが、ホルスト組曲『惑星』の中の名曲『木星』だったからだと言いたいのね。」

 じゃあ、私の言いたいことは、もう分かってるね。

「あんな名曲、作曲家の一生に一度のようなものよ。」


 ところが、そんな超名曲を、百曲以上も書いてしまった作曲家がいるじゃない。

「えっ、まさか、モーツァルトの曲?」

 良い曲があるんだ。

モーツァルトだとすると、超有名よね。カバーなんて、いくらでもあるんじゃない?」

 ところが、モーツァルト通にしか、知られていない、超素晴らしい曲があるんだ。

「どれよ。」

 モーツァルト作曲 エクスルターテ・ユビラーテ K.165

 通称 モテットK.165『踊れ、喜べ、幸いなる魂よ』

「ちょっと、それって、アレルヤコーラスの、すごい曲じゃない。」

 やっぱり、『Mozart』っていうミュージカル観るくらいだから、知ってたか。

「全曲、聴いてみるには・・・、ああ、これで、見ればいいのね。」

キリ・テ・カナワによるモテットK.165www.youtube.com


「ちょっと、これに、作詞するって、ものすごく勇気いるわよ。」

 まあ、最後のアレルヤコーラスまで、じっくり聴いてから、判断すれば良い。


「それで、正攻法で行くには、どうすれば、いいのかしら。」

 とにかく、ものすごく素晴らしい歌詞を付けて、これを、秋元康さんに見せる。

モーツァルトも、秋元康さんも、どっちも、恐れ多いわ。」

 そして、これを、発売すれば、売れることを、納得させて、選挙公約に、『1位になったら、『作詞:渡辺麻友』の歌を歌う。』と入れることの許可を得る。

「そういうわけね。」

 優等生が、実力を発揮するには、これしかない。指原莉乃さんには、秘密にしておかないと、新しい手を考えてくるかも知れないけどね。

「でも、このコロラトゥーラは、歌えないわよ。」

 そこは、2通りのかわし方がある。


・作詞の段階で、アルトの歌にする。

・このコロラトゥーラを歌えるように、声楽のレッスンを徹底的に受けさせてもらう。または、レッスンを自分で受ける。


 どちらにしても、麻友さんの名曲が、聴ければ、私は、嬉しい。

「うーん。私、他の人に完全に従うというのは、好みじゃないの。このアイディアは、奇抜だけど、自分なりに、選挙で1位になれるように、頑張ってみるわ。」

 分かった。アイディアは、伝えたからね。

「ありがとう。」


 今年は、1位になれると思うよ。

「統計的には、100%ね。」

 数学は、いずれ教える。

「頼むわね。」

 じゃあ、バイバイ。

「バイバイって、いつも、思うんだけど、22歳も年上の男の人に、『バイバイ』って変じゃないかなって。」

 ああ、これは、

向田邦子の恋文』


という本の中に、向田邦子の実物のラヴ・レターの写真があって、最後に、『バイバイ』って書いてあるからなんだ。

「太郎さんって、聞いてみると、本当に理由があるのね。」

 すべて、ではないけど。じゃあ、またね。バイバイ。

『バイバイ』

 現在2016年3月10日2時35分である。おしまい。