現在2016年8月23日22時10分である。
「これ、私に言ってるのよね。」
もちろん、そうだよ。
「どうして、いきなり?」
『Momm!!』を見たんだ。
「私が、『もっと、ちゃんと勉強しておきたかったな。』って、言ったから?」
ここで説明しておくと、これは、2016年8月23日0時10分から、TBSで放送された、バラエティ番組『Momm!!』に、渡辺麻友さんが出演し、『人間としての価値を高めるためにも、勉強はしておきたかったな。すごい後悔してる。』と、述べたことを受けてのものである。
麻友さん。大人になってから、勉強してこなかったことを後悔している人たちみんなの声を、代弁したんだね。
「それで、京大理学部を、受けようって、どういうこと?」
後悔してるなら、勉強、実際にやろうって言ってるんだよ。
「でも、なぜ、京大理学部なの?」
勉強したいのなら、大学を出ている人なら、大学院。大学を出てなくて、高校卒業の資格を持っている人なら、大学へ行って、学ぶのが、一番間違いがないから。
「でも、私は、理学部へ行く気はないわよ。」
そう。麻友さんが、何を勉強したいかは、今の私には、分からない。
でも、それ以上に、麻友さんが、大学入試というものを、まったく知らないでしょう。
「そりゃー、確かに、大学受験なんて、経験ないしー。」
だから、まず、大学を受けるってどんなことなのかを、知ってもらおうと思って。
「でも、大学受けるなんて、一度も言ってませんからね。」
それでも、良いから、聞いてて。
まず、やっぱり、目標を立てるところから、始める。
麻友さんが、普通の大学を受けるのか、音大を受けるのか、美大を受けるのか、演劇関係の学科のある大学へ行くかは、私の説明を聞いた後、微調整してね。
「それで、とりあえず、京大理学部で、話を進めようっての?どうして、この学部なの?」
理学部として、日本最高だから。
「東大は?」
色々な理由で、京大の方が、いいんだ。
まず第一に、センター試験の足切りラインが、はっきりしている。
「あしきりって、何?」
実は、国立大学の多くは、大学入試センター試験(1月実施)と、2次試験(2月末頃実施)の2つの試験で合否を決める。
しかし、マークシートのセンター試験と違い、記述式の2次試験は、受験者が多いと、採点に人手が足りなくなる。
「あっ、それで、センター試験の成績が悪かった人は、バッサリ切り落とすんだ。」
そう。それが、悪名高き、足切り。
東大の理科一類は、募集人員の約2.5倍と発表している。
「はっきりしてるじゃない。」
いや、全然、はっきりしてない。
東大受ける人なんて、みんな優秀なのに、2.5倍のラインを自分が今年、越えてるかどうかなんて、分からない。
「じゃあ、京大はどうなのよ。」
センター試験が、900点中630点以上の人全員2次試験を受けて良いとしている。
「確かに、点数で言えば、フェアよね。」
しかも、この900分の630というのは、結構簡単にクリアできる点数なんだ。
「3分の2、ちょっとか。100点中70点ね。大きく落とさなければ、なんとかなるわね。」
ちょっと、待った。
麻友さんは、中学の成績は、ほとんど満点で、トライ式高等学院を、優秀な成績で、卒業してるかも知れないけどね。
センター試験だけで合格を出す私立大学もあるくらいで、4年以上勉強から遠ざかっている麻友さんが、7割取れるまでには、血のにじむような努力が、必要だよ。
「簡単にクリアできると言ったり、大変だと言ったり。」
方針を決めるポイントを、話してるんだよ。
次に、学部の内容。
まず表向き。
日本で最初にノーベル賞を、取ったのは、前にも話した、湯川秀樹。湯川は、京大理学部卒。
日本で2番目にノーベル賞を取ったのは、これも前に話した、朝永振一郎。朝永も、京大理学部卒。
「あれーっ、東大いないの?」
日本で3番目にノーベル賞を取ったのは、川端康成(かわばた やすなり)で、東大文学部卒。
日本で4番目にノーベル賞を取ったのは、江崎玲於奈(えさき れおな)で、東大理学部卒。
これで、やっと引き分け。
それから、世間の人は知らないけど、数学の名誉ある賞であるフィールズ賞。
日本で最初にフィールズ賞を取ったのは、小平邦彦(こだいら くにひこ)で、東大理学部を2回出ている。
「えっ、2回って?」
東京大学理学部数学科を卒業し、その後、東京大学理学部物理学科に、学士入学して、卒業しているんだ。
「学士入学って?」
1度大学を卒業して、学士号をもらうと、それが資格になって、その大学のみならず、他の大学にも編入しやすくなるんだ。
「学士号って、何だっけ?」
4年の大学を出たという資格だよ。
「学士入学なんて、知らなかった。」
大学での成績だって、調べようと思えば、調べられるんだよ。
「この世界って、手を抜くと、後々怖いのね。」
そう。
そして、日本で2番目にフィールズ賞を取ったのは、広中平祐(ひろなか へいすけ)で、京大理学部卒。
そして、日本で3番目にフィールズ賞を取ったのは、森重文(もり しげふみ)で、京大理学部卒。
これで、引き分け。
「そうなんだ。」
実は、最後のは、チョンボなんだよね。
「どういうこと?」
森重文は、高校時代、東大志望だったんだけど、麻友さんたちが、『翼はいらない』で演じた、学生紛争があったために、1969年は、東大が入試をしなかったので、仕方なく京大へ行ったんだ。
「えー、何で、太郎さん、そんな、生まれる前のことまで、知ってるの?」
京大、東大の、理学部を受けるくらいの人になると、『大学への数学』という雑誌についている、学力コンテストという通信教材に、手を出すんだ。そうすると、その雑誌を通じて、過去数学が優秀だった人の思い出などを、読めるんだよ。
昔は、インターネットなんてなかったから、こうやって情報を得ていたんだ。
「確かに、時代を感じるわねー。」
ところで、京大理学部と東大理学部は、表向き、引き分け。
では、中身は・・・。
「ちょっと、待って。太郎さんは、京都大学にいたから、京大の中のことが分かるのは、理解できるわ。」
「でも、どうして、東大の中のことまで、分かるの?」
本当のことを言うとね、京大の教授会で、どんなことを決めてるか、なんて、私には、分からないんだよ。
ただ、図書館に、本がどれくらい揃っているか、なんかは、私にも、東大の友達がいたから、分かるんだよ。
後、進振りのこととかね。
「しんふりって?」
東大は、理学部も工学部も薬学部も農学部も、全部一緒に合格させるけど、入ってから苛酷なレースがあって、例えば理学部物理学科へ行くのは、大変なんだ。それを、進路振り分けと言うんだ。
最近は、DNAのことも分かってきて、理学部生物学科も人気があるらしい。後、もちろん理学部情報科学科も、人気がある。
いずれにせよ、ゆっくり色んなところを見て回れる、京大と違い、東大は、ゆとりがないのは、確かなんだ。
「で、図書館は、どうなの?」
やっぱり、国のお金のかけ方が、違っててね。東大の方が、本が揃ってるんだよね。
「それは、初耳だわ。」
ただ、これも、丁寧に見ていくと、京大が上になる場合がある。
その理由のひとつが、京大に併設されている、京都大学数理解析研究所。
これがあるので、京大には、世界中から一流の数学者が、集まってくる。
当然、珍しい本を持ってる人にも、会える。
「大学へ行ったことのない私には、見るもの聞くものが、目新しいわ。」
私に取っても、今から25年半前には、新しくて嬉しいことだらけだったよ。
「京大と東大を比べるのは、もういいわ。とりあえず、京大理学部へ、行くとして、まず何をすれば良いの?」
人間というのは、思ったが吉日。
今日から、入試に向けて、準備する。
パソコンでも、スマホでも、いいから、テレメールというのを用いて、来年の大学入試センター試験の願書を取り寄せよう(8月1日から始まっている)。
「えっ、来年は、まだ受けないでしょ?」
来年、麻友さんが、京大理学部に受からないことは、保証するけど、試験というものは、慣れと経験がものをいうもの。
私としては、センター試験が、新テストに変わる、2020年度に、麻友さんが、京大理学部に受かれば、御の字だと思うので、全部で4回受けることになるけど、今年から、センター試験、用意した方が良い。
「でも、受からないと分かってて、受けるなんて。」
1回受けちゃうと、翌年からは、すごく楽だよ。
オーディション2回目で受かった麻友さんなら、分かるでしょ。
願書を取り寄せるのは9月30日までなので、早く決心するのだぞ。
「でも、・・・」
良く考えてごらん。
普通の学生は、親のお金で、大学行くんだよ。
それに比べて、麻友さんは、自分が中学校の時から、稼ぎあげてきたお金で、大学へ行くんだ。
日本人の見本になれるよ。
とにかく、1回、センター試験の願書取り寄せてごらん。
I wish you luck in your new job.
現在2016年8月24日1時48分である。おしまい。