相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。

大圏コース

 現在2018年5月28日20時09分である。

「飛行機の話?」

 麻友さんは、ロサンゼルスに行ったことがあったね。

「ええ、何度か行ってるわ」

 船で行ったはずはないから、飛行機で行ったんだよね。

「もちろんよ。ああ、それで、太平洋をどんなコースで越えたか? というのね」

 そう。

「あれ、良く分からないのよ。地図で見るとちょっと北に遠回りしているみたいに、飛ぶのよね」

「こんな感じ」

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 そうだ。

 そもそも、大圏コースというのは、大気圏(たいきけん)を飛ぶときのコースだから、大圏(たいけん)コースと呼ぶのではない。

「えっ、違うの?」

 大圏(たいけん)というのは、本来、数学で言う大円(だいえん)のことであり、球を、その中心を通る平面で切ったとき、切り口に現れる円のことだ。

「なぜ、大円というの?」

 その球を、平面で切る場合、その大円より半径の大きい円は、現れないからだよ。

「えーと、ああ、球の中心を通るんだから、そうか」

 飲み込んだね。


 さて、恐らく麻友さんが、ロサンゼルスへ行ったときも、飛行機は、大圏コースを飛んだはずだ。なぜだっけ?

「それが、最短コースだからだというのよ」

 そうだね、燃料が一番少なくなるようにしたんだよね。

「あの、偏西風とかいうのも、関係してるの?」

 ああ、今、偏西風は、考慮しない。

 実際にパイロットが飛ぶときは、単純に距離が短いかだけでなく、風の向きや気流の速さを考慮に入れるだろうけど、私は、そこまでは、分からない。

「遠回りしてるのに、どうして最短コースなの?」

 そこで、遠回りしてる、と思うのは、麻友さんが、メルカトル図法の地図を思い浮かべているからなんだよ。

メルカトル図法? ああ、何々図法って、何種類もあったわね」

 私は、大学受験のとき、社会は地理を選択したんだけどね、地理をその人がちゃんと勉強したかどうかを判定する判定法を教わったんだ。

「地理を勉強したかどうかの判定法?」

 麻友さん。東大宮でも良いし、秋葉原でもいいんだけどね、そこから、方位磁石でどっちが東かな?って測定するんだ。

「つまり、コンパスで、東の方角を決めるのね」

 そう。そして、一度決めたら、もうコンパスは見ず、まっすぐ東と決めた方角に、ずーっと進むんだ。海があったら船に乗って、どんどん進んで、どこの国に着くと思う?

「普通に考えると、日本の東は、アメリカだけど、それじゃ、判定法にならないわね。どうなるの?」

 さすが、特待生。うまく逃げたけど、それじゃあ、確かに、バラエティ番組で、勝てないなあ。

「えっ、ヒントがあったの?」

 これは、何の科目の問題だっけ?

「地理でしょ。あっ、そうか、チリ、なんだ。そうでしょ」

 そう。チリなんだよ。だから、チリと答えないと、地理は及第点もらえないんだ。

「やられた。でも、太郎さん、地理は、センター試験、どれくらいだったの?」

 100点中、47点くらいだった。全然勉強してなかったんだよ。

「2次試験は?」

 理系は、社会は、センター試験だけなんだよ。

「太郎さん、社会は、苦手なのね。私は、結構、社会好きだったわよ。だから、『AKB48中学社会』で、一番活躍してるでしょう」

 うん。それは、一目で分かったけど、『AKB48中学社会』は、ちょっと語呂合わせがひどすぎて、取り上げにくかった。

「ああ、あれは、ちょっと、やり過ぎね」

 でも、私、社会科の中でも、現代社会っていうのかなあ、公民っていうのは、すごく好きだったよ。

「面白いわよね」


 さて、東大宮から、東へ、まっすぐまっすぐ進むとチリに着くということは、そのコースが、東大宮からチリへの最短コースのはずだよね。

「どうして、そんなことが、言えるの?」

 だって、まっすぐまっすぐ進んでるんだから。

「ドラミちゃんの話みたいに、地中を掘り進んだら?」

 あっ、それは、考えなかった。地表を進む場合だといわなければ、ならなかったね。

「太郎さんは、ドラえもんなのよ。普通の人が考えつかないことを、考えつかなきゃ」

 『逆襲のまゆゆ』か?

「チリへの最短コースだとすると、どうなるの?」

 もし、真東に、まっすぐ進んで、南半球のチリならば、チリよりも北にある、アメリカへ、最短コースで行きたいなら、真東より少し北に向かって、出発しなければならないことが、分かるだろうか。

「つまり、ロサンゼルスへの最短コースは、チリより北寄りのはずだから、東大宮から東北東くらいをめがけて、出発しなければ、ならないのね」

 これが、北に遠回りするみたいに飛ぶという謎に対する答えだよ。

「分かったわ。面白い話をしてくれて、ありがとう」


 ここまでは、オーバーチュアなんだ。

「えっ、この上、なんの話を?」

 まだ、計算はできないんだけど、非ユークリッド幾何学というものを、少し味わわせてあげようと思ってね。

「準備が大変だっていってたけど」

 完璧には分からなくて、不満も残ると思う。でも、大学入学時の一般相対性理論を学びはじめた頃の私は、こんな感じだったのだから、そんなに、不平ばかりも言わなくて良いのではないかと思う。

「どうやって説明してくれるの?」

 さっきの、東大宮からまっすぐまっすぐ行った地表面上の曲線は、地球の大円の一部になっている、ということに、気付いただろうか?

「大円の一部って?」

 つまり、チリの例えばサンティアゴに着いたとして、サンティアゴ東大宮と地球の中心の3点を固定すると、その3点を通る平面は1つしかない、というのが、分かるだろうか?

「えっ、太郎さん。めちゃくちゃ難しい話をしてるわよ」

 これは、こう考えると、分かりやすい。

 今、空間に2点を与えると、その2点を通る直線が、1本だけ決まる。

「2点を与えるって?」

『この点と、この点に、注目しますよ』

と、宣言することだな。

「2点を通る、直線は、1本だけなの?」

 2点を通る直線は、1本だけ、というのは、証明できないけど、2点の最短コースは、普通は、1つだよね。

「どうして証明できないの?」

 地球の北極と南極を2点として、地表の最短コースを直線と呼ぶと、経線が全部最短コースになるから、2点を通る直線は、無限にあることになる。だから、反例があって、証明できない。あっ、今、この話は、分からなくていい。

「???」

 とりあえず、2点を決めると、その2点を通る直線は、1本だ。

 その1本の直線を含む平面は、その直線をちょうつがいの軸のようにして、扉をグルグルまわしたもののように、たくさんの平面が考えられて、無限にあるね。

「とりあえず、それは、認めましょう」

 さて、最初の2点を通る直線上にない、別な1点を決めると、グルグルまわしていた平面のうちの1つだけが、その点を通るよね。

「ちょっと、絵を描いて」

 分かった。

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 こういう状況の話をしている。

「ああ、こういうこと。最初の2点が、{\mathrm{P_1}} と、{\mathrm{P_2}} なわけね。3番目の点、{\mathrm{P_3}} を決めると、その3点を通る平面が、ひとつだけ存在する。確かに、そうね」

 やっぱり、絵を描くと分かることは、たくさんあるね。

「そりゃ、そうよ。{\mathrm{Seeing\ is\ believing.}}(百聞は一見にしかず)ですもの。太郎さん、もっと絵を描いてよ」

 必要な場合には、書くけどね。私、大学入学早々、化学の実験レポートで、『絵で説明しすぎです』と、怒られたことがあるんだ。

「レポートで、絵を描くと、怒られるの?」

 文章で、説明できることまで、絵で説明しちゃいけません。ということだったんだ。

「絵で描いて分かることだったら、絵を描けば良いじゃないのにね」

 レポートで絵を描くということは、ある意味、説明をサボることなんだ。

 絵のあるマンガ、例えば麻友さんの好きな『ハチミツとクローバー』 と、絵のない文章、例えば麻友さんが挙げた『キッチン』と、だったら、絶対『ハチミツとクローバー』の方が、書いた人のイメージが読者にストレートに伝わるよね。絵があるんだから、勝手に妄想が膨らむ余地は少ないわけだから。

 文章の『キッチン』の方だったら、同じ文章読んでも、人それぞれ、思い描く世界は、千差万別。書いた人のイメージを遙かに越えて、想像する人もいる。

 だけどね、科学のレポートでは、読む人が、色んなことを思い浮かべられて、書いてあることと反対のことまでを、書いてあったように思わせてしまっては、いけないんだよね。

 だから、曖昧さのないレポートを書けるように鍛えようとして、化学の先生は、『絵で説明しすぎです』と、怒ってくれたのだと思う。

「大学の理学部って、本当に恐ろしいところね」


 さて、3点で、ひとつの平面が決まるのだから、サンティアゴ東大宮と地球の中心の3点を固定すると、その3点を通る平面は1つしかない、と言えるだろう。

「ああ、分かったわ。そういうことだったのね」

 そして、この平面が、地球の中心を通っているのだから、この平面が地表から切り取るのは、大円だね。

「大円の定義は、球の中心を通る平面で切った切り口の円ですものね」

 そう。特待生ぶり全開。

 そして、東大宮からまっすぐまっすぐ行った地表面上の曲線は、地球の大円の一部になっている、というのも、今は、分かるだろう。

東大宮からまっすぐまっすぐサンティアゴへ行ったコースが、東大宮サンティアゴを通る大円の一部と一致するというのは、どうして、分かるの?」

 まず、東大宮サンティアゴを通る大円の一部の曲線は、地球が丸いことによる上下はあるけれど、進んで行く上で、右にも左にも曲がりようがないということが、分かるだろうか?

「また、ちょっと絵を描いてよ」

 分かった。

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 右に曲がるとか、左に曲がる、というのは、こういうこと。

「でも、それは、大円を基準にして、ということじゃない?」

 ただ、大円は、平面で切ったものだから、曲がらないものの基準にして良いと思わない?

「ああ、まあ、そうね」

 だとすると、東大宮からまっすぐまっすぐ行った地表面の曲線は、地球の大円の一部になっていると思って良いだろう。

「結構、強引ね」

 計算して見せられないから、論理で押し通すしかないんだ。

「さっきの絵によると、そう見えるけどね」


 さて、ここで、現代の幾何学の重要な言葉を、ひとつ教えよう。

「面白いもの?」

 『測地線 (そくちせん)』っていうんだ。

「測地って、測量のことでしょう。江戸時代に伊能忠敬(いのう ただたか)が、日本中を測量して、日本地図を作ったのよね」

 さすが、社会は、得意だね。

 私は、今回のために、誰だったか調べたんだ。

「太郎さん、日本史は、苦手ね。この間、小林りんさんに、高3のとき日本史で、追試になりました。とか書いてたわね。どうして、追試になんかなったの?」

 高校生って、麻友さんは知らないかも知れないけど、3年生ともなると、大学入試のことしか頭になくなるんだ。私の場合、横浜翠嵐高校のときは、3年生で履修する倫理政経(りんりせいけい、つまり倫理・政治・経済)で、社会を乗り切ろうと思っていた。ところが、広島井口高校へ転校したら、『倫理政経は、1年生でやりました』と、言われた。がっかりだったけど、2年生で地理を履修した。

 さて、3年になると、まだ科目としては日本史が残っているけど、大学入試にまったく必要ない。

 そういう人が、私のクラスにも45人中30人くらいいた。

 先生も、真面目に授業を受ける気のない生徒に授業するのも嫌だったので、授業の邪魔をしなければ、私の授業中は、他の教科を勉強して良い、といったんだ。

「えー、じゃあ、ただ、単位をくれるということ?」

 先生も、それでは、困るので、毎週1回試験をして、50点中25点以上取れば、その週は合格とすることにした。

 授業を、ノートも取らず、ただ聞いていて、試験で半分取るというのは、結構大変なんだよね。

「ああ、それで、試験に落ちたのね」

 そう。1回だけ、24点で、不合格になった。

「日本史だったら、時代があるでしょう。何時代の頃の試験で、追試になったの?」

 確か、鎌倉時代から、室町時代の頃だった。

「太郎さん、他に、追試とか、なったこと、ないの?」

 大学に入ってからは、レポート再提出とか、ドイツ語再履修とか、華々しくやったけど、高校時代は、追試は1回だけ。

「本当のところを、知りたいんだけど、太郎さん中学高校と、数学と物理は、5段階評価なら5、10段階評価なら10、で、綺麗にそろってるの?」

 以前高校の成績証明書というのを取り寄せたことがあるんだけど、全部5や10がならんでたけど、あれは、ちょっとウソなんだよね。

「10じゃないこともあったの?」

 各学期の成績は、全部10であるのは本当なんだけど、高校3年生のとき、夏休みの成績というのを、先生が通信簿に書いてきたことがあるんだ。

「夏休みの成績?」

 さっきから言ってるように、高3になると、私の場合もう勉強しなくても良い数学は、易しいことはやらなくなる。だから、夏休みの宿題として、先生が出した数学のドリルは、1問しか解かずに提出したんだ。だから、夏休みの成績では、数学は10段階評価の7がついている。

「それは、太郎さんが、言わなければ、歴史から消えていった数字ね」

 7のはんこうを押した先生が覚えているのだから、記録の改ざんなんてできない。

「あ、そうか。でも、太郎さんに取って、学校の数学は、軽く10が取れるものだったのね」

 いや、授業をきちんと聞いていれば、10が取れるけど、授業を聞いてないと、すぐ駄目になるものだったんだ。

「授業を、聞いてないと?」

 私、高校1年の後期の後半、数学が、座標幾何学に入ったところで、授業中、三角形の垂心を求めることに、熱中したんだ。

「垂心を求めるって?」

 三角形 {ABC} の、3点 {A(x_1,y_1),}{B(x_2,y_2),}{C(x_3,y_3)} が与えられたとき、各点から向かいの辺へ垂線を下ろすと、1点で交わる。その点を垂心(すいしん)という。その垂心の座標を求めようと計算してたんだ。

「求まった?」

 求まらない。

「じゃあ、答えは?」

 多分、高校1,2年生の教科書に書いてあるんだろうけど、私は、知らない。

「どうして、ほっぽらかしてあるの。今からでも、求めれば?」

 必要になったら、求めるか、本を読むけど、今は、必要ないから、いいんだよ。

 この問題は、授業を聞いていないと、数学でも分からなくなる、という記念の問題なんだから。

「どうして、記念なの?」

 学期末試験で、5問、問題が出た中で、3番か何かが、これだったんだよ。

「太郎さん解けないじゃない」

 そう。だから、他の4問はすべて解けたけど、これだけ解けなくて、80点。

 本当なら、10は危ういところだったけど、学期末だったので、1年のトータルなので、6回の試験中3回100点を取ってあったので、かろうじて10をもらった。

「まっすぐ伸びたような、太郎さんの数学でも、そんなことが、あったのね」


 まっすぐな線。それを、数学では、測地線という。

「測地線というのは、どういうものなの?」

 測地と言って、麻友さんが、測量を思い浮かべたように、測量するとき、ピーンと張る線が、測地線のイメージだ。

「つまり、最短距離の線ね」

 そうだ。

 だが、ピーンのイメージが、広い範囲の測量をするときは、違ってくる。

「あっ、そうか。地球が丸いからか」

 その通り。

「分かった。そこで、さっきの、まっすぐまっすぐの議論を使うわけね」

 特待生、面目躍如。

「だとすると、地球を測量するときの、ピーンの線、つまり測地線は、大円ということなのね」

 それを、一気に言って欲しくて、ちょっと道草食っていた。

「地表にいる人間にとって、測地線が、大円だとすると、どの2つの大円も交わることにならない?」

 そうだよね。例えば、地球を一周する縦の線、経線は、全部、北極点と南極点で、交わるものね。

「測地線って、まっすぐな線でしょ、つまり、直線みたいなもの。だとすると、どんな2本の直線も、交わるみたいなことになっちゃう」

 私、公約果たしたね。

「えっ、何が、公約よ。なんにも、分かってないわ」

 地表面上。つまり、2次元の球面上の幾何学では、永遠に交わらない直線、つまり平行線というものは、1本も引けない。言い換えれば、どんな、平行線も交わってしまう。

 非ユークリッド幾何学って、こういうものだったんだよ。

「日本史の話したり、数学の成績の話したりして、油断させといて、一気に攻め込んだわね。でも、言ってることは、なんとなく分かったわ」

 今話したことを、数学的に数値を入れて、計算するには、微分積分の親玉の解析学というものが、必要になる。

 麻友さんと、そういうところも含む、数学の動画が作れたらいいね。

「太郎さん、どんどん、先走るから・・・」

 じゃまた。バイバイ。

「バイバイ」

 現在2018年6月12日18時59分である。