相対性理論を学びたい人のために

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吉野弘さん亡くなってたのか(その4)

 現在2018年8月29日20時34分である。

「『お金のトリセツ』始めたわね。あそこで、説明のない、『惨事』という言葉の説明からだったわ」

 『惨事』ね。

 渋谷の美竹町(みたけちょう)の社宅で、母が、新しいマンションの絵を見せてくれた、という話は、書いたでしょう。

 その絵は、母と私と妹で、見ていたんだ。弟は、まだ生まれてなかった。

 それで、母も、私も、よく覚えていないんだけど、1時間くらいして、母が、

『あの絵は、まだ未完成のマンションの絵だから、返さなきゃいけないのよ」

と、言い出したんだ。

 そして、絵を持ち上げたら、その絵の一辺に、お正月に上げる凧の尾ひれがピラピラなっているみたいに、はさみで、たくさんの切り込みが入れられていて、短冊みたいになっていたんだ。

 それで、母が、慌てて、

『とにかく返さなきゃ、いけないの』

と言って、セロテープで、つなぎ合わせて、なんとか見られる状態にして、返しに行ったんだ。

「それが、『惨事』なわけね。太郎さんは、関わってないの?」

 このときのことは、私自身、はっきりとは、思い出せないんだけど、妹と、はさみでどこまで切り込みが入れられるかと、競い合ったような記憶も、脳の中に微かにあって、それがあの『惨事』のときの記憶かどうかも、良く分からないんだけど、少なくとも、あの場では、妹がやったのだろうということに、なったんだよね。

「太郎さんも、有罪かも知れないの?」

 競い合った記憶があるということすら、今まで言ったこともないんだけど、これは、私自身、本当に、思い出せないんだ。

 ただ、ピラピラになっちゃってた、というのだけは、事実なんだ。

 そして、この『惨事』があったから、マンションの絵を見せてもらったことを、覚えていられたんだ。

「太郎さんでも、小学校入る前じゃ、覚えてないのね」

 小学校入る前とかでなく、人間の記憶って、自分の都合のよいように、変わっていってしまうような気がする。

「ああ、想像を絶するつらい経験をしたのなんかは、脳が書き換えていくのかも知れないわね」

 そうじゃなきゃ、人間生きて行かれないよ。

「私の中の、太郎さんの記憶も、他の男の人で、上書きできないかしら」

 そんなこと、冗談でも言う!

「言わせたんでしょ」


「さて、そのマンションのことを、お母様が、説明してくれるのよね」

 そう。

『1号室は、女の子の一人っ子のうちが、入りそうなの。太郎は、由美子もいるし、これから赤ちゃんが産まれて、3人兄弟になるから、お金がたくさん必要だから、こんな大きな家は、買えないのよ。3号室も、4人兄弟のおうちが入りそうなの。だから、2号室しかないのよ』

 私だって、ただ黙っている訳ではない。

『まだ、マンションはできあがってるわけでは、ないのでしょう。このお隣の家になることになってる部屋を、ひとつ分けてもらうことは、できないの?』

などと聞いたのだが、もう青写真どころか、カラーの図ができあがっている段階だから、そんなことはできるはずない。

「あっ、でも、太郎さんも、そんなこと、聞いてみるんだ」

 うん。私は、幼稚園で、卵の実験を聞いてきて、話すように、かなりおしゃべりなんだ。

 思い出したぞ。麻友さんは、自分はあまり話さないから、話してくれるボーイフレンドが、欲しいとか言ってたじゃないか。

 あっ、でも麻友さんって、本当に仲良くなった人の前では、結構しゃべるみたいだな。

 麻友さんのうんとそばにいる人が、

『麻友さんが、何考えてるか分からない』

みたいな発言したのを、聞いたことないものな。

 麻友さん、有名になり過ぎだよ。

 3日に2日デートしても、1万年かからなければ、自分を好きになってくれている男の人全員とデートしきれない、なんて、そこまで、有名になる必要あったのかな?

「芸能界というものが、どういうものなのか、良く分かってなかったというのは、本音ね」

 私、最近時々、ヤクルトの飲み物も、飲んでるんだよ。

「ヤクルトは、腸のためには、良いらしいけど」

 ただ、あんなちょっとじゃ、目は覚めないよ。

「言われてみれば、確かに」


 さて、母の話で、マンションの2号室が、千数百万円くらいだ、というのも、分かった。

 当時のエリートサラリーマンの年収が、一千万円を超すくらいと、聞いていたが、両側の家を買ったお父さま方も、父とそんなに年齢が違うわけではなく、二千数百万円から三千万円のどちらかの隣の家を選ばず、千数百万円の真ん中の家を父が選んだというのは、父は慎重な人なのだな、と、小学校入る前の私にも分かった。

 家のローンを組むという話なども、なんとなく聞いていた。

 実際は、父は、ものすごく慎重に返していて、私が大学から戻ってきて、妹が就職し、弟も大学に入り、父が私を連れて、小さい会社に移るために会社を早期退職して退職金をもらった段階で、まだ返し続けていたので、もう払ってしまおうといって、残り全額返済したのだ。

「そのこと、太郎さんは、知ってたの?」

 私も、まともに学者になっていれば、もうちょっと社会のことも知ったのだろうし、父のローンの相談にも応じたのだろうけど、なにせ、気が狂っちゃってるでしょ。本当に、何も知らなかったんだよね。

精神障害って、そういうことに、なっちゃうの?」

 だから、本当に生活がかかって、働いている人の気持ちも分かってあげられないし、我々に、自活しろと言われても、どこから手を付けて良いのかも分からないんだよね。

 むしろ、もっとお互いが腹を割って、そもそも我が家には、どれだけのお金があって、どれだけの収入があって、どれだけ税金を払っていて、そもそも黒字なのか赤字なのか、というような、本音の話し合いを、もってもらえないと、こっちは、何も分からない。

 障害者を抱えている家では、何か間にバリアのようなものがあって、あの子に全部は話せない、みたいになってしまっている。

 これは、お互いにとって、良いことではないように、思うんだけどね。


「お父さまが、周到な計画を立てている人だったことは、分かったわ」

 伝わって良かった。

「そのあと、電子辞書を引くのが良いという話になるのよね」

 (その5)では、そこから書くことにしよう。

「今日は、比較的短かったわね。おやすみ」

 おやすみ。

 現在2018年8月29日22時21分である。おしまい。