相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。

やっと光が見えてきた

 現在は2005年7月8日22時11分である。

 先月終わりに、解析入門Iを読み始めたのだが、何度も挫折している本だけに、読むのが辛かった。まず全文写しというのが、この本では、第1章で、辛すぎる。次に、この本は問題が多すぎる。

 悩んでいるときに、本屋で、他のもっと易しい本で、物理に必要になる数学を一通り、1年くらいで、読んでから挑戦したら、展望が開けて良いのではないかと思った。

 そして選んだのが、岩波書店の、理工系の基礎数学シリーズだった。10冊からなるこのシリーズは、これだけで、一般相対性理論も、量子力学も、十分学べる程度には高度であり、その一方で、数学者ではなく、工学部の先生が書いているので、易しい。このシリーズを、半年か1年で読み切ることにした。

 小学生に、一般相対性理論を分かってもらうというこのブログの精神を少し汲んで、この本を持っている人が、私と一緒にこの本を読んでいけば、難しいところも分かるように、これからなるべく毎日、私が進んだところまでの、私がつまずいた点を、このブログに書いていこうと思う。

 まず本をはっきりさせておこう。岩波書店

薩摩順吉(さつま じゅんきち)著 「微分積分」 3570円

である。この本は、全国どこでも売られているだろうから、どこに住んでいる人でも、町の少し大きな本屋さんで探してみて欲しい。気に入ったら、私と一緒にこのシリーズを読んでいこう。このシリーズを読み終わったら、もうちょっと数学を補った後、物理の本を読んで行こうと思う。2年くらいで、量子力学や、一般相対性理論にも近づけるものと信じている。

 私は既に一昨日からこの本を読んでいるのだが、全文写しをしなくても、書かれている計算をすべて自分でも手で計算していけば、十分読んで行かれる本である。やっぱり数学者が書いた本でないだけに、数学的に厳密ではない。しかし、具体例が必ず与えられているので、その具体例が分かることで、述べられていることが分かったという気持ちになれれば、十分読んで行かれるだろう。問題数もそんなに多くないので、全部解いていっても、一冊読むのに、一月もかからない。東京大学出版会の解析入門I・IIは、もっと展望が開けてから、改めて読んでいこう。

 それでは、始まり始まり。

  薩摩順吉著 微分積分

 まず「まえがき」を読んでもらいたい。ここを読んで、難しそうだと思って、諦めるのは早い。私がついていることを頭において、難しいところはブログで多分説明されているだろう、と思って読んで行ってもらいたい。

 目次をざっと眺めた後、第1章に進んでもらいたい。小学校で習う、数直線の説明から始まっている。違うのは、負の数も出てきていることぐらいだろう。数学の用語を英語でなんというか、というのは、少しずつ覚えていこう。小学生には、1-1節も難しいだろうが、高校生くらいになると、読めるだろう。

 スタジオ・ジブリの「おもひでポロポロ」という映画の中で、分数の割り算を、ひっくり返してかける、というのを「どうしてだろう?」と悩んでしまって、そこから先に進めなかった子は、人生でもうまくいかないそうなのよね、とか言う会話が出てきたのを覚えている。そこを何も考えずに教わったとおりにやっていった子は、人生でもスーッと生きて行かれるというのだ。

 私はこの会話を聞いて、私はそのどちらでもないな、と思ったのを覚えている。私は教わったとおり鵜呑みにするなんて言う、天下り的なのは、許せない人間であり、かといって、悩んでしまって、そこから先に進めなかった人間でもない。私は、なぜひっくり返せばいいのだろう、と自分で一所懸命考えて、自分なりの理由を見つけ出し、納得して進んでいったのである。

 私と一緒に、この本を読んでいく、ブログの読者にも、私と同じような進み方をしてもらいたい。新しい難しいことが出てきたとき、鵜呑みにするのでもなく、先に進まないのでもなく、自分なりの納得いく説明を見つけて、進んでいって欲しいのだ。どうしても納得できないときは、そこが分からなかったことをノートに書き留めておいて、ことあるごとに思い出し、今の自分なら納得いく説明ができないか? と、自問して欲しい。或いは、このブログにコメントとして、質問を書いてきても良い。私に分かることならば、お答えするし、分からなくても、多分アドヴァイスはできるだろう。

 2ページに書いてある数式が分からない人は、まだこの本を読むのが少し早過ぎたかも知れない。ここで説明しても良いが、それよりも、本屋さんへ行って、数学のコーナーに行ってみよう。学習参考書のコーナーではなく、数学の本のコーナーだ。学習参考書というのは、学校の先生が教えるのと同じことが書いてあるだけで、上で例にあげた、分数の割り算がなぜひっくり返すのか、というようなことが、分かるように書いてはいないことが多い。むしろ数学のコーナーには、こういうことに疑問を持った人に答えてくれるような本もあるのである。ただもちろん、大人向けの本も多いから、本の題名から推理しながら、自分のレヴェルに合った本を探して欲しい。

 もしどうしてもどの本を読んだらいいのか分からないという人のために、私が中学生の時に数学の先生に勧められて読んだ本を紹介しておこう。ブログの読者に問題を投げかけておいて、解答を与えない、というのは、解答のない数学書と同じで、読んでいて気分が悪いだろう。だから、一応一冊は解答を与えておく。 

銀林 造(ぎんばやし こう) 榊 忠男(さかき ただお) 著

  「数は生きている」 岩波書店(1974)

はどうだろう。古い本だから、絶版になっているかも知れないが、図書館にはあるだろう。この本を読んだら、小学校1年生でも、中学校3年生に近い数学の知識が得られる。後は、計算練習をして、慣れることが必要なだけである。

 さて2ページが読めたとして、3ページに行こう。「PQの中点は有理数(p+q)/2に対応する」というところでつまずく人もいるかも知れない。本当に中点なのだろうか。

 これを確かめるには、p<qとしておいて、q-(p+q)/2=(q-p)/2(p+q)/2-p=(q-p)/2と、計算することで、確かめることができる。p>qならば逆にすればよい。こういう風に、文字を使って書いているときは、p<qの場合を調べれば、p>qの場合も同様に分かることが多い。こういう時には、数学では、「p<qとおいて一般性を失わない」、などという言い方をして、重複を避けることが多い。覚えておこう。

 さらに進むと、今度はaの下に小さくnが書かれた文字が出てくる。このnは添え字(そえじ)とか添数(てんすう)とかいって、高校2年生くらいで出てくるものである。xとかyとかzとか文字を使って数を表していくとき、文字が足りなくなるので、小さい数字を用いて、いくらでもたくさんの異なる数を表す文字を作る方法なのである。これは書き方なので、慣れるしかない。 

 例1を読むときは、本当に3/2,7/5,17/12,41/29 となるかどうかを手計算で確かめると、自信がつく。

 さて例1を読んで、第1項を1にしなくても√2になるのではないか、と思った人もいるだろう。確かにその通りだ。しかし第1項を何にしても√2になるわけではない。第1項を-√2にすると、ずっと-√2のままである。

 本当はもっとつっこんで、-√2は不安定で、そこからちょっとでもずれると、極限の値は√2になるというようなことも、証明できそうだが、私はそこまでつっこまずに先に進むことにした。

 √2が無理数であることは、中学校で学ぶ。だからそれを証明するのを演習問題1にまわしてあるのは、無茶苦茶ではないし、解答もついているので、なんとかなるが、もっと易しい証明を書いておこう。√2=m/nと自然数m,nを用いて書けたとすると、2*n*n=m*mとなる。ここで、両辺を素因数分解したとする。そうすると、左辺は奇数個の素数になり、右辺は偶数個の素数になる。素因数分解が、ただ一通りであるということは、実際に素因数分解をやったことのある人なら、当然のことのように思っているだろうから、証明抜きで経験的に明らかとしても良い。

 証明したい人のために一応述べておくと、

abc・・・=pqr・・・

と2通りに分解できたとする。右辺はaで割り切れるので、p,q,r,・・・のうちにaと等しいものがある。それがpであったとしても、一般性を失わない。そうすると、

bc・・・=qr・・・

となる。ここで、

bc・・・はabc・・・

よりも小さい数である。数学的帰納法を知っている人ならば、これで証明できたことが分かるだろう。

 数学的帰納法を知らない人は、これは強力な証明法だから、絶対知っておく必要がある。実際、数学基礎論と呼ばれる数学の分野では、ほとんどの証明に、何らかの形で、数学的帰納法が出てくる。「すべての自然数nについて、これこれの命題が成り立つ。」というのを証明するのに、1について成り立ち、任意の一つの自然数nについて成り立つと仮定するとn+1についても成り立つ、ということを証明することで、確かめる。という証明法である。これは一つずつ順に考えていけば分かることなので、もしこの説明を一回読んだだけで分からない人も、じっくり考えて、納得してもらいたい。

 さて√2の話に戻ろう。素因数分解の一意性に矛盾するので、√2はm/nとは表せない。ということで証明が完成する。

 ここではもう一つの重要な証明法、背理法というものが用いられていることを注意しておこう。背理法というのは、帰謬法(きびゅうほう)とも言って、あることを仮定して、そこから矛盾が生じたら、仮定が間違っていたということが証明できたとする証明法であり、これも絶対知っておかなければならない。

 さて4ページに進むと、√2=1.41421356・・・と書いてある。これを覚えるのに、「一夜一夜に人見頃(ひとみごろ)に」という覚え歌がある。ついでにいくつか参考に覚え歌を書いておこう。

√3=1.732050807・・・「人並みにおごれや女」

√4=2

√5=2.2360679・・・「富士山麓オウム鳴く」

√6=√2*√3=2.449489・・・「似よ良く良く」(四捨五入して)

√7=2.64575・・・「菜に虫いない」(7も含めて覚える)

√8=2*√2=2.828427・・・「ニヤニヤ呼ぶな」

√9=3

√10=3.1622・・・「人丸(ひとまる)は三色(みいろ)に並ぶ」(10も含めて3色に色分けされた人々の輪が3重に並んでいるところを思い浮かべると良い)

 本文に戻って、次にp進小数表示というのが書いてあるが、これはコンピューターの本には必ず書いてあることである。10進数を他のものに変えたり、逆に、他の進数のものを10進数にしたりする方法が、書かれていることもあるが、余り熱心にやる必要はない。テストで点を取るには必要だが、それ以外の場面では、ゆっくり時間をかけて考えれば、必ず変換できるものだからである。

 5ページに進むと、まず第1行に楽しみが待っている。84.3125というのは85.3125の誤植である。これがこの本の最初の誤植だ。

 誤植つぶしを楽しめるくらいになると、その本の内容に関して、かなり力がついたと言えるのだが、皆さんはどうだろうか。  今日はここまでにしよう。あなたはこの本を読んでいく自信がついただろうか。まだこの本を読めるレヴェルでない人は、もう少し易しい本を1,2冊読んでから挑戦しよう。

 小学生でもがんばれば読める本としてもう1冊紹介しておこう。「数は生きている」のシリーズで、この本の次に読めそうなのが、

 野崎 昭弘(のざき あきひろ)著 「πの話」(ぱいのはなし)  岩波書店(1974)

である。私が上に書いた、√の覚え歌はこの本にも出ている。 

 それでは終わりにする。現在、2005年7月9日2時57分である。