相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

相対論への招待(その7)

 現在2017年3月26日22時38分である。

 麻友さん。23歳のお誕生日、おめでとう。

 卒業前の麻友さんへの最高のプレゼントは、私の写真。

 はい。

f:id:PASTORALE:20160928003318j:plain

「ありがとう」

 去年(2016年)の8月23日に、パスポートに貼るために、横浜SOGOの渡邉写真館で撮ってもらった、デジタル証明写真。

「半年以上前じゃない。ずっと大事に隠してたの?」

 そうだよ。

 これは、床屋へ行った直後に撮ってもらってるし、私の好きな水色のシャツを着てる。

「太郎さんなりに、一番おめかししたのね」

 ちっともハンサムじゃなくて、ただのおじさんなのは、どうしようもなかったけどね。

「太郎さんはやっぱり、その頭を使わなきゃ、魅力的にならないのよ」

 じゃあ、始めますか。

「まず、{\log}から」



 前回、対数は、16世紀の3次方程式の解かれた頃に見つかっていると話した。

「具体的には、誰が発見したの?」

 『代数学辞典 上』から、引用しよう。


 対数の概念はすでにスティッフェル({\mathrm{Stifel,\ 1487\ \sim \ 1567}})によって得られている.
 彼はエスリンゲンに生まれ,もと僧侶であったが,幼少の頃から数学に興味をもち,ルドルフの代数学の研究に没頭した.その後ユウクリッド原論やカルダノのアルス・マグナ等をよみ,その結果1544年に

{\mathrm{Arithmetica \ integra}}

をニュウルンベルグで出版した.この本は3巻からなっているが,その第1巻に

{x} と {y=2^x}

との関係を

{x} {-3} {-2}  {-1} {0}  {1}  {2}  {3}  {4}  {5} 

{y} {\displaystyle \frac{1}{8}}  {\displaystyle \frac{1}{4}}  {\displaystyle \frac{1}{2}}  {1}  {2}  {4}  {8} {16} {32}

と表示して


べき  {2}  {3}  {5}     {2+3=5}

数   {4}  {8} {32}     {4\times 8=32}



べき  {1}  {2}  {3}     {3-2=1}

数   {2}  {4} {8}     {8 \div 4=2}


なる法則のあることを見破り,これを次の形で述べている.


 {1^{\circ}.}累乗の指数が等差数列をなせば,数は等比数列をなす.

 {2^{\circ}.}指数の和は数の積に,指数の差は数の商に,指数の積は数の累乗に,指数の商は数の累乗根に対応する.


 なお負の指数をも考えたことは注目に値する.指数のことを

{\mathrm{exponent}}(エキスポネント)

というのはこの本からである。



(以上、笹部貞市郎『代数学辞典 上(第二版)』(聖文社)1056~1057ページより)


「『ルドルフの代数学』というのは?」

 ああ、これは、麻友さんに話したかったんだよ。

「えっ、何を?」

 先日(2017年3月23日)『AKB48中学数学』が届いたことを話した。

「また、あら探ししたの?」

 そういうわけではないけど、チェックした。

「ルートの記号{\sqrt{\mathstrut \ \ \ \ }}の起源が、ラテン語{\mathrm{radix}}(英語の{\mathrm{root}})の{\mathrm{r}}だというのは、知らなかった。と言ってたわね」

 うん。代数学辞典に書いてあったから、以前も読んだんだろうけど、知識として身についてなかった。

「『代数学辞典』には、どう書いてあるの?」

 これが、その部分の写真。納豆を拡大しすぎる麻友さんみたいに、私も、拡大しすぎかな?

f:id:PASTORALE:20170327044621j:plain

「今日は、太郎さん自身の写真を入れてくれたから、許すわ」

 これを見ると分かるように、{\sqrt{\mathstrut \ \ \ \ }}を最初に書物に書いたのは、ルドルフだ。名前も書くと、クリストフ・ルドルフ({\mathrm{Christoff \ Rudolff}})らしい。

ベートーヴェンパトロンに、ルドルフ大公という人が、いたわね」

 あれは、ルドルフ・ヨハネス・フォン・エスターライヒで、別な人。でも、『大公トリオ』も『皇帝協奏曲』も、素晴らしい曲だよね。

ベートーヴェンに、曲を献呈されるなんて、幸せね」

 確かに。

 ただ、ひとたびその曲が作られてしまえば、その後の人は、皆、その曲を楽しめる。

 楽譜で、音を書けるって、すごい発明だよね。

「数学は、昔から、数字を使ってるけどね」

 いや、それは、正しい理解では、ないんだ。

 確かに、{0,1,2,3,4,5,6,7,8,9}というアラビア数字というものは、紀元5,6世紀頃からインドで使われていた。

 ところが、未知数を記号で書く、という発想がない。

「それじゃ、ほとんど、代わりの数を用いる、代数じゃないわね」

 そうなんだ。

 私は、小学校の算数から、中学校の数学になるのは、{x}(エックス)を使うことが始まることだ。と、教わった。

 16世紀までの数学は、数学ではなかったのかも知れないね。

「16世紀に、エックスを使い始めるの?」

 16世紀末に、フランスのヴィエトが、始めたらしい。

「じゃあ、フェローやフォンタナやカルダノは、どうやって3次方程式を、解いたの?」

 信じられないことなんだけどね、例えば、


{x^3+ax=b}

という方程式の根を、

 未知数の係数の{\displaystyle \frac{1}{3}}を立方し,それに定数項の{\displaystyle \frac{1}{2}}の平方を加える.そして,この和の平方根を作る.この数に,定数項の{\displaystyle \frac{1}{2}}を加えたものと,定数項の{\displaystyle \frac{1}{2}}を引いたものとを作る.前者の3乗根から,後者の3乗根を引いたものが、求める数である.

と、答えるんだ。


「わーっ、こんな答えられ方して、太郎さん、分かるの?」

 私でも、分からない。

「今の時代に生きてて、幸せだわ。数学で、こんなこと、感じたの、初めてよ!」

 それは、良かった。

 このように、数学だって、記号で書けるようになったのは、最近5世紀くらいのことなんだ。

 数式に、恐怖を覚える人もいるけど、数式こそ、音楽の音符と楽譜のように、伝えたいことを伝えるための、最新兵器なんだよね。

「太郎さん。私の誕生日、過ぎちゃったわよ」

 ごめん。寝落ちしちゃった。

「太郎さんは、イケメンではないけど、太郎さんの頭が働いている限り、面白いことを話してくれる。結婚って、肉体関係を持つためにするんじゃないのね」

 愛と結婚と肉体関係を、セットでしか考えられないような、融通の利かない人でなくて、良かった。

「とにかく、薬飲んで寝なさい」

 分かった。おやすみ。

「おやすみ」

 現在2017年3月27日7時03分である。おしまい。