現在2018年4月24日20時36分である。
今日、びっくりしたでしょ。
「朝、すっごくびっくりした。太郎さん、2008年10月22日の『この世界の本当の姿は?』という記事、復活させたのね」
過去に印刷してあったものから4月20日にスキャナーで取り込んで、OCRにかけたんだ。
「でも、簡単には行かないでしょ」
初め、スピードを重視して、白黒でやったら、認識しなかった。色んな原因をチェックして、カラーでやれば良いというのに気付いたときは、大喜びだった。
「でも、太郎さん。コメントも復活させてる」
そのコメントの方を、復活させたかったんだ。
「今日まで、5日かかったのね」
電子データから消えたものというのは、復活させにくいと痛感したね。
でも、紙もなくなって、全くデータが無くなったら、それこそ取り返しがつかないね。
「データなら、いいわよ。太郎さんが死んでしまったら、私どうしていいか分からないわ」
今日のガロア物語は、そういう話だ。
その前に、ユークリッド幾何学の話をしたのに、『原論』の表紙を見せなかった。ごめん。
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「これが、聖書の次のベストセラーね」
今では、読む人少ないと思うけどね。
「数学が進んじゃったから?」
そう。
それでは、ガロア物語を、始めよう。
ベートーヴェンの交響曲第2番の作曲された1802年生まれのアーベルに、遅れること9年。1811年にガロアは生まれる。
矢ヶ部巌『数Ⅲ方式 ガロアの理論』 第24章 418ページより。
小川 ガロアは,アーベルの論文を読んでるんですか?
広田 アーベルは,ガロアを知らない.
だが,ガロアはアーベルの業績に精通している.
「あの時代に、アーベルを評価していたの?」
しかも、以下の略歴を読めば、なぜそんなことができたのか、信じられないほどだ。
笹部貞市郎編『代数学辞典 上』
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7.3 抽象代数学
アーベルとともに青年数学者として代数学に貢献したもう1人の天才がある.それは ガロア である.
彼は1811年10月22日パリー郊外のブール・ラ・レーヌに生まれた.父は村長で彼はこの父親から詩を作ることと,専制に対する憎悪の念を受けついだ.12才になるまで母親に教育され,それからルイ・ルグラン高等中学校に入学した.
ここで彼はルジャンドルの幾何学を興味深く読みこなしたが,代数学については嫌悪した.それは代数学のよい書物がなかったためであろう.その後彼はラグランジュから直接代数学を学んだ.そしてエコール・ポリテクニーク(科学技術学校)の試験を受けたが,2回失敗している.
1828年彼が17才になったとき,彼の才能を理解してくれた教師リシァールが現われた.リシァールはガロアに首席を与えて,他のどの学生よりも抜群であることを認めた.それはすでに彼が方程式論や連分数に関する最初の論文をかいていたからである.彼はそれらの論文をまとめてパリー学士院に提出したが,審査員コーシーはそれを紛失してしまったといわれている.なお彼は1830年にも3つの論文を提出しているが,これもついに日の目をみなかったようである.
これらの事がらが動機となって,彼の心はいつしか共和主義の側にたった政治運動へと行ったために,大学を退学させられた.そして1831年革命軍に参加したために母の家で逮捕されて,サント・ペラジの刑務所につながれた.その後もう一度投獄され,ついに恋愛事件によって決闘し,腹をうちぬかれて1832年5月31日の朝,21才で終わりを告げたのである.
彼の遺稿はその後14年を経て1846年にリュービィユ誌上に発表され,その手記全部は1908年タンヌリーの手で出版された.
その第1の論文は5次方程式の解法に関係する「ガロアの理論」とよばれるものである.
第2の論文は群論の先駆をなした重要なものである.
以上 『代数学辞典 上』 代数学小史 pp.1067~1068より
一応写したんだけどね、真ん中辺りの、
というのは、
の、間違いだと思う。
「どうして、そう思うの?」
ラグランジュが、ガロアの相手をしてくれるわけないし、ラグランジュは1813年に死んでいる。
「2歳じゃ、無理ね。でも、太郎さん、良く気付くわね」
代数学辞典のその行にアンダーラインがあって、前回私が、『?』を付けていたんだ。
「今回、私のために、歴史をさかのぼったという訳ね」
数学に限っても、歴史は、こんなに面白い。
完全に歴史を理解したら、物凄く興味深いだろうね。
「ガロアの恋人の名前は分かってないの?」
ガロアの恋人は、アーベルのように婚約していたわけでもないし、多分あの人だろうくらいにしか分かっていない。
「ガロアが死んで、悲しんだかしら?」
多分、そんなに悲しんでないね。
「なんで、そんな薄情なことが言えるの?」
私は、これも、読んでいる。
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そうするとね、ガロアが決闘で、腹を打ち抜かれたのは5月30日早朝。そして、ひとりで路上に倒れているのを発見され、コシン病院というところへ収容される。でも、まだガロアは生きてるんだ。
翌日の5月31日午前10時に、弟に看取られながら、息を引き取るんだ。
「ああ、つまり、ガロアが好きだったら、ほっといたりしないだろ、というわけね」
まあ、そうだね。
それに、本当にガロアが好きだったら、決闘なんてさせずに、二人で逃げるべきだったんだよね。
ガロアだって、天才数学者だったんだから、自分が決闘で勝てる可能性が低いことくらい、分かってただろうからね。
「今、太郎さんが死んだら、私、鶴見まで行かないかも」
心をまだ、取り戻してないから?
「あっ、読んでくれたのね」
うん。昨日発売だったけど、今日、駅ビルのCIALで、『週刊文春』買ったんだ。
その後、京浜東北線の隣の駅の、新子安まで、散歩して、帰ってきてから、この投稿の続きを書き始めた。
今、雑誌開いたんだよ。
『私は不器用で、地道にコツコツ頑張ることしかできなかったんです。折れることなくその生き方を貫き通した私を見ていてくれた人が、きっと沢山いて下さったんだと思います』
と言ってるけど、これは、生涯を終える人の言葉だよ。
麻友さんが、今後どう生きようと、麻友さんの生き方は、今後も人から、見られる。
まだ、24歳で、こんな厭世的なこと言ってちゃ駄目。
『瞬時に対応していく中で、豊かな心を失いました。こんなこと書けないかな(笑)。』
って、ちゃっかり書いてる。
もう、恋愛禁止のAKB48は、卒業した。
自分で、
『私、こころ、取り戻せたかな』
と、思ったら、いつでも、メールよこして、鶴見へいらっしゃい。
地球の重さの10の23乗ぶんの1なんて、ものすごく軽い男の人だけど、麻友さんを抱きしめてあげる力が足りないことはないから。
数学やってる男の人が、恋愛の知識が乏しいというのは、本当かも知れない。
でも、26歳で死んだアーベル、20歳で死んだガロア、という物凄く振幅の大きい人生を見ながら育ったロマンティックな心の持ち主であることは、確かだ。
「これで、ガロア物語おしまい? ちょっと簡単すぎない?」
ガロア物語はね、本物のガロア理論を、麻友さんの前に、展開したいんだよ。
「あの本のガイドブック作るという話?」
うん。本当に、ガイドブック作ろうと思う。
「ガロアは、これで終わりにしても、3番目の『オイラーの公式』は?」
次回、麻友さんが取り戻した心を、揺さぶるような、欲張りな『微分』についての講義をしようと思う。
「私の方から、『楽しみにしててね』と言う機会が少ないのよね。でも、言うわ。鶴見に行くから楽しみにしててね」
じゃあね。バイバイ。
「バイバイ」
現在2018年4月26日19時05分である。おしまい。