現在2018年9月22日13時04分である。
ごめーん。許して~。
今日の題名は、『まゆゆが怒った理由教えます』と、しようかなとも思ったほどだったんだ。
「私も、最初は、腹立ててたけど、男の人と女の人じゃ、やっぱり違うんだなって、分かってきた」
すぐ怒るけど、3分で、まっ、いいか、と切り換えられるって、本当なんだね。
それは、美徳だよ。
「とにかく、皆さんに、説明しなさい」
昨日(2018年9月21日)は、静岡県の清水で、麻友さんの出演する、『シティ・オブ・エンジェルズ』というミュージカルが、上演された。
本来、横浜に住んでいる私は、東京公演を観たかった。
だが、東京公演は、チケットが発売1時間で売り切れる、ということになり、購入できなかった。
麻友さんのファンクラブの人だけが申し込める、清水でのチケットの抽選に応募したところ、チケットが取れた。
そこで、新幹線の特急券を買えない私は、はるばる東海道線で3時間かけて、観に行くことになった。
まずここまでが、前提である。
麻友さんにしてみれば、私が、早く起きてきてくれるのだな、と半分後ろめたい気持ちもありながら、嬉しさもあった。
そこへ、公演の前の晩(9月20日)に、私から次のツイートを受け取った。
渡辺麻友様。昨日の始球式のためにそんなに練習してたなんて麻友さんらしいなあ。ピッチャーマウンドからホームプレートまでは普通の大人でもなかなか届かないから気にするなって。明日は、9時19分鶴見発の電車で3時間かけて観に行くよ。麻友さんは私の世界を広げてくれた♡♡♡。
麻友さんは、
「ああ、太郎さんは、9時19分の電車か。だったら、5時とか6時に起きて、来てくれるんだなぁ。私、悪い女だわ」
などと思っていただろう。
ところが、翌朝8時58分に、麻友さんは、こんなツイートを受け取ったのだ。
渡辺麻友様。今朝は8時に起きれば良いのに5時50分に起きちゃった。遠足が楽しみで前の晩寝られないなんて、小学生みたいだね。私の前で演じるのは緊張する?今回は主演でもないし、いつもの麻友さんそのままで良いんだからね。それじゃ、約5時間後に会いましょう♡。
麻友さんは、愕然とした。
「8時に起きれば良かった? この大切な大切な、神様より大切な、渡辺麻友に会いに来るのに、家を出る1時間前に起きて、顔洗って食事してろくろくおめかしもせず、余裕でツイートまでぶっこいて、小学生の遠足だって?」
怒った、怒った。
それで、W3M∞(ダブミー)というファンクラブのQ&Aコーナーに急遽vol.19というのを作り、
「仕事や遊びに行くとき、何分前に起きますか?・・・、何分前って! この人は、何分前とかに、起きてるってことですか? 私はものすごく時間がかかるので、それに、マイペースなので、2,3時間もかかるし、・・・、もう、私が、何時間前に起きているかは、ダブミーのみんなにも、教えません。起き方は、爆音の目覚まし時計なんですけど・・・」
と、怒りをぶちまけた。
以上が、状況説明だよね。
「太郎さんは、どんな目覚ましかけてるの?」
目覚まし時計というものは、かけてないんだ。
携帯の目覚まし機能で、『ナウシカの音楽』や、『バッハのシャコンヌ』や、『ドヴォルザークの新世界』なんかを鳴らして、起きている。
「それで、起きられるの?」
私の場合、前の晩から6時間以上は寝ているから、鳴れば、目は覚ます。ただ、止めた後、また寝ちゃうことはある。だから、絶対起きなければならないときは、3つかけておく。
そうは言っても、私が、絶対起きなければならない、なんていうことは、麻友さんのミュージカルみたいに、自分の気持ちも高まっているから、そんなに、苦労しない。
「嫌なことだけど、起きなければならない、なんてことは、ないの?」
障害者が、社会から取り残されて行ってしまう、というのは、こういうところにも、表れているんだ。
普通の人だったら、多少嫌でも早く起きなければならないことは、始終あるでしょう。
それでも、皆、平気で、起きて行ってる。
だけど、障害者は、起きなければならないほど、社会から必要ともされていないから、起きる訓練すらされてないんだ。
「太郎さん。太郎さんは、私との結婚生活というものを、どう、思い描いているの?」
前回も、結婚を、話題にしたけど、今回も、少し書く必要があるだろう。
私ね、結婚って、かなり強い薬の役目を果たすと思うんだよね。
もちろん、麻友さんと結婚して、統合失調症が、治るとは思わない。
ただ、今まで、ひとりで気ままに生きていたのが、今まで他人だった人と、同居して、一緒に生きるようになるわけでしょ。
これは、ものすごいショックだよ。
私の母は、小さい頃からからだが弱かった、という話は、以前にもしたような気がする。
どれくらい弱かったかというと、小学校で1番だった母は、中学は越境してたんだよね。
越境(えっきょう)なんて、今の中学でやったら、PTAが許さないけど、60年位前は、優秀な子供は、皆、学区外の優秀な中学なんかに行ってたんだ。
体の弱い母は、中学まで歩いて行くのが辛くて、いつも学校までの中間地点に、座って休める石(岩かな)があって、そこまでを、目標に、歩いていた、というほどだった。
結核だったしね。
ところがね。その母がね。結婚したら、変わったんだよ。
父は、横浜の研究所に行ってたわけだけど、鶴見の社宅から朝送り出すのに、起きられないなんてことは、なかったそうなんだ。
「じゃあ、太郎さんは、自分も、必要とされれば、良い伴侶となれるというの?」
人間って、相手次第で、ものすごく変わる。モーツァルトの奥さんのコンスタンツェだって、再婚した後は、すごく良い奥さんになったって言うじゃない。
「太郎さんの側から猛アプローチをかけられているようだけど、私の側も、信号を出しているのよね」
分かってる。10月のファンクラブイヴェントの正式名称を、決定した。
「First Contact って、どういう意味かしら?」
もし、麻友さんが、私と本気で言葉を合わそうと思っていて、電子辞書を買って理化学辞典チップまで装着していると、
名詞 〔天文〕第一接触
皆既日食において,月がはじめて太陽に接した状態.
という専門用語だと分かるだろう。
だが、多分、理化学辞典を引いて、ネーミングしたのではなく、ふつうに、『contact』を、『接触』という意味と解して、『第一回目の接触』という意味なのだろう。
『接触』という言葉に関して、ちょっと面白い話をしてあげよう。
麻友さんは、微分をまだあまり知らないから、『接線』という言葉も、あまりなじみがないかも知れない。
ある曲線の接線というのは、曲線上のある点と、その点に無限に近いもう一点の2点を通る直線と言える。
その曲線と一点しか共有しない直線は、すれ違ったまま、もう合わない男の人かも知れない。
それに対し、2点を共有するのだから、接線は、お互い向き合って、握手する仲になった男の人だ。
握手会を何年もやってきた麻友さんには、こういう男の人は、数多くいる。
さて、これで話は、終わりではない。
曲線には、その曲がり具合を示す、接触円というものが、描けるのだ。
3点が決まれば、その3点を通る、1つの円が決まるということを、知っているだろうか?
今、曲線上の一点と、その前後に無限に近い点を2点取ったとする。
ほとんど同じというほど近いなら、それは、直線になってしまうのでは? と、心配するだろうか?
大丈夫なのである。その2点そのものも、近くにあるので、グーグルマップのように、視点を引けば、今言った3点を通る円が、一つ、見えてくるのである。
さて、接触円というのは、英語で、何というのだろう。
すれ違った男の人、握手した男の人、その次は、・・・。
やっぱり、キスした男の人だよね。
『接触円』
と言うんだ。 には、キスする、という意味があることを、辞書で調べてみよう。
「太郎さん、なんで、こんなこと、知ってたの?」
これは、池田和義(いけだ かずよし)という人の『力学への招待』(現代数学社)という本の20ページで読んだことを、麻友さん用に、アレンジしたんだ。
「最近読んだの?」
いや、これは、高校1年のとき、読んだんだ。
「その文献も、取ってあったの?」
いや、これは、売っちゃってたから、最近図書館で借りてきて、写したんだ。
本は、これ。
「うん。面白かったわ。じゃあ、ひとつ何か、無理を聞いてあげる」
前、番組で、スマホいじってたときに、見たんだけど、麻友さんって、iPhone持ってるじゃない。
「持ってるわよ。それで?」
どういう契約になってるのかなあって、気になってるんだ。
「えっ、スマホの契約プランなんか聞いて、どうするの?」
実は、2008年5月19日から使っている、私の今の携帯が、今年いっぱい持たない様子なんだ。
「えっ、10年前から使ってるの? 物持ち良いわねえ」
うん。時々高いもの買うから、無駄遣いしてるみたいに見られるけど、私、1回買ったものは、ものすごく大事にするんだ。
麻友さんの下敷きだって、3年前の4月に買ったの、ずっと使ってる。
「他の下敷きは使ってないの?」
A4のノートに書くときは、別な下敷き使ってるけど、B5のノート使うときは、まず間違いなく、あの水色のドレスの下敷き。
「それで、10年経って、携帯がもう駄目なの?」
麻友さんのミュージカルに行った帰り、取り敢えず、夕食後の薬を飲んで、母に、飲んだよと、メールした。そのときまでは、なんとかなった。
それから、東海道線に乗って、
『清水でお土産買おうと思ったけど、駅弁すらまともになくて、この2千円は貯金することにしました』
と、メールを書こうとしたら、圏外になっちゃって、どうしても送れなかったんだ。
「2千円も、お土産買おうと思ったの? 貧しい太郎さんが?」
いや、お土産は、そこまで高くなくても良かったんだ。ただ、ここで、2千円貯金したぞ、と明らかにしておきたかったんだ。
「どうして?」
麻友さんに、かなりお金をつぎ込んでるけど、私は、甥にも、買ってあげたい本があるんだ。
「ああ、太郎さんに取っては、甥御さんは結弦のモデルで、子供みたいなものですものね。どんな本なの?」
この3冊なんだ。
「でも、これ、1冊2,700円もするわよ。太郎さんの、『アーベル多様体』の本より、高くなるわよ」
うん。だから、甥の父母も、甥の祖父母も、二の足を踏んでいる。
「どうして、甥御さんが、その本を欲しいって、知っているの?」
実は、私が、2年くらい前に、この本を図書館で借りてきたんだ。
そして、偶然実家に遊びに来ていた、姪と甥の前で、
『今、脳は、これくらいまで、分かってきているらしい』
と、見せたんだ。
私も、そんなにじっくり、甥が見たとは思えなかったんだけど、甥は、スマホが脳に与える影響だとか、ブドウ糖だけが脳のエネルギー源であることなどを、吸収していて、脳に関して詳しくなっていたんだ。
甥の小学校(私の妹が、その図書館の司書なんだけど)には、その本がないそうだから、どうしてあの1回だけで、あんなに読めたのか分からないんだけど、その後も、あの本を読みたがっているらしい、と、聞いているんだ。
「でも、8,100円って、ちょっとやそっとじゃないわよ」
それは、私も、分かってる。
「それに、脳の研究は、どんどん進むし」
そうなんだけどね。あれは、小学生向けの本だ。
確かに新しい研究についても触れているが、ある程度は、雨降って地固まった内容が、書かれている。
それに、脳の研究の歴史、などは、そんなに変わらないだろう。
8,100円は、確かに高い。『アーベル多様体』の本が2冊買えそうなほどだ。
だが、私が、今でも、愛用している、『代数学辞典 上・下』は、上だけで、1987年に、9,000円したんだ。
「ああ、そうだったわね。あの辞典、今でも、太郎さんの話に、頻繁にでてくるものね」
結局ね、どの本がそういう本になるかは、そのときは、分からないんだよ。
いつも手元にあって、気付いたら、手放せない本になってた。というようなものなんだよ。
それを、あらかじめ、これは、座右の書になりそうにないから、買わないでおこう。としてしまったら、それで、おしまいなんだ。
「分かった。じゃあ、なんとか、8,100円貯めてね。でも、本来は、太郎さんの携帯が壊れそうという話じゃなかった?」
そうだったね。とにかく、母にメールを書いたのに、送れない。
この電車に乗ってるから、いけないのかな? と思って、沼津で宇都宮行きに乗り換えても、圏外。さすがにもう大丈夫だろうと、横浜で送ろうとしても、駄目。
ここで、これは、ちょっとおかしい、と思って、一度電源を落として、再起動させた。
そうしたら、やっと、復活した。
「なんだ、復活したんじゃない」
いや、そういう問題じゃない。もう10年経って、この携帯、本当に駄目になる寸前なんだよ。
「いいでしょう。それは、認めるわ。それと、私のスマホの契約プランが、どう関係するの?」
私の父母は、私に、スマホを持たせたがっていないんだよ。
「それで?」
なんとか、私に、次もガラケーを、持たせようとしているんだ。
「いまどき、ガラケー?」
そうなんだ。いまどき、ガラケー? なのに、そのガラケーを持たせようとしている。
「どうしてなの?」
簡単に言えば、通信料金が、圧倒的に違うから。
「それで、太郎さんは、私のスマホの契約プランを聞いて、どうしたいの?」
一言で言うなら、麻友さんと私で、夫婦の割引プランに申し込もうよ。ってこと。
「えっ、でも、夫婦の割引プランって、結婚してなきゃ、入れないんじゃない?」
そうでしょ。
「だって、私達、結婚してないじゃない」
だから、結婚すれば良いじゃない。
「(絶句)」
どうしたの?
「(絶句)」
ちょっと、大丈夫?
「そ、そ、そんな、・・・」
そんな?
「私達、携帯の夫婦のプランに入りたい、なんていう、そんな、しょうもない理由で、結婚するの?」
私も、iPhone欲しいんだよ。
「太郎さんのやったことは、沙耶さん以下よ」
沙耶さんが、ひかりさんに、ひどいことをしたのは、良く分かってるけど、・・・。
「そうじゃない。あれは、第7話よ。そうよ、今晩24時から放送される、第7話で、沙耶さんが、和ちゃんにしたことよ」
あ、ちょっと、ネタばらし、は、やめてよ。
あのドラマ、先が読めないのを、楽しみに見てるんだから。
「ネタばらしには、ならないわ。予告編でも、『ジャーン、私ね、赤ちゃんができたの』という沙耶さんの言葉は、入ってたし、瓦版にも、『戦慄のエコー写真!』って、書いてあった」
ああ、ネタばらしの罪は着せないけど、沙耶さん以下って、どういうこと?
「太郎さんには、分かってる? 沙耶さんがやったのは、できちゃった結婚という、本当に、しょうもない、理由とも言えないような理由で、和ちゃんを自分のものにしようとしたという、最低の女のやったことなの。でも、太郎さんは、携帯が壊れそうで、iPhoneが、欲しいから、なんていう、全然女の人にプロポーズする理由になっていないような、どうでもいい理由で、私に、プロポーズしたのよ。これが、どれだけ、最低なことか、分かってる?」
なんか、お互い、ちょっと行き違いがあるみたいね。
「行き違い? 何が?」
そもそも、私、これを、プロポーズにするつもり、なかったし。
「へぇっ、?」
そもそも、できちゃった結婚みたいな手段使わなくて良いし、だいたい、私、男の人だから、どうやったら、そんなジャックを引けるの?」
「プロポーズじゃないって、『だから、結婚すれば良いじゃない』という言葉は、どうして出てくるのよ」
だから、本来、麻友さんは、『ひとつ何か、無理を聞いてあげる』って言っただけだし、私は、『(麻友さんのスマホが)どういう契約になってるのかなあって、気になってるんだ』と言っただけなんだよ。
「だめよ。だまされない。太郎さんは、今晩、『戦慄のエコー写真!』なんてのが、出てくるのも分かってて、私をはめたのよ。本当は、太郎さんが画策してるのは、なんとか私と結婚しちゃって、夫婦で割引になるスマホのプランに入っちゃおうというずるいことなのよ」
ばれたかー。今日の投稿、最初から、『そんなしょうもない理由で?』という題で書き始めていたんだ。
麻友さんに、
『私達、そんなしょうもない理由で、結婚するの? でも、そんなことでも、理由にしなきゃ、私達、結婚できないか~』
と、諦めさせるのを、目標にしてたんだ。
「泥はいたわね。それで、昨日のミュージカルは、どうだったのよ?」
私、麻友さんに、嫌われそう。
「とっくに、嫌われてるわ」
正直言うとね、顔だけでは、どの女の人が、麻友さんなのか、分からなかったんだ。
「じゃあ、何で分かったの?」
声だよ、声。
「そんなに、目が悪いの?」
いや、前から2列目で、中央だったから、演じてる人の顔は、見えたよ。
でも、小休憩が入るまでのところで、麻友さんだと自信を持って特定できた人は、ほとんどいなかったんだ。
小休憩の後、麻友さんが歌ったところは、
『ああ、あれ、麻友さんだ』
と、すぐ分かったんだけどね。
「太郎さん。女の人は、お化粧で、ものすごく変わるのだと、やっと、学んだわね。これが、私からの、最後のプレゼントよ。誰かと幸せになってね。バイバイ」
コツコツコッコッ…。
「たまには、こんな、別れ方も、してみたかったわ」
現在2018年9月22日20時05分である。おしまい。