現在2018年12月1日12時29分である。
「『細胞の分子生物学』始めたわね」
これを、読まないと、私達の目標の一方が、達成できない。
「本気なのね」
麻友さんも、明日、本気で来て欲しい。
「まあ、待ってて。駅に着く時間は、ファンクラブからの、バースデーメールで、伝えるわ」
よろしく。
「じゃあ、まえがきから?」
やっぱり、本気で読むなら、まえがきから読んだ方がいい。
「スキャンしたの?」
そんな、不勉強なことは、しない。絵や図は、スキャンして、取り込むけど、本文は、全部、タイプする。
「分かったわ。始めて」
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まえがき
本書の前の版が出版されてから500万報以上の科学論文が発表された。並行して電子化された情報の量も増加している。そして今,ゲノム配列の新しいデータ,核酸やタンパク質の相互作用,分子構造,遺伝子発現などはすべて膨大なデータベースに保管されている。科学者と教科書の著者の両方が挑戦しなければならない課題は,この圧倒的な量の情報を細胞の働きについての最新の入手可能な理解(解釈)へと変換することである。
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これが、第一段落だ。
「私、出だしから、落ちこぼれそう」
難しい、専門用語が、バンバン出て来るからね。私も、大学1回生のとき、生物取ってなかったし、大学受験も、生物選択しなかったから、ほとんど、何も、分からなかった。ただ、好きになった女の人が、これに夢中になっているのだから、面白いに違いないと思って、どんどん読んで行った。
上の一文で、『500万報以上の科学論文』とあるけど、多分、『500万報以上の生命科学論文』の意味で、書いているのだろう、と思う。
『ゲノム』という言葉が、私が最初につまずいた言葉だったのだけど、『ゲノム』と出てくるたびに、『全遺伝子』と読み替えていくと、結構上手く行く。
「全遺伝子って?」
後で、勉強するけど、『DNAの一揃い』だと、思って良い。
これは、分子生物学の根幹にある考え方だから、後で丁寧に、説明があるよ。
「核酸やタンパク質というものも、出てくるの?」
ずっと、出続ける。
まあ、今は、予告編だけだな。
次の段落に、進むよ。
「分かった」
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なまの素材を消化しやすくするよう試みた総説論文の数の大幅な増加は,まだ焦点を当てる範囲がかなり限られているとはいえ,助けになった。その一方で,急速に増加するオンラインの資源は,理解はマウスを何回かクリックした先にあるとわれわれに確信させてくれた。例えば,われわれ自身の医学的問題に関する最新情報を見つけるなど,いくつかの分野ではこの知識へのアクセス方法の変化は大きな成功を収めている。しかし生きている細胞がどのように働いているかという精巧で複雑な問題を理解するためには、wiki 何とかなどのネットで調べる以上のことが必要である。つまり,混沌としたゴミの山から価値ある不朽の宝石を見つけ出すのは極めて困難である。読者が自身で細胞生物学の記憶できる概念的な枠組みを組み立てることができるように,より効果的なのは,重要な概念,成分,および実験を介して論理的かつ漸進的に導く注意深く書かれた解説である。枠組みは彼らが新しい科学すべてを批判的に評価できるようにし,さらに重要なことにそれを理解できるようにする。それがわれわれが細胞の分子生物学で試みていることである。
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「何を聞いてもいいのよね」
もちろんだよ。
「『漸進的』って、なんて読むの?」
それは、『ぜんしんてき』だね。高校の数学で、双曲線の『漸近線(ぜんきんせん)』というものを、習わなかったかな?
「えっ、これって、数学の話?」
いや、ここでは、数学とは関係なく、使われている。
ただ、『漸』という漢字は、『ゆっくりと進む』とか、『ゆっくりと近付く』というように、『ゆっくりと』という意味を持ってるんだ。
「ネットには、限界があるから、自分達の本を読め、と言ってるのね。最後の、
『それがわれわれが細胞の分子生物学で試みていることである。』
というの、
『それがわれわれが『細胞の分子生物学』で試みていることである。』
なんじゃない?」
ああ、ちゃんと、読めてるね。その通り、これは、本の題名だから、二重カギ括弧で、くくらなきゃいけない。
この本の、誤植第1号だ。
「えっ、原書、チェックしなくて良いの?」
チェックしたよ。
「原書も買ったの?」
いや、アマゾンで、『なか見!検索』というので、まえがきだけ、表示させたんだ。
「上手いこと考えたわね」
もうちょっと、進めようか。
「いいわよ」
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この新しい版を準備するにあたり,いくつかの難しい決断をせまられた。胸躍る新しい発見を組み入れると同時に本を持ち運びできるサイズに保つために,多くの箇所を削らなければならなかった。新しいRNAの機能,幹細胞生物学の進歩,タンパク質と遺伝子および細胞のイメージングの新しい研究方法,遺伝学とがんの治療法の進歩,発生におけるタイミング,成長の制御,および形態形成などについては新しい節を加えた。
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「ちょっと、待って。この本って、持ち運べないほど、大きいの?」
この前、『寂しかったね』という投稿に張った、『細胞の分子生物学とアーベル多様体』というYouーTubeの動画で見せたように、ほぼA4サイズで、本文だけで、1342ページあるんだ。
「そんな本、読み通せるの?」
不可能ではない、と思ってる。
「太郎さんが、公開で読もうとしてるのは、なぜ?」
麻友さんに、私が、あの医学機器を、実際に作っていくところを、見ていて欲しいんだよ。
「私が、見ていなければならないの?」
今回入院してたとき、今24歳だという、看護婦さんがいて、
「まゆゆは、同世代なんです」
と言われた。
その看護婦さんに、
『プロジェクトXって、知ってますか?』
と聞いたら、
『小学校の道徳の時間に見ました』
という応えが返ってきて、びっくりした。
麻友さんも、学校で、見たのでは、ないだろうか?
「ああ、いくつか、見た記憶がある」
じゃあ、分かると思うんだけれどもね、あの話のほとんどが、男達のプロジェクトで、内助の功はあったかも知れないけど、あの男の人達の奥さん達は、ご主人が、何を頑張っているのか、ほとんど知らないでいるんだよ。
あの、
『プロジェクトX』
が、できたから、やっとご主人が何をやってたか、分かったというような、奥さんが、いっぱいいたでしょ?
「それは、そうだったかも、知れないけど、仕事に口を挟まれたら、ご主人達も、困ったんじゃない?」
それは、古い考えだよ。
これからは、
『女の人には、仕事を任せられない』
じゃなく、
『女の人も、対等に、仕事ができる』
と、考え方を、変えなきゃ。
「太郎さんは、仕事をしていく上で、楽しいことも、大変なことも、一緒に味わっていこうというわけね」
そうだよ。
「でも、私、心配なのよ。分子生物学の話になると、必ず分子生物学の女の人の、話題が出る。太郎さんを振って、サンフランシスコへ行ってしまった、と聞いてるけど、本当に、太郎さんを振る気だったのかしら?」
それに関しては、麻友さんに出会うまで、ずっと悩んできた。
ただ1回、レストランで、デートしたとき、
『生命とは、どういうものと思ってますか?』
と、質問したとき、
『脳のことは、まだほとんど分かってないのよ。今から、20年くらいして、もう一度、同じ事、聞いてみてくれません? 違うこと答えるかも知れませんよ』
という応えが、返ってきたのだった。
「太郎さん、その時点で、彼氏にはしてあげませんよ、と、宣言されてるんじゃない」
これくらいのことで、諦める私ではなかったのだが、結局、分子生物学の女の人は、私を拒否したまま、今日に至っている。
「でも、私が、もの凄く、太郎さんを好きになった後で、分子生物学の女の人が、戻ってきて、
『私、まだ、結婚してないの。医学のために、献身するために、松田君を、振るしか、なかったのよ。ずっと、松田君の病状が、良くなるのを、待っていたのよ。女優なんて、頭の空っぽの女の人より、私と結婚した方がいいはずよ』
と、言ってきたら、太郎さん、そっちへ、行ってしまわない?」
まだ、麻友さん、そんな心配しているのかなあ。
分子生物学の女の人は、人として、してはならないことを、したんだよ。
「大げさに。何をしたというの?」
分子生物学の女の人は、医者だったんだよ。仮に、私を好きだったのなら、例え、国から、奨学金をもらって、サンフランシスコへ、行っていたにせよ、恋人の私が、精神分裂病になったと聞いたら、どんなに乗り越えるのが困難な壁があろうとも、すぐにでも、飛行機で戻ってきて、
『今、なんとかしてあげるから』
と、最善の策を、講じてくれて、しかるべきだったんだ。
それを、しないでいて、今更、まだ結婚してないの、なんて言われても、そんな、誠意のない人とは、結婚したくないね。
「太郎さん。本気で、そう言ってるの?」
これは、私の、心の中で、ずっと続いていた、戦争なんだよ。
クロイツェルソナタの女の人と、分子生物学の女の人は、私が、気が狂うほど、好きになってしまった、人だった。
2014年までの、過去の記事を読むと、私は、未練たらたらだ。
この2人ほど、素敵な人には、もう会えないだろうと、思っていた。
もう、恋なんて、できないだろうと。
でも、違ったんだね。
麻友さんを知って、最初の投稿では、
『まゆゆ、いつか、会おうね。』
だった。
しかし、私の中で、ちょっとずつ、心が動いた。
翌日には、麻友さんの下敷きと、写真集を、買った。
知れば知るほど、魅力的な人柄が、見えてきた。
そして、これが、決定的なことなのだが、今まで、好きになった女の人では、色々なことが起こった後になって、そのことに気付き、後悔する、ということの連続だったのに、麻友さんとのことは、あらかじめこういうことが、起きそうだ、と気付き、それを見越して、行動が、取れる、というように、物事が、運ぶ。
地震になっても、私は生きてるよ、とツイートできたこと。幕張メッセでのチケットを、なくしたときも、直前には見つかるだろうと思っていたら、やっぱり見つかったこと。『First contact』のミート&グリートが、握手のためのものだ、と、あらかじめ気付けたこと。これは、抽選には外れたが、もし抽選で当たっていたら、麻友さんと何を話そうかな? と、気もそぞろになり、イヴェントを、楽しめなかっただろうから、かえって良かったと、思っていること。
「ミート&グリートのことは、恨んでない?」
まったく、恨んでない。恨んでたら1000点なんて、つけない。
「でも、11,580円分のCDなんて、何を売ったの?」
最初に、種明かししておくけど、11,580円の中で、6,000円は、DVDなんだ。
「何の?」
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- アーティスト:ヘイル(ロバート),ベーレンス(ヒルデガルト),コロ(ルネ),バイエルン国立歌劇場合唱団
- 発売日: 2005/09/14
- メディア: DVD
「これ、もの凄く高いものじゃない」
まあ、新品を、21,000円で、2回買ってる。
「どうして、2回?」
保谷にいたとき、1回買ってるんだ。
でも、4日に分けて、上演される、楽劇なんて、観る時間なかった。
父のお金を盗んだことを、謝った後、私が、まだお金を持ってるのではないかと疑われ、しばらくお金を渡してもらえなかった。そのとき、1回、売っている。
「2回目は?」
汲沢で、チラシ配りをしていたとき、なんとか、一度も観ずに売ってしまった、『ニーベルングの指輪』を観ようと思って、横浜のHMVで、買って、そのときは、本当に7日かけて、観た。
これだけ、長いものは、他にないが、他の人に、『ワルキューレ』というものは、こういうものが、最初なんだよ。と、見せるために、置いておこうと、思ってたんだ。
「ワルキューレって、音楽ユニットじゃないの?」
アハハ、今は、そっちの方が、有名か。元は、リヒャルト・ワーグナーなんだよ。
「21,000円が、6,000円になっちゃうのね」
ちゃんと、帯とか残しておいたから、高く売れたんだよ。
「それ以外に売った、CDは?」
ブルックナーの交響曲、ダブルゼロ、第0番、第1番から第9番まで、全11曲 ほとんど120円
第1番と第2番は、180円
第5番は、60円
第6番は、240円
五嶋みどり アンコール! 840円
村治佳織 アランフェス協奏曲 240円
の、17枚だよ。
5,580円でしょう。
「そうね。五嶋みどりさんのが、随分高いわね」
これは、ただのCDじゃないんだ。SACDなんだ。だから、高い。
「でも、これ見て、私には分かる。太郎さん、大切なCDは、1つも売ってない」
安心させるために、全部見せたんじゃない。
「うん。安心した」
どういうのが、大切なCDだと思う?
「まず、『英雄』よね。太郎さん、『英雄』のCD、たくさん持ってるのに、1枚も、売ってない」
そうだね。
「それから、前橋汀子さんのCD」
うん。
最近では、前橋汀子さんのCDでも、ベスト盤などは、弟のお嫁さんに、売らせてあげてるけど、前橋さんの曲は、一曲も減ってない。
絶対に、減らさせない。
「それから、諏訪内晶子さんのCD」
諏訪内さんも、ファンでなくなったから、あまり気に入ってないのは、弟のお嫁さんに、渡したけど、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番や、シベリウスのヴァイオリン協奏曲、バッハのヴァイオリン協奏曲集、などは、お気に入りなので、当分手放さない。
「後、私のCD」
そうだね。麻友さんに会いに行くのに、麻友さんのCD売ってたら、おしまいだね。
「太郎さんは、あのとき握手できなかったのを、本当に恨んでないのね」
1万円作ると言って、2日後には、ちゃんと用意した。
本当は、貯金があったら、ゆとりがあったところだけど、人生で、突発的に起こることは、予想が付かない。
もし、子供が誘拐されて、10億円要求されたら、麻友さんが、どんなに貯金してても、追いつかない。
そんなとき、麻友さんなら、どうするの?
「保険とか・・・」
警察にも、話せないのに、保険は下りない。
「あっ、そうか。でも、警察に連絡するのが、一番良くない?」
昔、グリコ森永事件というものが、あった。
警察は、犯人を取り逃がし、結局、身代金が支払われ、人質は、解放された。
お金を、準備できないと、人の命は、救えなかったんだよ。
額は、小さいけど、私は、約束のお金を、用意できた。
このことを、評価して欲しいな。
「もう、私、クロイツェルソナタの女の人や、分子生物学の女の人を、脅威と思わなくて、いいのね」
そのことを、この記事で、証明できたと思う。
「明日と明後日、心置きなく、しゃべれるわ」
楽しみにしているよ。
「じゃあ、おやすみ」
おやすみ。
現在2018年12月1日21時29分である。おしまい。