現在2019年5月20日17時49分である。
今日は、通院だったんだ。
「でも、入院なんてことに、ならなかったんだから、良かったわね」
あの、得体の知れない、オランザピン、
『やる気が出ない症状を、改善してくれるみたいですね』
と、聞いたら、
『でも、本当は、躁になっちゃってる人を、抑える薬なんです。松田さんの場合、それが、偶然良かったのかも、知れませんが』
ということだった。
「この間の、『やったよ、麻友さん!!』とか、興奮してたのは?」
ちゃんと、『麻友』ノート、56巻から、現在の60巻まで持って行って、58巻が4月29日から30日まで2日間、59巻が4月30日から5月1日まで2日間で、消費しているのを、見せた。
「先生は、なんて?」
『これは、この前、入院したとき、みたいですね。書きたいことが、あるのですか?』
と言うので、
『発見したといっても、みんなもう、他の人が、とっくにやってることなので、そんなに、価値はないのですが』
と、答える。
『頭に浮かんだことが、誇大妄想的に、なるということは、ない?』
と聞くので、
『まあ、麻友さんのことは、誇大妄想だと、周りの人には、思われてますけど』
と答えた。
もう、お互い、話すことも、尽きたな、みたいになって(こういうことは、精神科では、珍しいんだ。話さなければならないことが、山のようにある。というのが、いつものことなので)、沈黙が流れ、次回の通院を、6月17日と決めて、診察室を出てきた。
「太郎さんって、完全には、正常に戻ることは、できないのね」
「でも、白血病なら、精神は正常よ。だけど、統合失調症じゃ、太郎さんという人の、人格が、壊れるかも知れない。そんなことになったら、私、どうしていいか、分からない」
それは、麻友さん次第なんだよね。
「どういうこと?」
私を、好きになってくれて、私のそばに、いつも、いれば、私が突飛なように見えることを、しても、ああ、こういうことだな、と、察しが付くようになる。
「うーん。確かに今まで、4年間、ブログ読んできて、太郎さんのやりそうなことは、限られてるわね」
そう。そして、一番のウィークポイントは?
「女の人を好きになった場合ね」
そうだね。
ほら、麻友さんだって、分かるじゃないか。
「じゃあ、結婚をシミュレート、続けましょうか」
分かった。
麻友母「太郎さん。我が家を描くとき、『娘の夫になる人には、徹底的に飲ませろ』というのが、家訓になっておりまして、などとのっけから、家訓など持ち出しましたが、あのアイディアの源泉はどこにあったのですか?」
お母様まで、アイディアに拘るようになって下さって、嬉しい限りですが、あれは、前回の話に出てきた、父の紹介で入った会社の、社長の言葉です。
麻友母「あの、お風呂に入れて下さったり、電話させて下さった、社長さん?」
そうです。
まだ、3人いらした娘さんが、一人も結婚していなかった頃に、会社で皆で、ビールを飲んでいるとき、言った言葉なのです。『家訓』とまでは、言わなかったのですけど、マッカランを登場させるために、私が、アレンジしたのです。
麻友父「娘さんが、3人もいたのなら、太郎君を婿にしようという計画も、あったんじゃないのか?」
私は、社長に良くしてもらったのは、分かってましたが、そうなると、会社の社長を継ぐとか、そういうとんでもないことになりかねないので、引き揚げたのです。
麻友母「3人の娘さんは、もう結婚されたの?」
はい。
麻友父「社長の後継者は、決まったのかい?」
私、独特の見方をしておりまして、もう今年だと、後7年なんですが、その7年後には、お金というものを、稼がなければならない、という社会が、終わるんです。
麻友父「それで?」
だから、あの会社も、後7年だけ、仕事をしていれば、いいんです。
麻友母「太郎さんのブログに、ときどき登場する、仮説ですね」
はい。
以前は、今後30年以上、社長を務めるのだから、若い人を、選ばなければならない、と思っていたのですが、7年なら、若い必要がない。
麻友父「社長を、補佐している人でも、いるのか?」
秘書などのいる会社ではないので、めいめい、何でもできるようになってる会社なのですが、ナンバー2の人は、本当に、良くできた人です。
それに、あの仕事が、気に入っていると、本人の口から、聞いたことがあります。
麻友父「どうして、そんなことまで、君に話すんだ?」
こういう状況だったのです。
もう入社7年目くらいでした。
会社のそばに、第2工場と呼んでいた、新しい社屋を作りました。
2階建てで、重いものを、運べるように、エレヴェーターまで、設置しました。
作業しているところを、お客さんが見に来ることも、あるので、重なったときなどのために、2カ所あるのは、意味のあることでした。
私に、プロジェクトを、任せるということは、無理だということが、皆にも分かってたので、私は、その日その日で、仕事をもらってやることが、普通になっていました。
そこへ、ナンバー2の人が、硫酸だったか硝酸だったか忘れましたが、とにかくもの凄く強い酸を、塗布する機械の、酸を一様にかけるために、歯ブラシのように先が伸びている部品を、改造するという仕事を、受けてきました。
麻友母「王様が事業を始めると奴隷たちが仕事にありつける。ですね」
そうなんです。
その強い酸には、ステンレスっていっても、ただのステンレスじゃ、駄目なんです。
麻友父「そうだな。一般には、SUS304が、普通のステンレスだが、そういう耐食性を要求される場合、SUS316とかを、使わなければ、ならないな」
「えっ、何? サスって、なんなの?」
麻友父「ステンレスのことなんだ。知っている人は、少ないが、Stainless Used Steel の略。つまり、染みができない鋼かな。ただ、ステンレスにも色々あって、JISで、それぞれを、番号で呼んでるんだ。SUS304よりSUS303の方が、加工しやすいと、フライスで加工している人から、聞いたことがある」
麻友母「あなたから、そんな話を聞いたのは、初めてだわ」
麻友父「単身赴任も、長かったからな」
さて、そのSUS316の部品を取り付けるとき、汚れがあると、まずいわけなんですね。
麻友母「その洗浄の仕事が、太郎さんのところに、まわってきた?」
そういうわけです。
それで、暑いくらいの季節だったので、長靴を履いて、スポンジを持って、
『水商売やってきます』
なんて言って、外で、洗ってたんです。
「アハハ、太郎さんが、ホストクラブで?」
麻友母「どうりで、経験値高いわけですね」
麻友父「それで、最終的に、それが、できあがったんだな?」
はい。
私が洗浄した、歯ブラシみたいなのを、組み合わせて、できあがったんです。
第2工場の2階に、その機械が、6台だったか、8台だったか、並びました。
そのとき、そのナンバー2の人が、
『太郎君、これで、大丈夫かな?』
と言ったんです。
『大丈夫だと、思いますが』
と、答えるしかない。
数学の問題だったら、トリックがあっても飛び越せるかも知れないけど、技術的なことでは、分からない。
『この裏側見てごらん。穴が、貫通しちゃってる』
見てみると、明らかに、加工ミスだ。
『これ、どうする?』
と、言われても、分からないので、
『ちょっと、分かりませんが』
と、答えると、
『この1台だって、もの凄く、手間も、お金もかかってる。作り直すのは、最善の策ではない。これは、まず、明日、お客さんが来たとき、正直に見せよう。そして、他の5台だけ、取り敢えず納入して、この1台を修理する時間をもらおう』
『修理できるんですか?』
と、聞いてみる。
『大丈夫だ。この穴を、いったん完全にふさいでから、もう一度、上から穴を開ければ、この機械、ちゃんと使える』
確かに、言われてみれば、そんなことも、できるかも知れないと、私も、納得した。
麻友父「その後なんだな」
そうです。
その人が、
『銀行マンなどは、お金を右へやったり、左へやったりして、お金を稼いでる。でも、私は、こういう風に、ものを作ることで、お金を稼ぐのが、好きなんだ。だから、これからも、こうやって生きていくよ』
と言ったのです。
「太郎さんは、自分は、こう生きたいとか、言わなかったの?」
記憶は、ここで、ストップしてる。
多分、いつもと同じことを言ったから、記憶に残ってないんだと思う。
「いつもと、同じことって?」
あの頃は、まだ小学生の分かる物理学の本、特に一般相対性理論を、小学生に分からせる本を、書きたいと言ってた頃だから、それを、言ったんだと思う。
「その夢は、どうなったの?」
さすがに、小学生は、無理かも知れないけど、高校生くらいなら、もしかしたら読めるかも知れない、一般相対性理論のちゃんとした本が出版された。
「これね」

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麻友母「他の人が、書いちゃって、良かったのですか?」
私が、書きたかったのは、日本の物理学の水準を、上げるためだったのです。自分で書こうと思ってたのは、他の人が、書けないように、思えていたからです。
だから、他の人が、ちゃんと、日本の物理学の水準を高めてくれる本を、書いてくれたのなら、私は、大喜びです。
「甥御さんに、自分の本を、渡せなかったけど」
甥には、もの凄いものを、渡したんだよ。
甥が、前の晩(2019年2月16日)会ったとき、相対性理論のことを、知りたいみたいなことを、言ってた。
「だって、あの4年前、エイプリルフールに、太郎さんが、1000光年のリゲルに行ける、って、そそのかした、姪御さんと甥御さんですものね」
当時、3年生だった甥は、今年、中学に入ることになる(2月17日には、6年生だったが)。
6年生の終わりに、相対性理論の本を買ってもらった私と、ペースは、同じだ。
だが、私は、色々、考えたんだ。
「どの本を、渡そうかって?」
うん。
通俗書は、渡したくなかった。
初めに、浮かんだのは、私の物理の本で、一番ボロボロの、麻友さんも知ってる、『時空の物理学』
テイラー/ホイーラー『時空の物理学』(現代数学社)

- 作者: E.テイラー,J.ホイ-ラ-,曽我見郁夫
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「どうして、これがいいの?」
この本は、本文も第1章は、素晴らしい。第2章は、それほどではない。第3章は、お話。ここまでは、他の本でもある。この本の凄さは、巻末に付いている、104問の問題。
実は、この問題を、最後まで解くと、私が言った、1000光年のリゲルまで、生きている間に、行けるということを、計算で、確かめられる。しかも、後どういう課題を克服すべきかも分かる。
本当は、私が、書き込んだ、ボロボロの本を渡した方が、勉強し易かったかも、知れないが、あれは、今でも、私が使う。
それで、こういうときのために、予備で買ってある、新品を、あげることにした。
だが、これは、中学1年生に、難し過ぎる。
それで、これなら読めるかもと、

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も加えて2冊を、渡したんだ。
「反応は?」
読みふけってたよ。
「数学は、分かったのかしら?」
甥は、公文で、3年先のところまで進んで、表彰されてるくらいだから、そんなに、苦労しないかも知れない。
「先日の、『結弦に『ゼロから学ぶ相対性理論』あげちゃったな』というのは、『甥にあげちゃったな』だったのね」
良く分かったね。
「太郎さんと相対性理論は、切っても切れない関係ですからね」
相対性理論まで、進んだけど、磁石の話はできなかった。
「次回にまわしましょ」
麻友父「君の言っていた、ナンバー2の人というのは、会社のホームページで、取締役の人か?」
いや、そこに、名前のない人です。
なぜだか、私にも分かりません。
麻友母「迷宮入りということは、この世ではありますね」
じゃあ、シミュレート、ストップ。
「太郎さん。クルトガの渡し方は、慎重に考えさせてね」
そりゃー、4年も待ったんだもん。大丈夫だよ。
おやすみ。
「おやすみ」
現在2019年5月20日22時00分である。おしまい。