相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

相対論への招待(その21)

 現在2020年3月4日13時10分である。

麻友「今朝は、寝たの?」

私「うん。『8:15~11:23 昼寝』と、手帳にメモもある」

麻友「全部手帳に書いているの?」

私「全部ではないよ。でも、私に取って、何時に起きたかは、病気への影響が大きいから、メモするようにしてる。それに、そのときメモしないと、確実に忘れる」

若菜「じゃあ、今日起きたのは、何時だったのですか?」

私「『1:06 起きる』とある」

結弦「前回の投稿の、『2時02分である。再開する』というのと、一応かみ合うな。でも、1時6分から2時2分まで、何やってたんだろう?」

私「当然疑問だよな。でも、投稿自体を読んでみると、分かってくる。『ガラスの仮面』は、49巻まで、出版されている。いくら私でも、マヤの『なにかです・・・』という、『何かそういうものがある』というだけで、それを捉えられる天才ぶりが発揮された部分が、何巻だったかまで、覚えてはいない。狭い部屋だが、『ガラスの仮面』は、文献として使うので、棚に積んであるので、『紅天女』の巻のどこかだよな、と、記述を探したんだ。それに、1時間弱かかった」

若菜「えっ、お父さん。このブログ、そういう風に、文献でチェックしながら、書いているんですか?」

私「気になったら、チェックしてる」


麻友「本気さ加減は、分かった。『相対論への招待』始めて」

私「そうだな。スキャンした原稿の2枚目に進んで、

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の、1段目の図の説明を、始める。この図で、{t'}-軸は、麻友さんのパスで、傾きは、{t}-軸方向に1秒進んだとき、{v_1} 進むんだから、普通の、{x}-軸方向に{1} 進んだときに、{v_1} 上がるというのとは、違うよね」

麻友「あっ、そうか。独立変数と従属変数が、逆になってる。そうすると、傾きは、逆数になるのかしら。傾き、{\displaystyle v_1} でなく、{\displaystyle \frac{1}{v_1}} みたいに」

私「今の暴走で、何人落伍者が出たか。でも、結論は正しい」

麻友「太郎さんは、同時刻ラインを求めたがってた。だとすると、同時刻ラインの傾きを求めたかったのかしら。この1段目の図の、{t'}系での同時刻ラインと、矢印で書いてある線の」

私「そういうことだったんだ」

若菜「そんな使い道があるとは知らず、お母さんは、前回の『相対論への招待(その20)』で、その同時刻ライン上に、{(1,v_1)} という点があることを、計算して、お母さんにとっての秋葉原での同時刻ラインの傾きが、{v_1} だと求めてる」

私「1枚目の原稿も、持ってこよう」

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結弦「そうすると、等速度で動いている人は、光のパス(これは、傾き45度で、傾き {1})を、対称の軸として、自分のパスを、反対に写した線を、同時刻ラインと、思うのか」

私「これで、2枚目の原稿の1段目の図の説明は、終わり」

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若菜「分かった瞬間、スカッとします。でも、この先まだまだ、山脈があるんですよね」

私「こんなの序の口だよ。さて、2枚目の原稿の2段目の図に進む。重要なところだ」

麻友「『だが、単純に、{t=1} の座標上の点が、{t'=1} ではない』と、太郎さんが書いている。もしそうだったら、平和だった、とも、以前言っていた」

若菜「そうだとすると、静止系の座標の目盛りは、お母さんの系の斜めな座標系の目盛りと、同調してないんですか?」

私「等速度なら、比例関係はあるけど、静止系で、12時2分0秒の水平な同時刻ライン上に、麻友さんが到達したとき、麻友さんの時計は、12時2分0秒ではない」

結弦「そうすると、時間の遅れというのは、この座標の目盛りが、当たり前じゃないということに、尽きるんじゃないの?」

私「まさにその通りなんだよ。一般相対性理論に進んでも、座標が、こうしか張れないから、空間がゆがんでいるとしか、結論できない、というのが、相対性理論なんだ」

若菜「だから、お父さんは、同時刻ラインを引くのに、あんなに拘ったのですね」


私「そうだ。もう3枚目の原稿まで、進もうか。2枚目と3枚目の原稿では、時間が伸びる一方、長さが縮むというのも、組み込み始める」

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 読み取りづらい部分の補足

 1を往復したので、{t'}系で2秒経ったとき、{t}系で {\displaystyle \frac{2}{1-v_1^2}} 秒経ったというのとも違う。

 長さも縮んでいるので、やはり、加速させて縮む量を計算しなくてはならない。



結弦「長さが縮むって、どういうことなんだろう?」

私「まず、私が、長さが縮まなかったとして、計算を始める。2枚目の3段目の図だ」

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結弦「『また時間の尺度が違うので』と言って、計算してる」

私「麻友さんの乗っている電車が、静止しているとき、長さが {100(\mathrm{m})} だったとして、走っているときも、 {100(\mathrm{m})} と観測されるのか、確かめたい」

若菜「『観測されるのか』、というのは、静止している人に、{100(\mathrm{m})} と見えるか、ということですか?」

私「これは、微妙なんだ。あくまで、静止系の座標で、{100(\mathrm{m})} の部分を占めるかというだけで、静止系の観測者全員に、本当に {100(\mathrm{m})} に見えるかと尋ねるのとは、ちょっと違うんだ」

麻友「太郎さん。言葉を選んでしゃべっているのね。私も、ちょっと、相対性理論の本、覗いてみたけど、その長さが縮むということを、的確に表現している本は、ほとんどなかったわ」

私「私は、テイラー/ホイーラーの『時空の物理学』を、参考にしている」

テイラー/ホイーラー『時空の物理学』(現代数学社


結弦「それで、お父さんは、何を計算しているの?」

私「もし、長さが縮まないのなら、そのことを利用して、東大宮へ向かう麻友さんの系の時間を、静止系から測定できるのではないかと、思った。2枚目の原稿で、3段目の左側の図で、2本ある斜めの平行な直線の右側に、はっきり『{1}』と、書いてあるだろう。その2本の平行な直線の底にも、『{1}』と書いてある」

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結弦「そうだね。この 『{1}』は、電車の長さ?」

私「そうなんだよ。{100(\mathrm{m})} じゃ、計算しにくいから、{1} にしたんだよ」

結弦「同時刻ライン上にない点で、ペンライトを振った光が、反射してる。{x}-軸上で、反射してるみたいだけど」

私「よく、そこまで、読み取ったな。相対性理論が、成り立ってない、長さが縮まない世界での、仮想実験なんだ、この図は」

若菜「そう見るのだったら、この図、分かる。長さが1のところを、光が往復する。もしお母さんが、静止してたら、3段目の右の図のように、時間2だけ経ったときに、戻ってくるから、時間の遅れはない。でも、この左の図のようにお母さんが動いていたら、連立方程式を解いて、お母さんの方で、どれだけ時間がかかって、光が戻ってくるか、求めることができる」

麻友「また、連立方程式ね。もう慣れてきた」

結弦「点 {(1,0)} を通る、光のパスで、左から来るのは、

{t=x-1}

だ。

 それから、お母さんのパスが、今日最初にやったように、傾き {\displaystyle \frac{1}{v_1}} だから、

{\displaystyle t=\frac{1}{v_1}x}

となって、連立させると、

{\displaystyle \left\{ \begin{array}{2} \displaystyle t=x-1\\ \displaystyle t=\frac{1}{v_1}x \end{array} \right.}

となる」

麻友「太郎さんでも、こんなに丁寧に、式変形して、解くのね」

若菜「下の式を上の式に代入して、

{\displaystyle \frac{1}{v_1}x=x-1}

 両辺に {v_1} を掛け、{\displaystyle {v_1}} を左辺に移項し、{x} でくくると、

{v_1=(v_1-1)x}

となって、{\displaystyle x=\frac{v_1}{v_1-1}} と、{x} 座標が、求まる。第2式に、これを代入して、{\displaystyle t=\frac{1}{v_1-1}} と、{t} 座標も、求まる。それで、これで、何をしたかったんでしたっけ?」

私「取り敢えず、結果の {\displaystyle (x,t)=(\frac{v_1}{v_1-1},\frac{1}{v_1-1})} をきちんと見て、これが、麻友さんがペンライトを振ったと見られる、時空上の座標だと認識する」

若菜「あっ、そうなんだ。これが最初。でも、そうだとすると、今度は、戻ってきたときの座標を、計算しなければ、ならないですね」

私「そうだな」

結弦「これは、一気にやっちゃったほうが、いいんじゃないかな」


私「じゃあ、今度は、若菜。式を立てて。ヒントは、3枚目の原稿」

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若菜「戻ってくる光のパスは、点 {(1,0)} を通る傾き {-1} の直線だから、

{t=-x+1}

で、一方お母さんのパスは、行きと同じだから、

{\displaystyle t=\frac{1}{v_1}x}

となり、連立させて、

{\displaystyle \left\{ \begin{array}{2} \displaystyle t=-x+1\\ \displaystyle t=\frac{1}{v_1}x \end{array} \right.}

となります」

結弦「じゃあ、僕が解くよ。それにしても、前回とそっくりな式だな」

私「ちょっと、手品を使ってみようか」

結弦「手品?」

私「今、新しい変数 {T} を、{T=-t} と定義しよう。この {T}連立方程式を書くと、

{\displaystyle \left\{ \begin{array}{2} \displaystyle -T=-x+1\\ \displaystyle -T=\frac{1}{v_1}x \end{array} \right.}

だから、

{\displaystyle \left\{ \begin{array}{2} \displaystyle T=x-1\\ \displaystyle T=-\frac{1}{v_1}x \end{array} \right.}

となる。ここでマジック。第二の式の前に付いている、負号を、{v_1} の前へ持っていく。そうすると、

{\displaystyle \left\{ \begin{array}{2} \displaystyle T=x-1\\ \displaystyle T=\frac{1}{-v_1}x \end{array} \right.}

となる。この式を見て、何か思わないかい?」

結弦「前回の、

{\displaystyle \left\{ \begin{array}{2} \displaystyle t=x-1\\ \displaystyle t=\frac{1}{v_1}x \end{array} \right.}

と、{t}{T} になっていることと、{v_1} が、{-v_1} になっている以外、式の形が同じ」

結弦「そうだとすると、

{\displaystyle (x,T)=(\frac{(-v_1)}{(-v_1)-1},\frac{1}{(-v_1)-1})}

ということ?」

私「{T} を、{t} に、戻してね」

結弦「あっ、そうか、

{(x,t)=(\displaystyle \frac{v_1}{v_1+1},\frac{1}{v_1+1})}

か」

麻友「太郎さん。オリジナル原稿では、ちゃんと連立方程式、解いてるじゃない」

私「今、見てて、こうやったら速いなと、気付いたんだよ」

麻友「なるほどねー。後からマジックを思い付くこともあるんだ。それで、結局これで、何をしたかったんだっけ?」

私「{1} の長さの、(厳密には {100(\mathrm{m})} の長さの)電車が、動いていることによって長さが変わらないなら、その {1} の長さを光が往復するのに、何秒かかるか、を計算したいのだった」

麻友「そうだとすると、ペンライトを振ったのが、{\displaystyle (x,t)=(\frac{v_1}{v_1-1},\frac{1}{v_1-1})} で、戻ってきたのが、{\displaystyle (x,t)=(\frac{v_1}{v_1+1},\frac{1}{v_1+1})} だから、

{\displaystyle \frac{1}{v_1+1}-\frac{1}{v_1-1}}

が、求めたい時間だ。計算すると、

{\displaystyle \frac{1}{v_1+1}-\frac{1}{v_1-1}=\frac{v_1-1}{(v_1+1)(v_1-1)}-\frac{v_1+1}{(v_1-1)(v_1+1)}=\frac{v_1-1}{v_1^2-1}-\frac{v_1+1}{v_1^2-1}}

だから、

{\displaystyle \frac{v_1-1}{v_1^2-1}-\frac{v_1+1}{v_1^2-1}=\frac{(v_1-1)-(v_1+1)}{v_1^2-1}=\frac{-2}{v_1^2-1}=\frac{2}{1-v_1^2}}

となるわ。通分なんて、懐かしい。それで、静止系だと、2秒のはず。{v_1} は、以前、実際の速さを光速度で割った、

{\displaystyle \beta_1 =\frac{v_1}{c}}

だと言ってたから、{1} より小さいことを考えると、

{\displaystyle \frac{2}{1-v_1^2}}

は、2より大きい。つまり、電車に乗っている私が、{1}(厳密には、{100(\mathrm{m})} )を往復した時間だから、{2} 秒だと思っている時間を、静止している人は、{\displaystyle \frac{2}{1-v_1^2}} 秒だと見なす。私は、静止している人から見ると、{\displaystyle \frac{2}{1-v_1^2}} 秒、経ってるのに、{2} しか経っていないと思ってるのだから、ゆっくり時間が経っているというわけね。これが、相対性理論

私「これが、モーターボートのはなしのとき、方程式で、求まるじゃないと言った、麻友さんの意向に沿って、実際に計算して見せた結果だ」

麻友「実現したわね」

私「あのとき、『そんなに簡単だったら、『相対性理論は難しい』とは、言われない』と、話した」

麻友「どこが、まずいの?」

私「私達が、今日の計算で、電車の長さは変わらない、と仮定したのは、実は、正しくないんだ」

麻友「そういえば、時間の伸びと、長さの縮みと、言ってた。長さの縮みは、まだ、検討してなかった」

若菜「お2人、良いムードになっちゃって、取り敢えず今日は、ここまでにしません?」

結弦「実際にはまだ、キスもしてないんだからなあ。気を揉ませるよ」

麻友「じゃ、寝ることにしましょ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2020年3月4日18時41分である。おしまい。