相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

BBP公式に関して(その2)

 現在2020年3月11日14時56分である。

私「今日、3.11なんだね。Yahoo! JAPAN で、『3.11』と、検索したよ」

麻友「太郎さんは、阪神淡路大震災とか、ニューヨーク同時多発テロとか、色々見てきたでしょうけど、私に取って、東日本大震災は、2011年。もうすぐで17歳というときの大災害だった。AKB48 は、何度も被災地を訪れ、コンサート。10年桜の植樹もした。

『こんなことが、本当に起きるんだ。いつもの日常は、当たり前じゃないんだ』

と、初めて知ったときだった」

私「まあ、私に取っては、『いつもの日常は、当たり前じゃないんだ』と、思い知らされたのは、やっぱり、統合失調症を発病して、ほとんどすべてのものを、失ったときだったね。あれ以上のショックは、私の人生で、なかった。2度の大きな失恋より、遥かに大きな衝撃を受けたのは、確かだね」


麻友「と、思い出話に浸るのも良いけど、昨日の約束の証明」

私「そうだったね。BBP公式 の証明」

結弦「お父さんたら、お母さんとしゃべりだすと、数学忘れそうになるからな」

若菜「今日は、証明、見届けますよ」

私「昨日の回想から始めて、証明に切り込むよ」

π―πの計算アルキメデスから現代まで

π―πの計算アルキメデスから現代まで

という本の149ページから。


私「3人は、積分というものを知らないから、分からないところがあるのは、しょうが無いと、思って欲しい。始めるよ」


 定理 BBP公式

 次の式が成立する。

{\displaystyle \pi = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{16^n} \biggl(\frac{4}{8n+1}-\frac{2}{8n+4}-\frac{1}{8n+5}-\frac{1}{8n+6} \biggr)}


 証明

 本の証明では、いきなり積分を持ち出しているが、なるべく麻友さんたちの分かり易い話から始める。

 高校で、等比数列というものを、やらなかっただろうか? これの、一番簡単な例が、現れる。

{1+x^8+(x^8)^2+(x^8)^3+(x^8)^4+ \cdots }

という数列(正確には、級数)の和は、求められるだろうか?

麻友「知ってる。初項が、{a} だったら、{1} 引く公比分の {a} となる。この場合、初項が {1} だから、

{\displaystyle 1+x^8+(x^8)^2+(x^8)^3+(x^8)^4+ \cdots =\frac{1}{1-x^8}}

となる。ただし、公比の絶対値が、{1} 未満でなければ、いけない」

 完全に先生の前で、講義している感じだな。

若菜「そういう経験あるのですか?」

 私が、中学3年生のとき、1学期中間、1学期期末、2学期中間の数学のテストは、満点だった。先生の、お気に入りだった。あるとき、先生がプリントを配って、皆にやらせた後、黒板で、模範解答を、書いた。私は、もちろんその問題は、解けていた。先生が、綺麗に証明を書き終わって、私の方を見たとき、私は、

『合ってます』

と言った。

 それで、後に一緒に横浜翠嵐高校へ行くことになる、科学部天文班での親友が、

『えっ、どっちが、先生?』

と、慌てたほどだった。

結弦「2学期期末で、1個間違えるんだよね。どんな問題で、間違えたの?」

 式の展開か、因数分解で、ちょっと勘違いをしたようなんだよね。

若菜「学年末は、また満点?」

 一応、満点にしてくれたけど、本当は2カ所、

{(x+2)(x-2}

{(x^2+3x+4)(x-3}

みたいに、括弧閉じの括弧を、書き忘れていた。先生が、赤のマジックで、閉じ括弧を書いて、満点にしてくれた。

麻友「また、正直に。それで、上の級数が求まると、どうなるの?」

 麻友さんも、初項が、{1} でない場合について、言及しているように、次のようなことが、分かる。

{\displaystyle 1+x^8+(x^8)^2+(x^8)^3+(x^8)^4+ \cdots =\frac{1}{1-x^8}}


{\displaystyle x+x \cdot x^8+x(x^8)^2+x(x^8)^3+x(x^8)^4+ \cdots =\frac{x}{1-x^8}}


{\displaystyle x^2+x^2 \cdot x^8+x^2(x^8)^2+x^2(x^8)^3+x^2(x^8)^4+ \cdots =\frac{x^2}{1-x^8}}


{\displaystyle x^3+x^3 \cdot x^8+x^3(x^8)^2+x^3(x^8)^3+x^3(x^8)^4+ \cdots =\frac{x^3}{1-x^8}}


 一般に、{k=1,2,\cdots ,7} で、

{\displaystyle x^{k-1}+x^{k-1} \cdot x^8+x^{k-1}(x^8)^2+x^{k-1}(x^8)^3+x^{k-1}(x^8)^4+ \cdots =\frac{x^{k-1}}{1-x^8}}

が、成り立つ。

 これより、こういう書き方に慣れていないかも知れないが、

{\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty} x^{k-1+8n}=\sum_{n=0}^{\infty} x^{k-1} \cdot (x^8)^n = x^{k-1} ( 1+x^8+(x^8)^2+(x^8)^3+ \cdots) =\frac{x^{k-1}}{1-x^8}}

となる。

結弦「お父さんの、記号使うときのやり方、段々読めてきた。同じようなものを足すときとかに、このシグマの記号を使う。これに、慣れないことには、お父さんの説明は、分からないんだね」

 さて、いよいよ、積分が、登場するのだが、最初は、穏やかに、攻めてくる。

 麻友さん。微分というものは、どういうものだっけ?

麻友「微分? 例えば、{x^2}微分は、肩の数字が降りて、{2x} となるとか、太郎さんが2通りの方法で求めて、教えてくれた」

 じゃあさ、微分して、{2x} となるものは、求められるかな?

麻友「だって、{x^2}微分したら {2x} だと言ったんだから、{x^2} よ」

 まあ、そうなんだけどね。微分というのは、その瞬間の接線の傾きなんだよね。だから、関数 {x^2} に、定数 {C} を加えても、微分したら、{2x} になるんだよ。

麻友「じゃあ、{x^2+C}微分しても、{2x} になるということ? あっ、そうか、放物線が、上下するだけだから、各 {x} での傾きは、同じなんだ」

 そう素直に、誰でもが、納得できないだろうけど、この事実を、

{\displaystyle \int 2x dx=x^2+C}

と書く。読み方は、『インテグラル にー エックス ディーエックス イコール エックスのにじょう たす シー』だ。

麻友「とうとう、インテグラルを、使うときが来たか。『宇宙の年齢を求める』の頃からの、問題よね」

 そうだ。あれからもうすぐ5年になる。もう積分を、学び始めて、良いだろう。

麻友「『微分積分入門』の、連載は?」

 あの本で、丁寧にやるつもりだったが、自分の勉強を、学校が追い越すということもある。取り敢えず、付け刃で良いから、積分に慣れよう。

若菜「分かってますよ。このインテグラルの記号と、{dx} で挟まれた関数の次数を1だけ上げて、微分してその関数になる関数を見つけ、積分定数と呼ばれる、{C} を、付けることを、『積分する』と、言うのですよね」

 若菜、飲み込みが速い。『微分積分入門』を、少し読んだか?

若菜「お父さん。もたもたやってるから、もう130ページくらい、読みましたよ」

結弦「本当は、今日この後、出てくる、対数関数も、逆三角関数も、知ってるんだけどね」

麻友「知らないの、私だけ?」

 まあ、子供に追い越されるというのは、親にとって、嬉しいことではあるな。

 じゃあ、結弦。

{\displaystyle \int x^n dx=?}

は?

結弦「微分して、{x^n} となるのは、どうせ、{n+1} 次式で、微分すると肩の数が降りてくるから、このままだと、{(n+1)x^n} になっちゃう。だから、{n+1} で割って、{\displaystyle \frac{x^{n+1}}{n+1}} のはずだが、さっきの積分定数のことを、忘れてはいけない。最終的解答は、

{\displaystyle \int x^n dx= \displaystyle \frac{x^{n+1}}{n+1} +C}

だ」

 良く勉強できてるな。中学1年生で、それなら、『特殊相対論とは何か』書けるぞ。

麻友「それで、取り敢えず、これを、認めると、どうなるの?」

 いきなり、今の、不定積分を飲み込めた段階で、次のステップ、定積分を、突きつけるのは、酷なのだが、数学では、いきなりどんどん、進まなければならないことがある。

麻友「定積分って、もっと難しいの?」

 そんなに、もの凄いギャップじゃない。さっきの {x^2} の場合で、説明しよう。

{\displaystyle \int 2x dx =x^2 + C}

だった。これに、お約束の記号を付けるんだ。

麻友「お約束の記号?」

{\displaystyle \int_0^2 2x dx = \biggl[ x^2 + C \biggr]_0^2=2^2+C-0^2-C=2^2=4}

麻友「ひとつの数字になったということが、重要なの?」

 まあそうだね。きちんというと、{2x} を、{0} から {2} まで、積分するって、言うんだけど、{2x}不定積分した {x^2} に、まずインテグラルの上に付いている、{2} を代入し、次にこれから、インテグラルの下に付いている、{0} を代入したものを、引くんだ。

麻友「積分定数は?」

 同じ、{C} を足した後、引くから、結局ゼロになるので、積分定数は、考えなくていいんだ。

麻友「ちょっと、安心したわ」


 それでは、早速実践。

 本では、いきなり最初から、『これを示すために、次の積分を考える』となっていたが、やっとその積分を考えよう。

{\displaystyle \int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \frac{x^{k-1}}{1-x^8} dx~~(k=1,2,\cdots ,7)}

麻友「これー、あっでも、さっきの等比級数で、表せる。さっきのは、等比級数の和を求めたのではなく、積分を、等比級数で表すためだった?」

 実は、その通り。

{\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty} x^{k-1+8n}=\sum_{n=0}^{\infty} x^{k-1} \cdot (x^8)^n = x^{k-1} ( 1+x^8+(x^8)^2+(x^8)^3+ \cdots) =\frac{x^{k-1}}{1-x^8}}

だったから、

{\displaystyle \int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \frac{x^{k-1}}{1-x^8} dx =\int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}}  x^{k-1} ( 1+x^8+(x^8)^2+ \cdots) dx =\int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \sum_{n=0}^{\infty} x^{k-1+8n} dx}

とできる。

結弦「等しいと分かっている関数が、両辺にあるとき、両辺にインテグラルを付けて、積分して良いのかどうか、お父さんの見解を聞きたいものだな」

 この本か。

中井晶也(なかい あきや)『両辺にインテグラルつけちゃっていいの?高校では教えないが、大学でも教えてくれない微積の読み方』(東京図書出版)

若菜「あっ、お父さん知ってた」

結弦「かなわないなあ、この本も読んだの?」

 読んでないよ。そういう本が出版されていることは、知ってたけど、私の読んだ、『微分積分入門』では、そういう落し穴に落ちやすいところを、上手に橋渡ししてくれた。

結弦「こういう、落し穴に関して、お父さんは、どういう意見なの?」

 数学では、まず答えを出せてなんぼのもの。そして、答えが分かってしまうと、案外厳密な証明も書けたりする。微分形式という捉え方に慣れるまでに、苦労したけど、放送大学卒業論文案『物理学におけるd』(卒業論文第8稿)で、はっきりさせたから、もうこれ以上調べる必要はない。

結弦「論文まで、書いてるのか」

 アクセプトは、されてないから、信用できるかどうか、気をつけてね。

麻友「そうか、両辺に、インテグラル付けて、積分していいって、明らかではないわね」

 まあ、よっぽど仕組まれた問題でない限り、両辺積分していいというのは、数学者の間で、常識だが、物理学の熱力学では、さらにややこしい問題も出て来る。

麻友「熱力学で? 覚えておきましょう」

と、ここまで、証明してきたけど、流石に疲れた。今日、図書館へ行ってきて、まだこの本は、手許にある。明日にも、証明の続きは、書ける。今日は、ここまでの6,000文字で、許してもらえないか?

麻友「確かに、14時頃から、21時まで、7時間近く。夕食も食べてない。いいわよ、許してあげる。ちゃんと、夕食食べてよ」

 昼食のために炊いた、1.5合のご飯と、キムチがあるんだ。

麻友「それだけ?」

 Mathematica のための、貯金もあるからね。

麻友「体力が落ちると、免疫も下がって、新型コロナウイルスを、倒せなくなるわよ。気をつけてね」

 明日の1時から6時まで、W3M∞の、システムメンテナンスだったね。どうなるか楽しみだよ。

麻友「じゃあ、おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

 証明は、明日には完成すると思う。おやすみ。

 現在2020年3月11日21時17分である。おしまい。