現在2020年3月22日20時23分である。
麻友「歯医者さんの方は、なんとかなりそうなのね」
私「母も、『太郎が、入れ歯の付けたり取ったり、消毒したりなんて、できるはずないから、ブリッジに、しなさい』と、言ったので、すんなり2万円、出してもらえることになった」
麻友「良かったわね。太郎さんのお父様が、お金を稼いでくれているからよ」
私「その、働くという事に関して、今日、ひとつ気付きがあったんだ」
麻友「どんなこと?」
私「京都大学に入学して1年目のNF(ノベンバーフェスティバル、要するに文化祭)で、『貴女(あなた)が、研究者になるとき』というミーティングに、参加した話は、前にしたよね」
麻友「そうだっけ?」
私「後で、思い出すだろうけど、そのとき、『私は、母に働かないでもらって、そんな育てられ方をしたから、こんなマザコンみたいな人間になってしまったのかも知れませんけど、今後、研究者の道へ進むと、お給料は少ないですよね。結婚しても、嫌でも、共働きしなければ、子供は育てられませんよね。研究者の道では、仕方ないのでしょうか?』と、かなり厳しい発言をした」
麻友「誰か、応えてくれた人いた?」
私「ある意味、パネリストというのかな、素粒子論では、名前を知られていた、坂東昌子(ばんどう まさこ)さんという立派な人が、『それは、私も、子供が小さいときは、後ろ髪を引かれる思いでしたよ』と、言ってくれたんだ」
麻友「それで、太郎さんは、何が言いたいの?」
私「もちろん、キャリアとか、ポストとか、色んな問題があるのは、分かるけど、女の人に取って、子供が小さいとき働くというのは、やっぱり『子供より、仕事を、選んだ』と、言われても、仕方ないんだな、と、今日はっきり感じたんだ」
麻友「そんなこと言うけど、太郎さんと私が、一緒になったら、働けるのは、私だけじゃない。どうすんのよ」
私「ほぼ30年前(1991年11月)に、投げかけた疑問を、麻友さんと一緒に、考えたいと思うんだよ。そんなに働く必要があるのか?、子供以上に魅力を感じる仕事なのか?、10年後では駄目なのか?、とね」
麻友「確かに、そんなとんでもない、だけど、女性にとって重要な問題に、真面目に付き合ってくれるのは、太郎さんくらいのものね」
私「本当は、『相対論への招待』やるつもりだったんだけど、ちょっと、凝っちゃった脳を、休ませて」
麻友「まあ、昨日、頑張ったから、許してあげる。でも、『子供以上に魅力を感じる仕事なのか?』というのは、社会のあり方とも関係しているし、重たい問題ね。でも、そういうとき、太郎さんは余り、お母様が自分を選んでくれたと、大げさには言わないのね」
私「母は、『お前のために、働けなかった』とは、一度も言ったことがないんだ。だから、私も、あまり恩に着てなくて、でも、事あるごとに、ありがたかったな、と思っている」
麻友「ものすっごく幸せに育ったのですものね。太郎さんと一緒になるのは、こういう楽しみもあると、カウントしておくわ」
私「じゃあ、おやすみ」
麻友「おやすみ」
現在2020年3月22日21時46分である。おしまい。