相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

相対論への招待(その30)

 現在3月23日14時47分である。

麻友「あらっ、マックで、書いているの?」

私「なんとか、麻友さんのお誕生日に、間に合わせようと、私も、必死なんだ」

若菜「いつも、見ていて、びっくりしているんですけど、お父さん、この連載書くとき、ほとんど、文献、見てないですよね。自分で、全部頭に入っているんですか」

私「全部ではないけど、ローレンツ変換くらいは、頭に入ってないと、特殊相対論の先の、一般相対論なんて、勉強も、研究も、できないからね」

結弦「だべってると、始まらないから、本気モードに入ってよ」


私「分かった。スキャン原稿の4枚目と、5枚目を、軽く復習しよう」


 ここまでで、マックでの試みは、終わった。スマホでは、コピペが、上手く行かなかったのである。


 現在2020年3月23日20時14分である。再開。

麻友「本当は、私と、再会したいでしょ」

私「麻友さんも、再会したければ、鶴見の町でも、散策にくれば?」

結弦「進めなきゃ、駄目だよ」


私「はいはい。4枚目と、5枚目の、スキャン原稿」


 {t'}系と{t''}系は、{A}{B}の点で、{t}系から見て、同じ速度。{t'}系,{t''}系から見て、{A}{B}は、同時刻。

 コノライン上の点は、加速系で同時刻。

 最初からそのときまで、ずっと同時刻。

 相対論では、同時刻ラインは傾くので、

などとはならない。

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双曲線の一般型{\displaystyle \frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2} =1}

Aを通る双曲線{\displaystyle \frac{x^2}{b^2}-\frac{y^2}{b^2} =1}

Bを通る双曲線{\displaystyle \frac{x^2}{(a+b)^2}-\frac{y^2}{(a+b)^2} =1}

 直線{y=vx}上の点は、同時刻になっている。

{\left\{ \begin{array}{2} \displaystyle \frac{x^2}{b^2}-\frac{y^2}{b^2} =1\\ y=vx \end{array} \right.}

連立方程式から、同時刻な点は、

{\displaystyle (x,y)=(\frac{b}{\sqrt{1-v^2}},\frac{bv}{\sqrt{1-v^2}})}

である。

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若菜「もう、ほとんど、吸収しましたね。速さが、{v} で表されていますが、これを、{\beta} に直さないのには、理由があるのですか?」

私「理由があるんだ。実は、特殊相対性理論(当時は、『動いている物体の電気力学』という題の論文だったから、まだ命名されてなかったんだけど)のアインシュタイン自身の論文で、アインシュタインは、

{\displaystyle \beta =\frac{1}{\sqrt{1-(v/c)^2}}}

と、置いてしまっているんだ。気になるなら、原論文の日本語訳、

アインシュタイン相対性理論』(岩波文庫

相対性理論 (岩波文庫)

相対性理論 (岩波文庫)

を、見てみるといい、30ページである」

若菜「わあ、お父さんが、文献、参照してる。ページ番号まで、覚えてるはずないものね」

私「じゃあ、この{\beta} に関して、面白い話をしてあげる。あれは、3回生の春だな、私が、新入生の優秀な子を連れて、上野さんのゼミに出た頃だからな。『相対論的量子力学2』という、見るからに難しそうな授業に出た。先生は、後で知ったが、後にノーベル物理学賞を、受けた、益川敏英(ますかわ としひで)さんだった」

結弦「授業は、勝手に、どれに出てもいいの?」

私「6人とかの、ゼミでは、あらかじめ言わないとならないけど、授業は、出ていけない、などということはない」

結弦「それで?」

私「先生は、当然素粒子論の、話を、していた。素粒子論では、{c=\hbar=1} と置くのは、常識である。麻友さんたちは、知らなくてもいい。さて、先生が、ダーッと、計算してきて、答えが出たとき、その式について、余興をやったんだ」

麻友「物理に、余興なんて、できるの?」

私「先生が、こう言いながら、絵を書いたんだよ。

アインシュタインがね、晩年こんなことを、考えていたという、風刺画があるんだ。黒板に、


{F=ma}

{m=m_0 \beta}

{E=m c^2}

{~~~~\cdot}

{~~~~\cdot}

{~~~~\cdot}


と、書きながら、次に『{d} とかいう式が、作れないかなあ?』って、悩んでいるっていう話でね』

当然、みんな笑って、面白かったんだけど、麻友さんたち、何が面白いか、分からないだろ」

結弦「ジョークだってのは、分かるけど、{E=m c^2} 以外、分からないからなあ」

私「まず、エフ イコール エムエーが、分からなくちゃ、どうしようも、ないよな。これは、ニュートン運動方程式というもので、相対性理論が、ひとまず終わったら、『川勝先生の物理授業』か何かで、説明する。ところで、2番目の {m=m_0 \beta} が、今回この話をした理由なんだよ」

麻友「あっ、それ、『力学』のブログで、近似使って、

{\displaystyle m=m_0 \beta = \frac{m_0}{\sqrt{1-(v/c)^2}} \approx m_0\biggl( 1+\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \biggr)}

と、したものね。確かに {\beta} には、二通り以上の使われ方があるのね」

私「実は、この益川さんの話には、落ちがあるんだ」

麻友「まあ、どんな?」

私「先生が、笑いを取った後、次の式を書き始めた。だが、式がちょっと変なことに、学生が気付いた。学生の質問に、先生が、『えっとー』と言って、直前の式を見ていると、『光速度 {c} が現れていますね』と、ひとりの学生。もうひとりの学生に、『光速度は、{1} だったんじゃ、なかったんですか』と言われて、先生が、『このジョークを言おうと思ってたから、{c=1} と、置いたの、忘れちゃったんだ』と言ったので、もう一回、笑いが起こったのでした。という話を、麻友さんたちに、話してあげたかったんだ」

若菜「理学部なんて、まじめくさって、授業だけやってるのかと、思っていましたけど、そんなに楽しいところだったのですね」

結弦「脱線したから、余り進まなかったな。明日、頑張ってね」

私「じゃあ、解散」


麻友「あと、1日よ。なんとか、できる?」

私「26日までだから、実際は3日ある。必ず、完成させるよ」

麻友「じゃあ、おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2020年3月23日22時32分である。おしまい。