現在2020年6月29日16時43分である。
麻友「もう6月末。今年が、半分終わるのね」
私「この記事で、今年に入って、104個、投稿したことになる。もし年末まで、このペースを維持したら、ブログ始まって以来初の、年間200記事突破になる」
若菜「『問題9,10』から、しばらく、私達、登場させてもらえませんでしたね」
結弦「人類史上最高の曲の、デートして、良いことして」
麻友「あなたたちも、成長すれば、分かるわよ。生き甲斐って、なかなか手に入るものじゃないのよ」
私「『朝、起きたとき、『今日は、どんなことが、待っているだろう』と、期待に胸を膨らませながら起きられるのは、子供の特権だ』と、ある作家が書いていた。それは、本当だと、私も思う。『来年、地下鉄(新玉川線)が、開通する』と聞いて、待ちきれなくてたまらなかった、あの日々のようなことは、48歳の今の私には、ない。麻友さんのコンサートや、ファンクラブイヴェントのチケットを買っても、非常に苦労して買ったにも関わらず、待ちきれないなんてことは、なかった」
麻友「太郎さんでも、そうなの。私を、愛していると、言ってても」
私「麻友さんだって、分かると思うな。『感情をなくした』なんていう経験してるんだもの」
若菜「お母さん、そうなんですか?」
麻友「うん。本当はそうなの。何かに本当に、喜んだり、悲しんだり、なんてしていられなかったのよ。でも、芸能界を引退して、もう誰と付き合っても良い。好き勝手できる。ただ、ファンの人達を、平気で切り捨てることは、やっぱりできない。みんな、人間なんだものね」
結弦「そこまで、完璧なアイドルを、演じなくても」
麻友「いや、演じなければならないのよ」
結弦「どうして?」
麻友「完璧なアイドルを、演じるのをやめて、ファンを冷たくあしらったら、太郎さんに捨てられるわ」
私「芥川龍之介の、『杜子春(とししゅん)』みたいだね。まあ、お互い牽制し合って、まだ、目を見交わすことすら、できてないのは、残念ではあるね」
若菜「お母さんにとって、お父さんとのデートは、ブログ上のヴァーチャルデートだけですものね」
私「分かった。テキスト p.5, l.2 から、始めようと思ったけど、前回のことを、ほとんど忘れているだろうから、持ってこよう」
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いくら紙の上に正確な円を描いたって,この二つのものの関係はじつは決してわからないのである.
研究者注
この二つとは、円の面積と、円周の長さ、の関係のことである.
注終わり
これこそ波立たぬ水面に石を投じて,徐々に,微妙に広がりゆく波紋をじっと見つめ,しだいに増大する円の変化を動的に捕える,つぎのような操作によってしか解き明かし得ない秘密なのである.
あらためて半径 の円を描いてみよう.ただし,この円は静止した円ではなくて,波紋のように,瞬間瞬間にその半径が増大して絶えず広がってゆく変化する円であると考える.ある瞬間の円の半径が
であって,そのときの円の面積が
であったと仮定しよう.しかし瞬間の後には半径は微妙に増大する.その増しただけの量を
(デルタ・アールと読む)
としてこれを の増分と呼ぼう。
注
増分はいつもプラスとは限らない.減ってゆく場合でも減分とはいわずにやはり増分という.そのときの値はマイナスになる.
注終わり
この場合,記号 は“微少な変化の量”であることを暗黙のうちに示している.そうすると,そのときの円(大きくなった円)の面積は,第1図によってわかるように
(半径が
だけ増したときの円の面積)
である。
このとき,面積はどれほど増したか,つまりはじめの円(半径 )の面積を
とすると,増しただけの量すなわち面積の増分
は
(大きい円の面積)-(小さい円の面積)
となってくる(このことはなんでもないようなことであるが,きわめて重要な意味を含んでいるから,第1図とにらみ合わせて,じゅうぶんなっとくしていただきたい).
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私「とりあえず、ここで切ろう」
若菜「微分のときって、いっつも、 が、出てくるんですね」
結弦「『微少な変化の量』って、何だ?」
私「これ以上大きくすると、議論が破綻する、という大きさが、あった場合には、もっと少ない量でのみ、続行して考えていて良いように、小さいときだけで成り立つ結果を出そうとしていますという、宣言なんだ。この後読んで行くと分かってくる」
麻友「じゃあ、続けて」
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さて,この右辺はもっと簡単になって
となるが,ここで両辺を で割ってみる.つまり,面積の微少な増し
と半径の微少な増し
との比を考えることにすると
となることがうなずけよう.
さらに1歩を進めて,半径の微妙な増し が,あるかないかほど小さいとき,すなわち
の値が,限りなく
に迫り近づくとき,記号で書けば
〔デルタ・アールが に限りなく近づく,とか
に収束(しゅうそく)する,というふうに読む〕
このとき,上式の左辺の は分数の分母であるから,これをむやみと
そのものに見なすわけにはいかないが,右辺の
はそれ自身の単独の値であるから,これを
と見なしうると,弾力性ある,動的な考え方をすると
(
のとき) (1)
この式の右辺は,いったい何を表わしているだろう.それは第1図に戻って,この図を直視することにより(小円と大円のちょうど中間にあるのが点線で示した円)
(点線の円の周の長さ)
とは考えられないだろうか(厳密に証明もできるが).
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麻友「ちょっと、ストップ。どうして、点線の円の周の長さなのよ」
私「ああ、引っ掛かったか。確かに初心者だものな。
という式が、あっただろう。これは
と書ける。最右辺は、半径 の円の周の長さかける
だ。
だから、小円と大円の面積の差、つまり、ふちのところの幅 の一周は、ねじ曲げて直線にすると、(幅
) で、長さが、(半径
の円周の長さ)の長方形になる。
は、点線の円周の半径であるのは、図を見て分かることだ。だから、この比が、点線の円周の長さであるのは、納得できるのではないだろうか」
麻友「ねじ曲げたりして、面積は変わらないの?」
私「今は、半信半疑でいい。この本は、丁寧に説明してくれる」
若菜「 というのは、デルタ・アールが
に限りなく近付く、とか
に収束する、とか、お父さんも、いつもそう読んでいるんですか?」
私「これは、はいと、答えられる。私は、
というのは、『 がゼロに収束するとき、
は、
に収束する』と、読んでいる。急ぐときは、『
がゼロに行くとき、
は、
に行く』と読むこともあるけどね」
結弦「そういう、本音を聞きたいんだよね」
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私「ここまでが、前回だ。“p”を使ったのは、past(過去)だと、強調したかったからだ。ここから、今回の文章だ」
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そして のときは小円も大円もしたがって点線の円も,みな小円一つに重なってしまう.だから
のとき
(半径
の円の周の長さ)
∴(半径
の円の周の長さ)
と
の式を見比べることにより
研究者注
(1)式とは、
(
のとき) (1)
である。
注終わり
(半径 の円の周の長さ)
であることがはっきりした.
ことわっておくが,この事実はあくまで のときの話であって,数学の言葉で正確にいうと
のときの
と
の比の極限は
で,数式を用いて,つぎのように表現する.
はリミットと読む(またはしゃれてドイツ語読みにリーメス).これは日本語の「極限」(きょくげん)に当たる.
この左辺をもっと簡単に,つぎのように表わしディーエイ・ディーアールと読み下す.
微分とはじつに,微少なるものと,微少なるものとの比の極限をとることにほかならない.
ここでは,半径 の円の面積
を
について微分(
としたことを思え)したのであって,その結果は円周の長さ
となって現れた.まことに奇妙といえば奇妙,不思議といえば不思議な,しかし動かし得ない事実なのである.
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私「今日は、ここまでとしよう」
若菜「微分という言葉、出てきましたね」
私「うん。私はここで初めて、微分という言葉の定義を知った」
結弦「どう思った?」
私「中学3年の頃から、知りたかった、微分を、やっと手に入れたと、嬉しかった」
麻友「私には、2次方程式の判別式を使って、教えたけど」
私「微分の定義は、ここで初めて知ったけど、麻友さんに教えたようなやり方で、2次式の場合について、傾きの求め方を、知っていた。この本で先へ進んで、微分とはグラフの傾きを求めることだと読んで、中学時代の認識が、間違いでなかったことを、確認した」
結弦「∴という記号は、なんて読むの?」
私「これ、英語の文献では、あまり見ないんだけど、∴と書いて、『ゆえに』とか『よって』と、読むんだ」
若菜「『ゆえに』か」
私「∵と書いて、『なぜならば』というのもある」
麻友「今でも、使われているかしら?」
私「 の標準のフォントには、どちらもなかった。私は、ATOKで『きごう』を変換して、やっと見つけた。あまり、古すぎる記号は、使わない方がいいね。今後は、『∴』と出てきたら、『ゆえに』と、書き換えようか?」
麻友「太郎さんの好きな、『解析入門Ⅰ・Ⅱ』では、『∴』は使われているの?」
私「ほとんど読んであるけど、1回も出会ってないと思う」
若菜「お父さんの持っている数学の本で、一番新しいのは?」
私「志賀弘典(しが ひろのり)『保型関数』(共立出版)だと思う。2017年6月25日初版1刷、2018年4月25日初版2刷だから」

保型関数: 古典理論とその現代的応用 (共立講座 数学の輝き)
- 作者:弘典, 志賀
- 発売日: 2017/06/27
- メディア: 単行本
若菜「3年前。それに、ありますか?」
私「今、見てるけど、『∴』は、ないな」
結弦「今後、一掃しよう。『∴』とあったら、『ゆえに』に、置き換えよう」
私「分かった。『NKとBGの要点』のフォルダにある、errata.pdf で、置き換えるたびに、記入していこう」
麻友「太郎さんは、高校1年の1987年の6月10日に、SOGOで買ったこの本で、胸を躍らせながら、微分積分を、学んで行ったのね。ゲームで数学を学ぶのと、どっちが良いのかしら?」
結弦「それは、ゲームのでき次第だと思うよ」
若菜「私も、そうだと思う。お父さんの独特の、証明に拘る進み方を、面白いと思わせられるゲームだったら、お父さんの開拓した道を、辿る人が、現れると思う」
麻友「もう少し、様子を見ましょうかね。太郎さんは、まだ当分死なないし」
私「じゃあ、今日は、ここまでにしよう。解散」
麻友「太郎さん的には、ゲームをどうやって作るつもりなの?」
私「まだ私の知らない数学が、たくさんある。そういう魅力ある数学を、知れば知るほど、面白いゲームが作れると、思うんだ。『解析入門Ⅱ』の複素解析を、読み始めたのも、そういう理由からなんだ」
麻友「じゃあ、頑張ってね。7024文字になっちゃったわね。おやすみ」
私「おやすみ」
現在2020年6月29日22時00分である。おしまい。