現在2020年12月25日14時49分である。(この投稿は、ほぼ7590文字)
麻友「太郎さん。今年中に、200個、投稿書こうとしてるのね」
私「実は、そう。他のブログの投稿も合わせてだけど、1年に200個投稿したことは、1度もないんだ。だから、頑張っている」
若菜「今日のが、199個目。まだ、26日、27日、28日、29日、30日、31日と、6日あるから、ほぼ実現できますね」
結弦「基本的に、全部、お母さんに献呈しているんだから、お母さんも、読むの大変だよなあ」
麻友「音楽とかなら、献呈されても、まだ、分からなかったら、分からなかったで、済むけど、科学的な文献でしょ。しかも、私にレヴェルを合わせてあるって言ってる。でも、太郎さんの話、分からないこと多いのよ」
私「私自身が、苦労して分かったようなことを、書いているから、麻友さんが分からなかったとしても、無理はない。でも、麻友さんに説明しようと思うから、普通本に書いていないようなことも、書いてある。将来、私が、先生にでもなったとき、このやり取りが、役に立つだろう」
若菜「お父さん。まだ、先生になる夢、棄ててないんですか?」
麻友「そうなのよ。太郎さんって、そういう人。それで、昨日、話してくれたことは、まとめると、どうなるの?」
私「まず、古典論理での、命題論理というもので、次の8個を認めた
『 導入』
それから、『 除去』が、
と、
それから、『 除去』
と、『 導入-仮定除去』
『 導入』が、
と、
で、
『 除去』は、
と、なる」
私「ここから、『 』が出てきて、『準背理法(じゅんはいりほう)』と呼んでいる、
が、あり、
『片方否定』と呼んでいる次の推論がある。
これで、8個だ」
若菜「9個目は?」
私「ここからが、ハイライトなんだ。まず古典論理では、『』 の最後の推論パターンは、『二重否定』と、私が呼んでいる、
という推論なんだ」
結弦「否定の否定は、肯定か。わざわざハイライトあてる必要あるのかな」
私「ちょっと、これらの推論パターンを、使う、演習をしてみようか」
若菜「それは、受けて立ちたいです」
私「じゃあ、ただの問題じゃ、面白くないから、ブルバキの論理の公理を、証明しよう」
若菜「ちょっと、待って下さい。公理というのは、証明できないから、公理なんじゃ、ないんですか?」
私「そういう、幼稚な世界から脱却させるために、この問題をやる。私達は、命題論理というものを、ひとつ知ったのだ。そして、これを用いて、数学をやっていく。ところで、ブルバキが、公理としているものを、私達が、証明できたら、以後ブルバキが証明したというものは、全部我々も、証明できるということに、ならないかい?」
結弦「お父さん。とんでもないこと、考えるんだね。自分は、ブルバキより高い位置から見てるなんて」
麻友「ブルバキの論理の公理って、どんなものなの?」
私「もし、実際に、ブルバキを見たい人がいたら、このブログのリンク集の中に、『私の文献』というものがあり、それをクリックすると、フォルダがいくつもあるが、その中に、『ブルバキ集合論』というフォルダがある。『ブルバキノート1冊目1ページから60ページ』は、私が取ったノート。『ブルバキテキスト第1章§1~§3』は、ブルバキの訳本の第1章の§3までを、スキャンしたものである。書き込みはあるが、読むのに困るほどでは、ないだろう」
麻友「あっ、これ、本物?」
若菜「なんか、同じページが、何回も出てきたり」
私「それは、意味があるんだよ。§1が、終わったら、§1の問題を解きたくなるだろう。それで、後ろの方の問題のページをスキャンしてある。そして、§2を終えると、§2の問題を、解きたいだろう。§1の問題と、§2の問題が同じページにあるので、重複を厭わず、スキャンしてあるんだ」
結弦「そういうことか。お父さんには、ブルバキを達観できるだけの余裕があるということか」
私「さあそれでは、ブルバキの論理の公理を、見せよう」
S1.
S2.
S3.
S4.
結弦「えっ、4つだけ? しかも、4番以外、ほとんど当たり前。お父さん、これ、どういうこと?」
私「つまり、本当は、数学をやるのに、私達みたいに、9個も、推論のパターンを用意する必要は、ないんだ。だけど、言っただろう、『証明は、泥臭くて丁寧な方が、読む方には、読みやすくて、助かるんだ』って」
若菜「でも、どうやったら、こんなに、脂肪を落とせるんですか?」
私「使う記号を、節約しているんだよ。例えば、 は、 と表すみたいにね」
若菜「あっ、それなら、納得です」
麻友「そうすると、S1.は、『除去』で、・・・。あれっ、単純には行かない?」
私「ブルバキを、舐めちゃ、いけない。
と、しようと思ったんだろう」
麻友「それで、仮定除去で、
と、しようと思ったんだけど、 という仮定が、落ちてない。以前、『数学を悟ってみて(その2)』で、直観論理の話をしてたとき、『 』は、必ず成立するって、太郎さんは言ってたけど、私は、証明を知らない」
私「良く気付いたな。流石特待生。これは、私も、困ったなと思った。だけど、私は、 を、証明したことが、あるんだ」
麻友「どこで?」
私「ブルバキでも、NKsummary.pdf でも。だから、ちょっとやれば、証明できることを、知っている」
若菜「分かりました。 は、仮定が、 で、結論が、 の、演繹図なんです。だから、『 導入-仮定除去』推論を使って、
と、証明できる。仮定が全部落ちているので、 は、定理です」
麻友「定理って言ってるけど、数字も何もないじゃない」
私「定理っていう言葉を、色んな時に、使うんだけど、何の定理かを、ハッキリさせなければ、ならないね。今の場合、『私達の、 の、命題論理の部分での定理』というのが、正しい名称だろうね」
麻友「そうすると、証明は?」
私「こうなる。
生きている仮定は、ひとつもないから、これは、私達の、 の定理だ。ただ、私達がまだ、 の推論パターンのうち、全部を使っていないだけだ。いずれ、使えるようになる」
麻友「ああ、こういうことを、したかったの。もっと早く、この演繹図だか、証明図だかを、見せて欲しかったわ」
私「いや、以前だったら、とても理解できなかっただろうと思うよ」
結弦「S2.は、本当に,楽勝だよ。
S2. は、
と、証明できる」
麻友「ああ、分かるわ。私、太郎さんに、しごかれたということね」
若菜「S3.も、同様ですね。
S3. は、
から、・・・。あれっ?」
私「若菜。当たり前そうでも、ブルバキが、公理にするってことは、何か理由があるんだよ」
若菜「 の推論で、今、重要なのは、『 除去』だけど、・・・」
私「あの『 除去』は、
という使い方ができる」
若菜「分かった。
と、できた。本当に、数学って、アイディアの勝負ね」
私「若菜も、分かってきた」
結弦「後は、
S4.
だけだな。ようし、攻略するぞ」
私「ちょっと、ストップ。これは、かなり手強いはずだ。見かけからして、今までの3つより数段難しそうだし、恐らく、これを、証明するには、ハイライトと言った、『二重否定』推論が、必要になるだろう」
結弦「どうして、そんなことまで、分かるの?」
私「ブルバキが、古典論理を使っているのは、分かっている。だが、S1.から、S3.まででは、『』を、使わずに、証明できた。ブルバキが、その後推論を続けて行くには、どこかで、『』の推論を、補充しなければならないはずだ。考えられるのは、S4.で、取り込むという可能性だけだ」
若菜「じゃあ、『二重否定』推論で、証明すればいいじゃないですか」
私「私が、この連載で、3人に伝えたかったことは、『数学はひとつ』だけど、数学から外に出てみて、数学って、捉え方が、色々あるんだ。こういう風に捉えると、違った結論になったりすることも、あるんだ。という驚きを、味わって欲しいということだった」
麻友「それと、『二重否定』は?」
私「直観主義論理では、『二重否定』推論は、使えない。直観主義論理での、『』 は、『』 とは、『』ということであり、『 が成り立つならば、何でも好きな、 が、成り立ってしまうよ』、ということ。その何でも好きな の中には、 みたいな、矛盾も、導かれてしまうということなんだ」
麻友「直観主義論理で、『二重否定』に、取って代わるのは、前にも聞いたけど、どんなのだっけ?」
私「
定義(推論図NJ-IX.否定除去)(ひていじょきょ)
これだよ」
麻友「見かけは、シンプルね」
若菜「これは、どっから持って来たのですか?」
私「このもの自体は、文献で見ていない。ただ、
倉田令二朗『数学基礎論へのいざない』(河合文化教育研究所)
- 作者:倉田 令二朗
- メディア: 単行本
の40ページで、
直観論理では、
と、あったのを、私なりに、解釈したんだ」
麻友「じゃあ、S4.の証明に、『二重否定』がいるのかどうか、お楽しみ。ということで、今晩は、お開きにしない?」
若菜「もう、7422文字。お父さん、頑張りましたね」
結弦「ブルバキ全巻読むのなんて、お母さん、付いてきてくれるのかなあ?」
麻友「太郎さん、久々に、言って欲しいわ」
私「愛しているよ、麻友さん」
若菜・結弦「お休みなさい」
麻友「おやすみ」
私「おやすみ」
現在2020年12月25日22時45分である。おしまい。