相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

数学を悟ってみて(その28)

 現在2020年12月25日14時49分である。(この投稿は、ほぼ7590文字)

麻友「太郎さん。今年中に、200個、投稿書こうとしてるのね」

私「実は、そう。他のブログの投稿も合わせてだけど、1年に200個投稿したことは、1度もないんだ。だから、頑張っている」

若菜「今日のが、199個目。まだ、26日、27日、28日、29日、30日、31日と、6日あるから、ほぼ実現できますね」

結弦「基本的に、全部、お母さんに献呈しているんだから、お母さんも、読むの大変だよなあ」

麻友「音楽とかなら、献呈されても、まだ、分からなかったら、分からなかったで、済むけど、科学的な文献でしょ。しかも、私にレヴェルを合わせてあるって言ってる。でも、太郎さんの話、分からないこと多いのよ」

私「私自身が、苦労して分かったようなことを、書いているから、麻友さんが分からなかったとしても、無理はない。でも、麻友さんに説明しようと思うから、普通本に書いていないようなことも、書いてある。将来、私が、先生にでもなったとき、このやり取りが、役に立つだろう」

若菜「お父さん。まだ、先生になる夢、棄ててないんですか?」

麻友「そうなのよ。太郎さんって、そういう人。それで、昨日、話してくれたことは、まとめると、どうなるの?」


私「まず、古典論理での、命題論理というもので、次の8個を認めた

{\wedge} 導入』

{A~~~~~~~B\\
\rule{1.5cm}{0.3mm}\\
~~A \wedge B}


それから、『{\wedge} 除去』が、

{
A \wedge B\\
\rule{1.0cm}{0.3mm}\\
~~~B\\
}

と、

{
A \wedge B\\
\rule{1.0cm}{0.3mm}\\
~~~A\\
}


それから、『{\Rightarrow} 除去』

{

A~~~~ A \Rightarrow B\\
\rule{2.5cm}{0.3mm}\\
~~~~B\\
}


と、『{\Rightarrow} 導入-仮定除去』

{~~~[A]^{n)}\\
~~~\downarrow \\
~~~B \\
\rule{1.5cm}{0.3mm} n\\
~A \Rightarrow B\\
}


{\vee} 導入』が、

{~~~~~~~A \\
\rule{1.5cm}{0.3mm}\\
~~A \vee B}

と、

{~~~~~~~B \\
\rule{1.5cm}{0.3mm}\\
~~A \vee B}

で、

{\vee} 除去』は、

{~ A \vee B ~~~~~~A \Rightarrow C  ~~~~ B \Rightarrow C \\
\rule{6cm}{0.3mm}\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~C}

と、なる」

私「ここから、『{\neg} 』が出てきて、『準背理法(じゅんはいりほう)』と呼んでいる、

{A \Rightarrow ( B \wedge \neg B )\\
\rule{4.0cm}{0.3mm} \\
~~~~~~\neg A\\
}

が、あり、

『片方否定』と呼んでいる次の推論がある。

{~~A \vee B ~~~~~~~\neg B \\
\rule{3.0cm}{0.3mm} \\
~~~~~~~~~~~~~~A \\
}

これで、8個だ」

若菜「9個目は?」

私「ここからが、ハイライトなんだ。まず古典論理では、『{\neg}』 の最後の推論パターンは、『二重否定』と、私が呼んでいる、

{~~~~~~~\neg (\neg A) \\
\rule{3.0cm}{0.3mm} \\
~~~~~~~~~~~~~~A  \\
}

という推論なんだ」

結弦「否定の否定は、肯定か。わざわざハイライトあてる必要あるのかな」

私「ちょっと、これらの推論パターンを、使う、演習をしてみようか」

若菜「それは、受けて立ちたいです」

私「じゃあ、ただの問題じゃ、面白くないから、ブルバキの論理の公理を、証明しよう」

若菜「ちょっと、待って下さい。公理というのは、証明できないから、公理なんじゃ、ないんですか?」

私「そういう、幼稚な世界から脱却させるために、この問題をやる。私達は、命題論理というものを、ひとつ知ったのだ。そして、これを用いて、数学をやっていく。ところで、ブルバキが、公理としているものを、私達が、証明できたら、以後ブルバキが証明したというものは、全部我々も、証明できるということに、ならないかい?」

結弦「お父さん。とんでもないこと、考えるんだね。自分は、ブルバキより高い位置から見てるなんて」

麻友「ブルバキの論理の公理って、どんなものなの?」

私「もし、実際に、ブルバキを見たい人がいたら、このブログのリンク集の中に、『私の文献』というものがあり、それをクリックすると、フォルダがいくつもあるが、その中に、『ブルバキ集合論』というフォルダがある。『ブルバキノート1冊目1ページから60ページ』は、私が取ったノート。『ブルバキテキスト第1章§1~§3』は、ブルバキの訳本の第1章の§3までを、スキャンしたものである。書き込みはあるが、読むのに困るほどでは、ないだろう」

麻友「あっ、これ、本物?」

若菜「なんか、同じページが、何回も出てきたり」

私「それは、意味があるんだよ。§1が、終わったら、§1の問題を解きたくなるだろう。それで、後ろの方の問題のページをスキャンしてある。そして、§2を終えると、§2の問題を、解きたいだろう。§1の問題と、§2の問題が同じページにあるので、重複を厭わず、スキャンしてあるんだ」

結弦「そういうことか。お父さんには、ブルバキを達観できるだけの余裕があるということか」


私「さあそれでは、ブルバキの論理の公理を、見せよう」

S1.{(A \vee A) \Rightarrow A}

S2.{A \Rightarrow (A \vee B)}

S3.{(A \vee B) \Rightarrow (B \vee A)}

S4.{(A \Rightarrow B ) \Rightarrow (( C \vee A ) \Rightarrow (C \vee B ))}

結弦「えっ、4つだけ? しかも、4番以外、ほとんど当たり前。お父さん、これ、どういうこと?」

私「つまり、本当は、数学をやるのに、私達みたいに、9個も、推論のパターンを用意する必要は、ないんだ。だけど、言っただろう、『証明は、泥臭くて丁寧な方が、読む方には、読みやすくて、助かるんだ』って」

若菜「でも、どうやったら、こんなに、脂肪を落とせるんですか?」

私「使う記号を、節約しているんだよ。例えば、{A \wedge B} は、{\neg((\neg A) \vee (\neg B))} と表すみたいにね」

若菜「あっ、それなら、納得です」


麻友「そうすると、S1.は、『{\vee }除去』で、・・・。あれっ、単純には行かない?」

私「ブルバキを、舐めちゃ、いけない。

{~~A \vee A ~~~~~~A \Rightarrow A ~~~~~~A \Rightarrow A \\
\rule{6cm}{0.3mm}\\
~~~~~~~~~~~~~~A\\
\rule{4cm}{0.3mm}\\
~~~~(A \vee A) \Rightarrow A\\

}

と、しようと思ったんだろう」

麻友「それで、仮定除去で、


{~~[A \vee A]^{1)} ~~~~~~A \Rightarrow A ~~~~~A \Rightarrow A \\
\rule{6cm}{0.3mm}\\
~~~~~~~~~~~~~~~~A\\
\rule{4cm}{0.3mm} 1\\
~~~~(A \vee A) \Rightarrow A\\

}

と、しようと思ったんだけど、{A \Rightarrow A} という仮定が、落ちてない。以前、『数学を悟ってみて(その2)』で、直観論理の話をしてたとき、『{B \Rightarrow B} 』は、必ず成立するって、太郎さんは言ってたけど、私は、証明を知らない」

私「良く気付いたな。流石特待生。これは、私も、困ったなと思った。だけど、私は、{A \Rightarrow A} を、証明したことが、あるんだ」

麻友「どこで?」

私「ブルバキでも、NKsummary.pdf でも。だから、ちょっとやれば、証明できることを、知っている」

若菜「分かりました。{A} は、仮定が、{A} で、結論が、{A} の、演繹図なんです。だから、『{\Rightarrow} 導入-仮定除去』推論を使って、

{~~[A]^{1)}  \\
\rule{2cm}{0.3mm}1\\
~~A \Rightarrow A\\

}

と、証明できる。仮定が全部落ちているので、{A \Rightarrow A} は、定理です」

麻友「定理って言ってるけど、数字も何もないじゃない」

私「定理っていう言葉を、色んな時に、使うんだけど、何の定理かを、ハッキリさせなければ、ならないね。今の場合、『私達の、{\mathbf{NK}} の、命題論理の部分での定理』というのが、正しい名称だろうね」

麻友「そうすると、証明は?」

私「こうなる。

{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~[A]^{1)} ~~~~~~~~~~~~~[A]^{2)} \\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\rule{1.5cm}{0.3mm} 1  ~~~~~  \rule{1.5cm}{0.3mm} 2\\
~~[A \vee A]^{3)} ~~~~A \Rightarrow A ~~~~~~~A \Rightarrow A \\
\rule{6cm}{0.3mm} \\
~~~~~~~~~~~~~~A\\
\rule{4cm}{0.3mm} 3\\
~~~~(A \vee A) \Rightarrow A\\

}

生きている仮定は、ひとつもないから、これは、私達の、{\mathbf{NK}} の定理だ。ただ、私達がまだ、{\mathbf{NK}} の推論パターンのうち、全部を使っていないだけだ。いずれ、使えるようになる」

麻友「ああ、こういうことを、したかったの。もっと早く、この演繹図だか、証明図だかを、見せて欲しかったわ」

私「いや、以前だったら、とても理解できなかっただろうと思うよ」


結弦「S2.は、本当に,楽勝だよ。

S2.{A \Rightarrow (A \vee B)} は、

{~~~~~~~[A]^{1)}\\
\rule{4cm}{0.3mm}\\
~~ A \vee B\\
\rule{4cm}{0.3mm}1\\
~~A \Rightarrow ( A \vee B )\\
}

と、証明できる」

麻友「ああ、分かるわ。私、太郎さんに、しごかれたということね」


若菜「S3.も、同様ですね。

S3.{(A \vee B) \Rightarrow (B \vee A)} は、

{A \vee B} から、・・・。あれっ?」


私「若菜。当たり前そうでも、ブルバキが、公理にするってことは、何か理由があるんだよ」

若菜「{\vee} の推論で、今、重要なのは、『{\vee} 除去』だけど、・・・」

私「あの『{\vee} 除去』は、

{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ [A]^{1)} ~~~~~~~~~~~~~~~~~[B]^{2)}\\
\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\downarrow \\
\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ C ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~C\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\rule{2cm}{0.3mm} 1 ~~~~~~~\rule{2cm}{0.3mm} 2 \\
A \vee B~~~~~~~~~~~~~~A \Rightarrow C ~~~~~~~~~~B \Rightarrow C \\
\rule{8cm}{0.3mm}\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~C\\

}

という使い方ができる」

若菜「分かった。


{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ [A]^{1)} ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~[B]^{2)}\\
\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\rule{2cm}{0.3mm} ~~~~~~~~~~~~\rule{2cm}{0.3mm} \\
\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ B \vee A ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~B \vee A\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\rule{2cm}{0.3mm} 1 ~~~~~~~~~~~~\rule{2cm}{0.3mm} 2 \\
[A \vee B]^{3)}~~~~~~~~A \Rightarrow B \vee A ~~~~~~~~~~B \Rightarrow B \vee A \\
\rule{8cm}{0.3mm}\\
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~B \vee A \\
\rule{8cm}{0.3mm}3\\
~~~~~~~~~~~(A \vee B) \Rightarrow (B \vee A)
}

と、できた。本当に、数学って、アイディアの勝負ね」

私「若菜も、分かってきた」

結弦「後は、

S4.{(A \Rightarrow B ) \Rightarrow (( C \vee A)\Rightarrow (C \vee B))}

だけだな。ようし、攻略するぞ」

私「ちょっと、ストップ。これは、かなり手強いはずだ。見かけからして、今までの3つより数段難しそうだし、恐らく、これを、証明するには、ハイライトと言った、『二重否定』推論が、必要になるだろう」

結弦「どうして、そんなことまで、分かるの?」

私「ブルバキが、古典論理を使っているのは、分かっている。だが、S1.から、S3.まででは、『{\neg}』を、使わずに、証明できた。ブルバキが、その後推論を続けて行くには、どこかで、『{\neg}』の推論を、補充しなければならないはずだ。考えられるのは、S4.で、取り込むという可能性だけだ」

若菜「じゃあ、『二重否定』推論で、証明すればいいじゃないですか」

私「私が、この連載で、3人に伝えたかったことは、『数学はひとつ』だけど、数学から外に出てみて、数学って、捉え方が、色々あるんだ。こういう風に捉えると、違った結論になったりすることも、あるんだ。という驚きを、味わって欲しいということだった」

麻友「それと、『二重否定』は?」

私「直観主義論理では、『二重否定』推論は、使えない。直観主義論理での、『{\neg}』 は、『{\neg A}』 とは、『{A \Rightarrow B}』ということであり、『{A} が成り立つならば、何でも好きな、{B} が、成り立ってしまうよ』、ということ。その何でも好きな{B} の中には、{C \wedge \neg C } みたいな、矛盾も、導かれてしまうということなんだ」

麻友「直観主義論理で、『二重否定』に、取って代わるのは、前にも聞いたけど、どんなのだっけ?」

私「


 定義(推論図NJ-IX.否定除去)(ひていじょきょ)

{~~~~\neg A\\
\rule{3.0cm}{0.3mm} \\
~~A \Rightarrow  B\\
}


これだよ」

麻友「見かけは、シンプルね」

若菜「これは、どっから持って来たのですか?」

私「このもの自体は、文献で見ていない。ただ、

倉田令二朗『数学基礎論へのいざない』(河合文化教育研究所)

の40ページで、


{(8)} {\neg \neg A \rightarrow A}   直観論理では、{(8^I)} {\neg A \rightarrow (A \rightarrow B)}


と、あったのを、私なりに、解釈したんだ」

麻友「じゃあ、S4.の証明に、『二重否定』がいるのかどうか、お楽しみ。ということで、今晩は、お開きにしない?」

若菜「もう、7422文字。お父さん、頑張りましたね」

結弦「ブルバキ全巻読むのなんて、お母さん、付いてきてくれるのかなあ?」

麻友「太郎さん、久々に、言って欲しいわ」

私「愛しているよ、麻友さん」

若菜・結弦「お休みなさい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2020年12月25日22時45分である。おしまい。