相対性理論を学びたい人のために

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京都大学の演義の問題

 現在2021年8月22日20時39分である。(この投稿は、ほぼ8592文字)

私「どうも、駆け落ちが長引いて、演義の問題を見せるという約束が、反故になりそうなので、ここで、一気に見せることとする」

若菜「分からないなりに、どれくらい分からないのか、見てみたかったです」

結弦「大学院入試より難しいって、どういうことですか?」

私「既に見せたのも含めて、きちんと見せよう」



 1993年の幾何学演義問題No.1(4月初め)から

1.{K}{\mathbb{R}}実数体),{\mathbb{C}}複素数体)のいずれかとし、{K} 上の {n \times n} 行列全体 {M(n,K)}{K^{n^2}(\simeq \mathbb{R}^{n^2},\mathbb{R}^{2n^2})} と同一視して自然な位相を入れる。以下のものは {M(n,K)} の部分位相空間として、第二可算公理を満たす局所コンパクトハウスドルフ位相群である。(ことを、示せ)

 {\mathrm{GL}(n,K)=\{A \in M(n,K)|Aは正則\}},
 {\mathrm{SL}(n,K)=\{A \in M(n,K)|\det A=1\}},
 {\mathrm{O}(n),\mathrm{U}(n)=\{A \in M(n,K)|{}^t \overline{A}A=E\}}
 {\mathrm{SO}(n)=\mathrm{O}(n) \cap \mathrm{SL}(n,\mathbb{R}),\mathrm{SU}(n)=\mathrm{U}(n) \cap \mathrm{SL}(n,\mathbb{C}),}
 {\mathrm{Sp}(n, K)=\{A \in M(2n,K)|{}^t AJA=J \}(但し J=\begin{pmatrix}\displaystyle O & -E\\
E & O \end{pmatrix})}


2.i)上の位相群の中でコンパクトなものはどれか。
  ii)上の位相群の連結成分の個数を調べよ。



 次に、

 1993年の幾何学演義問題No.5(5月末)から

1.{M}{C^{\infty}} 多様体{C^{\infty} (M)=C^{\infty} (M,\mathbb{R})}=\{M \rightarrow \mathbb{R}:C^{\infty} 写像 \} とする。{x \in M} に対して {T_x M \subset C^{\infty}(M)^{\vee}=\mathrm{Hom} (C^{\infty}(M),\mathbb{R})=\{C^{\infty} (M) \rightarrow \mathbb{R}:線形写像\}}{T_x M=\{v \in C^{\infty}(M)^{\vee}|v(fg)=v(f)g(x)+f(x)v(g) ~(\forall f,g \in C^{\infty} (M))\}} で定義する。({M}{x} における接空間。)

 (ⅰ){T_x M}{C^{\infty}(M)^{\vee}} の部分ベクトル空間になることを示せ。

 (ⅱ){c:(-\varepsilon,\varepsilon) \rightarrow M(\varepsilon>0)}{C^{\infty}} 写像{c(0)=x} なるものとする。{\dot{c}:C^{\infty}(M) \rightarrow \mathbb{R}}{\dot{c}(f) =\displaystyle \frac{d}{dt}f(c(t)) \biggl|_{t=0}} で定義すると{\dot{c} \in T_x M} となることを示せ。

 (ⅲ){(U,\varphi=(x^1,\cdots,x^n))}{x} のまわりの局所座標とする。(以下特に断らない限り {x} のまわりの局所座標は {\varphi (x)=(0,0,\cdots ,0) \in \mathbb{R}^n} を満たすものとする。)十分小さな {\varepsilon>0} に対し {c_i:(-\varepsilon,\varepsilon) \rightarrow M}{c_i(t) = \varphi ^{-1} (0,\cdots,0,\stackrel{\stackrel{i}{\smile}}{t},0,\cdots,0)} で定義すると、{\{\dot{c}_1,\cdots,\dot{c}_n \}}{T_x M} の基底になることを示せ。{\dot{c}_i}{\displaystyle \biggl(\frac{\partial}{\partial x^i} \biggr)_x} と書く。



 最後に、

 1993年の幾何学演義問題No.9(6月末)から

1.{F,G:(\mathrm{Vect}_{\mathbb{R}}^{op})^a \times (\mathrm{Vect}_{\mathbb{R}})^b \rightarrow \mathrm{Vect}_{\mathbb{R}}} を共変関手とする。任意の {(\underline{V},\underline{W}) \in (\mathrm{Vect}_{\mathbb{R}}^{op})^a \times (\mathrm{Vect}_{\mathbb{R}})^b} に対し線形写像 {\eta (\underline{V},\underline{W}):F(\underline{V},\underline{W}) \rightarrow G(\underline{V},\underline{W})} が定まり、任意の {\underline{f} \in \mathrm{Hom}(\underline{V'},\underline{V}),\underline{g} \in \mathrm{Hom}(\underline{W},\underline{W'})} に対し、{G(\underline{f},\underline{g}) \circ \eta (\underline{V},\underline{W})=\eta (\underline{V'},\underline{W'}) \circ F(\underline{f},\underline{g})} が成立したとする。(すなわち {\eta}{F} から {G} への自然変換。)

 (i){E^i,F^j \rightarrow M~(1 \leqslant i \leqslant a,1 \leqslant j \leqslant b)}ベクトル束とする。{\eta (\underline{E},\underline{F}):F(\underline{E},\underline{F}) \rightarrow G(\underline{E},\underline{F})}{\eta (\underline{E},\underline{F})_x = \eta (\underline{E_x},\underline{F_x})} で定義すると {\eta (\underline{E},\underline{F})} は準同型になることを示せ。

 (ii)ベクトル束の準同型 {f_i :'E^i \rightarrow E^i,g_j:F^j \rightarrow 'F^j} に対し {G(\underline{f},\underline{g}) \bullet \eta (\underline{E},\underline{F})=\eta (\underline{'E},\underline{'F}) \circ F(\underline{f},\underline{g})} が成立することを示せ。(すなわち {\eta (\underline{E},\underline{F})}{F(\underline{E},\underline{F})} から {G(\underline{E},\underline{F})} への自然な準同型である。)


2.次のベクトル束の間の自然な同型が存在することを示せ。

 (i){E \cong (E^{\vee})^{\vee}}

 (ii){\mathrm{Hom}(E \otimes F,G) \cong \mathrm{Hom}(E,\mathrm{Hom}(F,G))}

 (iii){\displaystyle \wedge^k(E \oplus F) \cong \bigoplus_{i+j=k} \wedge^i E \otimes \wedge^j F}



 以上。

麻友「うわーっ」

若菜「『示せ』って書いてあるから、問題であるのは分かるけど、1ミリも、分からない」

結弦「お父さん。これが大学院入試より難しいっていうのを、ちょっと、解説してよ」

私「まずだなあ、ここにある問題のうち、最後の6月末の問題以外は、全部、数学科なら誰でも持っている、

松島与三『多様体入門』(裳華房

に、説明してあることなんだ」

若菜「えっ、じゃあ、もしかして、お父さんでも、解ける?」

私「問題、{\TeX} で打ってて、多分こうやって解くんだろうなあ、と思ったりしてた」

結弦「それが、4月と5月の。それで、6月末のは?」

私「出だしに、

{F,G:(\mathrm{Vect}_{\mathbb{R}}^{op})^a \times (\mathrm{Vect}_{\mathbb{R}})^b \rightarrow \mathrm{Vect}_{\mathbb{R}}} を共変関手とする。

と、書いてあるだろ。この関手(かんしゅ)って、見覚えないか?」

麻友「『圏と関手』川口周さんと、1年生で、『代数概論』の目標にしようと言いながら、ホモロジーのところは、飛ばさざるを得なかったと、『1から始める数学』のブログの『現代論理学(その27)』で、書いてある、まさにその圏論よね」

若菜「ああ、ブルバキを、新しく、圏論の言葉で、書き直すのが、1つの目標とか。とにかく、圏論というものは、難しいんだって、聞かされてきましたね」

結弦「大学院入試で、圏論は、出るの?」

私「もしかしたら、出るかも知れない。ただ、良く考えてみてよ。6月末の段階で、大学院入試の一番難しい問題かも知れないものが、もう問題として、出てるんだよ。私は、7月以降は、どんどん精神を病んで、演義の問題すら受け取らなかったので、分からないけど、演義は、1年通しであるんだ。しかも、実は、これは幾何学演義だが、他に、代数学演義解析学演義A(実解析)、解析学演義B(複素解析)と、全部で、4つあるんだ」

若菜「落ちこぼれないの?」

私「まあ、ここまでは、建前だ。本音を言うと、毎週毎週、出される問題6問くらいを、全部解いてきていたのは、望月拓郎君ただひとりだった。理学部数学科でも、1週間に、1問解ければ、めっけもの。1問も解けなくて、望月君の書く黒板の式を、写しているだけのひとも、何人もいた」

麻友「うふふ、それでー、太郎さんは、どうだったの?」

私「聞きたいだろうなぁ。私が、手を引っ張ってくれてたんだなあ、みたいなことを、書いたけど、実は、3回生の演義のガイダンスは、受けた。そして、私は、幾何学の分野だから(分類として、上野健爾さんは、複素多様体論で、多様体というのは、幾何学なんだ。『一般相対性理論は、幾何学だ』と、言えるのは、多様体を用いて議論をするからだ。)幾何学の問題を、解こうとした。2回生のときから『多様体の基礎』を、読んであり、2回生の後期で、一般相対論で、優を取って、自信があったんだ」

若菜「いいムードですねぇ」

私「ところがね、その最初にもらった問題の1番最初、若菜たちも見てごらん」

結弦「えっと、あの、『第二可算公理を満たす局所コンパクトハウスドルフ位相群である。(ことを、示せ)』って、言うの?」

私「第二可算公理も、局所コンパクトも、ハウスドルフも、位相群も、全部、専門用語なんだけど、一応知ってるけど、それを応用して、具体的に与えられた問題を解く、ということは、それまでしてなかった。ひと言で言って、演習不足なんだけど、問題が、全然解けない」

若菜「あれっ、自信があったのに。そもそも、一般相対論では、試験受けて、優もらっているのに」

私「物理学で使う、数学の使い方と、純粋に数学をやるときの数学の使い方って、かなり、違うんだ。得意だったはずの、多様体の問題が解けず、落ち込んだ。例えば、

2.i)上の位相群の中でコンパクトなものはどれか。

と、2番にあるけど、昔麻友さんに『そのうち出てくる』なんて言った、コンパクトなんだけど、私は、コンパクトの定義も知ってるんだけど、5つのうちのどれが、コンパクトか、証明の仕方が、分からなかった」

麻友「5つって、


 {\mathrm{GL}(n,K)=\{A \in M(n,K)|Aは正則\}},
 {\mathrm{SL}(n,K)=\{A \in M(n,K)|\det A=1\}},
 {\mathrm{O}(n),\mathrm{U}(n)=\{A \in M(n,K)|{}^t \overline{A}A=E\}}
 {\mathrm{SO}(n)=\mathrm{O}(n) \cap \mathrm{SL}(n,\mathbb{R}),\mathrm{SU}(n)=\mathrm{U}(n) \cap \mathrm{SL}(n,\mathbb{C}),}
 {\mathrm{Sp}(n, K)=\{A \in M(2n,K)|{}^t AJA=J \}(但し J=\begin{pmatrix}\displaystyle O & -E\\
E & O \end{pmatrix})}


の5つのことなのね?例えば、

 {\mathrm{GL}(n,K)=\{A \in M(n,K)|Aは正則\}}

というのが、一つの位相群だと、言ってるのね」

私「あっ、分かってなかったか」

若菜「お父さん。そもそも、群という概念は、『数Ⅲ方式ガロアの理論』を読み終わるまで、使っちゃいけないんじゃ、なかったでしたっけ?」

私「そう。そうなんだけど、大学の数学科で、群、使いませんって、水飲めませんみたいな、ことになるから、ある程度は、使わして」

若菜「それより、『『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック』のブログ、もっと進めて欲しいですね」

麻友「本当は、一番欲しいのは、医学機器なのよね」

私「えっ、随分前の話を」

結弦「お父さんが、医学機器を作るために、分子生物学を勉強して、その勉強の成果が挙がって、免疫の問題が解決し、新型コロナウイルスが、消える。というシナリオになってるのに、お父さんが、分子生物学勉強しないから」

私「えーっ、道理で、新型コロナウイルスが、いつまでも蔓延って、なくならないわけだな。そんな、今更、どうすれば良いんだ?」

麻友「ちゃんと、責任取れば?」


私「麻友さん、全然会ってくれないから、土曜日の朝日新聞のテレビ欄に、麻友さんにちょっと似た顔の女の人(浜辺美波さん)が、写ってたので、『もしかして、本人?』と、日テレの24時間テレビ録画して、昨日、『生徒が人生をやり直せる学校』見たくらい」

渡辺麻友(わたなべ まゆ)身長156cm
浜辺美波(はまべ みなみ)身長156cm

私「50パーセントだけ、麻友さんに似てた」

若菜「そういう風に、女の人への愛情を、数値で表したりするから、女の人から、大事にされないんです。お父さんは、ボケてる積もりかも知れませんが、ツッコミようがありません」

結弦「20文字中10文字同じだって、言いたいんだろうけど、そんな考え方、普通の人しないものなあ」


麻友「責任は、取るの?」

私「もし、私が、新型コロナウイルス、倒せたら、一緒になってくれる?」

麻友「なって、あげるわ」


結弦「えっ、聞いちゃったぞ」

若菜「証人ですよ。私達」


麻友「さっきのいいムードだった話の続きは?」

私「問題が解けなくて、そんな落ちこぼれなんて、経験ないから、『じぇーんじぇん、分かりません。先生なんとかして~』という武器があることも知らず、落ち込んで、1回生向けの教科書を、復習したりしているうちに、1週間経っちゃって、演義に出たら、他の子が、なんでもなく、解いている。解いて見せてくれるのを見れば、定義は知っている私だから、何だ、当たり前じゃないか、みたいに思える。来週は、全部解けるだろう、と思って、新しい問題をもらったのを見ると、今度は、正規部分群とか、連結とか、定義は知っているけど、問題で使ったことのないものが、登場して、また、どうしたら、いいんだろう? と、頭を抱えて、1週間経っちゃう。そんなこと、3週間もやったら、演義の時間に、行くのが恐くなっちゃって、サボるようになる」

麻友「えっ、それ、典型的な5月病じゃない。太郎さん、そんなことのために、才能ふいにしたの?」

私「5月病と言っても、良いかも知れない。だが、5月病なら、普通は、なんとかなる。ところが、その一方で、上野健爾さんのゼミの方も、段々似たようなことになる。先生は、『線型代数を勉強してきてください』と言ったが、『線型代数入門』を勉強してあるから大丈夫だと思っていたら、実は、コーディネートフリーな(基底によらない)線型代数で、射影空間、グラスマン多様体、フラッグ多様体などの話になる。私は、『多様体の基礎』を読んであるから、射影空間や、グラスマン多様体は、分かっているのだが、先生は、それの定義は、サラッと済ませ、実際にグラスマン多様体などをつかって、何かをやらせようとする。今でこそ分かるのだが、数学の中で、最も難しいと言われる、代数幾何学というものは、主な仕事が、射影空間(グラスマン多様体の一種)の中にある、部分多様体が、どう変形できるだろうか? というようなことを、調べる学問なのである。最もモニュメンタルな結果の一例を挙げるなら、リンク集の『私の文献』フォルダに納めてある『広中の特異点解消定理の論文』などが、挙げられよう」

麻友「つまり、太郎さんは、定義するところには拘るけど、それを使って、数学の内容を、調べるということに、不慣れだったのね」

若菜「定義というものは、本来、それを使って、何かをしてこそ、意味があるというわけですか」

結弦「久々に、8千文字越え。何か、得られたものがあった?」

私「これは、私にとって、発見だったのだが、上の、


今でこそ分かるのだが、数学の中で、最も難しいと言われる、代数幾何学というものは、主な仕事が、射影空間(グラスマン多様体の一種)の中にある、部分多様体が、どう変形できるだろうか? というようなことを、調べる学問なのである。


というのの、『今でこそ』というのは、本当に今(2021年8月23日22時34分頃)、麻友さんたちに、話していて気付いたことなんだ」

麻友「太郎さん。幸せね。ゆっくり寝て」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2021年8月23日22時39分である。おしまい。