相対性理論を学びたい人のために

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北半球の台風の風の回り方

 現在2011年12月19日16時33分である。

 今日は、やや季節はずれだが、以前から、書く用意をしてきた、物理学の話として、台風の話をしようと思う。

 私は、以前、2009年2月27日、「お風呂の水を抜いた時のうずは右回り?」という投稿をしていた。

 その時、北半球では、台風は、右回りになると書いていたし、ついこの夏まで、そうなっているものと思っていた。

 まず、右回りというものの定義をしておかなければならないだろう。簡単に言うと、上から見たとき、時計回りに回っているとき、右回りという。

 なぜ、時計回りを右回りというかというと、台風の中央に立ったとき前方を、風が右向きに吹いているからである。

 私は、かなり以前から、北半球で、台風は、右回りに回転すると思っていた。

 ところが、今年の夏の台風が来たとき、天気予報の番組を見ていたとき、以下のような映像が映されていた。

台風12号の動画

 

 何度も見たい人は、「もう一回見る」をクリックして欲しい。

 これを見て、私はびっくりした。この台風は左巻きではないか。通常の台風とは違うのではないか。私は、このことを、気象庁に知らせようと思った。しかし、私が間違っている可能性があると思ったので、他の台風の動画も調べた。

 そうしたら、日本に来る台風は、皆、左回りではないか。私の以前の考え方に間違いがあったのか。

 まず、なぜ、右回りになると思ったのかを書いておこう。

 地球は、東向きに自転している。そのため、赤道付近から、北へ向かう物体は、慣性のために、右向きにずれていくことになる。これは、絵を描いた方が、分かり易いだろう。

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 上図のように、赤道から、北に向かうにつれ、地球の回転の半径が小さくなるので、東向きのスピードが遅くなり、そのために、北へ向かうものは、東へ行きすぎるようになるのだ。同様に、北極から、赤道へ向かう物体は、西向きに、曲がることになる。

 もう少し丁寧にいうと、赤道付近では自転のために、地球の表面は、ほぼ音速に等しい1,600Km/hで、東に動いている。それが、北緯60度になると、自転軸からの距離が、赤道の半分くらいになるので、地球の回転は変わらないが、北緯60度の地面は、東に800Km/hで動いているのである。

 だから、赤道付近で、1,600Km/hで、東に動いていた空気の分子は、そのまま、北へ向かったとすると、慣性のために、いつまでも東に1,600Km/hで動き続けることになり、北緯60度では、地面に対し東に800Km/hで、動くことになるのである。

 物体は、止まっているときはいつまでも止まり続け、動いているものは、その速度を変えたがらない、というのが、「慣性の法則」であったから、こういう現象が予言できるのである。


 図は、クリックすると、拡大出来る。

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 この結果として、台風は、右向きに巻き込むことになるだろう。と、私は思っていたのである。

 浪人していたときの地理の先生も、ちゃんとは確かめてなかったのだろう。


 では、実際には、どうなっているのか。私は、大学時代の力学の教科書を読み返してみた。

 

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 そこには、天気図が描かれており、台風の等圧線を右にずれるように、横切っていく向きに風が吹いている様子が描かれていた。

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 つまり、上図のように、風は等圧線を、右向きに横切っていくのである。



 台風の等圧線は、同心円状になっているので、この結果風は、左回りに巻き込むことになるのである。

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 従って、北半球では台風は、左回りになるのである。

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 私は、今まで台風の回る向きを間違って理解していたのである。
 天気予報で台風の回る映像は何度も見ていただろうに、固定観念があったので、気付かなかったのである。
 今日は、やっとこの投稿ができて良かった。
 今日はここまで。

 現在2011年12月19日19時34分である。おしまい。


 注記

 現在2012年12月9日4時19分、説明を補足しました。

 

 現在2016年9月1日0時20分。図を復活させた。

 

 現在2021年5月4日5時24分。『力学』の本の新装版が、出ているので、リンクを張り替えた。