現在2006年4月25日19時47分です。
3月17日の投稿で書いた、「基数制限のない飽和モデル」というものについて、私が、齋藤正彦先生に出した質問状のお返事をもらった。
結果から書こう。私が、構成したと思ったものは、残念ながら、満足なものではなかった。やはり、基数制限のない飽和モデルというのは私の夢だった。
齋藤先生は、超積と超準解析を書かれてから、余りにも時間がたっているので、忘れていることも多いからと、若い現役の基礎論の専門家に私の手紙を見せて、きちんとしたお返事を下さった。
おまけに、私に、これに懲りて、がっかりしてしまわないように、とまで書いてくださった。本当に感謝感激である。
簡単に手紙の内容を要約すると、私の構成したと思った、On上の善良超フィルターは、空集合を含んでしまうと言うこと、また、私が、飽和モデルを作るために考えた超積は、真のクラスを要素として含んでしまうこと、などである。
これだけ不備がありながら、よく論文が書けると思ったものである。やっぱり、オリジナルな論文を書くというのは、そんなに易しいことではないようだ。特に、昔から研究され、踏み固められている分野で、新しい結果を出そうとするのは難しい。それを思い知らされた、今回の出来事であった。
結果は否定的で、私自身少しがっかりしたが、でも、嬉しかった、という気持ちの方が大きかった。東京大学の数学の名誉教授の先生に手紙を書いても、返事すらもらえないのではないかと思っていたのに、きちんと私の手紙を読んで、ちゃんと1月半後には、お返事をもらえたのだから。
そういうわけで、私の卒業研究は、白紙に戻ってしまった。でも、今回このことで、「超積と超準解析」をかなり読んだので、この本を最後まで、きちんと読み切ろうと思った。今までは、書き写しながら読む、というところまで、丁寧に読んでなかったので、このままでは解析入門Ⅰ・Ⅱを超準解析で書き換えていけるほどのレヴェルには達していなかった。だから、今回、まず超積と超準解析を自然科学の良心としてきちんと読み、その後で、解析入門Ⅰ・Ⅱを徹底的に超準解析に書き換えながら読んでいこうと思ったのだ。
基数制限のない飽和モデルは作れなかった。しかし、私は今回のことで、飽和モデルにかなりの愛着が湧いた。だから、飽和モデルを用いて、書き換えていこうと思う。
やっぱり自分の研究したことのあるもの、というのは触っていて嬉しいものである。私にとって、ベルヌーイ数、リーマンのゼータ関数、そして今回、飽和モデル、というものが加わった。他にも、微分形式についても、私なりの結果がある。こうやって、数学のいろんな分野に、自分の仲良しを作っていけば、数学全体が、自分自身と何らかの関わりを持つようになる。具体的に愛着が湧くのである。
今日は、少しのがっかりと、たくさんの喜びを胸に、眠ることが出来る。幸せな一日だった。
現在2006年4月25日20時21分です。おしまい。