現在2006年3月19日0時23分です。
前回の3月17日の投稿で書いたことは、更に発展した。
まず、私が構成したと思った、善良超フィルターFは、フィルターの定義を満たさない。フィルターの定義とは、次のようなものである。
1.1.1 定義
Iを空でない集合、P(I)をIの冪集合、すなわちIの部分集合の全体とする。P(I)の空でない部分集合fが次の三条件をみたすとき、fをI上のフィルターと言う:
a)¬(φ∈f) すなわちfは空集合を含まない
b)A⊂I,B⊂IのA,Bについて、
A∈f,A⊂B ⇒ B∈f
c)A,B∈f ⇒ A∩B∈f
以上、「超積と超準解析」9ページより。
私の構成したFはOn上のものだったので、集合でない(つまり真部類)ことははっきりしていたが、それは余り問題ではなかった。問題なのは、
A∈FかつA⊂BならばB∈F
が満たされないことである。例えば、BとしてOn自体を取れば、これは集合ではないから、部類Fの元にはならない。
そこで、フィルターの定義自体を変えなくてはならない。
ベルナイス・ゲーデルの集合論では、Aが集合であるということをm(A)と表す。
そこで、上のフィルターの定義のうち、b)を次のb’)で置き換えなくてはならない。
b’)A⊂I,B⊂IのA,Bについて、
A∈f,A⊂B,m(B)⇒ B∈f
集合でないものについて、その冪集合のようなものを考えられるのだろうかと、疑問に思っている人のために一応書いておくと、部類Aに対し
P(A)={X|m(X)∧X⊂A}
として、ベキ部類と呼ぶものが、定義される。これは存在が保証されている。
さて、上のようにフィルターの定義を変えてしまって大丈夫なのかというと、実は、余り大丈夫ではない。
次の難点は、善良超フィルターを作ろうとしているので、超フィルターの定義が怪しくなる。
実際、I上の超フィルターfの定義は、それがフィルターであって、Iの任意の部分集合Aについて、A∈fであるかI-A∈fが成り立つことである、と言える。
しかし私達は、On上の超フィルターを考えているのだが、Onが集合でないことにより、On∈Fではない、従って、On-On=φがFの元となってしまう。しかし、フィルターの定義により、空集合はFの元ではない。
これは深刻な事態である。実は、超準モデルを作るとき、超フィルターを使うのは、この性質が成り立つことが、本質的に効いているからなのだ。
そこで、救済策を出す。On上で私達が作ったFについて、Onの任意の部分集合Aについて、Aを含む順序数αについて、
A∈Fまたはα-A∈F
が成り立つとき、Fを部類としての超フィルターと呼ぶ、と定義し直さなくてはならない。
こう定義したものが、本当に飽和モデルを作るのかどうかは、私はまだ確認できていない。
第一、Onの元について一つずつ善良超フィルターを選べるという選択公理の使い方は、少し、ベルナイス・ゲーデルの集合論の枠をはみ出している。Onは集合ではないので、それに選択関数が存在するというのは、選択公理の拡大解釈であるからだ。
以上述べたようなわけで、この私の試みは、実際にこのFが使い物になるかどうかを試してみなければならない。そういうわけで、卒業論文のテーマとするにふさわしいかも知れない。
ただ、今まで誰も、基数制限のない飽和モデルを作っていないということは、私の試みは、失敗するかも知れない。
基数制限のない飽和モデルというのは、私の夢なのかも知れない。
今日はここまで。私の書いたことについて、本当はここまで分かっているよ、というようなことを知っている人は、コメントして欲しい。私にとって、それはありがたいことである。
現在2006年3月19日1時29分です。おしまい。