相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

領域不変性定理を目指そう

 現在2005年11月27日9時54分である。

 今日は、昨日のブログで少し触れた、新しい本の紹介をしておこう。

 

 古関 健一(こせき けんいち)著「集合論位相幾何学」槙書店(まきしょてん)

 

 

である。この本は、1974年8月に出版されて以来、売れていないのか、初版のままである。だが、池袋のジュンク堂書店などに行くと今でも手にはいる。

 今から13年ほど前になるが、松本幸夫著「多様体の基礎」を読んでいた頃、17ページの同相写像の定義で、

の開集合Uとの開集合Vについて,

f:U→V は全単射

f:U→V もf-1:V→Uも、共に連続写像

という条件を満たすとき、fを同相写像という

と書いてあった。

 これを読んで、私は、fが全単射で連続なら、逆関数も連続になるのではないか、と疑問に思った。それに、m=nも導かれるのではないかと。

 色々考えた結果、Uがコンパクトな場合と、Vが一次元の場合についてのみ肯定的結論を証明できた。Uがコンパクトだと開集合ではないのであるが、その場合を証明しておくと、後で役に立つ。

 完全な結論が得られなかったので、私は数学好きの発行していた雑誌にこの問題を出して解答を募った。そうしたら、当時東京大学の数学科の博士課程にいた、K.I.さんから解答をもらった。私の予想は正しかったのだ。

 そこで、その証明を雑誌に解答として書こうとしたのだが、何とこれが、代数的位相幾何学のハイレヴェルな定理、アレキサンダーの双対定理というものを用いていたものだったので、当時大学2回生の私には、理解できなかった。

 証明を知りたい人は、最近復刊になった、

小松醇郎,中岡稔,菅原正博 著「位相幾何学Ⅰ」(岩波書店

でも覗いてみれば分かるが、ちょっとやそっとで理解できる代物ではない。ホモロジー代数というものを用いているのだが、それがなかなか手強い相手である。

 私はその時は諦めたのだが、何とかしようと思っていた。そんなとき、最初に挙げた本に出会ったのだ。

 この本では、ホモロジー代数は用いない。従って、まだ「数Ⅲ方式ガロアの理論」を完全には理解していないので、群論を使いたくない私にも、理解できる。この本では、アレキサンダーの双対定理を証明しているのではなく、その結果得られる、ブラウアーの領域不変性定理というものを証明している。私の予想にとってはこれで十分なのだ。

 この本は全部で160ページという薄い本であり、予備知識は、ほとんど必要ない。私は喜んでこの本を読み始めた。しかし、この本はかなり読みにくい本なのだ。一応お目当ての定理までギャップがないことを確かめたが、そのままほったらかしてあった。

 その後私は大学を病気で中退し、リハビリに何年もかかった後、放送大学に入学した。そうしたら、その面接授業で、あの解答を送ってくれた、K.I.さんが講師になっていて、その授業を受けられたのだ。昔のお礼を言って、古関健一の本で勉強しました。と言ったら、「ああ、槙書店のね。」とすぐ通じて、嬉しかった。

 そんなエピソードがあった後、このブログにリンクが張ってある、やっぱり物理が好き、というブログのさとみさんが多様体の基礎を読んでいるというので、私はこの問題のことをコメントしてみた。

 そして、改めてこの本を読み直したのだが、初版なので、誤植は多い、記号は分かりにくい、で、苦労させられることになった。精読するには、時間がかかる。

 だがこの本は貴重な本なのだ。n次元のユークリッド空間が本当にn+1次元のユークリッド空間と異なるのか、ということに答える、次元の定義が載っているのだ。

 もちろん瀬山 士郎(せやま しろう)著「トポロジー:柔らかい幾何学」という本などにも、m次元のユークリッド空間と、n次元のユークリッド空間はm≠nの時、同相にならないことが証明してある。だが、ユークリッド空間の中の開集合同士でも、次元の不変性が成り立つということを証明してある易しい本は他に私は見たことがない。

 その理由は、この定理が難しいというのではなく、証明を書こうとすると、非常に説明しにくいからなのである。そんなわけで多くの著者は、次元の不変性には触れたがらない。

 本当はもう1冊、森田紀一著「次元論」(岩波書店)というのがあるのだが、図書館でやっと見つけて見たところ、旧仮名遣いで書かれていて読みにくい。

 

 そんなみんなが敬遠する分野なら、私が分かりやすく講義してあげようと、重い腰を上げた、というのがこのカテゴリーを作った理由だ。

 少しずつ最初に挙げた本を読んでいこうと思う。まだ絶版にはなっていないので、アマゾン.co.jpで、買おうと思えば買える。私のブログを読むだけで分かるようにするつもりだが、一緒に読んでいこうという人は、手に入れて欲しい。

 今日は紹介だけにする。ゆっくり始めるつもりである。

 現在2005年11月27日11時15分。おしまい。