相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。

ようこそ諸君

 ようこそ私のブログへ

  この一番上の投稿のみ投稿時間を意図的に2018年12月31日に設定してあるので、常に一番上に表示される。2017年1月1日に2019年にシフトするつもりなので、半永久的に、最上段に表示されることになる。  

 

 これ以外の記事は、左の『ブログ内検索』に、キーワードを入れて、検索してほしい。かなり、検索能力は高いので、短い単語でも、大丈夫である。

 

 いくつか、私らしい、特徴の出た投稿があるので、それに対しては、常にコメントを受け付けやすいようにするためにこの措置を講じた。 

 

 これは、「a 女性科学者のスペース2」のsachiさんのブログで、「博士号の意味」という投稿を常時コメント可能にしているのを見て、思いついたものである。  差し当たって、今思い出せるものを並べておく。

 

 

★-7.なぜすばる望遠鏡を作らなければならなかったか(目の見えない人にものを見せるには)

 

★-6.小学生に選挙権を (1番恥ずかしい思い出と共に)

 

★-5.SONY許せぬと書きたかったが1(テロを未然に防ぐ方法)

 

★-4.SONY許せぬと書きたかったが2(逆アセンブルなんて言葉どこにある?)

 

★-3.SONY許せぬと書きたかったが3(少女よ、少年よ、アセンブラと等価になるコンパイラを作れ!)

 

★-2.SONY許せぬと書きたかったが4(勉強で、分からないことがあったら、どうすればいい?)

 

★-1.北上田君の思い出(科学はこう進め!)


★0.
さらば一般相対性理論(このブログに意義はあるのか?)

★1.
一般相対論の勉強法(分かろうとする努力が報われる方法)

★2.アインシュタインのくれた夢(1,000光年のリゲルに生きているうちに行けるか?)

 

★3.夢は実現してこそ相対性理論は、相対的というが、絶対的に効いてくる)

 

★4.相対論への招待(私の探検してきた相対性理論を、誠実に説明するとは?)

 

★5.太宰治も役に立つ(それは、明治の恋愛だわ)(ドラえもんのブログの記事)

 

★6.私の役目(100万人のファン全員と、ひとりにつき2日ずつ、まるごとデートすることはできないか? ある幸せな結婚をした家庭にも訪れたひとつの危機)

 

★7.社会を良くするにはどうすれば良いのか(生まれかわったら何になりたい?)

 

★8.相対論への招待(その2)三平方の定理を使えるか)

 

★9.お金を克服ニュートンの奇跡)

 

★10.相対論への招待(その3)(時間が遅れるって、それが理由?)

 

★11.相対論への招待(その4)(磁力線というものはあるのか?)

 

★12.相対論への招待(その5)(AKB48選抜総選挙エントロピーの定義)

 

★13.電子辞書手に入れたよ秋葉原のAKB48カフェで、イチゴ狩り)

 

★14.ストーカーの心理(こんなことが原因で殺されたら、泣くに泣けない)

 

★15.相対論への招待(その6)(数学そのものは、フェアなのに、人間ドラマが、ドロドロなのね)

 

★16.相対論への招待(その7)(未知数をエックスと書く)

 

★17.ベートーヴェン交響曲第7番(なぜ太郎さんが、そんなマイナーなお芝居のことまで知ってるの?)

 

★18.入院の思い出(私の量子力学では、その物理法則というものが、原子や分子みんなで、相談して、これからは、別な動きをしようよ、ということになったら、変わりうるものだ、というわけなんだ)

 

★19.入院の思い出(その2)基本情報技術者試験アセンブラ

 

★20.相対論への招待(その8)(『数Ⅲ方式ガロアの理論』のガイドブック?)

 

★21.相対論への招待(その9)(他の人のやりたがらないことをすると、お金がもらえる)

 

★22.量子テレポーテーションは、大丈夫?ゴールデンウィークに、日本の子供たちのために何ができるか、この雑誌で考えてみませんか)

 

★23.半年間頑張ってみる(訳し終えられなかったら、これっきり、というのは?)

 

★24.結婚をシミュレート(その2)(彼女が我が家の一員になることを父に紹介した瞬間)

 

★25.なぜ本を全巻そろえて買うか (大天才にして、悪魔。イエス様よりすごい)

 

★26.『水素が酸素を好きっ』って素敵でした(私の科学は、『好きっ!』の上に建設されている)(ドラえもんのブログの記事)

 

★27.選抜総選挙4人同時に1位という提案(人類の未来のために、何ができるか、と考えないで、何が今日の食事だよ)

 

★28.手加減しないで!(極度の冷え性だから・・・)(ドラえもんのブログの記事)

 

★29.なぜ天然のものが良いの?(お醤油とお酢の実験と光学異性体)(ドラえもんのブログの記事)

 

★30.ベートーヴェン交響曲第8番冷え性そのものを防ぐ方法)

 

★31.人を生き返らせる方法を見つけるには(最初に『これ、できる』と信じるきっかけ)

 

★32.隠すべきでない事実(麻友さんと私が、寂しさに耐えようじゃないか)

 

★33.数Ⅲ方式ガロアの理論(麻友姫救出作戦)(ドラえもんのブログの記事)

 

★34.吉野弘さん亡くなってたのか(ボケたり気が狂った人の脳の働きを正常に戻す方法がある?)

 

★35.小林りんさん、しごくなあ (科学に関してロビー活動を行いたい)

 

★36.キログラム原器がどうなるの?(水が1番重くなるのは何度のとき?)

 

 

 

☆47.この世界の本当の姿は?3(努力で世界は変わるか?)(一部復活中)


★48.
解析入門Ⅰを読んでいるだけで十分勉強になる(正しくない命題の中には、正しくないということを誰にも証明できない命題がある)

★49.
順序に入り♪(数学において正しいとはどういうことか)

★50.『解析入門Ⅰ』§3問題5)
(この問題の完全解を作成中です)

★51.
「気違い」の定義統合失調症とは?)

 

★52.理論物理学者として(男の子達が、みんな喜ぶのにどうしてしちゃいけないの?)

 

☆53.分かりにくかったのだろうか(1~6,1~10)(私がどう気違いであるか)

 

★54.エイブラハム&マールスデン&ラティウに到達している統合失調症の妄想とはここまで広がる)

 

★55.神様(この世界には、「選ばれた人」が、いるのか)

 

★56.不協和音を不快に感じる理由(神様がいなくとも、この世界は、美しくなる)

 

★57.2人の素敵な女の人(ここが、渡辺麻友さんとの原点)

 

★58.傾国(天才というのは、無報酬でも努力できる人)

 

★59.『感情をなくした』心に響く言葉(皆、自分だけだと思っている)

 

★60.麻友&太郎という公認カップル (愛されていれば、ここまでできる)

 

★61.キスにも色んなキスがあるんですね渡辺麻友さんの心まで欲しいという人には、麻友さん自身を、麻友さんが耐えられるまで、一時、身近に行かせてあげるよ)

 

★62.先輩として叱る必要があるか(後輩との接し方)

 

★63.麻友さんの愚問(大先輩なら)

 

★64.ハグされちゃった (私にもガール・フレンドがいたことがある)

 

★65.私とエロイカ(なぜ私のペンネームがEROICAか)

☆66.私のメモ横浜市立みなと赤十字病院とは、こんなところだった)

 

★67.宇宙の外に出られる看護婦さん(柔軟な発想と読書)

 

☆68.やっぱり、シャコンヌにしようか前橋汀子さんとウィーン・フィルの共演を求む)

 

★69.最高の便箋(コンサートでのマナー)

 

★70.レオナルド・ダ・ビンチを真似てはいけない(リーマンゼータに関する私の数学の最前線の1つ)

 

★71.シュールですね(これを、数式ではなく、絵だと思ったのだな)

 

★72.「やっほー」の効果超越数の独立性に関する私の数学の最前線の1つ)

 

★73.はやぶさまゆゆか、はやぶさか)

 

★74.はやぶさ(その2)(映画『はやぶさ/HAYABUSA』の解説)

 

★75.はやぶさ(その3)(初めて、1回だけ1位になったきりAKB48を去った人)

 

★76.はやぶさ(その4)(それが、イトカワの微粒子か)

 

☆77.宇宙の年齢を求める(その1~その9)(ハッブル定数からの計算法を説明しました)

 

★78.IH(アイ・エイチ)調理器のこと(古典論で磁石とは相対論的現象だ) 

 

★79.ハイゼンベルグの先見の明(乱流は量子論的効果か?)

★80.
私が数学を信奉する理由(9.11はテロではない)

 

★81.欽ちゃんみたいな人に会いにいったら? (天才を目指す人へ)

 

★82.私の憧れの人(私はどんな人間になりたいか)

 

 

 

 以下は、女の人のところへ来たドラえもんというもう一つのブログの記事

 

★1.最初に種明かしします量子力学の使い道)

 

★2.右がどっちか答えるまで10分かかる少年(覚えている限り一番昔の事)

 

☆3.躍るアトム(その1~その5)(原子ってどれくらい小さい?)

 

★4.たのしい算数(数学の天才のつくり方)

 

☆5.持ち上がった卵(その1~その5)(人生最初の実験)

 

☆6.1から始める数学(その1~その15)(1から0をつくるまで)

 

★7.相対性に破れたスパイ作戦(ひらがなしか読めない子にこんな本無理か)

 

★8.相対性に破れたスパイ作戦(その2)(小学校1年生の私は何を見たのか)

 

★9.解ける謎は解こう(ブログのアクセス解析の謎。男の人たちが、ロボットを愛するようになったら、日本は、おしまいよ)

 

☆10.謎、解けたよ(その1~その6)(すべて正直に公表することの大切さ)

 

★11.整数環(太郎さんって、本当に勇ましいというか、向こう見ずというか・・・)

 

★12.2017年1月13日朝はここまで(人間が、誰かを、尊敬するか、軽蔑するかって、ほんの些細なことが原因であることが多い。天才数学者って、どんな落書きするの?)

 

★13.整数環(その2) (公理的集合論登場)

 

★14.太宰治も役に立つ(軽蔑しきっていた人への花)

 

★15.『水素が酸素を好きっ』って素敵でした(私の科学は、『好きっ!』の上に建設されている)

 

★16.手加減しないで!(極度の冷え性だから・・・)

 

★17.なぜ天然のものが良いの?(お醤油とお酢の実験と光学異性体

 

★18.数Ⅲ方式ガロアの理論(麻友姫救出作戦)

 

  ★は、それだけで単独の投稿。☆は、その話題を論じた中で、中心となる投稿へのリンクであり、他のいくつかの投稿と関係があることを示す。

  コメントは、いつ行っても良い。よっぽど大量にコメントされない限り、なんらかのレスポンスはするつもりである。

  ワンクリック詐欺につながるようなコメントがあった場合を除き、基本的に、コメントはすべて残す。

  自由に書ける代わりに、下らない中傷を書いたりすると、永遠に残るので、後で恥ずかしくないよう、それなりに節度は守った方が、ご自分のためでしょう。

  それでは、炎上されるのは困るが、活発な議論をする分には、何度コメントされても良い。

  誠意のある熱心なコメントには、私としても、200字以上の誠実なレスポンスを出来るはずである。
  では、よろしく。

  追記  一時、このブログが、閉じられていた間に、2008年04月28日の「中島みゆきファンに捧ぐ」という投稿から、2009年07月04日頃の投稿までが、電子データから、削除されました。

 このブログを再開する際、電子的にバックアップを取ってあったものが、2008年04月28日までだったので、そこまでしか、まだ、復旧できておりません。

  しかし、私の家には、紙に印刷した形で、2009年04月18日までの投稿、および、コメントが、残されています。これ以前のものは、コメント者のリンクは復元できませんが、コメント本文は、復元できます。

 従って、皆さんが、心を込めて、コメントしてくださったものは、ほとんど、復元できます。  また、一度ネット上に流れた、データですから、本来なら、全部、どこかのハードディスクに記録が残っているはずです。

  私が、もっと有名になって、私の過去が語られる際には、その完全復刻版のブログが、公開できると思われます。

   それでは、よろしく。

2009年12月28日4時54分追記しました。
2015年8月5日3時43分一部改訂しました。

 

美しい結果

 現在2017年11月30日16時33分である。

「『美しい結果』って、数学の問題が解けたの?」

 いや、そうじゃないんだ。

 私の手が、綺麗になった、という話なんだ。

「えっ、太郎さん、汚職か何かしてたの?」

 いや、本当に、手が綺麗になったんだよ。

「どういうことよ?」

 実は、今日、駅ビルのくまざわ書店へ行ったとき、『日経サイエンス』を見たんだ。

 これ。

 2番目の見出しに、

統合失調症-見えてきた意外な要因-』

とあるでしょう。

「えっ、太郎さんの統合失調症が、治るの?」

 今後の社会の動きようによっては、治る可能性ある。

「どういう記事なの?」

 あー、ゴメン。明日、友達が結婚するので、会費が1,000円必要だったから、この1,440円の雑誌は、買えなかったんだ。

 ただ、読んできたポイントを話すとね、

・この病気がいくつもの遺伝子が原因で起こる病気で、1つの原因の遺伝子を叩けば良いというものではないということ。

統合失調症の人が、よく悩ませられる、抑うつ状態というのが、病気が原因か、病気が原因でないか、が、かなりはっきり分けられるということ。

・35歳までに、発症しなければ、後は滅多に発症しないこと。

・今、100人に1人がかかる病気で、ものすごく最先端の医学が用いられていて、多くのお医者さんが治そうとしていること。

 などのことが、書かれていた。

「その抑うつ状態というのは、どういうものなの? そもそもなんて読むの?」

 ああ、これは、『よくうつ』状態と読んで、簡単にいえば、小学校のとき、遠足の日に雨が降って、遠足に行かれなかった児童の気分。

「つまり、気分が晴れないの?」

 そう。

「じゃあ、ただのうつ状態と、どう違うの?」

 えっ、『抑うつ』と『うつ』の違い?

 そんなこと、考えたこともなかった。

 ちょっと調べてみる。

 (電子辞書を)カチャカチャ。

 分かんないなあ。同じ英語の『depression』の訳なんだけど、違いなんてあるのかな?

 ちょっと麻友さん、どいてて。

 (パソコンのグーグルを開き)カチャカチャ『うつと抑うつの違い』ポンッ!

 わざと2番目にヒットしたのをタッチ。

「えっ、なんでわざと2番目にするの?」

 何かを調べるとき、最初にヒットしたのは通り一遍のことしか書いてなくて、2番目の方が、詳しく書いてあることが、経験上よくあるから。

「子供たちに、そういう必殺技を教えるには、どうしたらいいのかしら?」

 私の場合、自分で、『一般相対性理論を制覇しよう!』というブログを開いてたとき、グーグルで『一般相対性理論』と検索すると、1番上がWikipediaの記事で、2番目が私のブログだったのね。

 そして、私のブログには、今でもそうだけど、相対性理論に関して、Wikipediaにも書いてないことが、書いてあるでしょ。

 そういう『自分でやったんだ!』、というのがないと、人間はなかなか成長しないよ。

 これから、人が死なない世の中になって、生き急ぐ必要がなくなるんだから、子供が自分で気付くまで、パソコン触らせておけば良い。

「それで、うつと抑うつの違いは?」

 カチャカチャ、スー、スー。カチャカチャ、スー、スー。エッ、エッ。

 これ、麻友さん。ホームランと言っていいな。

「ホームラン?」

 あの『欽ちゃんみたいな人に会いにいったら?』の記事で書いた、長嶋でも打てないホームランだよ。

「なんか、『補欠くん』の1万打席に1本の超特大場外ホームランとか言ってたわね。私は、今度は、補欠に回されたの?」

 私は『抜群くん』のかっ飛ばすホームランも見ていることにした。と言ったでしょう。麻友さんは、『抜群くん』だよ。

「何が、分かったの?」

 日本では、うつ状態、というのと、抑うつ状態、というのは、使い分けられてる。

「どう違うの?」

 ものすごく分かりやすく言うと、『うつ病』というものはあるけど、『抑うつ病』というものは、ないんだ。

「じゃあ、『抑うつ』という言葉は、どう使うの?」

 『抑うつ状態』という使い方をする。

「結局、何が違うの?」

 抑うつ状態の方は、うつ病という病気の人と同じような、うっとうしい気分になっている状態であり、脳に障害が現れているというほどでなくても、使われる言葉なんだ。

「じゃあ、抑うつ状態というのは、病気の人にも、病気でない人にも使われるわけ?」

 そういうことだ。

「これが、ホームランというのは?」

 その、調べていた、

『「うつ病」と「抑うつ状態」の症状と違いは?うつを正しく理解しよう』

というページで見ていたとき、私は、今まで自分が、ストレスという言葉をきちんと理解してなかったな、と気付いたんだ。

「太郎さん、今まで、ストレスってどう思ってたの?」

 ストレスって言うんだから、例えば、緊張みたいなことでしょ。

 3点差をひっくり返さなければならないバッターが、打席に向かうときは、そりゃー、緊張で、プレッシャーがかかるでしょ。

 このこれから起こることに対するプレッシャーのことを、ストレスって、言うんだと思ってたんだ。

「えっ、それ、間違ってないはずよ」

 いや、実は、ストレスというのは、これだけじゃないんだ。

 そのページの言葉を使うなら、

『ここでストレスとは何かと定義すると、「自分が望んでいるものと実際に起こったことが、全く違っていたことに対する身体の反応」です。』

とある。

 つまり、そのバッターが打席に向かい、ホームランを打ったのならストレスは消える。

 でも、セカンドゴロに打ち取られたのなら、『ホームランを打ちたかった』という望みと違う現実となり、その場合、打席の後もストレスは続くんだ。

「つまり、太郎さんは、これから起こることでなく、もう起こったことからも、ストレスは生まれると、気付いたって言うのね」

 そう。

 麻友さんの、『うつと抑うつはどう違うか?』という疑問に答えようとして調べていて、こんな成果があった。

「だから、私の言葉がホームランだというわけね」

「そんなにすごいことかしら?」

 いや、麻友さんは、自分が統合失調症ではないから、今後私が、統合失調症についての文献を読むときに、この違いを知ったことで、新しい見方ができるという嬉しさが、分からないんだよ。

「じゃあ、私は、麻友さんのホームランのお陰だよ、という言葉に、素直に喜べば良いのね」

 もちろん。


「ところで、日経サイエンス統合失調症の記事は、どうなったの?」


 ここまで書いてきたんだけど、一旦止めよう。

 文章が長くなりすぎる可能性がある。

 続きは、また書くことにして、楽しい会話で終わろう。

 12月1日の日、結婚パーティーに行ってきて、祝福してあげて、楽しかったんだけど、あの日ちょっと寒くて冷えたのね。

 家に入ってエアコンつけても暖かくならなかったんだ。

 それで、エアコンの真下へ行って温まっていたんだ。

 その時初めて気付いた。

「何に?」

 雑誌『BOMB』12月号のポスターの3人が立っている写真。

 その時、私が座ってたから、

『あっ』

と、思ったんだけど、両脇の2人の靴が、おとなしい、黒であるのに対し、麻友さんだけ、ピッカピカに磨き上げられた黒い靴を履いている。

「気付いた?」

 麻友さん。小学校6年生のようにして、大事に卒業させてもらえるんだね。

「これからの、大変さもあるけど、ひとまず後1月ね。」

「それを言いたかったの?」

 なぜ、ポスターがそこに貼ってあったかも書いておきたいんだ。

「なぜなの?」

 あのポスター、どこに貼ろうか考えた末に、エアコンの下に貼ったんだ。この時は、下心はなかったんだ。

「太郎さんが、下心?」

 貼ってから、エアコンを動かそうとして、あっ、これだと気流の関係で、ポスターが持ち上がっちゃう、と気付いたんだ。

「私のスカートが、フワフワしちゃうのね。エッチね」

『スカート、ひらり』の麻友さん。今夜はお休み。

「お休み、太郎さん」

 現在2017年12月5日23時28分である。

キログラム原器がどうなるの?

 現在2017年10月28日21時34分である。

「なんか、私の体重が、ほんのちょっと軽くなるっていうニュースを見かけたんだけど」

 あっ、流行に敏感な麻友さんが、現在の国際キログラム原器が、時代後れになって、重さの単位が見直されるというニュースを見たんだな。

「どうして、私の体重が軽くなるの?」

 いや、軽くなるってのは、本当は、ウソだけど、麻友さんの体重は公開されてないけど、例えば、43kgだったとして、それの表示するときの数字が、42.99999999kgになる、というような話なんだよ。

「じゃあ、私、これからは、体重を42.99999999kgと書かなければ、ならないの?」

 違う違う。これは、冗談。

「じゃあ、どういうことなのよ!」

 麻友さん、1kgって、どう定義されてるか知ってる?

「1キログラム。金塊か何かが1kgあるの?」

 もっと自然に考えて。

 1リットルのりんごジュースって、重さはどれくらい?

「大体1kgのはずよね」

 それで、いいんだよ。昔の人も、1リットルの水の重さを1kgと定めたんだ。


「でも待って、1リットルというのは、どうやって決めるの?」

 鋭いね。

 麻友さんは、小学校1年生の頃、1cmずつ目盛りを刻んだ、縦横高さ共に10cmの真四角な入れ物を、先生が持っていたのを覚えてないかな?

「そんなこと言われても・・・」

 うん。あの、10cm×10cm×10cmの入れ物が、1リットルなんだ。

「じゃあ、1cmを決めれば、1リットルは定まると言うこと?」

 その通り。


「じゃあ、1cmは、どう決めたの?」

 正確には、1cmではなく、その100倍の1mというものを、定めたんだよね。

 一時は、地球の北極から赤道までを・・・

「あっ、覚えてる。北極から赤道までが、1万kmなのよ。これが、もし1000kmだったりしたら、『母を訪ねて三千里』の子供は、地球を何周もしたことになると、『はやぶさ(その2)』の記事か何かで太郎さんが言ってた」

 良く覚えてた。

 本当に地球を測量して、これが、1メートルだ、というので、『メートル原器』というものも作った。


「これで、1リットルは、確定したわね。そこから、1kgね」

 ところが、1リットルの水の重さというのが、曖昧なんだ。

 なんでかというとね、麻友さんもお風呂に入っているとき感じるように、温かいお湯ほど上にくるでしょ。つまり、温度によって、水は重さが違うんだ。

「じゃあ、0℃とか、分かり易いものにしたら?」

 うーん。0℃は、簡単なんだけどね、実際に使われたこともあるんだけど、水と氷は重さが違うから、その境目は使いにくい。

「だとすると、・・・」

 麻友さん。ネックレスや指輪などのジュエリーのブランドで、温度がブランド名になってるところ知らない?

「4℃(ヨンドシー)ね。でもあれは、氷が張るような湖で、唯一魚が生きられる温度のところ、という意味じゃなかったかしら・・・」

 そう。まさにそれなんだよ。

 水は、4℃のとき、厳密には、3.98℃のとき、最も重くなるんだ。だから、湖のいちばん底の水温が4℃なんだ。そのため、氷が張った水面からいちばん遠くて、魚が生きられるんだ。

「それは、知らなかったわねー」

 私自身も、水が4度でいちばん重くなることは、知ってたけど、ブランドの名前の由来は、麻友さんのために調べるまで、知らなかった。

「お互い、一緒に勉強してるのね」

 友達や恋人と一緒に勉強するというのは、本当は勉強の仕方としては、良い方法じゃないんだけど、楽しく勉強できるというのは、他に代えがたいね。

「友達と勉強するというのは、ダメなの?」

 成績の悪い子供が、少し良い子供に引っ張ってもらうというレヴェルなら、友達と一緒でも良い。

 でも、トップレヴェルを目指す子供の場合、自分を信じて、グングンひとりで突き進まなければダメだ。


「それで、4℃が出てきたということは、1リットルの4℃の水の重さを、1kgと決めたのね」

 そういうこと。

 ただ、数学と違って物理学は余り美しくなくて、このとき、気圧が1気圧だ、という条件も付けないと、確定しない。

「確かに、物理学の方が、込み入ってるわね」

 そうなんだ。


 さて、1795年から1799年の頃が、水による定義だったんだけど、固体の方が、重さを測りやすいということになった。

「でも、金塊が1kgあるという話は、聞かないわね」

 そう。金じゃなくて、もっと高価なプラチナを、使ったんだ。

「前から、聞きたかったんだけど、プラチナより金の方が、絶対綺麗なはずなのに、どうしてプラチナの方が高いの?」

 麻友さん。本当に、金とプラチナの値段、調べた?

「えっ? 金よりプラチナの方が高くない? プラチナチケットって言うし・・・」

 2017年10月30日10時の日本マテリアル発表では、

金1g     5,072円

プラチナ1g  3,724円

となっている。

「えー、プラチナより金の方が高いの? 初めて知った」

 実は、私自身も、金とプラチナは、ほとんど同じで、逆転することもある、とまでは知ってたんだけど、今、こんなに差が付いているのは、調べるまで知らなかったんだ。

「だから、太郎さん自身、『もっと高価なプラチナを・・・』って、書いてるのね」

 金に比べて綺麗でなくて、銀と大して違わないプラチナが、こんなにも大事にされる理由は、ものすごくちょっとしか採掘できていないからなんだ。

「どれくらい少ないの?」

 金の採掘量は、15万トンから30万トンの間くらい。それに対し、

 プラチナの採掘量は、5千トンくらいしかない。

「1万トンにも、とどかないのね」

 これが、どれくらい少ないかというと、人類がこれまでに手にしたプラチナ全部5千トンを、立方体にまとめると、AKB48が、いつも踊っているステージに置けてしまうくらいなんだ。

「何メートル?」

 6メートルくらい。

「どうやって、計算したの?」

 プラチナの密度は、金とほぼ同じで、21くらい。だから、5千トンのプラチナを水に変えると、5千割る21で、238トンくらいになる。

 238トンの水を立方体にするには、238の3乗根。この3乗根は、・・・

「大丈夫。Googleに『238の3乗根』って、入れればいい」

 さっすが!

「6.19mくらいか。本当にステージに置けそうね」

 そうなんだ。世界中全部集めても、6メートルちょっとなんだ。この実感は、覚えておくと、色々と役に立つ。


「キログラム原器から、話がそれちゃったけど」

 そうだったね。

 希少価値だけだったら、他にも、珍しいものはあるんだけど、プラチナのすごさは、その安定性にある。

「バランス取るのがうまいの?」

 それ、本当に、特待生の質問かよ?

「えっ、だって、これしか。そもそも、特待生という言い方は、封印されたはずだし」

 分かってるよ。普通の人が、安定といったら、バランスのことだよね。

 化学的に安定というのは、酸やアルカリに侵されない、という意味のことが多いんだ。

「あっ、やっと出てきた。ヒアルロン酸ナトリウムの『酸』!」

 うん。とうとう出てきちゃったんだけど、あの『AKB48中学理科』でも、既に、水素イオンと水酸化物イオンという言葉があって、中学でも、酸性、アルカリ性というものを、少し習う。

 だが、本当のところを言うと、高校に行っても、まだ酸アルカリが、完全に分かったとは言えない。

 どういうことかというと、高校では、酸性とアルカリ性の度合いを、pH(ペーハーと読みます)という記号で表すんだけど、それを、

{\mathrm{[H^{+}][OH^{-}]=10^{-14}}}

という式が成り立つので、

{\mathrm{pH=-\log[H^{+}]}}

と、定義します。

というように、一応話は進むのだけど、なぜ上の式が成り立つのかや、対数で表せる根拠などは、実験でそうなるので、という以上説明してくれない。

「じゃあ、大学では、教えてくれるの?」

 私は、授業に余り出ていなかったので、教えてくれるかどうか、分からない。

「わっ、ひどい。太郎さん自身、分かってないんじゃない」

 それは、認めるんだけどね、私自身、次のような本で、少し調べてみた。

田崎晴明『熱力学』(培風館)

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)

熱力学―現代的な視点から (新物理学シリーズ)


「熱のこと調べたって、しょうがないじゃない」

 いや、これは、平衡状態の話だから、熱力学で扱うものなんだ。

「それで?」

 ある意味、昔の人を尊敬した。

「どういうこと?」

 要するにね、酸とかアルカリというのは、ものすごく複雑なことが起こっているのを、大雑把に、

『こんな感じ!』

みたいに、ぱっと数値で表したものなんだ。

「だから?」

 つまりね、細部を追求すればするほどぼろが出てきて、分からなくなっちゃうんだ。

 大雑把に、ペーハー3とか、ペーハー9とか、言ってる方が、よっぽど物事の本質をとらえているわけ。

 だって、塩酸と硫酸と硝酸、あと他にお酢である酢酸(さくさん)、DNAのデオキシリボ核酸ヒアルロン酸、などが、全部同じ尺度で測れるっていう方が、無理あるよ。それを、・・・

「勇気を出して、バンと決めたのが?」

 アレニウスや、ブレンステッドや、ローリーや、ルイスという人達だ。

「大勢いるのね」

 それぞれに、ちょっとずつ考え方が違う。でも、大学入試では、ルイスの定義までは要求されないだろうと思う。私の高校の化学の参考書にはない。

「それで、結局、ヒアルロン酸ナトリウムの酸というのは、何だったの?」

 酸というのは、水素イオンを出すものと、中学で習うようだけど、それは、大丈夫?

「水素イオンって?」

 水素原子というのは、陽子1個のまわりを電子が1個がまわっているもの。

 そこから、電子を奪ったものが、水素イオン。

「じゃあ、水素イオンって、陽子って、こと?」

 そうだよ。

「なーんだ。ただそれだけのこと」

 聞いてみて良かったでしょ。

「まあね。でも、水素イオンってことは、プラスだけなのね」

 そう。だから、こういうプラスのイオンのことを、陽イオンと言う。

「ちょっと待って、イオンという言葉が、まだ分からない」

 そうだったね。そもそも、この世界の物質は、プラスの陽子と、プラスでもマイナスでもない中性の中性子と、マイナスの電子からできている。

 陽子が6個、中性子が6個、集まってくっついたものを、炭素12の原子核という。これは、電気的には陽子が6個だから、6個分だけプラスが多い。

「ちょっと待って、いつの間に、炭素という言葉が出てきたの?」

 そうだったね。陽子が6個集まっている原子には、炭素という名前が付いていると思うと良いんだ。

「じゃあ、金は、陽子いくつ?」

 79個だよ。

「わぁー、79個だって。大事に覚えておこう」

 無理に覚えるより、元素の周期律表(げんそのしゅうきりつひょう)というものの見方を覚えた方が、良いと思うよ。

「それは、中学では、習わなかった」

 インターネットで、検索してごらん。113番が、Nh(ニホニウム)になってるよ!

「えっ、それって、新しいことなの?」

 2017年版の理科年表では、まだ改まってなかったものだ。

「へー。あれっ、金はどこだろう?」

 ど真ん中のAuというのが、金だよ。

「なぜ、Goldなのに、Auなの?」

 聞くと思った。

 これは、ラテン語の『灼熱(しゃくねつ)の夜明け』を意味するaurumから、来ているらしい。要するに、輝いていると言いたかったのだろう。


 道草はこれくらいにして、陽子が6個のものが、炭素だった。

 そして、陽子6個と中性子6個で、炭素12なんだけど、これだと6個分プラスが多い。

 だから、このままだと、電場がかかったとき(易しい言葉で言えば、電池をつないだりしたとき、)ビューンと、動き出してしまって、落ち着きが悪い。

 そこで、この炭素12の集まりの周りを、電子を6個まわらせてやる。

 そうすると、プラスマイナス相殺して、中性の炭素12となる。


「中学で聞いてたときは、余り疑問に思わなかったんだけど、陽子6個分のプラスと電子6個分のマイナスって、綺麗に相殺されるの?」

 どんどん、聞いてみな。

 まず、電子1個のマイナスの量が、全部の電子について、同じかどうか?

 これは、物理学者達がずっと実験してるけど、違うものは一度も見つかってない。

「ふーん」

 ただーし。

 この電子の電荷、具体的には、

{-e=\mathrm{-1.6021766208 \times 10^{-19}C}}

を決定する有名な油滴の実験をしたロバート・アンドルーズ・ミリカンという素晴らしい物理学者が、論文の中で、

『1回だけ、3分の1になったことがあった』

と、書いているのだ。

「それが、問題なの?」

 その時は、

『正直だね』

ぐらいで、済んだし、ミリカンも1923年にノーベル物理学賞をもらった。

 ところが、1964年になって、クォークモデルという素粒子のモデルが提唱されてみると、ここでは、

{-e/3}

が、電荷の単位だということになった。

「えっ、でも、『違うものは一度も見つかってない』って、言ってたじゃない」

 うん。ミリカンのあの1回が、実験ミスだったのか、本当に3分の1だったのか、その後、物理学者達が、必死に実験しているけど、3分の1のものは、見つかってない。

「わぁー、でも、『1回だけ、3分の1になった』って、論文に書くのも勇気いるわよねぇ」

 多分、ミリカンは、自分の実験に、自信があったんだろうね。自信があって、この {e} の値が、採用されると確信してたから、失敗っぽい実験結果も、きちんと公表したんだろう。

 自分の仕事が、良い仕事になっているという自信を持つことも重要だね。


「どの電子についても、マイナスの量が同じというのが、今の実験ね。次は、電子のマイナスと陽子のプラスが、ぴったり相殺するかよ」

 これもね、うまいことを考える人がいるもので、もしちょっとだけ陽子の方がプラスの加減が、大きかったとして、水素分子を考えると、2つの陽子と2つの電子からなっているから、少しだけプラスになるはずだよね。

「そうかな」

 そこでね、水素を溜めてあったところから、水素を抜いて、プラスの加減が減るかどうか、実験したんだ。

「それで、違いはないというわけね」

 そういうことだ。


「太郎さんの物理学や数学の話を聞いていると、人間達が、ひとつひとつコツコツ積み上げてきたものが、科学だ、というのが、良く分かるわね」

 それは、勉強していて、私も思うよ。

 歴史上には、STAP細胞みたいな論文も、数多くあるんだけど、間違っていたものは、必ずその後に修正されることになる。


「もうひとつ聞いていい?」

 いいよ。

「陽子6個と、中性子7個というものは、ないの?」

 あるよ。炭素13というものだ。

「13というのは、6と7の和?」

 そう。

 この中性子の個数が違うものを、同位体と言って、実は、同位体を調べていくと、放射能を出して壊れてしまう、放射性同位体(ほうしゃせいどういたい)(ラジオアイソトープ)というものに、行き着く。

 1898年に、キュリー夫妻が、ウランの鉱石の中から見つけたのは、ラジウム(とポロニウム)で、これらの原子核は、放射能を出して壊れてしまうものとして見つかった、最初のものだった。

キュリー夫人って、2世紀も前の人なの?」

 そうなんだねぇ。昔は、放射能の強さを表すのに、Ci(キュリー)という単位が使われていた。ラジウム1gが出す放射能の量だった。

 でも、今は、ベクレルという単位に置き換えられてしまった。

 時代の変遷を、感じるね。


「こういう質問もしてみたいの」

 いいよ。

「陽子5個と中性子7個というのはあるの?」

 陽子5個だと、ホウ素のはずなんだけど、中性子7個ということは、滅多に起こらない。

「太郎さんは、何を見て、あるとか、ないとか、言ってるの?」

 理科年表の、今、見ているのは、2016年のだけど、これで、

理科年表 平成28年

理科年表 平成28年


『原子,原子核素粒子

の中の、

安定同位体

と、

『おもな放射性核種(放射性同位体)』

の表に、麻友さんの言ったものがあれば、『あるよ』と言うし、なければ、『滅多にない』とか言ってるんだ。

「うわぁー、太郎さんの虎の巻が、分かったー!」

「ねっ、ねっ、もっと教えて。その理科年表は、どういうとき、あるとかないとか、決定してるの?」

 結局、実験して、どうか、というのにつきるんだよ。

 数字が小さいところでは、理論的にこれは無理、みたいに分かることもあるけど、物理学でいちばん権力を持ってるのは、実験だからね。

 だから、天文学は、物理学でない、などということになってしまったりする。

「じゃあ、その実験している人達、責任重大じゃない」

 そうだよ。国家の威信をかけて実験してる。

 それでも、時々間違えることもあるけどね。


 私が、高校生の頃、『数学辞典』に、間違った式があるというので、騒がれたこともあるくらい。

「本当に、間違えてたの?」

 あれは、本当に間違えてた。

 数学の場合、計算しちゃえば、正しいか間違ってるかはっきりしちゃうから、申し開きできなかったんだ。

「それで、一応、陽子5個と中性子7個というのは、なさそうなのね?」

 こういうのはね。無理矢理ぶつけて、一時的に作ることはできるけど、1秒の何百万分の1とかで、壊れちゃうから、そういうものは、ないということにするんだ。

「太郎さんと話していると、普通授業でなんとなく霧がかかっているようなところが、ものすごくえぐり出されるわね」

 でも同時に、謎も深まるでしょ。

「ひとつ山に登ると、山脈が見えてくるんだったわね」

 そう。


「その見えてきた、山脈で、もうひとつ」

 いいよ。

「これ、前から知りたかったのよね。良く、陽子2つと中性子2つで、ヘリウムとか言うじゃない? 陽子は、どちらもプラスなのに、どうしてくっつくの?」

 そういう疑問を囲ってる高校生って、多いらしいね。

「太郎さんは、疑問に思わなかったの?」

 私は、中性子が、間に入って2つの陽子を引き留めてるんだと勝手に思っていた。

「それが、正解なの?」

 いや、正解じゃない。

 実は、私には、この説明をする資格はないんだ。

「どういうこと?」

 これを、説明したのは、前に出てきた日本で最初にノーベル賞を取った湯川秀樹なんだ。

「日本人の成果なの?」

 そう。湯川秀樹が1934年から1935年頃、中間子(ちゅうかんし)という、電子の200倍くらい重いけど陽子の10分の1くらいの重さの新しい粒子があって、この粒子が、陽子と陽子や、陽子と中性子の間を取り持っているとすると、うまく説明できるという理論を提唱した。

 そして、1947年、ついにその中間子が発見されて、1949年湯川秀樹は、ノーベル物理学賞受賞となった。

「太郎さん、説明できてるじゃない」

 これくらいの説明は、百科事典見れば書いてあるんだよ。

 でも、本来の湯川理論は、量子力学原子核に応用したもので、私には高嶺の花なんだ。


「まあ、太郎さんの説明でも、陽子と陽子がくっつくのにも理由があると分かったわ」

 勉強したいこと、一杯あるでしょ。

「私は、女優になる勉強をしたいけど」

 時々、こういう話をしてあげるよ。

「嬉しいわ」


 ところで、酸の話から、水素イオンの話になって、陽子の話になったんだったね。

 色々な物質は、それぞれ中心に陽子や中性子が中間子を仲立ちとしてくっついた原子核というものを持ってる。そして、その周りを電子が回っているのが、原子なんだ。

 その原子には、水素とか酸素とか金とか、色々あるけど、中間子が陽子と陽子を取り持ったように、電子が間を取り持って、水素と酸素を引き合わせたりする。

 そうやって、電子の役割が多くなってくると、ある水素原子の電子が、フラフラと離れてしまったりする。

 こういう状態のものが、水の中に入れられたりすると、電子のない水素原子、つまり陽子、つまり水素イオンが、水の中に溶け出していったりする。

 結局これが、酸なんだよね。

「一本道の説明だけど、これじゃ、ヒアルロン酸が、なぜ特別なのか、分からないわ?」

 うん。実際には、ヒアルロン酸が、どういう酸かというのは、酸だということが分かっても、ほとんど分からない。結局、実験して確かめるしかないんだね。


「太郎さんは、よく、実験して確かめるしかない、というけれど、理論的にこれとこれをくっつけたら、こういう性質になるはずだ、と予言することはできないの?」

 私は、高校時代、理論物理学者になって、物質を冷やさなくても電気抵抗がゼロになる条件を見つけて、すべての回路を超伝導にして、エネルギー問題を解決しようと思った。そして、さらに、理論物理学の力で、ガンやエイズなどに効く薬を作ろうと思っていた。麻友さんが、夢のように言ったことを、本当にやろうと思っていたんだ。

「でも、できなかった」

 そう。数字だけ計算してても、どんな匂いがするか、なんてことは、分からないのだものね。

「太郎さんの計画は、挫折したの?」

 そうばかりでもない。超伝導の研究をしていた父の話を聞くうちに、常温(例えば20℃とか)で、超伝導にならなくとも、マイナス190℃くらいで超伝導になれば、取り敢えずは、良いということが分かった。

「どうして?」

 超伝導ということは、電気抵抗がないわけでしょ。つまり、電流を流しても、熱が発生しないんだ。ということは、いったんマイナス190℃くらいまで冷やせれば、その後、ずっと電流は流れているんだよ。

「どこかに落とし穴がありそうな・・・」

 もちろん、モーターなんかが、永遠に回り続けるわけはないわけで、電気を作らなくて良くなるなんてことはない。

「ああ、がっかり」

 そうは、言うものの、日本の超伝導リニアモーターカーは、着工された。科学は進んでる。

 私達も進もう。

「どこから、酸の話になったんだっけ」

 キログラム原器を、酸やアルカリに対して安定な、プラチナで作ったという話からだよ。

「ふーっ、疲れた」

 あと少しだ。

 厳密に言うと、プラチナ90%、イリジウム10%の合金で、キログラム原器を作ったんだ。

「なぜ、イリジウムと混ぜたの?」

 理由は、簡単で、プラチナだけだと、柔らかすぎたからなんだよ。

「えっ、プラチナって、柔らかいの? 今度、プラチナのネックレスする機会あったら、引っ張ってみようかしら?」

 あっ、これ、冗談じゃなく、本当だから、余り引っ張ると本当に切れちゃうよ。爪で、傷を付けるくらいにしておいた方が良いよ。

「柔らかさって、どう表すの?」

 モース硬度という尺度があるんだけど、ダイヤモンドがモース硬度10であるのに対し、プラチナはモース硬度4.3。モース硬度4の蛍石(ほたるいし)は、『ナイフの刃で簡単に傷をつけることができる』であり、モース硬度5の燐灰石(りんかいせき)は、『ナイフでなんとか傷をつけることができる』となっている。この2つの間だから、多分爪でも傷が付くと思う。

「うふっ、なんだかんだ言いながら、太郎さん、理論的に予言してるんじゃない」

 一番最初に、試した人からの知識が無いと、なかなか予言はできない。


 さて、1889年、プラチナとイリジウムで作った、1kgの円柱状の塊を、『これが1キログラムだ』と、決定した。

「それによって、何が、決定されたの?」

 この塊と、天秤で釣り合うものは、1kgの質量(しつりょう)を持つと思って良い、ということが、決まったということだね。

「質量(しつりょう)というのは?」

 質量という言葉に似たものに、『重量(じゅうりょう)』という言葉がある。

 きちんと話しておくと、英語では、質量がmass(マス)であり、重量がweight(ウェイト)となっていて、質量の方が、地球の存在を考えなくとも、そのもの自体の持っている動かされにくさ、であるのに対し、重量の方は、その物体の重さを測る場所によって、地球の重力が弱くなったりするので、軽くなったりする、その場所場所で異なる重さを重量というんだ。

「ややこしいのね」

 本当は、試験の答案に書くとき以外は、質量だけ使ってて、困ることはないんだけどね。

「あっ、そうなの。ラッキー」


 さて、1889年から、月日は流れた。

 1967年、まず秒という単位がやり玉に上げられる。

「私達、秒は、まだ、決めてなかったわね」

 よく思い出して、このブログではまだだけど、ドラえもんのブログでは、定義したの覚えてない?

「思い出した。私のスマホに表示されているのを、秒とする、というのでしょう」

 そう。

「でも、1967年に、私のスマホはない」

 だから、どうしたかというと、すでに1925年からあった、量子力学を使った。

「どういうこと?」

 原子の性質を解明するのが、量子力学の役目だ。それによると、原子から出てくる光の振動数は、原子ごとに特有だと分かった。

「その振動数を使ったのね」

 うん。実際にはセシウムという原子の同位体で、セシウム133というのが、いちばん使いやすかったので、これに決めた。

「それが、秒の定義?」

 現在でも、このままだよ。

原子時計というのは?」

 これのことだよ。

「なーんだ。そうか」

 でも、これだって、問題を抱えている。

「分かった。相対性理論の影響でしょ」

 良く分かったね。

「太郎さんの弟子ですもの」

 弟子なんか取ったかなあ?

相対性理論で、動いていると時間が遅れるから、地球が動いている以上、時間がずれるのは、やむを得ないのね」

 まあ、だいたいそう。丁寧に言うならば、重力のあるところから遠ざかるほど、時間は進むという効果もある。

「だから、人工衛星では、時間が進むと言ってたのね?」

 いつ言ったけ?

「私に、最初に相対性理論の話をしてくれた時よ」

 もう2年半になるなあ。

「今年のクリスマスで、あの約束から2年ね」

 一応、まだ、ワンダエクストラショットあるね。

「もう1年。なんとかなるかな?」

 なんとかならなくても、なんとかできるようになってる。

「分かった。2本だけ、冷蔵庫にしまってあるんでしょう」

 そういうこと。でも、ワンダエクストラショットなくならないといいね。


「秒は刻一刻と進んでいる。次にやり玉に上がったのは?」

 1983年、メートルの定義が見直された。

「どうやったの?」

 これは、バカみたいに簡単。

 光って、秒速30万kmでしょ。

 だから、光が30万分の1秒に進む距離を、1kmとしてその千分の1を、1mと、定義した。

「本当に、そうしたの? そんなのだったら、それまでにもできたじゃない」

 これは、相対性理論に対する信頼が高まったからなんだ。

 相対性理論では、真空中の光の速さが一定だ、という仮定を大前提とする。

「私達、そうしたっけ?」

 モーターボートと池と川の説明したとき、モーターボートの速さを変えるという設定をしなかったよね。モーターボートが、光だから、光の速さを一定としたことになるんだ。

「そうなのか。太郎さん、ちょっとずつ、私に、物理学の概念、飲み込ませてるんだ」


 さて、秒、メートルと定義されて、次に、キログラム。

「ちょっと、待って。キログラム原器を使う定義じゃ、なぜダメなの?」

 だって、キログラム原器は、1個しかないんだから、例えば、地震で壊れちゃったら、とか考えないの?

「えっ、そういう低レヴェルの話?」

 もちろん。他にも理由はある。

 例えば、ホコリが被っちゃったり、天秤に乗せるとき削れちゃったりする。

「ああ、そうか」

 なんとか、いつでも再現できるもので、キログラムの定義に使えるものを、物理学者達は探していた。

「今まで時間がかかったのは?」

 ひとえにこれまでの国際キログラム原器の精度が、ものすごく高くて、これを越えられなかったからなんだ。

「確か、1889年とか言ってなかった? ものすごい精度だったのね」

 まあ、科学がなかなか進まなかったという問題もあるけど。

「それで、新しい定義は?」

 かなり前から、2通りの定義ができそうだといわれていた。

「どんなの?」

 1つ目は、プランク定数と呼ばれる量子力学の基本的な定数を、実験で精度良く決定する方法。

 2つ目は、アボガドロ定数という化学でも使う定数を、正確に決定する方法。

「どっちが、いいの?」

 これは、どっちが良いか、というより、1kgを正確に決定できた方が、良い方法だったということに、なるのだと思う。

 ただ、私の個人的感想では、プランク定数を決めてもらった方が、計算をしやすいだろうな、と思っていた。

「どうして、そう思ったの?」

 プランク定数というのは、普通 {h} で、表され、ドイツ語読みだと、ハー、英語読みだと、エイチ、と読む。

 光の振動数は、普通 {\nu} で、表され、ギリシャ語で、ニュー、と読む。

「どうして、この記号って、決まってるの?」

 こういうものは、ある程度慣習に従った方が、間違いが減るんだよ。

『ここで、この記号が出てきたら、やっぱり何か変だろ』

みたいにして、検算できるんだ。

 そして、この時、振動数 {\nu} の光の1つ分の粒、光子(こうし)の持つエネルギーが、 {h \nu} (ハーニューまたはエイチニュー)となるというのは、1905年のアインシュタイン光電効果の論文で、提唱されたことだ。

アインシュタイン相対性理論でない論文?」

 そう。3つあるって言ったでしょう。

「そうだったわね。2つ目まで、進んだのね」

 さて、麻友さん。アインシュタインの有名な、{E=mc^2} の式から、エネルギー {E} が、分かれば、光の速さの2乗で割ることで、質量 {m} が、分かるよね。

 ところで、さっきから言ってるように、エネルギーは、 {h \nu} と、求められるんだよ。

プランク定数と振動数が、求まればでしょう?」

 振動数は、時間を測ることで、求まる。そして、時間は、セシウム133で秒が決定されているので、分かる。

 ここで、麻友さんも言ってるように、最後にプランク定数が、決まれば、質量が定まる。

「一応、筋道は、見えたわ。でも、複雑怪奇ね」


 これと、同じような、複雑なところを通って、アボガドロ定数を求めることで、質量を定めることもできる。

「基本は?」

 炭素12の原子が、アボガドロ数と呼ばれるものすごく大きい数だけ集まったとき、12グラムになると、定義する。

「それで?」

 実際に、そのものすごく大きいアボガドロ数というものを、本当に原子を数えて、決定する。

「それで、おしまい?」

 そうだけど、お気に召さない?

「そんな簡単にできることを、100年以上、かかっちゃったの?」

 簡単じゃないよ。原子の数、数えるって、1モルが、何個かって数えるんだよ。{N_{\mathrm{A}}=6.022140857 \times 10^{23}} 個も数えるんだよ。

「それって、大変なことなんだ。だから、ニュースになるくらいなんだ」


 それで、説明は、ほぼ終わりなんだけど、今回のニュースになった実験が、上の2つのどちらを用いているのか、私には、まだ、良く分からないんだ。

「太郎さんとしたことが、こんなに違うのに、どっちか分からないの?」

 まだ、雑誌Newtonにも、雑誌日経サイエンス、にも、きちんとした記事が出ていなくて、インターネットの情報によると、プランク定数も、アボガドロ定数も、求めたみたいに書いてあって、麻友さんにいい加減なニュースを渡したくない私としては、『どっちか分かりません』というのを、結論にしようと思う。

「あらあら」

 最後に、今から10年くらい前、あのグライダー部の親友と、X指定の親友に、それぞれ『もう少しでキログラムが決定されそうだ』というメールを送ったときの2人の反応を、面白いので書いておこう。


 グライダー部の親友からは、

『1kgのフォトンを秤の上に載せるのは、難しいでしょうねえ』

 X指定の親友からは、

素粒子論では、{c=\hbar=1} と置くので、プランク定数が決まった方がいいけど』



「これは、どういうことなの?」

 私を含めて、3人とも、プランク定数を、決めて欲しいと思っていたということなんだ。

「うふふっ、似たもの同士なのね」

 理論物理学者の多くが、同じように思ってるのかも知れない。

「それで、私の体重は、増えるの? 減るの?」

 今回の実験では、1kgというものを、小数点以下8桁の精度で、決定したんだ。

 だから、麻友さんの体重は、今までが43kgなら、42.99999999kgから、43.00000001kgの間のどこかには、多分なってる。

「でも、決め方からいって、体重そのものは、まったく変わらないわね」

 ジムへ行って、高麗人参ジュース飲み続けなきゃいけない?

「その情報どこから得たの?」

 アハハ、教えてあげない。バイバイ。

「その情報どこから??? またね」

 現在2017年11月6日21時37分である。おしまい。