相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

一般相対論の勉強法

 現在2008年11月7日2時06分である。


 このブログの題名や初回を見れば分かるように、私はこのブログを一般相対性理論の解説をするために始めた。

  もう少し言うと、中学生くらいが、特殊相対性理論を学んで、それでは次に、一般相対性理論を学びたい、と思ったとき、どうやって学んでいったらいいのだろう、と疑問に思う、その疑問に答えることを目標にしていた。

 投稿のいくつかを読むと、そのヒントは得られる。だが、ここで改めて、一般相対性理論を勉強するには、どんな風にやっていったらよいか、ということに対する、私なりの解答を一つ示したいと思う。

 まだ、私には、ファーブル昆虫記や、シートン動物記や、若草物語や、赤毛のアンのように小学生が読める、一般相対性理論の専門書は書けないようなので、私の本ではなく、世の中に出回っている本を紹介することで、お許し願おうと思う。

 

 まず、一般相対性理論を学ぶ前に、特殊相対性理論を学んでおくことは、当然である。

 ところが、この特殊相対性理論で、既につまずいてしまう人が多い。

 世の中に出回っている、

相対性理論は間違っている。」

といったたぐいの本のほとんどは、特殊相対性理論が分からなかったために、道に迷ってしまった人が書いたものである。

 だから、特殊相対性理論についても一言述べておこう。

特殊相対性理論の本を読むだけでは、特殊相対性理論は分からない。」

 これが、現在の私の見解である。

 これは、決して私だけの感想ではない。私が、大学にいたとき、天体核物理学のゼミで、

一般相対性理論を勉強してみて初めて、特殊相対性理論が分かってくるという部分もあるのですよね。」

と言ったところ、チューターとして付いてくださっていた中尾先生も、

「それは言えますね。」

と、同意してくれたのだった。

特殊相対性理論が、なんとなく分かったけど、でも、双子のパラドックスとか、本当のところは、良く分かっていない。」

という人も、まずはいったん、一般相対性理論を学んでみるべきだ。

一般相対性理論って言うと、リーマン幾何学とかテンソル解析とか、鬼のように難しいものがいっぱいでしょ。」

と、みんな思っている。高校時代の私もそう思っていた。だが、本当は、一般相対性理論で使う、リーマン幾何学とかテンソル解析なんていうのは、数学の中で、それほど難しい部類には入らないのだ。

 もちろんこれは言い過ぎの部分もあって、19世紀になって初めてリーマンが導入した、多様体という概念は画期的なものであり、

「絵だけで分かる・・・」

といったたぐいの本で理解できるものではない。

 だが、リーマンの時代ならいざ知らず、21世紀ともなった現在、多様体という概念を分かり易く解説してくれる本が、ちゃんとあるのである。

 私は、一般相対性理論を学ぶ、日本の学生全員に言いたい、

東京大学出版会から出ている、松本幸夫著『多様体の基礎』という本を丁寧に読みなさい。」

と。

 

多様体の基礎 (基礎数学)

多様体の基礎 (基礎数学)

  • 作者:松本 幸夫
  • 発売日: 1988/09/25
  • メディア: 単行本
 

 

 

 この本を読むための予備知識は、同じく東京大学出版会の齋藤正彦著「線型代数入門」と、杉浦光夫著「解析入門Ⅰ・Ⅱ」を、一回さらっと眺める程度である。ただ、中学生には、これらはいきなり読めないので、微積分、ベクトル、行列、高次方程式、連立方程式、簡単な集合論イプシロン・デルタ論法、などについて、これらの3冊を目標に勉強する必要がある。

 

 

線型代数入門 (基礎数学)

線型代数入門 (基礎数学)

  • 作者:齋藤 正彦
  • 発売日: 1966/03/31
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

 

解析入門 Ⅰ(基礎数学2)

解析入門 Ⅰ(基礎数学2)

  • 作者:杉浦 光夫
  • 発売日: 1980/03/31
  • メディア: 単行本
 

 

 

解析入門  Ⅱ(基礎数学3)

解析入門 Ⅱ(基礎数学3)

  • 作者:杉浦 光夫
  • 発売日: 1985/04/25
  • メディア: 単行本
 

 

 

 本屋さんや図書館で、自分の能力にあった本を探して少しずつ切り崩していって欲しい。

 自分で本を探す自信のない人は、公文の数学を最後までやる、というのも一つの方法である。

 手計算の練習というのは、絶対欠かせないものであるから、公文の数学というのは、非常に役に立つのである。

 ただ、最後まで教えられる先生が、どの程度いるかは、怪しいのだが・・・

 さて、上の3冊の本は、本当は、精読してあればあるほど、「多様体の基礎」の理解も深まるのだが、実を言うと、「多様体の基礎」を読んでから初めて、「解析入門Ⅰ・Ⅱ」に書いてあったことが理解出来る、という部分もあるのだ。

 だから、行列式の定義と連鎖律くらいが分かったら、もう、「多様体の基礎」に取りかかるべきだ。


 そして、この本は、丁寧に読むべきである。少しまわりくどい部分もあるが、初心者が疑問に思うようなところを、うまく橋渡しして、落とし穴に落ちないようにしてくれる。

 ただ、この本にも、いくつか落とし穴はあって、17ページで「リーマンの写像定理」というもののお話が出てくるが、これの証明を理解している必要は、全然無い。

 また、261ページで

 

{\displaystyle a \biggl( \frac{d}{dy} \biggr)_{f(p)}} と実数 {a \in \mathbb{R}} とを同一視することにすれば


という一文がサラッと書いてあるのだが、この定義を元にしてその後の議論が進むので、これは、定義、としてきちんと明示しておくべきだと思う。ここで同一視したことを覚えていないと、その後の文章が理解できなくて悩むことになるのだ。


 この本の大きな落とし穴は、以上の2つくらいだが、細かいことを言い出すと、まだ他にもないわけではない。130ページの

 


射影空間はハウスドルフ空間である。

 


という命題の証明は、やや直観に頼る部分がある。これの厳密証明には、松島与三著『多様体入門』に中にサラッと書いてある(p.161の)定理のようなものが、必要になる。

 

 

多様体入門(新装版) (数学選書)

多様体入門(新装版) (数学選書)

 

 

 

 

 さらに、注意深い読者は、位相多様体の次元というものは、一意に定まるのだろうか?という疑問を持つだろう。この答えは、この本の中にはない。


 大がかりな証明が好きな人は、位相幾何学の本で、アレキサンダーの双対定理というものを学ぶまで待たねばならないが、これは骨が折れる。私自身、まだこの証明は読んでいない。

 

位相幾何学 (1) (現代数学 6)

位相幾何学 (1) (現代数学 6)

 

 

  

 

 


 だが、次元の一意性の証明だけしたいのであれば、古関健一著「集合論位相幾何学」(槙書店)に、ページ数にして20ページくらい読むだけで分かる証明がある。ブラウアーの領域不変性定理というものだ。

 

 「多様体の基礎」の落とし穴は、ほぼこれで尽くされていると思う。ここに書いた以外の場所で引っ掛かった人は、案外そこに、大定理の結果が使われていたりするので、その疑問を大事に心にしまいつつ、先に進んでみるのが賢明であろう。いつの日か、こんな大定理が背後にあったのかと、驚く日が来るかも知れない。


 さて、「多様体の基礎」を読んだだけで、リーマン幾何学を勉強するための、テンソル解析とかなんかのお膳立ては全部揃ったことになる。

 一般相対性理論を学ぶためには、あと、「接続」というものについて知らねばならない。これについては、東京大学出版会の落合卓四郎著「微分幾何入門 上・下」というものを読めば、ほとんど言うことはない。

 

 

微分幾何入門〈上〉 (基礎数学)

微分幾何入門〈上〉 (基礎数学)

 

 

 

 

 

 

 ただ、この本にも落とし穴があって、フロベニウスの定理というものを証明抜きで使っている。簡単に手に入る本で、これの厳密証明が書いてあるのは、さっきも挙げた、松島与三著「多様体入門」(裳華房)なのであるが、これを、全部読むのは、相当骨が折れる。フロベニウスの定理のところだけ拾って、後は落合卓四郎さんの本に頼っても良いと思う。

 

 

多様体入門(新装版) (数学選書)

多様体入門(新装版) (数学選書)

 

 

 

 

 一般相対性理論を学ぶための数学の準備は、これでほぼ完璧である。物理の本を読むとき、あっちこっちに顔を出し悩まされる、ディラックデルタ関数なども、本によっては必要になるが、量子力学を学ぶには必須であるが、一般相対性理論の理解の上では、知らなくとも大抵は大丈夫である。


 大丈夫と言い切れるのは、私自身がデルタ関数を知らないのに、一般相対性理論の本が読めているからである。


 一応、デルタ関数などをきちんと勉強したい人のために、文献を挙げておくと、伊藤清三著「ルベーグ積分入門」(裳華房)を読んだ後、溝畑茂著「偏微分方程式論」(岩波書店)に進むのが王道である。後者では、場の量子論などで頻出するグリーン関数というものについても、数学的に厳密な記述がある。

 

 

ルベーグ積分入門(新装版) (数学選書)

ルベーグ積分入門(新装版) (数学選書)

 

 

 

偏微分方程式論

偏微分方程式論

  • 作者:溝畑 茂
  • 発売日: 2002/06/10
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

 しかし、この2冊は、どちらも1月くらいでサラッと読めるような易しい本ではないので、ひとまず一般相対性理論をかじってから読むことにしても良いと思う。私自身は、まだ、これらはさわりくらいしか読んでいない。(注.これを書いた後、『さわり』という言葉は、『とっかかり』ではなく『話のポイント』という意味であることを知った。私はまだこの本のポイントを押さえてはいない。)



 さて、以上で数学の準備は終わりである。もう、一般相対性理論を学ぶことが出来る。どの本で学ぶのが一番良いか、というのは、各自の好みであるように思う。


 以下に代表的な本を何冊か挙げる。どれでも、以上に書いてきたような、数学的準備がしてあれば、つまずくことなく、読めるはずである。



佐藤勝彦著「相対性理論」(岩波書店

 私が読んだ本の中の一冊である。

 

相対性理論 (岩波基礎物理シリーズ (9))

相対性理論 (岩波基礎物理シリーズ (9))

  • 作者:佐藤 勝彦
  • 発売日: 1996/12/18
  • メディア: 単行本
 

 

 


小玉英雄著「相対性理論」 (培風館

 私は、これは部分的に参考にした程度。かなり数学的にきちんと書いてある。

 

 

 

 

私はこれも読んだ。ただし、私が読んだのは第1版であり、第2版ではインターネットのURLが随所に見られるようになった。時代の流れに合わせて、改訂したのだろう。物理的な内容は、余り改訂されていないように思う。

 

 

第2版 シュッツ 相対論入門 ハードカバー版

第2版 シュッツ 相対論入門 ハードカバー版

 

 

 

 

と、いくつか挙げてきて、やっぱり洋書だが次の2冊を挙げておきたい。



HAWKING & ELLIS 著

 The large scale structure of space-time (CAMBRIDGE)

 

 

The Large Scale Structure of Space-Time (Cambridge Monographs on Mathematical Physics)

The Large Scale Structure of Space-Time (Cambridge Monographs on Mathematical Physics)

  • 作者:Hawking, S. W.
  • 発売日: 1975/02/27
  • メディア: ペーパーバック
 

 




 私はこの本に出会うまで、一般相対性理論というものはきちんと数学的に厳密に理解することは出来ないのではないかと、悲観的に考えていた。この本に出会って初めて、一般相対性理論を完璧に理解することが可能であることを知ったのである。買わなくても良いから、一度で良い、図書館で覗いてみて欲しい。数理物理学の見本のような本である。





MISNER,THORNE,WHEELER著

 GRAVITATION(Freeman)

Gravitation (Physics Series)


 1973年の本であり、宇宙論の内容などはやや古くなってしまっているが、とにかく、易しいことが、きちんと書いてある本。数学や物理学を学ぶとき、「易しいこと」、というのが一番難しいのだ、ということが分かってきた程度に、理解が進んだ人にとって、これほどありがたい本はないであろう。

 私は、大学時代、宇宙物理の先生に、

「内山龍雄(うちやま りょうゆう)さんの本は難しいことはいっぱい書いてあるけど、易しいことが余り書いてないんですよね。その点、GRAVITATIONは、難しいことは書いてないのに、易しいことがいっぱい書いてあって良いですね。」

と言ったら、

「理解の深さが違うんでしょうね。」

と、その先生はきちんと答えてくれた。「易しいこと」の重要性にまだ気付いていない人には、こんな電話帳、無用の長物であるが、理解が進めば、いずれこういうものの必要性が分かるであろうから、やはり挙げておくことにする。




 その内山龍雄さんの本というのは、

一般相対性理論 (物理学選書 15)



である。


 最後に、今まで挙げた本のどれかを一冊読破した後、読んで欲しい本を一冊挙げる。

ランダウ/リフシッツ著「場の古典論」(東京図書)

 

場の古典論―電気力学,特殊および一般相対性理論 (ランダウ=リフシッツ理論物理学教程)



 これを最初に読んでは駄目である。とても、歯が立つものではない。しかし、一般相対性理論の本を一冊きちんと読んだ後であれば、挑戦出来る。そして、挑戦すべきである。

 なぜか?

 私が天体核物理学のゼミで、中尾先生に、

「どうしてこの本をテキストにするのですか?」

と、尋ねたとき、先生は、

「この本にしか書いてないことがあるんだよ。」

とおっしゃったのである。その時は、分からなかったが、変分原理など数式で表されているものもさることながら、日本語で書かれていることの中に、他の本では得られないものがあることを追々知ることになった。だから、最後にこの本を挙げねばならないのである。(注.ゼミでは、英語の文献の方を読んでいたのであるが、英語の苦手な私は、訳本で補っていたのである。)


 以上挙げた本を読めば、一般相対性理論を理解出来る。だが、私は一つ、忘れ物をした。それは、解析力学の勉強をする必要があることを書かなかったことである。

 古典電磁気学もある程度必要だが、一般相対性理論は、基本的に光の速さがcであることさえ知っていれば、それ以上の電磁気学の知識が無くとも、ほぼ理解出来る。

 しかし、解析力学は必要である。

 ところが、解析力学というものは、非常に学びにくいものなのである。もちろん、名著と呼ばれているものはある。山内恭彦の本、ランダウの本、ゴールドスタインの本などである。だが、解析力学には何カ所か落とし穴があって、大抵の本で読んでいくと、みんなその落とし穴に落ちてしまうのである。

一般力学

 

 

古典力学〈上〉 (物理学叢書)





古典力学 下 (物理学叢書 105)



古典力学 問題のとき方―原著第3版に基づいて (物理学叢書)





 そんな中で、薄い本だが要領よく落とし穴をカバーしてある本に、

高橋康著「量子力学を学ぶための解析力学入門」 (講談社

 

量子力学を学ぶための解析力学入門 増補第2版 (KS物理専門書)

 

を挙げておこう。だが、落とし穴をカバーしているとは言っても、具体例でイメージをつかませて、なんとか橋渡ししているに過ぎず、深い理解は得られない。


 私が挙げた「多様体の基礎」を読んだ諸君には、是非とも高級な数学書であるが、

アーノルド著「古典力学の数学的方法」 (岩波書店

古典力学の数学的方法


を合わせて読むことをお勧めしたい。ランダウの本の間違いまで指摘してあって、この本の信頼性を増している。

 英語版はシュプリンガー・フェアラークの大学院レヴェルの数学シリーズに入っているくらいだが、記述がかなり丁寧で、数学的に厳密なので、分かり易い。

 

Mathematical Methods of Classical Mechanics (Graduate Texts in Mathematics)

 

落とし穴の場所が、物理の本と別の場所にあるので、この本と、ランダウの本

ランダウ/リフシッツ著「力学」 (東京図書)

力学 (増訂第3版)   ランダウ=リフシッツ理論物理学教程







を両方読んで、やっと解析力学が分かった、と言える。


 上に挙げた一般相対性理論の本で、シュッツの本を除いて他のものは全部、解析力学を予備知識として仮定している。また、マクスウェル方程式に恐怖を覚えない程度の古典電磁気学も仮定されている。

 本当は、解析力学電磁気学も知らなくても、シュワルツシルド解くらいまでは、十分理解出来る。ウソだと思うなら、私が卒業論文のために途中まで書いた「物理学におけるd (卒業論文第8稿)」というのを、リンク集の「私の文献」から、拾い出して読んでみると良い。

 ダウンロードしたかったら、例えばグーグル・クロームなら、プレヴューさせておいて、下向きの矢印をクリックすれば良い。じっくり読んでも大丈夫なくらい、論理的に厳密に書いてある。特に、計量が球対称ということの導出は、小玉さんの本を読んで、きちんと述べてあるので、安心して読んでもらって良い。

 私は、アインシュタイン方程式を球対称真空静的という条件で解く準備をしたところまで書いてある。実は、後は高校生でも解けるような微分方程式を解くだけのところまで書いてあるのだが、ここで停止しているのは、私は、この論文にもう一章、「最後の冒険」という章を加えたいと思っていて、そこで、先ほど書いた、次元の一意性の完全証明を加えて、この論文をアインシュタイン方程式天下りに認めたが、数学的にはセルフ・コンテインドにしたいと思っているからなのである。


 この「私の文献」のうち、論文として書くことが終了しているのは、「アーベルの計算力(3つの説の比較)」と「重力理論に対する一つの考察(卒業論文第5稿)」の2つだけである。


 他のものは、私がその後削ったり修正したりしたので、その過程を見られるように、番号を振って、並べてあるのである。担当教官に渡してある原稿は、これらのうちのいくつかである。後になって、修正して私が間違いを直してしまった、と思われるのがいやなので、全部公開してある。


 話がそれたが、重力を幾何学として扱うという、アインシュタインの画期的アイディアを理解するためには、シュワルツシルド解だけで、第一段階終了である。

 その次。アインシュタイン方程式の導出をするのが、第二段階である。私は、このあたりまでしか、まだ、高校生に教えられない。

 そして、その次。GRAVITATION で言っているところのジオメトロダイナミクス つまり、物体が空間をゆがめ、ゆがんだ空間を物体が運動する、そして、それが同時に進行する、という動く幾何学に相当するところを理解するのは、私もまだ、他人に説明出来るところまで行っていない。


 だから、私の物理学は1915年より先には進んでいない。まだまだこれからなのである。

 そのことを正直に書いた上で、一般相対性理論を勉強する上で、どうやって勉強していったらいいかの一つの見本として、今まで書いてきたことを参考にして欲しいと思う。

 私が強調したことは、「多様体の基礎」を丁寧に読むことである。

一般相対性理論は、幾何学である。」

と言っても過言ではない。だから、物理の本で勉強する前に、多様体幾何学の本を読んでおくことが、21世紀の一般相対性理論を学ぶ学生に、是非とも実行して欲しいことなのである。

 計算はこれからはコンピューターがやってくれる。でも、幾何学的直観というものは、地道にやっていかないと身につかないものである。それは、手計算による数学的計算の積み重ねの上に、慣れのようにして身につくものである。

 物理的直観だけでなく、数学的な幾何学的直観というものも身につけて欲しい。その思いから私は、「多様体の基礎」を丁寧に読むことを強調したいのである。

 私はまだ、量子論に関しては、勉強法を伝授出来るほどになっていない。恐らく、

量子論とは、関数解析である。」

というようなことになるのであろうが、まだ分からない。ファインマン物理学のⅤ巻を読んだだけでは、量子力学の入り口に立っただけである。今後、量子力学を学んでいって、このブログの他に、「場の量子論を制覇しよう!」というものが書けるようになれれば嬉しいのだが・・・

 このブログの本来の目的、一般相対性理論を制覇する、ということのための、一つの方法を今日は書いた。私の浅学のために、20世紀の後半から21世紀にかけて、爆発的に進んだ、ブラックホールの研究や、宇宙初期のこと、またダークマターダークエネルギーのこと、そして、身近なものとしてGPSが挙げられることなどについては、適当な文献を紹介出来なかった。

 というより、これらについては、インターネット上、又は直接論文に当たらないと駄目なのであろう。


 最後に、日本語の文献では恐らく厳密に触れているものは一冊もないが、中学生も興味を持つ、ブラックホールのホーキング効果についてきちんと書いてある文献を挙げて、終わりとしよう。私はまだこの文献を理解していない。

BIRREL & DAVIES著

 Quantum fields in curved space(CAMBRIDGE)

Quantum Fields in Curved Space (Cambridge Monographs on Mathematical Physics)



 現在では、この本ですら古いくらいに、研究が進んでいるようである。

 一般相対性理論アインシュタインの時代のレヴェルで制覇する、という点では、GRAVITATIONを読めば、堂々と、制覇したと言える。だが、現代の最先端まで行くことを要求するのであれば、論文を読むしかない。

 しかし、難しい論文を読むときこそ、易しいことが書いてあった、「多様体の基礎」やGRAVITATIONのありがたみが分かるのである。

 21世紀の学生が、これらの文献をバカにせず、その上に新しいものを築いていってくれることを期待したい。そして、半分20世紀の学生だが、私も、何かを加えられたら良いと思っている。

 私の経験から得られた、これらのヒントを参考にして、トンデモ科学に心血を注ぐようなことなく、きちんと物理学を理解していく人が増えることを、私は、願っている。

 今日はここまで。

 現在2008年11月8日9時25分である。おしまい。

 2010年7月29日20時32分。復活させました。


 注記

 この投稿を行った後、GRAVITATION の訳本が、2011年3月30日に発売された。

 この本特有の、詩が引用されているようなところの訳は、余り良い出来映えではないが、物理や数学に対する訳文は、かなり信用できそうである。

 原書を誤訳することを心配しながら、正式な元の原文で読むか、訳者の誤訳を心配しながらも 母国語で、スッキリと読むかは、それぞれの人で、違うだろうが、選択肢が増えたというのは、良いことだったと思う。

 

重力理論  Gravitation-古典力学から相対性理論まで、時空の幾何学から宇宙の構造へ



 この本で、一般相対性理論を勉強する人は、多少なりと、電磁気学量子力学などについても知っていることが望ましい。岩波書店の、物理入門コース10巻を読破しておくと、苦労が少ないだろう。

 それでは、注記はこれで終了とする。



 注記2


 この投稿をした後、以下の本で、GPSへの一般相対性理論の応用について記述があることを知った。ただし、この本の後半は、それなりに難解である。

 

もうひとつの一般相対論入門

 

 

 注記2終わり。


 現在2011年7月28日23時09分である。おしまい。

 現在2013年1月17日5時58分である。文献を新しいものに変えたり、注記を増やしたりした。おしまい。

 

 

 

 2014年11月7日訂正するのは、以下の部分である。

 

 まだ、私には、ファーブル昆虫記やシートン動物記のように小学生が読める、一般相対性理論の専門書は書けないようなので

 

 

 「まだ」という言葉は、もう過去の私の言葉となった。一般相対性理論を全員の小学生に分からせることは、私にも無理だった。一般相対性理論を理解するためには、多少の数学の才能と、ある程度の年月の努力が必要だということに、気付いたのである。訂正する。 

  

 現在2015年2月2日13時30分である。おしまい。

 

 洋書として挙げた、『ホーキング&エリス』の訳本が、出版されたので、報告しておく。

 

 

 

 

 2023年10月8日12時23分である。さらに注を加える。

 

 特殊相対論を含めて一般相対論まで、数学的にきちんと、証明を書ききった本が現れた。

 

 

である。報告しておく。ただし、『多様体の基礎』くらいは読んでおかないと、猫に小判に、なってしまうだろう。

 余力があったら、こちらもどうぞ。

 

 

 

 

 現在2020年4月13日20時18分である。おしまい。

 

 現在2023年10月8日12時38分である。追記おしまいである。