相対性理論を学びたい人のために

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数学を悟ってみて(その22)

 現在2020年12月19日11時49分である。(この投稿は、ほぼ4986文字)

麻友「前回、タンジェントと、その逆関数の、アークタンジェントを、微分できるようになったわね」

私「良く頑張ったな。今日は、アークタンジェントの整級数展開を、求める。これで、上がりだ」

若菜「上がりって?」

私「マチンの級数、証明できる」

結弦「おー、待ってました」

私「ところで、タンジェントの加法定理は、知ってるよな」

麻友「{\tan(x+y)} ということ?」

若菜「お父さんが、ふっかけると言うことは、簡単に計算できるんでしょう。

{\displaystyle \tan(x+y)=\frac{\sin(x+y)}{\cos(x+y)}=\frac{\sin x \cos y +\cos x \sin y}{\cos x \cos y -\sin x \sin y}}

ですけど、・・・」

結弦「これ、コサインで割るんだよ。

{\displaystyle \tan(x+y)=\frac{\displaystyle \frac{\sin x \cos y +\cos x \sin y}{\cos x \cos y}}{\displaystyle \frac{\cos x \cos y -\sin x \sin y}{\cos x \cos y}}=\frac{\displaystyle \frac{\sin x}{\cos x}  +\frac{\sin y}{\cos y}}{\displaystyle 1-\frac{\sin x \sin y}{\cos x \cos y}}=\frac{\tan x+\tan y}{1-\tan x \tan y}}

ってね」

私「よしよし。じゃあ、行くぞ。まず、次の整級数で、関数 {f(x)} を、定義する」

{\displaystyle f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)}x^{2n+1}}

麻友「根拠は?」

私「計算してみると、これが、{\arctan x} に、等しいことが、分かる。ただし、収束半径は、無限大ではなく、{-1 < x < 1} において、収束する」

麻友「『最初に種明かしします』か。収束半径が、{1} なんてことは、珍しいわね」

私「収束半径が、狭い理由は、なぜだろう?」

若菜「{\sin x} と、ほとんど変わらないのに?」

結弦「どこが、違うんだ? {\sin x} を、持ってこよう」

{\displaystyle f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)}x^{2n+1}}

{\displaystyle \sin{x}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{(2n+1)!} x^{2n+1}=\frac{1}{1!} x -\frac{1}{3!} x^3 + \frac{1}{5!} x^5 \cdots }

若菜「同じ、・・・。あっ、ビックリマーク!」

麻友「それを、言うなら、エクスクラメーションマークでしょ」

若菜「そうでした。中学1年生のとき、公文の英語をやっていたら、お父さんが、そばで、じーっと、見てて、2回、ピリオドつけ忘れたら、『若菜、英語の大切な約束、忘れている』って、注意されて、その後も、じーっと見ていて、私が、感嘆文に、『!』を、付けたら、『このマーク、なんていうマーク?』って、質問されて、『えっとー』って言ってたら、『そういう分からないもの調べるもの、あるでしょ』って、言われて、『辞書』って答えたら、『持っておいで』と言われた。そのとき、ちょうど、電子辞書、電池が切れてて、困ったなと思ってたら、お父さんのと同じカシオの辞書だったから、お父さんが、お婆ちゃんに、『単3のアルカリ電池2本ちょうだい』って言った。そして、『英語を勉強するとき、そばに辞書を置かないというのは、英語勉強したくありません、と言ってるのと同じだよ』と、怒られた。『私は、いつも、辞書使っているから、電池切れなんてないよ』と、お父さんは言ってたけど、『電池がなくなることだって、あると思うのにな』と、あのとき思ったんだけど」

私「言葉が、足りなかったね。私が、『いつも、辞書使ってるから、電池切れなんてないよ』と言ったのは、私、電車の中とかでも、辞書を引くのね。だから、どこで電池切れになるか、分からない。それで、充電式の単3を、4本買ってあって、完全に充電して、2本を電子辞書に入れて、後の2本を、いつもしょっている、リュックに、入れてあるんだ。だから、いきなり電池が切れても、補充できる。そういう意味だったんだよ。まあ、今の人は、電子辞書止まっても、スマホで検索するかも知れないけどね」

若菜「あのとき、辞書で、ビックリマークって、調べて、『exclamation mark』と知った」

麻友「そういうことも、あったのね」


結弦「えっ、でも、階乗が付いているだけで、そんなに、収束半径が、変わるの?」

私「解析学が、良く分かってないな。階乗っていうのは、もの凄いスピードで、大きくなるんだよ。任意の実数、{x} で、

{\displaystyle \lim_{n \rightarrow \infty}\frac{x^n}{n!}=0}

となるくらいにね」

若菜「階乗の大きくなり方は、半端でないと、覚えておきます」


私「さて、

{\displaystyle f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)}x^{2n+1}}

が、定義された。とにかく、解析学では、微分しまくるんだよ。これ、結弦、微分してみな」

結弦「なんか、すっごく簡単になりそう。

{\displaystyle f'(x)=\biggl( \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)}x^{2n+1} \biggr)'=  \sum_{n=0}^{\infty}(-1)^n x^{2n} }

だな」

私「ちょっと、最初の5項くらい、書いてごらん?」

結弦「えっとー、{n=0} から、・・・

{\displaystyle f'(x)=  \sum_{n=0}^{\infty}(-1)^n x^{2n}=1-x^2+x^4-x^6+x^8+ \cdots +(-1)^n x^{2n} \cdots}

だなあ」

若菜「公比、{-x^2} の、等比級数ですね。和が求まる」

私「そのときの、条件があったな」

若菜「あっ、公比が、絶対値 {1} 未満でないといけないのでしたね。あっ、だから、収束半径が、{-1 < x < 1} だと、お父さんが、注意したんですね。取り敢えず、収束するとして、

{\displaystyle f'(x)=1-x^2+x^4-x^6+x^8+(-1)^n x^{2n} \cdots =\frac{1}{1-(-x^2)}=\frac{1}{1+x^2}}

ですね」

麻友「美味しいところ、もらっちゃって、いいかしら?」

若菜・結弦「だめです」

麻友・若菜・結弦「これ、{\arctan x} を、微分したのだ!」

私「そういうことなんだよ。で、どうする?」

若菜「微分したものが、同じだったら、元のものも、同じとは、言えないのですか?」

私「ひとつだけ、条件が付くんだ。定数の差を除いて、元のものも、同じだと言えるんだ」

結弦「そう言えば、定数、つまり、{g(x)=4} とかだったら、水平のグラフだから、傾き {g'(x)=0} だな」

麻友「そうすると、

{f(x)=\arctan x+C}

みたいなこと? {C} は、定数として」

私「今の場合、その {C} 求まるんだ」

若菜「定義では、

{\displaystyle f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)}x^{2n+1}}

でしたから、{f(0)=0} ですね」

結弦「{\arctan x} は、{\displaystyle \tan y =\frac{\sin y}{\cos y}} で、{y=0} なら、{\sin y = 0} だから、{\tan 0 =0} となって、結局、逆関数でも、{\arctan 0 =0} が、成立する」

麻友「そっか。だから、{f(x)=\arctan x+C}で、{x=0} とすると、{0=f(0)=\arctan 0+C=0+C} より、{C=0} となるんだ。それで、{\arctan x} の整級数展開が、求まったわけね」

{\displaystyle \arctan x =\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)}x^{2n+1} ~~~~~(-1 < x < 1)}

私「やったな。良く頑張った」

麻友「でも、これから、さらに、マチンの級数は、ちょっと疲れたわね」

若菜「今日のは、結構ハードでした。もう4147文字に、なってますし、続きは、明日にしませんか?」

結弦「お父さん、こんな証明、スラスラ、分かるの?」

私「大学1回生の頃は、かなり苦労してる。でも、今では、このレヴェルのことでは、『これは、必ず正しい』と、分かっているので、結構読めたりする。どんなことでも、これは、証明できることだと、分かっていると、案外簡単に、証明できたりする。やっぱり、最初の人は、偉いよね。上手く行くかどうか分からないのに、踏破するんだものね」

麻友「太郎さんは、何かできるのかしら?」

私「新しいものを、生み出そうと、あまり拘らない方が、良いのだろうね。今あるものを、改良するとか、ちょっと使い方を変えるとかね」

麻友「何かあるかしら?」

私「そういう意味で、微分形式の外微分を、後ろへ持っていくというあの変更なんか、採用したら、見通しが良くなると、思うんだけどね。

{\displaystyle \omega =\sum_{i_1 < i_2 < \cdots < i_k} f_{i_1  i_2  \cdots  i_k} dx_{i_1} \wedge dx_{i_2} \wedge \cdots dx_{i_k}}

に対して、

{\displaystyle d \omega =\sum_{i_1 < i_2 < \cdots < i_k}  dx_{i_1} \wedge dx_{i_2} \wedge \cdots dx_{i_k} \wedge df_{i_1  i_2  \cdots  i_k}}

とする。

 この発想で、ホモロジーも、交換子も、全部定義を疑いながら、文献を読んでいくのは、適度な緊張感が得られて良いと思う」

若菜「お父さん、そうやって、自分の論理と数学だけを信じて、数学やってるの?」

結弦「いや、僕達を、巻き込んでるよ」

麻友「あらっ、15時22分。マックへでも行って、お昼食べていらっしゃいよ」

私「じゃあ、バイバイ」

麻友・若菜・結弦「バイバイ」

 現在2020年12月19日15時23分である。おしまい。