相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

数学を悟ってみて(その21)

 現在2020年12月17日12時40分である。(この投稿は、ほぼ6324文字)

麻友「2日間、投稿なかったわね」

私「ちょっと、相対性理論を勉強したりしててね」

麻友「何か、準備する、必要が、あるの?」

私「本の校閲をしたときの、戦友が、私を、『朝物理(あさぶつり)』という、ゼミに誘ったんだよ」

若菜「テキストは?」

私「これなんだけどね」

石井俊全(いしい としあき)『一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する』(ベレ出版)

一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する

一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する

麻友「あら、太郎さんの、推薦図書じゃない」

私「そうなんだ。確かに、絶好の機会なんだ。この本で、一般相対性理論を、まだ良く知らない人が、どう躓くのか知るのは、非常に有意義だ」

麻友「それは、いつあるの?」

私「明日から、毎週火曜と、金曜なんだ」

結弦「それで、勉強してたんだ」

私「ただ、ひとつだけ、問題が、あるんだ」

若菜「スピードが、速いとか?」

私「そうじゃなくて、時間が、6時から7時なんだ」

結弦「ブログ書くのに、困る?でも、6時なら」

私「違うんだよ。朝の6時なんだよ」

結弦「あっ、それは確かに、問題だ。お父さんが、朝6時に起きるなんて、ほとんど不可能」

若菜「断った方が、良いのでは、ないですか?」

私「私も、そう思っている。ただ、こういうチャンスをもらっていながら、それをそのまま、ドブに放り込む人間だったら、私は、ここまで、来ていない」

麻友「1回だけ、参加することに、したのね」

私「そう」


結弦「勉強熱心なのは、認める。それで、{\pi} の根拠の、マチンの級数は?」

私「証明しよう」

結弦「待ってました」


私「『数学を悟ってみて(その15)』で、分母が {g(x)} の、関数の微分を、証明したね」

麻友「こんなことを、やったわね」

{\displaystyle \biggl\{ \frac{1}{g(x)} \biggr \}’=\frac{-g(x)’}{\{g(x)\}^2} }

私「おお、さすが、特待生」

私「本当の、渡辺麻友さん。『ここまでは、自分は、冴えられない』なんて、悲観しなくていいですよ。私のブログの麻友さんは、私と同レヴェルに冴える、数学の天才ということになっているのですから」

若菜「誰と、しゃべっているんですか?」

麻友「ちょっと、具体的に、計算してみてよ」

私「そうだな。具体例も、必要か。じゃあ、

{\displaystyle \frac{1}{x^5}}

を、微分してみて」

麻友「まず、マイナスなのよね。そして、{x^5} の2乗が、分母。{x^5}微分が、分子だから、

{\displaystyle -\frac{5x^4}{x^{10}}}

だわ」

若菜「普通の先生なら、減点すると、思います。

{\displaystyle -\frac{5x^4}{x^{10}}=-\frac{5}{x^6}}

と、しないと」

結弦「高校だと、こういう細かいところも、減点するよな。それで、次の段階は?」


私「ライプニッツルールとか、積の微分法というものを、教えただろう」

若菜「やりましたね。

{(fg)'=f'g+fg'}

というように、ひとつずつ、微分するのでしたね」

麻友「これも、具体例が、欲しいわ」

私「じゃあ、{x^4} を、3通りに微分してご覧」

麻友「まず、普通に、{\displaystyle (x^4)'=4x^3} が、得られる」

若菜「次に、ライプニッツルールで、

{\displaystyle (x^4)'=(x^2 \times x^2)'=(x^2)'\times x^2+x^2 \times (x^2)'=2x\times x^2+x^2 \times (2x)=4x^3}

となります」

結弦「別な分け方で、ライプニッツルールを使って、

{\displaystyle (x^4)'=(x \times x^3)'=(x)'\times x^3+x \times (x^3)'=x^3+x \times (3x^2)=x^3+3x^3=4x^3}

となる。結果は、全部同じだ」

私「まあ、最初は、それに感心してもいいけどもね」

麻友「最初じゃなくなったら、どうだと言うの?」

私「微積分のライプニッツルールと、チェインルールくらい、呼吸するのと同じように、使えなければ、数学をやっていくことなど、不可能だということだよ」

結弦「チェインルールというのは?」

私「いずれ出てくる」


私「さて、積の微分法と、分母のある微分をやった。次は、どうなる?」

若菜「当然、

{\displaystyle \biggl\{ \frac{f(x)}{g(x)} \biggr \}’ }

を計算したくなりますね」

私「その通りだ。やってみな」

若菜「

{\displaystyle \biggl\{ \frac{f(x)}{g(x)} \biggr \}’=\biggl\{f(x) \cdot \frac{1}{g(x)}\biggr\}'}

{\displaystyle =\biggl\{f'(x) \cdot \frac{1}{g(x)}\biggr\}+f(x)\biggl\{\frac{-g(x)’}{\{g(x)\}^2}\biggr\} }

分母を、通分するんですか?」

私「普通、通分する」

若菜「じゃあ、

{\displaystyle \biggl\{ \frac{f(x)}{g(x)} \biggr \}’=\frac{f'(x)g(x)}{g(x)^2}+\frac{-f(x)g'(x)}{g(x)^2}=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2}}

ですね」

私「よくできた」

麻友「具体例は?」

私「この際、実戦で使おう。結弦、{\tan x} を、微分してみろ」

結弦「えっ、お父さん、無茶振りするからなあ。

{\displaystyle (\tan x)'=\biggl(\frac{\sin x}{\cos x} \biggr)'=\frac{(\sin x)'(\cos x)-(\sin x)(\cos x)'}{\cos^2 x}}

だけど、サイン、コサインの微分って、使っていいの?」

麻友「いいわよ。私が、良いと言えば、太郎さんは、怒らないから」

結弦「サインの微分は、コサイン。コサインの微分は、マイナスサインだったな」

{\displaystyle (\tan x)'=\frac{(\sin x)'(\cos x)-(\sin x)(\cos x)'}{\cos^2 x}=\frac{(\cos x)(\cos x)-(\sin x)(-\sin x)}{\cos^2 x}}

{\displaystyle =\frac{\cos^2 x+\sin^2 x}{\cos^2 x}=\frac{1}{\cos^2 x}}

あれっ、分子、{1} になっちゃった。いいのかな?」

私「それを表すには、2つの流儀があるんだ。{\displaystyle \frac{1}{\cos^2 x}} のままにする流儀と、{\displaystyle \frac{\cos^2 x+\sin^2 x}{\cos^2 x}=1+\frac{\sin^2 x}{\cos^2 x}=1+\tan^2 x} と、あくまでも、{\tan x} で表す流儀とね」

結弦「あっ、タンジェントで、表せたんだ。

{\displaystyle (\tan x)'=\frac{1}{\cos^2 x}=1+\tan^2 x}

と、表せるんだ」

私「{\displaystyle (\tan x)'=1+\tan^2 x}

は、公式として、カッコいいんだけどね。

{\displaystyle (\tan x)'=\frac{1}{\cos^2 x}}

とも表せることを、覚えていた方が、応用上大切なんだ」

若菜「タンジェントが、微分できるようになりました。ところで、お父さんは、{(\sin x)^2} と書いたり、{\sin^2 x} と書いたりします。何か、書き分ける根拠が、あるのですか?」

私「これ、一応、使い分けているんだ。麻友さんが、三角関数に慣れていない頃は、{(\sin x)^2} などとしていたが、慣れるにつれ、{\sin^2 x} とするように、導いた」

若菜「お母さんが、基準ですか」

私「もっちろん」


麻友「太郎さん。それで、なぜ {\tan x} を、微分したの?」

私「そうなのよ、そうなのよ、そのためなのよ。今から、ちょっと、難しい話をする。良く聞いてて」

麻友「うん」

私「逆関数というものは、知っているね。例えば、今の、{y=\tan x} という関数の逆関数は、{x=\arctan y} (エックス、イコール、アークタンジェント、ワイと読む)となるもので、この{y} に、{y=\tan x} の、{\tan x} を、代入すると、{x=\arctan \tan x} となる。つまり、{\displaystyle \tan \frac{\pi}{4}=\tan 45^{\circ} =1} であるとき、{\displaystyle \arctan 1=\frac{\pi}{4}} となるということなんだけどね」

麻友「それが、難しい話?」

私「そう」

麻友「大丈夫よ。進めて」

私「じゃあ、この {\displaystyle x=\arctan y} で、独立変数を、{x} にして、{y=\arctan x} と書くことにしよう。この場合、{x=\tan y} だ。さて、次の微分を考える。

{\displaystyle \frac{d}{dx}\arctan x =\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\displaystyle \frac{dx}{dy}}=\frac{1}{\displaystyle \frac{d \tan y}{dy}}}

麻友「ちょっと、ストップ。なぜ、{x} が、{\tan y} なのよ」

私「1行上で、{x} と、{y} を、交換するって言って、『{x=\tan y} だ』って、言ったじゃない」

麻友「なんか、騙された気分」

私「取り敢えず、見てて。

{\displaystyle \frac{d}{dx}\arctan x =\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\displaystyle \frac{dx}{dy}}=\frac{1}{\displaystyle \frac{d \tan y}{dy}}=\frac{1}{1+\tan^2 y}=\frac{1}{1+x^2}}

と、計算できる」

麻友「なんか、怪しいわね。逆関数微分なんて、信じて良いのかしら?

{\displaystyle \frac{dy}{dx}=\frac{1}{\displaystyle \frac{dx}{dy}}}

なんて、ウソっぽそう」

私「実は、この逆関数微分について、一番きちんと書いてあるのが、いつもの、『解析入門Ⅰ』なんだ。

解析入門 Ⅰ(基礎数学2)

解析入門 Ⅰ(基礎数学2)

の143ページに、


{\displaystyle \frac{\partial x}{\partial r} \neq \frac{1}{\displaystyle \frac{\partial r}{\partial x}}}

である.これは一変数の場合の {\displaystyle \frac{dx}{dy}=\biggl(\frac{dy}{dx} \biggr)^{-1}} と異なる点であるから注意が必要である.多変数の偏微分に一変数のときと異なる円い {\partial} を用いるのは,ここに一つの理由がある.


とある。まだ、麻友さんは、ほとんど、{\partial} (まるいディ、という意味で、ラウンドディ、或いは、ただ単に、ラウンドと、読む)という記号に触れてないが、それが、出てきたら、分数のように使ってはいけなくなる。{\displaystyle \frac{\partial x}{\partial r}} は、『ラウンド、エックス、ラウンド、アール』と読む。分数のように、『ラウンド、アール、ぶんの、ラウンド、エックス』とは、読まないんだ」

若菜「私達は、まだ、1変数の世界にいるのですね。大学へ行くと、多変数になる。お父さんは、『ラウンド』などという読み方、どこで教わったのですか?」

私「実は、これ、古い情報かも知れないんだ」

結弦「どういうこと?」

私「私が、その後、新しい数学書を、たくさん買ったので、棄てられてしまったが、中学、いや高校の頃でも、母が大学時代に買った、『微分積分演習』とか、『函数論演習』などというような本が、3冊か4冊、家にあったんだ」

麻友「ああ、工学部のお母様」

私「流石に、高校1年で、大学2年生くらいの演習書は、読めなかったんだけど、唯一、この偏微分の記号の読み方が書いてあるところを、見つけたんだ」

若菜「そこに、『ラウンド ディ ワイ、ラウンド ディ エックス』と、読めと書いてあったのですね。そして、『ラウンド ワイ、ラウンド エックス』でも、良いと。でも、お父さんのお母様が、大学時代って、1960年代。通じるんでしょうかね?」

結弦「偏微分の記号っていうの? カチャカチャ。あっ、本当に、『ラウンドディー』って読む。お父さん、ATOKで、『ラウンドディー』って、変換してごらん」

私「うん? ラウンドディー ∂ 本当だ」

結弦「あと、『デル』でも、良いって」

私「デル ∂ なるほど」

若菜「55年くらい経っても、数学は不変ですね」

麻友「太郎さん。明日、5時半起きなんでしょう。{\arctan x}微分まで分かったから、今日は、もう寝たら?」

私「ありがとう。じゃあ、これで、今日は、止めよう」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2020年12月17日21時16分である。おしまい。