現在2020年12月8日10時31分である。(この投稿は、ほぼ2871文字)
麻友「昨日は、感動だったわ。でも、太郎さん、あんなに凄いの、まったく、計算ミスしないの?」
私「私だって、神様じゃない。最初、 のところが、 と、なってしまっていて、どうしても、下限が、 と、あり得ないものに、なった。ノートを、全部チェックして行って、計算ミスに、気付いた。下限が、 より大きいなんて、あり得ないものね。それで、 が、正しいと、分かった」
麻友「この計算で、ミスひとつだけ。普通の人だったら、間違いだらけで、正しい答えにたどり着けないのよ」
私「でも、麻友さんは、特待生だろ。期待しているよ」
若菜「何にしても、凄い計算でした。 の微分は、どこで使う積りだったのですか?」
結弦「それは、聞いちゃいけなかったのじゃない?」
私「ハハハ、聞いてしまったな。既に、積の微分法、つまり、ライプニッツルールは、一応確かめてある。これの応用で、商の微分法というのが、ある。やって、見せると、
というのは、微分の定義を、そのまま使ったようなものだ。
この分子と分母に、 を、掛けると、
丁寧にほぐすと、
掛けたものの極限は、極限を取ってから、掛けても同じ、ということが、効いているんだ」
麻友「それは、一般的に、成り立つことなの?」
私「掛けるものが、実数とか、複素数なら、掛け算という算法が、連続な関数なので、成り立つ。ところが、まだ麻友さんは知らないが、掛けるものが、関数だったりすると、一様収束しているか? というようなことが、問題になる。一様収束(いちようしゅうそく)という概念は、あのアーベルが、最初に気付いたものと、言われていて、私は、勉強するのが、楽しみだった」
若菜「その一様収束というものは、どんな本で、勉強したのですか?」
私「前にも話したけど、この『一様収束』という本を、高校2年の頃、少し読んだ」
稲葉三男(いなば みつお)『一様収束』(共立数学ワンポイント双書1)
- 作者:稲葉 三男
- 発売日: 1976/11/01
- メディア: 単行本
結弦「ちゃんと、勉強したのは?」
私「毎度毎度ながら、『解析入門Ⅰ』なんだ」
- 作者:杉浦 光夫
- 発売日: 1980/03/31
- メディア: 単行本
結弦「お父さん、この本しか、読んでいないみたい」
私「この杉浦光夫の『解析入門Ⅰ・Ⅱ』は、何でも書いてあるんだよ。大学1回生のとき、分からないところを全部写しながら、第Ⅳ章まで、読んであったのが、私の解析学の背骨になっている」
麻友「それで、
は?」
私「前半は、 の微分そのものだよね。そして後半は、 で、 が、 に限りなく近付くので、
となる。これが、分母があるときの、微分の仕方だ。これを、使って、 の微分ができるのだが、今日はもう、22時08分なので、もう寝るよ」
麻友「それが、いいわ。太郎さんと私の仲は、まだまだ続くのですもの」
私「今日の結論は、
だ」
若菜「お父さん。本当に嬉しそう。数学を悟ったというの、本当なんですね」
結弦「お母さんに、自分の数学を作れ、みたいなこと、言ってるけど、お父さん自身、やっと49歳になって、自分の数学が、確立したんじゃない。お母さんもお姉ちゃんも僕も、お父さんに付いていくのは、もの凄く大変なんだからね」
私「分かった。おやすみ」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
麻友「おやすみ」
現在2020年12月8日22時27分である。おしまい。