現在2015年8月24日22時22分である。
渡辺麻友さんの出演している、『マジすか学園』というドラマを見たいと思ったところから、『はやぶさ』という映画を見ることになり、イトカワの微粒子を、科学博物館に見に行ったら、この本が、手に入ったのだった。
そして、この本に、宇宙の年齢を求める鍵がいくつも隠されていて、それを、ひとつひとつ集めているのだった。
まゆゆは、私のブログを読んでいて、
「松田さんと話していると、が無理数であることとか、が、が小さいとき、となることとか、がより小さいとき、
みたいな、先生が証明してくれて、
『テストでこれは使っていいですよ。』
って言うようなことまで、全部証明してくれるのよね。私、遠い記憶の彼方に消えているようなことまで、思い出さなきゃならないわ。」
と言いたいかも知れない。
だが、これは、私とまゆゆ、ふたりのためなんだ。
まず、私にとって、これが必要なのは、私が、先生になりたいから。
小学校や塾の先生になれないのは、もうよく分かったんだ。
私が、余りにも、数学が優秀なので、塾の生徒達は、私の授業を、受験の足しにできないんだ。
でも、一部の優秀な学生の前で、講義をする、または、優秀になろうという意欲のある人のための、本を書く、ということなら、できそうなんだ。
そのために、まゆゆのような、素人相手に、数学の説明をするというのは、大いに役に立つ。
まゆゆは、実験台になってくれているんだ。
だから、もしどうしても質問したいことがあったら、前と同じようにして、そういう信号を、暗号を使って、送ってくれれば良い。
私も、なるべく、暗号が解けるように、頑張るつもりだ。
次に、まゆゆにとって、これが必要なのは、二つのことのため。
第一は、前も、ツイートしたように、お芝居に生かすため。
例えば、今後増えるかも知れない、女性科学者を描いたお芝居の主人公を、まゆゆが、演じる機会があるかも知れない。
映画『はやぶさ』のヒロインは、宇宙を目指す学生だった。
当然、数学を使った計算や、物理学の専門用語を含んだ式変形も、要求されることになる。
映画では、そういう計算シーンはなく、電子辞書で、分からなかった単語「雌伏(しふく)」を引く場面だけがあったが、普通の女優さんでは、数学を分かっていないのが、ばれてしまうからだった。
でも、まゆゆが、私のブログを読みながら訓練されて、例えば、普通の人にとって、途方もなく難しい、『ローレンツ変換』などという言葉を、日常の言葉のように、使えるようになり、『シュレディンガーの猫ってさ、・・・』なんて、物理学者の名前を覚えていれば、本当に、女性物理学者の役になれるんだよ。
このために、必要。
第二は、いつも言ってるけど、私のお嫁さんになるため。
私は、物理学で発見をしたとき、その感動を、全部は分からなくても、半分くらいは、まゆゆと、分け合いたい。
このために、数学を勉強して。
勉強というのが、嫌だったら、私と一緒に、研究しよう。
「えーっ、研究なんて、無理よ。」
と言うかも知れないけど、本に書いてあるから、正しい、というのではなく、自分で納得するまで考えた上で、正しい、と思って進むことにすれば、それは、研究に足を踏み入れているんだよ。
一緒に、自然科学の研究をしよう。
さて、前置きが、長くなったけど、宇宙の年齢を求めるのが、今回の研究テーマだった。
前回、第1回目の間違いと言いながらも、宇宙の年齢を求めたよね。
覚えてるかな。
ハッブル定数が、
である。
ということと、これが、
・時間の逆数の単位を持っている。
ということを、使ったのだったね。
この2番目の方を、前回は、もっと難しい言い回しで、
・時間のマイナス1乗の次元を持つ。
と言った。
どちらにしても、私は、の逆数を取れば、宇宙の年齢が求まるだろうと思ったのだった。
やってみると、
となる。
このでない数字が並んでいる部分に注目して、宇宙の年齢を、
億歳
と予想したのだった。
まゆゆは、
「そんなの当たるわけないじゃん。」
と思うかも知れないけど、これは、デタラメではないんだよ。
まず、物理学において、
『単位が合っている。』
というのは、ものすごく重要なんだよ。
難しい言葉にも慣れてもらうけど、『次元(じげん)』が合っている、というのは、物理学でものすごく気を遣うことなんだ。
「ちょっと待って、その次元って、この世界が、3次元とか、『ひとつだけ願いが叶うとしたら、四次元ポケットがほしい♥』というときの『次元』と、おなじもの?」
と、まゆゆは、聞きたいだろう。
いいんだよ。太郎先生には、どんなことを聞いてもいいんだ。じゃんじゃん質問して。
この場合、二つの『次元』は、まったく別な概念だよ。
数学では、
「この世界は、3次元。」
とか、
「ドラえもんの四次元ポケット」
というときの空間が何次元か、という『次元』だけを使う。
これに対し、物理学では、
「速さというのは、長さ割る時間の次元を持つ。」
などという『次元』という言葉の使い方をする。
要するに、
「単位が、どういう組み合わせになっているのか」
というのが、『次元』という言葉の意味である。
次元については、今後、物理学を一緒に研究していく上で、何度も触れるので、段々分かってくるだろうと思う。
さて、では、第1回目の予想の、どこが間違いだったのだろう。
実は、次元はあっているのだが、
の右辺で、とという基準の違う単位を使っている。
これが、間違いの元だ。
さらに、時間も、ということは、『秒』だ。
本当は、『年』でなければいけない。
そこに、間違いがあったのだ。
じゃあ、計算し直そう。
こういうとき、初めから計算し直すのは、労力の無駄である。
というのは分かっているのだから、これにかける数だけ計算すれば良い。
まず、
というのは、前回の近似を用いて、計算した。
「えーっ、記憶力いい。私覚えてない。」
と、まゆゆが思っても恥じることはない。
私だってこんな数値、覚えてるはずない。
今、理科年表で、調べたんだよ。
丸暗記なんて、よっぽどのことがない限り、するべきではないよ。
大体、丸暗記したことなんて、しばらく経ったら、あやふやになって、自信がなくなっちゃうもの。
ところで、必要なのは、メガパーセクだから、10の6乗をかける。『pc』というのが、パーセクの記号だからね。
さて、次に、秒を年に直すんだけど、1年って何秒?
「えーと、1年が365日で、1日が24時間で、1時間が60分で、1分が60秒だから、365×24×60×60=31536000。つまり、ほぼ3千万秒ね。」
さすが、優等生。これは、普通の8桁の電卓で、計算出来るね。
「あら、遅れてるわね。これだから、おじさんは、・・・私は、スマホで計算したのよ。」
恐れ入りました。
じゃあ、悔しいから、まゆゆの計算ミスを指摘しよう。
「えっ、計算ミスなんてしてないわよ。」
いや、私も最初見落としていて、計算ミスをしたんだ。
そもそも、1年って、365日?
「そうだけど。」
うるう年、計算に入れた?
「えーっ!そんなのずるいわよ。うるう年なんて4年に1回じゃない。」
でも、4年に1回、1日多いということは、平均すると、1年は、365日と4分の1日なんだ。
だから、
なんだ。
だから、厳密には、1年は、31557600秒なんだ。
「自分だって、間違えたくせに。」
さて、仕切り直して、宇宙の年齢を求めよう。
で、
を入れて、
だから、秒を分子に持ってきて、
次に、
から、
である。
こういうとき、10の7乗というのは、いくつだろうと、10を7回かけてみる、なんてのは、ナンセンスだ。
ただ単に、小数点が、右に7回動いたのだ、と思うだけで良い。
さて、代入して、
今回は、ちゃんとキロメートルが、約分されて、
となる。
「『約分』なんて言葉、久しぶりに使ったー。」
若いんだから、しっかりしてよ。
さて、もう計算出来る形をしている。
ここで、
が、ほとんどだったのが、第1回目の予想が、上手く行った理由なのである。
そして2回目は、これを計算して、
であるから、
より、
と、求まる。
やったー。単位もあってるし、宇宙の年齢は、145億歳と求まった。
「えっ、宇宙の歳って、こういう風に、観測から求められるの? 神様に聞かなくても?」
そうなんだよ。
昔は、地球にある鉱石なんかに含まれる、放射性元素(要するに、放射能を出して壊れてしまう元素)が、どれくらい壊れているかで、地球の年齢を、ほぼ45億年と見積もり、さらに、ハッブル望遠鏡などで、遠ざかる銀河の速さを測定して、ハッブル定数をかろうじて求めていた。
それによると、宇宙の年齢は100億歳と見積もられていた。
まゆゆが生まれたあとの、1996年6月14日に出版された佐々木節さんの『一般相対論』という本の最後のページにはこう書いてある。
1995年現在の観測データは、ハッブル定数が、
くらいの値であることを強く示唆している。これは、我々のアインシュタイン-ド・ジッター宇宙であれば宇宙年齢が
80億年
にしかならないことを意味する。また、宇宙項がであれば
100±25億年
であり、最大で125億年にしかならない。ところが星の進化の理論から観測される最も古い星の年齢を評価すると、理論や観測の誤差を含めても130億年よりは古いと考えられている。これは明らかな矛盾である。
まゆゆ、これすごいと思わない?
まゆゆが、小学校の頃は、宇宙の歳は、100億歳だったんだよ。
ところが、新しい観測によると、現在の宇宙の歳は、145億歳。
つまり、まゆゆの生涯は、45億年以上に渡るんだ。
『何年そうやってるんですか?』
『3千年じゃ。』
どころの騒ぎじゃないよ。
『麻友さん、お歳は?』
「45億歳です。」
『???』
これ使えるよ。
実は、種明かしすると、これは、フィールズ賞を取った、コーエンというものすごい数学基礎論のエキスパートの考え出した、ジョークなんだ。
でも、数学者しか知っている人ほとんどいないから、どこかで使ったら、大受けするよ。
というわけで、今回の、宇宙の年齢の答えは、145億歳です。
実は、この計算には、まだ修正しなければならない点があります。つまり、これは、2回目の間違いなのです。
でも、数値は、かなり近付いています。
次回を、乞うご期待。
現在2015年8月26日21時47分である。おしまい。