現在2015年6月28日21時55分である。
今日の9時から放送のあった、『題名のない音楽会』で、司会の佐渡裕(さど ゆたか)さんが、9月27日をもって卒業することを、明らかにした。
オーストリアのウィーンで、トーンキュンストラー管弦楽団というオーケストラの音楽監督を務めることになり、1週間に1回、日本に帰っては来られなくなった、というのが、原因らしい。
『題名のない音楽会』というと、クラシックの番組なのに、
「日本人は、ファとシが抜けている歌を、歌いやすいんです。」
と言って、そういう歌として、
「AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』がある。」
などと紹介する茶目っ気があり、楽しかった。
私が、佐渡裕さんを、
「凄いな」
と、思ったのは、去年の11月17日に放送された、NHKの『鶴瓶の家族に乾杯』で、町のおじさんたちを前に、フルートの演奏をしたときだった。
フルートを一人で吹くんだったら、
を、吹くのかなあと、思っていたら、
『アメイジング・グレイス』
を吹いたのだ。
名曲ではあるけれど、難解なバッハの曲よりも、誰でも知っている、
『アメイジング・グレイス』
の方が、どれだけ、人の心を打つか、それを、佐渡さんは、良く分かっていたのだ。
そして、もう一つ重要だったのは、曲の長さだった。
バッハの曲では長すぎたのだ。
時間に余裕があったお陰で、佐渡さんは、フルートを置くと、小学生が使うような、リコーダーを取り出し、
「自分がヒーロー番組の主題歌を笛で吹くと、同級生全員が合唱したものでした。」
と言って、なんと、
『タイガーマスク』
を、吹いたのだ。
しかも、演奏していく途中で、一瞬、笛を口から離し、「タイガー♪」と、合いの手を入れた。
これには、聴いていたおじさん達、大喜びだった。
最後に、音楽を普及させるために、
ドビュッシーの『シリンクス』
という珍しい曲を、フルートで吹いたが、後の感想で、おじさん達は、皆、
「タイガーマスクを吹いてくれたのが、嬉しかった。」
と言っていた。
やっぱり芸術というものは、人の心に届かなければ、意味がないと思う。
そういう意味では、東日本大震災の慰問コンサートで、お客さんは、カッパを着ているのに、AKB48のメンバーが、雨の中、グショグショになりながらも、一所懸命歌ったのは、これに通じるものがあったと思う。
佐渡裕さん、ウィーンへ行っても、この「タイガー♪」の心を忘れないで下さい。
今まで、ありがとうございました。
今日は、ここまで。
現在2015年6月28日22時48分である。おしまい。