現在2020年7月11日17時38分である。
麻友「あらっ、デートのお誘い?」
私「うん」
麻友「なんか、太郎さん、嬉しそう」
私「この間から、話している、Mathematica もう手に入るんだよ」
麻友「やったじゃない。お母様から、お金受け取ったの?」
私「ただ、今後、2023年まで、5万円というような、高額の買い物はしませんと、サインさせられた」
麻友「それでも、Mathematica 欲しかったの?」
私「過去、Mathematica でなければできなかった計算というのは、18年間で、6回ほどだったと前にも書いたけど、どうしようもなくて、使わなければならない場合があるんだ」
麻友「その6回というのは?」
私「
・ の値を、1000桁知りたかった。
・『解析入門Ⅰ』の第Ⅰ章§3の問題1)(vii)を、解きたかった。
・リーマン・ゼータ関数の3での厳密値を、関数等式と1の3乗根を使って求めようとした(『数学ガール』を読んでのアイディア)。
・ジョルダン標準形を、計算させようとした。
・リーマン・ゼータ関数の3での厳密値を、中島さち子さんが、雑誌『数学のたのしみ 創刊号』で書いている等式を利用して求めようとした。
・ の 乗を底とした対数で、リーマン・ゼータ関数の3や5や7や9での厳密値を表そうとした。
・ブリング/ジラードの標準形を、終結式で求めようとした。
と、思い出せるのは、7回だな」
麻友「素人には、 を1000桁知りたかった、くらいしか、分からないわね。ブリング/ジラードの標準形というのは、この間のね。でも、リーマン・ゼータ関数という言葉が何度も出てきてる」
私「うん。リーマン・ゼータ関数の3での厳密値が、超越数だと証明したら、証明法にもよるけど、応用の広い証明法だったら、アーベル賞もらえる」
麻友「ウッ、太郎さんから初めて、数学で具体的な野望を聞いた。道理で、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ね」
私「聴こう」
パールマン(ヴァイオリン)バレンボイム(指揮)ベートーヴェンヴァイオリン協奏曲 ベルリンフィル
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲:パールマン(Vn)/バレンボイム/ベルリンフィル
麻友「なかなか、始まらないわね」
私「本来、クラシックのコンサートは、こうだ」
麻友「どうして、ベートーヴェンの交響曲の後、モーツァルトの交響曲で、その後、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲にしたの?」
私「ハイドンの交響曲とか、ブラームスの交響曲とか、マーラーの交響曲とか、ブルックナーの交響曲とか、あるけど、どれも私が、3回くらいしか聴いてなくて、語れない。ヴァイオリン協奏曲は、好きな曲が、何曲もある」
麻友「前橋さんとか、諏訪内さんとか、ご贔屓が、いらっしゃるものね」
私「前橋さんの側は、応えてくれているんだよね」
麻友「あっ、SACDで、バッハの無伴奏を出して欲しいというの、要求を飲んでくれたわね」
私「ノーベル講演なんて、取ってから言え、と言われそうだけど、あの公約をしてから、5年経った。私の頭で、ノーベル賞とるなんて、土台無理な話かも知れないけど、私ってかなりついてるからな」
麻友「ついてるって?」
私「楽にこの地位を得たわけではないけど、公認会計士になった藤居君も、コンサルタントになった藤田君も、物理学を諦めざるを得なかった。私のように、薬で眠らされながら、震える字で、本を写し続けるなんてのは、彼等も嫌かも知れないけど、私は、そうやって、自分の数学と物理学を、再建中だ。26年間、数学から離れたことはない。この継続以外に、私の武器はない。だが、継続できたのは、ついていたとも言える」
麻友「あらっ、誰かのことを、忘れてません?」
私「そうだね。麻友さんと相思相愛になれた、というのも、もの凄くついてる」
麻友「ところで、この曲は、ベートーヴェンのいつ頃の作品?」
私「かなり前、10年以上前かも、あっ、ネットで、『第二楽章』カチャカチャ、あっ、2013年4月16日から6月11日だ。NHKで、『第二楽章』というドラマがあった」
麻友「あんまり、お芝居の話は、今はしないで、芸能界、引退したばかりなの」
私「あっ、そうなのか。じゃあ、演技のことなどは、カットして、主人公の女流ヴァイオリニストが、いるんだけど、ガンだと分かるんだ。もう生きて行かれないと悩んでいるその人に、楽団長が、
「『英雄』『運命』『田園』『皇帝』『ヴァイオリン協奏曲ニ長調』」
と、語りかける。するとヴァイオリニストの側が、意味を分かって、
「傑作の森」
と、応える」
麻友「傑作の森(けっさくのもり)?」
私「ハイリゲンシュタットの遺書の後、耳が聴こえなくとも、作曲家になることを決心したベートーヴェンは、素晴らしいではとても形容できない、数々の名曲を書く。これが、傑作の森だ。『皇帝』は、ピアノ協奏曲第5番『皇帝』、そして、題名がないので、そのまま調性を言ったのが、ベートーヴェンヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61だ」
麻友「あっ、作品61ということは、『英雄』のちょっと後ね。そうだ、太郎さんの覚え方で、交響曲第4番が、作品60だった。その次ね」
私「よく覚えていたなあ。その通りだよ」
麻友「それで、そのヴァイオリニストは、ベートーヴェンのように、病魔と闘う決心をするのね」
私「そういうことだ。音楽の知識があると、そういうドラマが、楽しめる」
麻友「この曲には、詳しいのね。ちょっと、意地悪な質問を、ぶつけてみようかな?」
私「どんなことだい?」
麻友「この曲の、聴き所は、どんなところなんでしょう」
私「まず、始まってしばらく、独奏ヴァイオリンが、弾き出さない。オーケストラが、出だしの小さなティンパニの音から、どんどん大きくなって、3分も演奏してから、この場合、イツァーク・パールマンが、やっと登場する。この登場の仕方が、ゾクゾクするほど緊張感のあるものだと満足もひとしおだ」
麻友「おっ、太郎さんが、聴き所なんて、心得てる」
私「と、書いてきて、デート中なんだけど、もう22時00分で、眠くなっちゃったから、続きは、明日にして」
麻友「薬が効いてるのね。良いことだわ。ちゃんと、寝てね。おやすみ」
私「おやすみ」
現在2020年7月11日22時02分である。おしまい。