現在2016年9月15日18時38分である。
「わーい。デートだ。」
世の中のカップルは、どれくらいの頻度で、デートしてるんだろうね。
「学生なら、毎日かもよ。」
大人になると、『せいせいするほど、愛してる』みたいに、不倫だったりして、なかなか会えないかも知れないなあ。
「三好海里が、踊り回ってるところ見られちゃったの、太郎さんが指揮してる現場を、私が押さえたみたいだったわね。」
「でも、お互いに引かれあっているのは、確実なのに、手をつないだこともなければ、言葉を交わしたこともないなんて、切ないわ。」
じゃあ、どうして、あんなこと、インタビューで、答えたの?
「あんなことって?」
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で、
『AKB48の主要メンバーなら、選抜総選挙に出て、みんなに楽しんでもらわなきゃな、みたいに思って、出馬しました。』
みたいなこと、書いてあったじゃない。
「ああ、あれかー。」
あんなこと、言っちゃったら、来年卒業しなかったら、また選抜総選挙に出馬することになるじゃない。
「私1人の問題じゃないのよ。」
でも、今年、来年は出ないって言ってたのに。
って、いじめるのは、これくらいにして、デートを楽しもう。
「ホッ。良かった。」
「今日は、『運命』ね。」
そう。
ただ、イタリア語でもドイツ語でも英語でも、この曲を『運命』と呼んだりはしない。
ベートーヴェンの伝記に、この曲の出だしの、『ジャジャジャジャーン』というのは、『運命はかく扉を叩くのだ』、と弟子アントン・シンドラーに語った、という記述を見つけた、日本のレコード会社のセールスマンが、これは良いものを見つけた、というので、題名にしてしまった、というのが真相。
「かく扉を叩くって?」
このように扉を叩くっていう意味。
「そうなのね。ちょっと確認しようと思って。」
いいんだよ。どんなことでも聞いて。
「じゃあ、太郎さんは、何人もの指揮者の5番を聴いているでしょうから、誰のが良いか、教えて。」
その前にね。YouTubeで、3分46秒で、次の8人の指揮者と、グレン・グールドというピアニストの5番の演奏を聴き較べているページがあるから見てみて。
私が、言うように、指揮者によって全然違うというのが、コンパクトに分かるから。
ヴァント
ベートーヴェン交響曲第5番聴き較べwww.youtube.com
「音質が、それぞれ違うのは、分かるわ。」
それだけでも、耳が肥えてきた証拠だよ。
「ところで、太郎さんのこの曲の評価は、どうなの?」
色々な分野に、完璧なものといえるものがあると思うんだけど、音楽において最も完璧な曲は、第5交響曲だろうと思う。
「すごい、評価してるのね。どういうところが、完璧なの?」
第1楽章始まった時から、
『ウワーッ、完璧に構築されてるなあ~』
と、感じ始めて、第2楽章では、少し収まるけど、第3楽章が、コントラバスで、ドキッとするような音で始まって、それが展開していって、途切れることなく、第4楽章に入る。
この第4楽章を聴かずして、第5交響曲を聴いたと言えるか!
私は、第4楽章の提示部の勝利の凱歌を聴いている時、
『モーツァルトが神童だの天才だのと言われるが、やっぱり音楽はベートーヴェンだな。』
と感じないでは、いられない。
「今回のデートは、台風直撃みたい。」
アハハ。いや、それくらいすごい曲なんだよ。
「太郎さんのお勧めの演奏は?」
最初に聴くのは、やっぱり、
フルトヴェングラー指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(1954年)www.youtube.com
CDでは、
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を、何度も聴いて欲しい。
最低でも、50回は聴かないと、私が、この曲を完璧だという理由が、分からないと思う。
「えーっ、太郎さんって、本当に暇なのねぇ。」
それから、これに慣れたら、次に聴くと良いのが、
カルロス・クライバー指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
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音質が、フルトヴェングラーのものより、遥かに良い。
「前から、不思議なんだけど、どうしてクライバーは、カルロス・クライバーって、フルネームで呼ぶの?」
それは、お父さんのエーリヒ・クライバーも、指揮者だからなんだよ。
「太郎さん。エーリヒ・クライバーの演奏なんて、聴いたことあるの?」
実は、あるんだ。
妹のご主人がね、結婚前、偶然CDを1枚持ってたんだ。
「結婚前なのに、どうして接触が取れたの?」
妹が、結婚式にかける曲のCDを選ぶっていうんで、方々から、CDを集めて、試聴してたんだ。
その時、
『たろちゃん。ベートーヴェンの7番の第4楽章なんて、舞曲だから、結婚式に良いよね。』
なんて言って聴いているCDを見たら、なんと、エーリヒ・クライバーだったんだよね。
『ベートーヴェンなんて、結婚式には向かないよ。』
と言いながら、そのCDを、聴いてみたんだ。
このCDだった。
エーリヒ・クライバー指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
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面白いよね。
「妹さんは、もう結婚15年だったわね。」
さすが、記憶力いい。
長女が、小学校6年生で、来年春に中学受験。
1日に、18時間以上、勉強しているらしい。
「太郎さん。手伝ってあげないの?」
あそこは、現役で早稲田の理工学部に通った優秀なお父さんがいるし、妹だって、短大では日本で一番の大学なんだから、勉強を教えられないはずはないんだ。
合格した後の入学手続きを間違えたりしなければ、希望の中学に行かれるんじゃない?
「どういう方面に進みたいのかしら?」
それがね。伝記を書かれるような偉人になりたいそうなんだ。
だから、あの小林りんさんのISAK(International School of Asia Karuizawa)へ、行こうかなどと、本気で考えている。
「偉人になりたい、なんて、伯父様の影響じゃないかしら。」
病気まで遺伝してないことだけ、祈ってる。
「統合失調症って、遺伝するの?」
する。
映画『ビューティフル・マインド』の数学者ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアは、統合失調症だけど、その子供も、統合失調症になってる。
「じゃあ、太郎さんと子供を作ることは、できないの?」
もし、統合失調症の子供が生まれても、治せれば、問題ないわけだ。
だから、私の体を献体して、統合失調症治療に役立ててもらおうと思ってるんだ。
「ベートーヴェンも、耳の聞こえない人のために、自分の体を死後、献体したのよね。」
私は、死後じゃないからね。
「そういう意味で、偉人になるかもね。」
まだ夢が語れる、ということが分かったところで、今日のデートお開き。
「おやすみ。」
おやすみ。
現在2016年9月15日23時17分である。おしまい。