相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

相対論への招待(その13)

 現在2018年12月6日10時59分である。

「『相対論への招待』は、久し振りね」

 昨日、病院の帰り、もの凄く相対性理論の計算をしたくなって、帰りのバスで、時空図書いてたんだ。

「昨日、病院に通院だったわね。どれくらいお金がかかるの?」

 いつもは、自立支援医療という制度のお陰で、外来のお金と、薬と、合わせて2,500円なんだけど、今回は、障害年金をもらうための診断書を書いてもらわなければならなかったので、さらに5,400円かかった。

「太郎さんは、障害年金を、一月65,000くらい、もらっているのよね」

 そうだよ。

「私と結婚した場合、私が、高額所得者だから、障害年金を減らされたりするかしら?」

 いや、それはないと思う。

 生活保護を受けてたら、さすがにそれはカットされるけど、私は、生活保護は受けてない。

 障害年金というのは、私が、働けないから、もらっている、というのもあるけど、本来なら、気がふれているのだから、周りの人に危害を加えるかも知れない。でも、薬を飲むことで、他人に危害を加えたりしなくなっている。

 その、薬を飲むということを、守っているために、頭の働きが落ちているのが、仕事ができない理由の一つになっている。

 本当は飲みたくないのに、薬を飲まされている代償として、障害年金という形で、社会からお金を受け取っているわけなんだ。

 だから、もらってやましいお金ではない。

「じゃあ、太郎さんは収入は低いけど、働いているのと同じなのね」

 そうだよ。


 ただ、私だって、この才能を、社会に役立つことに、使いたい。

「太郎さんが、歴史上最高の数学者で物理学者というのは、あの医学機器が完成されれば、誰もが、認めるわね」

 私は、本気だよ。

「じゃあ、相対性理論なんて、やってる場合じゃないんじゃない?」

 いや、これが、大ありなんだよ。

「どういうことで?」


 実は、姪や甥に入院直前に会ったことは、ドラえもんのブログで、書いたじゃない。

「ああ、日本国憲法の第九条ね」

 あの日、ランドマークタワーくまざわ書店で、待ち合わせたんだけど、甥が、本屋の中で、伝記を見てたんだ。

「誰の伝記?」

 レントゲンの伝記だったんだ。

 それで、

『レントゲンって、どんな人か知ってる?』

と、聞いてみた。

 すると、

『最初にノーベル賞もらった人なんだよね』

と、応えてきた。

 だから、

『そう。1901年に、ノーベル物理学賞をもらった人だ』

と言った。

 その後、

『レントゲンの名前を取った、レントゲニウムっていう物質知ってる?』

と聞くと、

レントゲニウム?』

と、分からない。

「実は、オリンピックで、銅メダル、銀メダル、金メダルって、あるけど、その上を作ろうと思ったら、レントゲニウムメダルかも知れないんだ』

というと、

『へー、プラチナじゃなくて?』

との応え。

『ただね、レントゲニウムって、放射能出すんだよ』

と言ったら、甥が、

『レントゲンって、X線っていう放射能を見つけた人なんでしょ。レントゲニウムって、放射能出すから、レントゲンの名前付けたんじゃない』

 えっ、それは、とんでもない、間違い。放射能出すものは、他にいっぱいある、と思ったが、どこから話し始めていいか、分からない。

 次の瞬間、甥が、

放射能って、どういうものなの?』

 まず、アルファ線というのは、ヘリウムの中心にある原子核というもの。ベータ線というのは電子、ガンマ線というのは光みたいな電磁波というもの。

 だから、一つや二つあっても、悪さはしない。

『じゃあ、たくさんあると、いけないんだ。でも、段々減っていくんでしょ』

 そうだよ。

『だったら、長い時間が経ったら、平気なんだ』


 これが、場外ホームランであることに、私は、その場で気付いた。

 甥には説明しようがなかったが、

『長い時間が経ったら、大丈夫』

という発想。なんで今まで、気付かなかったんだ。

「えっ、何に、気付いたの?」

 つまりね、原子力発電所で、事故が起こっても、放射能出している物質に、一気に時間が経ったように、感じさせれば、放射能出し切らせられるんだよ。そうすれば、安全だろ。

「また、タイムふろしきとか、マンガの世界のもの持ち出して・・・」

 いや、今すぐは、できないかも知れないけど、時間を操るって、不可能ではないように、思うんだ。

「太郎さん、相対性理論、ちゃんと、勉強したんでしょ?」

 したからこそ、こんな突拍子もない場外ホームランに、気付ける。

「まあ、そのアイディアも、実現すれば、世の中に、認められるわね。でも、あの医学機器とは、関係ないわね」


 そうじゃないんだ。関係あるんだよ。

「どうして?」

 あの、医学機器は、女の人と男の人が、そういうことするときは、切り落とすって、言ったでしょ。

「そうだったわね」

 私のアイディアでは、切り落とした後、その行為をして、それが終わったら、また縫い合わせる、なんていう古いアイディアでは、女の人が苦労すると思ったんだ。

「じゃあ、どうすんのよ。朝になったら、元通り、生えてくるなんて、ほとんど、ホラー映画の『CROW’S BLOOD』の世界じゃない」

 そうだよ。その、

『朝までに、生えてくる』

というアイディアを、私は、本気でやろうとしているんだ。

「どうやって?」

 実は、体内時計のメカニズムを解き明かしたことに対して、2017年のノーベル生理学・医学賞が、授与されている。

 進行性のがんを、治すために、がん細胞の細胞分裂のスピードを落とすということも、行われている。

「分かった、太郎さんは、細胞分裂のスピードを落とすのでなく、逆に速めて、朝までに、元通りにしようと考えたのね。でも、ほとんどエイリアンよ。女の人怖がるわ」

 だから、絶対に欠陥がないと、証明されるまで、人体実験は、できない。

「そんなことまで、考えているから、数学の基礎や、物理学の基礎まで、重箱の隅をつついたような、研究をしてるのね」

 重箱の隅は、つついてない。むしろ、王道を行ってる。

「まあ、分かったわ。ところで、相対論への招待で、太郎さんがスキャンして読みやすくなった原稿を、みんなに見せてよ。私は、分からなくても、他の人で、分かる人もいるかも知れないから」

 分かった。あのときのノートを見せよう。


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 1399ページと1400ページは、わざと間違った計算をして、数値が合わないことを示し、特殊相対論へ誘導している。


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 1を往復したので、{t'}系で2秒経ったとき、{t}系で{\displaystyle \frac{2}{1-v_1^2}}秒経ったというのとも違う。

 長さも縮んでいるので、やはり、加速させて縮む量を計算しなくてはならない。




 1401ページ、1402ページ、1403ページが、この導出の肝。


 {t'}系と{t''}系は、{A}{B}の点で、{t}系から見て、同じ速度。{t'}系,{t''}系から見て、{A}{B}は、同時刻。

 コノライン上の点は、加速系で同時刻。

 最初からそのときまで、ずっと同時刻。

 相対論では、同時刻ラインは傾くので、

などとはならない。

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双曲線の一般型{\displaystyle \frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2} =1}

Aを通る双曲線{\displaystyle \frac{x^2}{b^2}-\frac{y^2}{b^2} =1}

Bを通る双曲線{\displaystyle \frac{x^2}{(a+b)^2}-\frac{y^2}{(a+b)^2} =1}

 直線{y=vx}上の点は、同時刻になっている。

{\left\{ \begin{array}{2} \displaystyle \frac{x^2}{b^2}-\frac{y^2}{b^2} =1\\ y=vx \end{array} \right.}

連立方程式から、同時刻な点は、

{\displaystyle (x,y)=(\frac{b}{\sqrt{1-v^2}},\frac{bv}{\sqrt{1-v^2}})}

である。

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 以上だ。何カ所か、読みづらい字のところを、手で書き加えておいた。

「1994年の7月か8月と、書いてあるわ」

 うん。私の記憶も、ちょっと曖昧なんだ。ゴールデンウィークの頃、記録的な暑さになって、朝日新聞に、『涼求め、高みへ』とかいう記事が載った頃、このローレンツ変換導出のアイディアを得たように思え、7月に気が狂う直前に、ニュートン力学は、落ちることばかり予想するけど、アインシュタイン力学は、浮上も予測するという、アイディアを得たように、覚えているのだけど、あのときのノートには、あまり日付がないから、分からない。でも、いずれにせよ、あのアイディアを、こうしてネットに載せたのは、今日なんだから、発表日は、今日(2018年12月6日)だよ。

「そうなのね。これを読むと、太郎さんは、結果を知ってて、それに合うように、計算していってるみたいね」

 そうなんだ。

 ここでもまた、あのグライダー部の親友の影響が、色濃く表れている。

「どういうこと?」

 2回生の時のファインマン物理学のⅤ巻のゼミで、あるとき、グライダー部の親友が、

『この間、等加速度の変換の式を求めようとしたんやな。結果は、双曲線になることは、知ってたんやけど、これが、結構やっかいなんよ』

と、しゃべった。

 その瞬間、私の頭に、以前見せた、ボロボロにした相対性理論の本での計算が、思い浮かび、

『あっ、ハイパボリックコサインだ。そうか、双曲線なんだから、ハイパボリックコサインで、パラメータ付ければ、いいんだ。双曲線だということ、覚えておこ』

と、インプットされたんだ。

「すっごい。なんで、そんな人が、公認会計士なんかになってるのよ。宇宙開発とか、重力波望遠鏡とか、やってなきゃ、いけない人じゃない」

 本当に、もったいない。

 でも、大学で学んでいた頃から、26年くらい経つ。

 私は、ずっと数学と物理学を続けてきたけど、彼は、そこまでのことは、しなかった。

 今の彼が、あの頃の冴えを持っているかどうかは、分からない。

 ただ、私が、きちんとした物理学の本を書きたいと思ってると、話したとき、

『これからは、紙の本の時代じゃないですよ。問題というボタンを押すと、問題がアウトプットされるような、オンラインの本にしなきゃ。後、数学や物理学の文献を、いきなり途中から開いたとき、使われている記号の意味が分からないのが、困りますね。これを、なんとかしてください』

と言われた。

「太郎さん。その言葉を、ちゃんと守っているのね。記号の意味が分からないというのは、どうするの?」

 これね、数学に関しては、ものすごく慣習を守るか、慣習通りにしないときは、こう違うぞ! というのを、分からせるように、気をつけてる。それに、記号の数は、なるべく少なくしている。

 それから、物理学に関しては、単位のことに、すごく気を遣ってる。

 特に今回、質量の定義が、変わったでしょう。

 或る意味、量子力学の教科書が、全部、時代後れになったようなものだ。

「そういうとき、どうするの?」

 いや、本当は、時代後れには、ならないけど、やっぱり後から出る本の方が、洗練されるよね。

「科学が進歩したことを、素直に喜べば、いいのね」

 オンライン書籍なら、書き換えは、簡単だ。

 その点についても、彼の先見の明は、素晴らしいね。

「その人とは、その後も連絡取れてるの?」

 この間、お誕生日にメール送ったけど、返事なかった。

 忙しいんだろうな。

「じゃあ、太郎さん、本当に、お誕生日、1人だったんだ」

 そうだよ、誰かさん来てくれないから。

「いきなり、家へ呼ぶから、行きにくくなったのよ」

 ごめん。女の人の気持ち、分かってあげられなくて。

 どうやったら、会ってくれる?

「その日は、デートだけで、別れるって、約束してよ」

 それくらい、喜んで、約束するよ。

 こんなのは、どうだろう。

 横浜のランドマークタワーって、69階に展望フロアがあるんだ。

 あそこで、デートって、どうだろう。

 私の家は、分かりにくいけど、鶴見の総持寺(そうじじ)というお寺は大きいから、見えるんだよ。

「うわっ、ものすごくデートのプランも、すぐアイディア浮かぶのねぇ。ちょっと、日程と相談してみる」

 食事くらいは、付き合ってくれるのかな。北欧料理なんて、どうだろう?

「えっ、アーベルの北欧?」

 あっ、そういう意味じゃなくて、SCANDIAって、私の母と父が、最初にデートした店なんだ。

「太郎さん、やっぱりマザコン抜けないわね」

 母や父の良いところは、吸収し、悪いところは、吸収しない。これが、信条だよ。

「太郎さんが、自分の嫌なものは、絶対いや、とする人だというのは、分かってるわ」

 でも、先日のQ&Aの麻友さん、無責任だったよね。

「あの、就職の面接で、困った質問をされたとき、というの?」

 うん。

 麻友さん、就職の面接なんて、経験ないものな。

「太郎さんは、困った質問されたことあるの?」

 まず、京都大学中退してるでしょ。なぜ、中退したんですか? と聞かれる。

 それから、何度も転職してる。

 ここは、なぜ辞めたんですか? と、聞かれる。

 障害を隠して、就職しようと思ってても、そんなの絶対無理。


 また、私の親友は、3年浪人して、ある大学に行ったんだけど、

『君、3年浪人してるね。3年浪人して、こんな大学かい』

と、言われたそうだ。

 買い手市場のときの、就職戦線は厳しい。

「ああ、太郎さんが、お金を稼げて当然と、私が思っていると、言ってたけど、お金を稼げるって、当たり前じゃないのね」

 私の母も、箱入り娘だったから、よく競輪に来ているおじさんなんかを、

『ああいう人達も、働こうと思えば、働けるのに、ギャンブルなんかやって』

と、言ってたけど、息子が、どうやっても、自立できないという現実を突きつけられて、少しは何かを学んだかなあ。

「おまけに、アイドルに、夢中になって、現実が見えずに、のぼせ上がってる。見ていられないでしょうね」

 いや、私は、麻友さんとのこと、冷静に、分析できてるつもりだよ。

 きちんと、あの医学機器の開発過程を、透明に見られるようにして、誰でもが、本当にこういうものが、作れる、と、納得できるようにしようと思う。

「こういうときって、必ず、ライバルが、現れるのよね」

 そのライバルが、現れたときが、本当の勝負の始まりだ。

「じゃあ、まだ、勝負は始まってないの?」

 分からない。麻友さんの、First contact から帰ってきて、あのアイディアを『補欠君の場外ホームランです』と書いたツイートを、1人だけ女の人が、いいね、してきたんだよね。

「1人だけ?」

 うん。

 ただの気まぐれか、これは、いいと思ったか?

「もうちょっと、研究しなきゃ、できるものも、できないわね」

 発明や発見って、本人が、どれだけ、自分の才能を信じられるかだと思う。

 父と一緒に働いていたとき、自転車の盗難を防ぐために、ペダルを内側に折れるようにする、という発明をした人がいて、試作品を作って欲しいといわれた。

 父が、その仕事を持ってきて、私に指図して、私がCADで、図面を描き、下の工場で、加工してもらった。

 ただ、かなり慎重に、父がチェックしたのに、M5のキャップボルトのネジが切ってあるのに、M4のざぐり穴しか、あけてなかった。

 M5のネジをはめようと思っても、つかえて入らない。

 そのことを、上司に報告したら、

『このM5のネジ、どうなってもいい?』

と聞かれた。

『はい』

と、応えたら、そのM5のネジのキャップの部分を、電動のやすりで削って、キャップの部分を、M4の大きさにして、

『これでどうだい。本当は、規格品を加工するというのは、良くないんだけどね』

と、言われた。

「その発明は、どうなったの?」

 分からない。町の発明家の発明を、反故にしたんじゃないかと、気になってはいる。

「太郎さん、そういうときに、図面を描ける程度には、CADを使えたんだ」

 あの素晴らしい関数電卓を、買ったのだものね。

「私、本当に、太郎さんという人が、分からなくなる。どうして、こんなに優秀なのに、まともに、働けないの? ホーキング&エリスだって、訳せるはずなのに」

 ホーキング&エリスは、完全に、訳者からは降りたけど、訳文の校閲は、することになった。

「なぜ、訳せなかったの? あれを、太郎さんが訳せば、私、お父さんにも、紹介できたのに」

 いや、あれを、訳さなかった、というのが、私が、自然科学の良心と言うにたる人間だった、と言うことなんだよ。

「いつもの、誠実さ?」

 そう。

 自分の及ばないものに、無責任に手を出さない。

「私には、手を出してる」

 そのかわり、命懸けだからね。

「分かった。ホーキング&エリスには、命を懸けられなかったんだ」

 簡単に言うと、そういうことだね。

 訳してて、楽しくなかったんだよ。

「あー、そこか~。私が、ミュージカル女優に、最終的になったのも、これが、一番楽しかったからなのよね」

 そういう意味で、麻友さんに宛てて、ブログ書くのは、すっごく楽しい。

「下手に、デートしないほうが、夢から覚めなくて、いいんじゃない?」

 そういう2人では、ないでしょう。

 やっぱり、デートをしても、続く2人だと、私は、思うな。

「太郎さんの、医学機器開発の進捗を見ながら、今後の方針を決めます」

 麻友さんが、

『これ、本当は、どうなってるのかなぁ?』

と思うようなところは、全部、フォロー入れるよ。

「じゃあ、さっきのボロボロにした相対性理論の本というのは、どんなのだっけ?」

 ああ、これだよ。

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「これ、いつボロボロにしたの?」

 大学の3回生の頃だったかなあ、この本を、もの凄く丁寧に読んで、問題も、32番まで、丁寧に解いた。

「何問あるの?」

 104番まであった。

「解答は付いてるの?」

 これは、全問、解答付いてる。

「その問題解いてるときに、ボロボロになったのね」

っていうか、私、一部の本は、もの凄く頻繁にのぞくんだよ。

「例えば?」

『数学基礎概説』

『解析入門Ⅰ』

量子力学概論』

『接続の微分幾何ゲージ理論

『数Ⅲ方式ガロアの理論』

『公理論的集合論

『エイブラハム&マールスデン&ラティウ』

『力学の基礎』

『時空の物理学』

『群と位相』

『体とガロア理論

『英文法詳解』

『現代論理学』

『集合と位相』

多様体の基礎』

ファインマン物理学Ⅰ~Ⅴ』

くらいかなあ。

「20冊。この中には、ブルバキランダウもないわね」

 うん。

 この中に加わるくらい、ブルバキランダウも、読み込まなきゃ。

「見てるわよ。それで、相対論への招待は、オリジナル原稿を、見せたから、おしまい?」

 それは、麻友さんとしては、許せないでしょ。

「なんだか、太郎さんと話してると、相対性理論が、当たり前に思えてくるのよね。これ以上、説明しなくていいみたいに」

 私が3年8カ月かけて、そこまで訓練したんだよな。

 学問は、ここからなんだよな。

「えっ、これでやっと、物理学に入門できたわけ?」

 物理学の高校の授業を、受けられる程度に、なったんだよ。

「それは、ひどすぎない? 私、高校は、トライ式高等学院だったけど、物理の授業って、そんなに難しかったのかなあ?」

 私、京都から戻ってきて、頭がリセットされて、全部ゼロから、築き直したって言ってるけど、麻友さんは、話半分くらいにしか、聞いてないでしょ。

「だって、全部築き直すなんて・・・」

 高校の参考書の問題を、全部解くなんていう、バカなことは、やってない。

 そもそも、私は、本当に高校生だったときも、そんなバカな勉強はしなかったのだから。

 でも、私が高校時代に、数学と物理学に対して、行ったと同じだけの勉強を、もう一度やったんだ。

「どんな風に?」

 まず、そのとき弟が、高校1年生で、数Ⅰの参考書があった。

 開いてみると、こんな問題があった。


 問題
{x^3+5x^2+3x+4} を {x+3} で、割ったときの、商と余りを求めなさい。


「これくらいは、私でも、解けるわね」

 参考書には、これは、こうやって解くんですといって、

    {x^2+2x\ -3}
{x+3\ ) \overline{x^3+5x^2+3x+4}}
    {\underline{x^3+3x^2}}
      {2x^2+3x}
      {\underline{2x^2+6x}}
        {-3x+4}
        {\underline{-3x-9}}
           {13}

と、割り算して、

 答 商は {x^2+2x\ -3} 余り {13}

と、答えなさいと、書いてあった。

「当然じゃない?」

 私、こんな問題、こんな解き方したことなかった。

 母に、

『こんな縦書きにしなきゃ、解けなくなっちゃった』

と話したら、

『太郎が、整式の割り算を、縦書きにしなきゃならないなんて、普通じゃないよ。そのうち回復するよ』

と言われた。

 私は、何度も、数学の本を読み始め、挫折を繰り返した。

 本当に、高校1年生が、最初に取り組む問題が、やっと解けるか解けないか、というところまで、リセットされてた。

 そして、物理学もそうだった。

 弟が、高校2年生で、物理を取り、

『全然分からない』

と言っているので、

『見てあげるよ』

と言って、問題を見たら、私にも解けない。

 涙が込み上げるほどだった。

 京都大学理学部で、3年半、必死に物理学を学んで、このざまか。

 だが、私は、自分の才能を疑ってはいなかった。

 もう一度、築き直そう。

 そのときの思いは、今も続いている。

「えー、高校の物理って、そんなに難しいの?」

 普通の生徒にとって、異次元の言葉としか、思えないらしい。

「太郎さんは、中学2年で、特殊相対論をやってるくらいだから、なんでもなく入門できたけど、普通の生徒は、免疫ないものね」

 麻友さんに、高校の物理学から、丁寧に話すために、『微分積分入門』の次に、『川勝先生の物理授業』という本を予定してる。

 相対論みたいに、一気に難しいことをやる一方で、地道な勉強も、やっておいた方がいい。

「ある程度、スピード感を持って、進めてね。太郎さん、のんびりすぎるから」

 じゃあ、もう遅くなったから、今日は、寝るよ。

「おやすみ」

 おやすみ。

 現在2018年12月6日21時50分である。おしまい。