相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。

相対論への招待(その5)

 現在2017年2月25日22時23分である。

「前回は、磁力線を、ぶっ壊したのよね」

 科学の進歩は、まったく新しいものを生み出すか、既存のものを壊すかして、なされる。

 私の見るところ、これまでの歴史で、壊した回数の方が、多いと思う。

「でも、良く考えてみると、磁力線というものは、本当は、ないんだよ、と言っただけで、磁力線という概念を使うと、考えるのが楽になることもあるんじゃないかしら?」

 さすが、特待生、気付いている。

 実は、理科の授業の中で、こう考えると便利だよ、というものは、たくさん出てくる。

「たとえば?」

 電池の電圧が1.5V(ボルト)というのにしても、そんな単位、人間が定めたものだ。

「つまり、どういうこと?」

 1.5Vの電池を二本、直列につなぐと、それの倍の電圧、つまり、3Vの力を持つ。この計算のしやすさに、目をつけて、電圧という概念を、作った。

 自然が、最初から、電圧なんて考えて、電気を流しているわけではない。

「だから?」

 普通、理科では、こう考えると便利なんですよ、というのを、明示的には言わないけど、教える側も、教わる側も、分かってて、勉強している。

 ところが、磁力線のときだけ、鉄粉をまいて、線ができるとか、方位磁石がこっちを向くだとか、磁力線の密度が濃いと、磁力が強くなるだとか、やたらと磁力線が実在すると、信じさせようとする。

「太郎さんは、それに対して、おかしい、と思ったのね」

 そういうことだね。

「その欺瞞に対する太郎さんなりの憤りが、私に、あんな質問をさせたのね」

 でも、良かったろ?

「結構、スッキリした。ところで、神7のことを、エントロピーで、使うというのは?」


 ツイッターを見ていない人のために、説明しておくと、ここで彼女が言ってるのは、私が、2017年2月24日3時22分に、


渡辺麻友様。『神7』を私はいつも『かみなな』と読んでいました。『かみせぶん』って言うんだね。2009年と2010年で神7は内部に変動はあったもののメンバーの顔ぶれは一緒なんだね。7人のメンバーの入れ換え方は全部で何通りあると思う?エントロピーで使うよ!


と、ツイートしたことを指す。

 以下で見るように、AKB48の選抜総選挙の第1回と第2回は、上位7人が、メンバーが同じだった。これを用いて、話を進める。


 まず、もう少し易しいところから、行こう。

「易しいって?」

 神2(かみとぅー)から、行こう。

「そんなもの、ないわよ」

 私、ちゃんと、

日経エンタテインメント!『AKB48 10周年』

で、卒業メンバーの過去の順位、調べたんだ。

「そんなことに、使われるなんて、思わなかった!」

 ビッグデータじゃないけど、データがたくさん集まると、ものすごいことが、できるんだ。

 おい、特待生! 神2は、誰と誰?

前田敦子(まえだ あつこ)さんと、大島優子(おおしま ゆうこ)さんよ」

 そして、見事なことに、第1回選挙と第2回選挙で、二人が入れ替わってる。

「どうして、それが、見事なの?」

 この二人の順位の取り方って、1位2位だけだったら、これ以外に有り得る?

「ないわよ。有り得ないわよ。これ以外」

 そう。だから、二人の人間の、入れ換え方は、2となる。

「それが、そんなに、重要なの?」


 しびれを切らしてきただろうから、神3(かみすりー)に、進もう。

「うっ、調べてるのね」

 特待生! 神3には、誰が加わる?

篠田麻里子(しのだ まりこ)さんよ」

 そうなんだ。加わるのは、一人なんだ。篠田麻里子さんは、どちらも、3位だった。

 ここで、1度も1位になれなかった、篠田麻里子さんのために、全員に権利の行き渡る選挙をしよう。

「全員に権利の行き渡る?」

 麻友さん。この3人が、1位2位3位をしめる状態は、何種類作れる?

「それは、そのう、まず、あっちゃんが1位で、優子ちゃんが2位で、麻里子様が3位の最初の年の。それから、あっちゃんが1位で、麻里子様が2位で、優子ちゃんが3位の。これで、2つ」

「それから、優子ちゃんが1位で、あっちゃんが2位で、麻里子様が3位の。それと、優子ちゃんが1位で、麻里子様が2位で、あっちゃんが3位の。これで、4つ」

「最後に、麻里子様が1位で、あっちゃんが2位で、優子ちゃんが3位の。残ったのは、麻里子様が1位で、優子ちゃんが2位で、あっちゃんが3位の。」

「これで、全部のはずだわ。数え落としはない。全部で取り得る状態は、6種類よ」

 おお。特待生と呼ばれるだけあるね。たいしたものだ。

 ところで、名前を並べてて、何か気付かなかった?

「うーん。誰を1位にするかで、後が、決まってくる」

 そうだね。

「つまり、最初に、1位にする人の選び方が、3通りあって、次に、2位にする人の選び方が、もう1位に一人取られているから、2通りなのよ。そして、3位は、残った人。あっ、そうか、{3 \times 2 \times 1 = 6 \ }なんだ」

 そこも、センス感じるなぁ。

「えっ、どこ?」

 {3 \times 2 = 6}とするより、結果は同じだけど、{3 \times 2 \times 1 = 6}とするほうが、遥かに、拡張性もあるしエレガントだ。

「なるほどね。あっ、分かった。太郎さん、これを、神7に応用しろって言うんでしょ」

 いつもの冴え。

「太郎さん。優しいのねぇ。神7で、1位になったのは、あっちゃんと優子ちゃんと私だけなのよね。他の人達にも、このブログ上で、1位を味わわせてあげようというわけね」

 ただ、言っとくけどね。{7!}というのは、膨大な数だからね。

{7!}って?」

 {7!= 7 \times 6 \times 5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1}だよ。

「えっと、Googleで、『7!』ポンッ」

「えっ、5040。これは、さすがに書けないわね」

「このブログに、名前を登場させてあげるだけだわね」

 じゃあ、7人の人間が、1位から7位までをしめる、状態は、何種類?

「誰から、始めようか?」

 私ね、神7で、ただ一人、顔と名前が一致しないのが、板野友美(いたの ともみ)さんなの。だから、彼女、最初に1位にしてあげて。

「じゃあ、板野友美さんが1位の場合が、以下6人入れ換えて、{6!}通り」

 次は、たかみなに。

「じゃあ、高橋みなみ(たかはし みなみ)さんが1位の場合が、以下6人入れ換えて、{6!}通り」

 それから、にゃんにゃん。

「はい。小嶋陽菜(こじま はるな)さんが1位の場合が、以下6人入れ換えて、{6!}通り」

 麻里子様。

「そうね。篠田麻里子さんが1位の場合が、以下6人入れ換えて、{6!}通り」

 優子さん。

「おしりこちゃん。大島優子さんが1位の場合が、以下6人入れ換えて、{6!}通り」

 前田さん。

「そうよね。前田敦子さんが1位の場合が、以下6人入れ換えて、{6!}通り」

 おっしーまい。

「えっ?」

 全部たして、いくつになった?

「あの?」

 計算できない?

「分かってる。太郎さんって、こういう人なのよ。ほーんと、頭、きちゃう」

 分かってるよ。

 さっき、あの雑誌で、卒業メンバーの過去の順位調べたって言ったじゃない。

「言ったけど」

 麻友さん、卒業してない。

「あーっ、太郎さん。とんだポカやったわね。小嶋陽菜さんは、2017年4月19日に、卒業公演するのよ。まだ、今は、2017年2月26日。残念でした。私をいじめようとしたの、みえみえ」

 ごめん。麻友さんが、1位のも、数に加えて。

「(背をそらせて)渡辺麻友が1位の場合が、以下6人入れ換えて、{6!}通り」

 全部で、7人だから、

{7 \times 6! = 7! = 5040}種類の状態がある」


 よくできた。

「こんなこと、計算して、何をやりたかったの?」

 エネルギーの取り得る状態の数を計算するのに、使うんだ。

「えっ、AKB48の選抜総選挙と、エネルギーと、どう関係するの?」

 麻友さんは、エネルギーもさることながら、エントロピーというものを知りたい。

 エネルギーは、保存するようだから、一定。

 だけど、エントロピーは、エネルギーが使いにくくなった割合を表す量だから、時間と共に増える。

「えっ、そうなの? あっ、でも、いつでも、質問して良いって言った」

 そう。そんな、増えるだけのものなんて、なさそうだけど、実は、あるんだ。

「謎めかして、何よ」

 ちょっと、想像してみよう。

 2009年の時点で、AKB48にメンバーが48人だったとして、そのなかで、エネルギー(仕事をする能力と一応呼んでおこう)を持っているのは、神7の7人だけだったとする。

「厳しいこというわね」

 これは、説明上だからね。

 そうした場合、そのエネルギーが、48人の中で、1位から48位まで、散らばる、散らばり方、つまり、エネルギーの存在できる状態は、何種類あるだろう?

「えっ、神7は、1位から7位までじゃないの?」

 今は、神7だった7人が、すごろくのさいころを振るように、1位から48位まで、行き渡ったとする。

 その、場合、どれだけの可能性が、考えられるだろう?

「ちょっと待って、さっきのを応用すると、まず、1位から48位までのうちの、1つを選ぶのよ。それから、残った47から、選ぶ」

 どうして、さっきは、1位を、誰にするか、3人から選んだのに、今度は、順位の方から、選ぶやり方に、変えたの?

「うーん。その方が、計算しやすかったのよ」

 そう。こっちの方が、計算しやすい、というのを、見抜くのは、重要。

「こうなるのよ。

{48 \times 47 \times 46 \times 45 \times 44 \times 43 \times 42 = 371,090,522,880}

だから、3千7百10億9千52万2千8百80通りよ」

「こんな大きい数、本当に計算してて出てきたの、初めてよ」

 すごい。すごい。麻友さん、たいしたものだ。

「でも、ちょっと、気になるのよ。私達、神7の7人は、たとえば、前田敦子さんが1位で、大島優子さんが2位の場合と、前田敦子さんが2位で、大島優子さんが1位の場合を、2つの状態と区別して、2通りと数えてるのに、他の41人のメンバーは、全員、同じ人みたいになっちゃって、他の人同士の入れ替えを、カウントしてないのよ」

 さっすが、特待生。よくぞそこまで、気付いてくれました。

「分かってたの?」

 私は、その逆をやって欲しいのです。

「逆って?」

 麻友さんたち、AKB48のメンバーに恨まれないように、神7だけが、エネルギーだった、という記憶だけを残して、7人の区別をなくして欲しいのです。

「つまり、たとえば、前田敦子さんが1位、大島優子さんが2位、篠田麻里子さんが4位、渡辺麻友が5位、小嶋陽菜さんが6位、高橋みなみさんが7位、板野友美さんが8位、というのと、前田敦子さんと大島優子さんを入れ換えたのは、エネルギーとして見たとき、同じ配置だから、1つの状態と、数えるということ?」

 そうだよ。

 もっと、入れ換えたのも全部、1つの状態と数える。

「あっ、そうか。さっきの1位から7位まで、入れ換えたのが、全部の場合に言えて、じゃあ、・・・{7!}で、割れば良いのか。さっきの膨大な数を」

 まったく、特待生だな。一気に走り切っちゃう。

 普通の人は、順位の分布の仕方が違ったら、同じように、{7!}で、割って良いのだろうか?とか、色々つまずくものなんだよ。

「あっ、そうか。でも、いいのよね?」

 うん。

 どういう順位になってても、7人を入れ換えるのは、同じだから。

「太郎さんは、48個の箱の中に、エネルギーを7つ、まき散らす仕方を、計算したかったの?」

 なかなか、もっとすごいことを、考えてた。

「もっとすごい?」

 AKB48には、姉妹グループが、あるでしょう。

「えっ、それも、想定内?」

 麻友さんには、さっきからエントロピーという量を、見せるといってる。

「そうよね」

 実は、そのお膳立てが、ほとんどできてる。

「確かに、エネルギーという言葉は、出てきてるけど」


 ちょっと、違うことに、話を移そう。

「えっ」

 麻友さんは、お酒をほとんど飲まない。私も、誰かと飲むときしか、まず飲まない。

 でも、以前から言っているように、『ザ・マッカラン25年』というお酒は、本当に美味しい。

 ところで、これは、ウィスキーだ。

 日本人は、つまらないことを考えたもので、氷を入れたロックとか、水割りにする人がいる。

「太郎さん。ロックにもしないの?」

 美味しいウィスキーに、水たすなんて、とんでもない。

「西部劇みたいに、ストレートを一気にあおるの?」

 私は、麻友さんに、お酒の飲み方を、教えてるんだよ。

「なんで?」

 麻友さんは、敵視してるかも知れないけど、箱入り娘だった母は、色々苦労もしてるんだよ。

「箱入り娘が、苦労って?」

 母が、父を、初めて実家に連れて行ったとき、母の父、つまり昔パイロットだった祖父が、歓迎のために、珍しく、ウィスキーを用意したらしいんだね。

「おじいさまは、お酒は飲まれなかったの?」

 たばこはよく吸うし、パイプをくわえてる写真が遺影になってる。でも、そんなにお酒は飲まなかったんだ。

「全然、お母さまが、苦労してない」

 父と祖父が挨拶して、では一緒に飲みましょうとなって、祖父が、父と、母と、自分に、ウィスキーをついだ。

「うん、うん」

 母、恥ずかしかったのもあって、喉が渇いたような気分になったんだね。

「えっ、まさか」

 そのストレートのウィスキー、ごっくんって、飲んじゃったの。

「自分では、やったことないけど、ドラマなんかでは、倒れちゃうわよね」

 うん。胸がカーッと熱くなる、なんての通り越して、意識失うくらいになってたらしい。

『ごっくんって、飲んじゃったの?』って未来の夫が言ってる声が、微かに聞こえたという。

「太郎さんは、お母さまから、聞いたのね?」

 そう。

 だけどね。母は、4年生の私立大学、卒業してて、企業にも入ってるんだよ。ウィスキーの飲み方知らないって、そりゃ、箱入り娘過ぎるでしょ。

「やっぱり、箱入り娘なの?」

 母の父親、つまり祖父は、

『勉強の邪魔になるから、アルバイトしちゃいけない』

って、言ってたらしい。

 実際、母は、工学部が大変なこともあり、部活動やサークルも、幽霊部員のような感じで、合同コンパとか、まったく経験なかったんだね。

「あ、でも、太郎さん。私、太郎さんのこと調べるうちに、京都大学でなく、放送大学、卒業間際まで、『カンペ』っていう言葉知らなかったって、聞いたわよ」

 アハハ、『ねくすと』のときね。

 あのプログラムで、友人が

『単位をどうしても、取れなくて、カンペで、通った』

と言ったので、

『カンペって、何?』

と、聞いたんだよね。まあ、非常識かも知れないけど。

「太郎さんって、カンニングペーパーなんて、使ったことないのよね。何でもできちゃうから」

 そうばかりでもない。

 私は、父と一緒に働いていた時期があるのは、前にも話した。

 そこで、父が、仕事に役立つからと、『CAD利用技術者』という資格を取れと言った。

「太郎さん、大学以外にも、試験受けてるんだ」

 2級には、受かったんだよ。だから、『CAD利用技術者補』には、なったんだ。

「1級が、受からなかったの?」

 1級は、実技だったんだ。

「CADで、実技って、何やるの?」

 実際に、図面の枠や、日付も入れて、きちんとした図面を描き上げて、提出するんだ。

「手で描くの?」

 Computer Aided Design なんだから、パソコンで、描くんだよ。

「あっ、そうか。それで、この話をしたのは?」

 私、2回、試験を、受けてるんだ。

「1級を、2回?」

 そう。

「それで?」

 2回目受けるとき、

『あっ、こうすれば、カンニングできるな』

って、気付いたの。

「えっ、カンニングの方法?どうやって?」

 図面を、描くって言ったでしょう。

「うん」

 そのとき、図面の枠は、いつも同じで、日付だけ違うんだよ。

「それで?」

 その枠だけ、家で描いておいて、中のものだけ、試験時間に描いて提出すれば、時間内にあらかた終わるなと、気付いたの。

「どうして、家で描いた図面の枠を、持ち込めるの?」

 パソコンは、自分のものを持ち込むことになってたからだよ。

「パソコンに、もとからあるデータを使うのは、反則なの?」

 それは、禁じられている。まっさらな図面に1から描くことになってた。

「2回目も、落ちたということは、反則できる方法を知ってるのに、使わなかったのね」

 完璧主義の麻友さんなら分かるように、私もそんなことで、自分の名を汚したくなかったんだ。

 それに、反則してその資格もらっても、使い道なかったからね。

「そうか、スピードがのろいのは、雇ってみれば明らかだから、すぐ辞めさせられちゃうのか」

 そういうことだよ。実力のある麻友さんなら、良くわかるでしょう。

「私が、カンペの話をふったから、ここまできちゃったけど、ウィスキーの話は、私に、お酒の飲み方を教えるつもりじゃ、なかったのでしょう」

 まあね。余興が過ぎた。

「何を、話したかったの?」

 紅茶にお砂糖を入れるときは、溶けるかなって気にするのに、ウィスキーの水割りを作るとき、水入れ過ぎかなって、あまり気にしなくて良いのは、どうしてだろうって、話したかったんだ。

「それは、お砂糖は固体で、アルコールは、液体だから、違うんじゃない?」

 うわー、特待生でも、こんな答え、するんだー。

「えっ、何か、まずいこといった?」

 いや、そういう見方をする人が、いるのかと、感心したんだ。

「太郎さんは、どういう見方をしてるのよ?」

 どういう見方も何もね、私、中学のときもらった資料集が面白くてね、いっつも眺めてたんだ。

 パスカルの法則とか、アルキメデスの法則とか、慣性の法則とか、すっごく面白かったよ。

「中学のときは、忙しかったのよ。それで、何を読んだの?」

 エタノールの水に対する溶解度 {\infty}

 水のエタノールに対する溶解度 {\infty}

 つまり、エタノールは、いくらでも水に溶けます。

って、書いてあったんだよ。

「あっ、そうなの。それで?」

 いくらでも溶けるって、面白くない?

「だって、液体なんだから」

 ああ、麻友さんは、資料集の表を見てないからなんだな。液体でも、沈殿しちゃうものいっぱいあるのに。

「沈殿(ちんでん)!」

「そういえば、沈殿って言葉、あったわね。そういえば、油って、液体なのに、水に溶けないわね??」

 そうなんだよ。水にいくらでも溶けるって、エタノールの持つ、目覚ましい性質なんだよ。

「分かった。それは、認めます。エタノール、つまりエチルアルコールが、いくらでも水に溶けるのは、面白いわ。でも、これとエントロピーは、どうつながるの?」

 ウィスキーを、水割りにするのは、簡単だよね。でも、水割りのウィスキーを、水とウィスキーに分離するのは、自然には、行かないよね。

「それは、そうよね。つまり、自然のものには、あっちからこっちへは行くけど、逆には行かないものが、あるのよね」

 つまり、エネルギーにしても、ああいうエネルギーの形だったのが、こういうエネルギーの形にはなるけど、逆には行かないものがある。

「その説明は、これまでにも、色々なところで、聞いた」

 いや、私のは、ひと味違う。

「何が違うの?」


 さっき麻友さんは、AKB48の中の神7を7つのエネルギーとして、48個の場所をしめる、有り得る状態数を、計算した。

 計算を、実行すると?

「やってみるわ。

{\displaystyle \frac{48 \times 47 \times 46 \times 45 \times 44 \times 43 \times 42}{7!}=\frac{371,090,522,880}{5,040}=73,629,072}

だから、7千3百62万9千72種類の状態がある」

 7千万くらいだったということを、覚えておいて。

「7千万くらい?ラッキーセブンと、1千万か」

 さて、AKB48には、麻友さんがいる。NMB48には、『365日の紙飛行機』を歌った、山本彩(やまもと さやか)さんがいる。HKT48には、指原莉乃(さしはら りの)さんがいる。NGT48には、以前に取り上げた北原里英(きたはら りえ)さんがいる。ところが、私のアンテナに、ちっとも反応がないのが、SKE48なんだ。

 『金の愛、銀の愛』という歌は知ってるけど、それくらいしか、知らない。

「えぇっ、太郎さん。本当に知らないの?」

 松井珠理奈(まつい じゅりな)さんの顔は分かるけど、SKE48について、何も知らない。

「それで、何を、しようというの?」

 SKE48と、遊ぼうと思って。

「どういうこと?」

 SKE48にも、SKE48の神7を、与えよう、というわけ。

「はっ、まさか、AKB48を、ウィスキーにして、SKE48を、水にして、混ぜようと・・・」

 素晴らしい、千里眼。特待生の面目躍如だ。

「そんなことすることに、何の意味があるの?」

 やってみれば、分かるんだよ。

「何をやるの?」

 SKE48も、48人だと仮定して、その中にも、別な、神7が、いるとしよう。

 そして、そのSKE48の、神7、つまり7つのエネルギーが、どれだけの取り得る可能性があるか?

「そんなの、計算しなくっても、分かってる。AKB48と人数同じなんだから、さっきの7千万ちょっとよ」

 その言葉を、待ってたんだよ。7千万だよね。

「うん」

 じゃあ、まだ、ウィスキーと水を混ぜる前、つまり、AKB48とSKE48を、合流させる前、14人の神7たちは、どれだけの種類の状態を取り得るだろう?

「組閣前?だと、単純に、一方の1つの状態ごとに、もう一方が7千万種類あるんだから、7千万かける7千万くらいなんじゃ、ないかしら?」

 もう麻友さんも分かっているように、1千万かける1千万は0が7個と0が7個のかけ算で、0が14個になる。つまり、0が12個のものが1兆だから、100兆を越える。実際どうなる?

「7千万かける7千万は、4千900兆くらいのはずよ。16桁の数よ」

 良く分かった。今、具体的な数は、必用ないんだけど、実感を持つために、きちんと、計算してみよう。

「きちんと、計算って?」

 {73629072 \times 73629072}を、きちんと計算するんだよ。

「できるかしら?Googleで、『73629072*73629072』ポンッ。あーダメだ!

『5.4212402e+15』

となって、下の方が、分からない」

 さっき冴えてた特待生が、何を言う。

 この下の方、知る方法、知らないの?

「うー、知ってる。多分こうやれば良いのよ。

私は、

{(ax+b)^2=a^2x^2+2abx+b^2}

という式の展開を知っている。これで、

{x=10000}

と、すれば良いのよ。きっと」

 そうだ。さすが、特待生だ。1度もやったことないけど、こうすれば、できるんだろうな、と目星は付けてあったんだ。

「これを、使うということは、

{a=7362}

{b=9072}

と、7千万を、2つに分割することよね」

 そう。

{73629072=73620000+9072=7362 \times 10000 +9072}

だからね。

「別々に計算するわけ?」

 じつは、カンニングできる。

「あっそうか。

{(ax+b)^2=a^2x^2+2abx+b^2}

で、下の方だけ、計算すれば良いのか。

{x=10000}

で、

{x^2=100,000,000}

となって、この1億の桁の数字は、下から数えて、9桁目だから、さっきの数が16桁だと分かってるから、上から数えて、8桁目。それは、Googleが、2だと計算してくれてる。それより上も、同じこと。

 だから、

{2abx+b^2}

だけ、計算する。

{2abx=2 \times 7362 \times 9072 \times 10000 =133,576,128 \times 10000 = 1,335,761,280,000}

{b^2=9072^2=82,301,184}

だから、たすと。

{2abx+b^2=1,335,761,280,000+82,301,184}

だけど、Googleで、『1335761280000+82301184』ポンッて、あーダメだ。桁あふれする」

 麻友さん。桁は大きいけど、ただの足し算だよ。

「ぎょっ、手で計算するの?」

 どってことないよ。ちょんちょんとやって、

1,335,843,581,184

となる。

 後は、麻友さんが、

『5.4212402e+15』

と求めたのを、カンニングして、

5,421,240,243,581,184

というのが、AKB48と、SKE48の、それぞれの、神7が、混じらずに、存在する場合の有り得る状態の種類の総数。

「うわー、大きいわね。存在する状態数って、こんなに、大きくなるんだ」

 その言葉、忘れないでよ!

「えっ、まさか、これより大きい数が?」

 その数、何桁だった?

「ああ、大体、542兆で、16桁よ」

 覚えやすいね。麻友さんたちにとっては。

「ああ、選抜メンバーの人数と、覚えれば、いいのか」

 それでは、私は、絶対嫌だけど、水割りを作るよ!

「AKB48とSKE48を、混ぜるのね。つまり、組閣をするということ」

 AKB48とSKE48という48席ずつの箱はそのままに、エネルギーの14人が、場所をしめる状態は、何種類になったでしょう。

「うーっ、さすがに、疲れた。太郎さん、私、こんなハードな計算、もうついて行けない」

 確かに、最後に、何をやるかは、見えた。

 計算は、許してあげよう。

「ゼーッ、ゼーッ。続きは、次回にして」

 次回の、見通しだけ、話しておこう。

 AKB48とSKE48を混ぜることを許すと、有り得る状態が、圧倒的に増える。

「どうして?」

 ちょっと、考えてごらんよ。前は、

{48 \times 47 \times 46 \times \ \cdots}

だったところが、

{96 \times 95 \times 94 \times \ \cdots}

に、なるんだよ。

 これを、14人目まで、続けたら、どれだけ大きくなるか。

「フラッ、」

 あっ、大丈夫?

「ふぁろうさむ、むしゃくしゃしゅるんひゃもん」

 特待生でも、さすがに、付いてくるのしんどかったか。

 この混ぜることによって、増える量。これを、エントロピーと呼ぶんだよね。

 つまり、あるエネルギーを与えたとき、そのエネルギーが取り得る状態の数を(実はその数の{\log}を取って)、エントロピーと呼ぶんだ。

 これは、物理学での正式なエントロピーの定義のひとつ。

 可愛い顔して、笑顔浮かべながら、無理してたんだね。

 この定義を思い付いた人が、本当に嬉しくて、この定義を書いた式を、自分の死んだ後、お墓に刻んでもらった。それが、どんな式か、次回、話してあげよう。

 ふらふらにしておいて、寝顔にキスしたりは、しないよ。

 おやすみ。

 現在2017年2月26日8時15分である。おしまい。