現在2021年5月29日15時28分である。(この投稿は、ほぼ7071文字)
真由「それでは、準備が整ったので、マクスウェル方程式を、真空中という条件で、解きます」
麻友「いよいよ」
私「あっ、ちょっと言っておくけどね、結婚と同じで、期待しすぎていると、がっかりするよ」
若菜「お父さん、結婚したことあるんですか?」
私「あ、いや、ちょっとね」
真由「まず、真空中のマクスウェル方程式は、
の4つでした。ここで、 と、 は、マクスウェルが、この方程式を、導く前から、実験で、求められていたものです」
結弦「 っていうのは、聞いたけど、 っていうのは、まだ知らない」
真由「ああ、
です。ダイバージェンスとか、発散と、言います」
若菜「そうすると、残りのひとつの、
というのは?」
真由「それは、
と、書いて、グラーディエントとか、勾配と、言います」
私「なぜ、勾配というのか、あるいは、発散というのか、またなぜ、回転というのか、知りたいだろうけど、今日は、それぞれ、別な微分作用素なんだと、認識する段階で、留めておいて欲しい。いずれ、必要になったとき、説明するから」
若菜「おお、お父さんが、そういうということは、それぞれ説明が、かなり面倒なんですね」
私「うん。今は、マクスウェル方程式を、解くのに専念して」
真由「じゃあ、マクスウェル方程式の、第3式の両辺に、 を、作用させます」
真由「時間微分と、座標での微分は、偏微分が交換できるので、入れ換えられます」
真由「 を、微分の前に出します。ああ、こんな丁寧な説明したの、初めて」
真由「 は、マクスウェル方程式の第4式で、
でしたから、代入して、
です。 を、前に出して、微分をまとめて、
と、なります」
結弦「そうすると、左辺が、さっき苦労して求めた形だから、
と、なるよね。そこで、マクスウェル方程式の第1式で、
なんだよ。ここで、使うために、お父さんノート4ページも、計算したんだな。気違いだよ」
私「うん。正真正銘の気違いだよ」
結弦「あ、うん。それで、・・・」
若菜「書いてあげる。
となるから、
となる。えーと、ここから、どうなるのかな?」
真由「ここまで、来ちゃうと、最後は、成分計算なんです。ラプラシアンを、定義通り書いて、両辺に、 をかけて、
と、なります。この形の式は、波の解を、持つので、波動方程式と、呼ばれます。実は、有名な、シュレーディンガー方程式というのは、これの右辺が、2階微分でなく、1階微分なので、複素数の波になるという不思議な方程式です。松田さんが、以前、親友のご令嬢に差し上げた、『虚数の情緒』という本の題名は、この世界を解き明かすには、実数だけではだめで、虚数(すなわち複素数)を使わなければならないのだ。ということに、情緒を見出した著者が、名付けたものでした。虚数の世界、それこそ、シュレーディンガー方程式を使う、量子力学の世界だったのです」
麻友「太郎さんが、以前、『数学を専攻するとはどういうことか(その2)』という投稿で、シュレーディンガー方程式を、『見た感じもちょっと変だし』と言ってて、どう変なのよ? って、聞きたかった。あのときの、持ってくると、
となってて、時間微分が1階なのよね。右辺は、ラプラシアンだから、座標微分は2階なのに。ちょっと、変だって、2年11カ月かけて、分かった。太郎さんに、似てきちゃった」
私「麻友さんなら、覚えていると思った」
真由「6年以上、目を見交わしたこともないのに、息がピッタリ。性格が悪いから、私は結婚できないんだと、噂されているけど、速く、効率よく、ミスが無く、仕事や試験をクリアすることを、目指してきた私のどこが悪いの?」
私「性格なんて、すぐには変えられません。でも、努力を続けていれば、5年後には、光が見えてきます。10年後には、目指していた性格になれます」
真由「最後、やってあげます。
と置くと、これが、マクスウェル方程式から得られた、波動方程式の解になるんです」
麻友「波動方程式は、
だった。左辺は、
左辺
だから、 の成分毎に、式があるけど、と、 だから、 だけ見ていればいいわね」
若菜「そうすると、
左辺の第1成分
って、どうやって、計算するんでしょうね」
私「合成関数の微分法って、まだ無理か。まず、 の、 を、ひとかたまりと見て、それで、微分するんだ」
若菜「そうすると、
みたいなことですか?」
私「そういう書き方は、普通しないが、それで、微分して御覧」
若菜「はい。
ですかね」
私「次に、 を、 で、微分する」
若菜「 で、
となって、 です」
私「それを、さっきの に、かけるんだよ。だから、 が、1階の微分係数だ」
麻友「つまり、
左辺の第1成分
だから、もう1回やって、
左辺の第1成分
が、左辺の式ということね」
私「そうだ。右辺は、もう計算できるだろ」
麻友「えーと、
右辺
だから、どうせ、 と、 なので、第1成分だけ考えて、
右辺の第1成分
を、計算する。さっき太郎さんに教わったので、
右辺の第1成分
となる。左辺右辺とすると、
となるわね」
若菜「あれっ、 は、初めから、真空中の光速ということに、なってましたっけ?」
結弦「マクスウェル方程式で、まだ光速なんて、決めてないはずだけど」
真由「そうなのです。
と、定義しただけで、 が、真空中の光速だなんて、誰も言ってません」
麻友「でも、このサインの波は、速さ で、 軸方向に、進むわよ。だって、最初、原点にいて、(0,0,0,0) だったとして、 が、 秒たったとき、同じ、 の点は、 の点に、進んでいるもの。実際に、 秒とか、 秒とか、試してみると分かる」
真由「そうなんです。この波動方程式の波は、この場合、 で、進むんです。そして、
で分かるように、
だから、
なのです」
真由「歴史的には、マクスウェルは、自分の導いた方程式から、波動解があることに気付き、それが、当時求まっていた の実験値により、恐らく光(電磁波)の速さだろうと、推測しました」
真由「ところが、一体どの座標系に対して、 なのだろう? なのだから、ある1つの速さなのだ。だが、その系に対し、動いている座標系から見たら、 でなくなるはずだ」
真由「この点は、1864年頃から、マクスウェルのみならず、他の人によっても不備があるのではないかと追求されましたが、完全な結論は、20世紀になった後の1905年に、アインシュタインにより、特殊相対性理論によって、与えられたのです」
麻友「ああ、数学だけでなく、物理学も1つなのですね。あまりめまぐるしく進んだので、今日のところは、良く復習します」
若菜「もう、22時43分です。投稿した方が、良いでしょう」
結弦「今日は、ダブルヘッダーだったな。大変だった」
私「じゃあ、おやすみ」
麻友「おやすみ」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
真由「おやすみなさい」
現在2021年5月29日22時47分である。おしまい。