現在2005年10月30日0時16分です。
前回、ゼータ(3)、すなわちζ(3)が、簡単に求まるようなことを書いた。だが、これは問題が悪すぎた。難しすぎたのだ。
どういうことか説明しよう。まず、岩波の数学公式でも何でもいいから。
x x-1
ζ(x)=2 *π
πx
*sin───*Γ(1-x)*ζ(1-x)
2
という関数等式が成り立つことを認めて欲しい。これで、x=3としても、Γ(1-3)=(-3)!が求まらない。
そこで、ガンマ関数についての関数等式、
π
Γ(x)Γ(1-x)=───────
sinπx
も認めて変形しよう。sinについての倍角の公式から、
s-1 s
ζ(s)=2 π
1
*─────────ζ(1-s)
πs
Γ(s)cos──
2
となる。ここで、後のために、変数をxからsに変えた。
さてここで、s=3としても、私が前回説明した式、
bn=(-n)ζ(1-n)
の式を用いて、b3=0と、cosの0とで、0/0となって、値が求まらないのだ。
そこで一工夫する。
s=2n+1+x と少し、sを奇数からずらす。
前回解析入門IIをみて欲しいといった式、
x ∞ bn n
───── = Σ ──── x
x n=0 n!
e -1
の両辺にxをかけて、
2
x ∞ bn n+1
───── = Σ ──── x
x n=0 n!
e -1
として、これを用いると、一つ上の式から、
4
d x
b4=─────(────────) |x=0
4 x
dx e -1
となる。これをもう少し丁寧にみると、
4 2
d 1 x
b4=─────(──*────────)
4 x
dx x e -1
とみることが出来る。そこでこれにライプニッツの公式を適用する。積の導関数だ。
そうすると、
4 2
1 d x
b4=───*─────(────────)
4 x
x dx e -1
+残りの項
となる。ここで注目して欲しい。
何と、この第一項は、
b3
────
x
で、xを0へ飛ばしたものになっているではないか。
だから、残りの項も有限の値にとどまれば、この極限が求まる。実際やってみると、
1
───
x
の微分から現れた、xの負のベキの分子は、xの5次式で、4次以下の項が0となる。その計算のためには、私のベルヌーイ数 bn の実際の値を代入し、計算する。n=4まで必要になる。そして、注意しておくと、b-1と置きたくなるところは、0となることだ。それは、解析入門IIを見て欲しいといった式にxをかけた式の、0次の項が0だからである。
さてその計算をして、
1
────
5
x
の分子の5次以上の式とで、xを0へ持って行くと、29*b4 となる。だから、求めたい極限は、-28b4 となる。
さて、
π(2n+1+x)
cos(──────────)
2
n+1 π
=(-1) sin(───x)
2
であるから、n=1ならζの関数等式は分母にこれが来ることになる。これがxを0へ持って行く極限で、どうなるか。今、分母に一個余分にxをかけたので分子にもxをかけられる。そして、それをπ/2倍すると、xを0へ持って行ったとき、1になる。これは、この本を読み始めたばかりの頃に、確かめた。だから、
3 2(-28b4)
ζ(3)=4*π ───────
π2!3!
となる。計算して、
2
ζ(3)=π *112/180
となる。ここで、b4=(-1/30)を使った。
これを計算すると、6.141087183・・・となる。ζの3の正しい値は、1.2020569032・・・である。
全然違う。やはり、ζ(3)を求めるのは難しいようである。
今日はまたアイディアを示しただけで終わった。
現在2005年10月30日2時11分である。おしまい。