現在2006年3月22日22時25分です。
今日も昨晩に引き続き、濃度制限のない飽和モデルを作るための研究をしていました。今日は、私達が、「真部類としての善良超フィルター」を構成したときのやり方、
F= ∪ Fα
α∈On
の、細かい点を問題にした。
それは、私達が善良超フィルターが存在する、というときのよりどころにした、「超積と超準解析」の定理 3.3.6 (74ページ)は、任意の無限集合上に善良超フィルターが存在する、というものだからである。順序数には、有限集合のものもある。その場合、上の Fα は何を意味するのか。
まず、自然数全体をωで表す。そして、
α∈ω-{0}
の時、Fα=φ。すなわち、空集合とする。
どうもこのブログでは、空集合を表すファイが、ギリシャ文字のファイになってしまうので見にくい。読む人は、どちらの意味に使っているのか、判断して欲しい。
次に、F0を定める。これはしっかりと構成しなくてはならない。
まず、各n∈ωに対して
Kn={(ξ,m);ξ∈On,n≦m<ω}⊂On×ω
とおくと、Knの濃度はOn,Kn⊃Kn+1であり
∩ Kn=φ
n∈ω
である。On×ωとOnの間には全単射が存在する。例えば次のように構成すればよい。
ψ:On → On×ω
0 → (0,0)
1 → (0,1)
n → (0,n)
ω → (1,0)
ω+1 → (1,1)
ω+n → (1,n)
ω+ω → (2,0)
ω+ω+1 → (2,1)
ω・γ+k → (γ,k) γ∈On,k∈ω
ただし、前にも書いたように、ブログでは矢印の後ろに棒を突けることが出来ないので、上の矢印「→」のうち、一番上のものを除けば、全部正式ではない。
「|→」の縦棒が短くて、矢印の後ろにくっついているような記号がフォントにあったらいいのに。
まあ記号のことはともかく、任意のξ∈Onに対し、
ξ=ω・γ+k
となるγ,kが一意に定まることを示さなければならないが、今は見送る。全単射が存在する、という命題は正しいものであることだけ認めて欲しい。
このψの逆写像Φ=ψ-1
Φ:On×ω → On
を考える。そして、ΦによるKnの像を
In=Φ(Kn)
とおくと、
In⊂On,Inの濃度はOn,In⊃In+1
∩In=φ
n∈ω
である。
{In;n∈ω}は有限交差性を持つ。従って{In;n∈ω}の元の有限個の共通部分の全体
β({In;n∈ω})=
{A1∩・・・∩Am;m∈ω,A1,・・・Am∈{In;n∈ω}}
は真部類としてのフィルター基底である。
Onの部分集合で少なくとも一つの β({In;n∈ω}) の元を含むものの全体は真部類としてのフィルターである。
これをF({In;n∈ω})と表し、{In;n∈ω}が生成するOn上の真部類としてのフィルターという。
そしてやっと、私達が構成したかった、F0が作れた。
F0=F({In;n∈ω})
と、おくのである。
「FがI上の真部類としてのフィルターである」という言葉の定義は、
定義
Iを真部類(つまり¬m(I))、
P(I)={X|m(X)∧X⊂I}
とするとき、P(I)の部分真部類Fが、次の三条件を満たすとき、FをI上の真部類としてのフィルターと言う:
a)¬(φ∈F)
b)A⊂I,B⊂Iについて
A∈F,A⊂B,m(B) ⇒ B∈F
c)A,B∈F ⇒ A∩B∈F
と定める。
m(A)とはAが集合である、という記号である。
さらに、有限でないα∈Onに対しFαを「超積と超準解析」の付録Ⅰで、構成されるものと定める。
厳密に言うと、付録Ⅰでは無限基数に対して構成しているので、αと等しい濃度の基数について構成された善良超フィルターと、定めればよい。
以上によりFは、選択公理による不定性はあるが、一応一つに限定され、存在が保証される。
今日はここまで。
現在2006年3月23日0時54分です。おしまい。