現在2017年2月13日3時28分である。
「うっ、うっ。えーん、えーん」
麻友さん、なんで泣くの?
「そういうことは、ストレートに聞くもんじゃないって、自分で言ってたくせに。グスン」
えっ、そういうこと?
「そうよ。うっ、うっ」
だったら、麻友さんが、私と、別れなければ、いいだけじゃん。
「太郎さんと、私は、いずれ、離れることになるわ」
お互いに、惹かれあってるのに?
「私、まったく収入のない男の人を養えるほど、お金稼げない。子供に1人、5,000万円なんて」
実は、今日というか、もう昨日(2017年2月12日)だけど、21時から、NHK総合で、NHKスペシャルをやってたんだ。
「どんなテーマだったの?」
『見えない“貧困”~未来を奪われる子どもたち~』
というテーマだったんだ。
「どうして、そんなもの、見たの?」
金曜日(2017年2月10日)に、NHKをつけていたとき、
『今、調査対象の高校生のうち、アルバイトをしている人の2人に1人が、週4日以上アルバイトをしていて、平日4時間以上働いている子供もアルバイトしている子の半数近くいます。それが、生活のためです。この問題を今度の日曜日に、NHKスペシャルで取り上げます』
と、言ったので、録画の予約をしたんだ。
「よく、そんな前のこと、覚えてるわね」
覚えてるのには、理由があるんだ。これを、予約しながら、
『あれっ、今日、金曜日だ。『ミュージックステーション』あるのかな?って思って、一応予約したんだ』
「それで、子供達の貧困って、どれくらいなの?」
たとえば、母親が、子供3人を育てているある家の場合、家族全員の1日の食費が、1,000円というのもあった。
「太郎さん、3日で、2,000円でしょ。ひとりで、1日600円以上使ってるじゃない。そちらの方が、遥かに貧しいわね。太郎さん、ひと月2万円食べなきゃ、栄養失調になるって、言ってたじゃない」
うん。あんなことしてたら、健康を崩す。
「他には?」
家族旅行に1度も行ったことがないとか、お誕生日やクリスマスプレゼントも一度もないとか。
「そういう家庭に育つと、どういうことになると思う?」
まず、誰でも言うと思うけど、人間の幅が狭くなるよね。
たとえば、麻友さんは、大学へ行ってないけど、AKB48に入ったことで、色んな人に会い、色んなものを食べ、色んな芸術に触れ、撮影のためにロサンゼルスへ行ったりとか、色んな経験をしてる。貧困家庭の子供とは、まったく逆の育ち方だよね。
「それから?」
自分の将来に、期待されている、という実感を、なかなか持てないから、自分に自信が持てなくなり易い。
「お父さまと、お母さまから、将来は天才と、育てられた、太郎さんのような野望は、持てないわね」
ただ、番組を見ていくうちに、ビックリさせられたんだ。
「おっ、いよいよ」
なんだ、麻友さんも、見てたのか。
「うふふ」
私、高橋みなみさんが、出てくるって、知らなかったんだ。
「知らなかったのね。私は、たかみなが出てるから、見てたの」
彼女を、知らない人のために、書いておくと、高橋みなみさんとは、AKB48の最初期からのメンバーで、選抜総選挙で、1位になったことはないが、AKB48の総監督(キャプテン)をずっと務め、2015年12月8日に、横山由依さんに総監督の地位を譲り、2016年4月8日、25歳の誕生日に、AKB48を卒業した人である。
「太郎さん。たかみなの紹介なんて、いらないわよ。有名なんだから」
麻友さんは、分かってないなあ。
NHKスペシャルを、見るような人には、AKB48のメンバーなんて、知られてないんだよ。
「それで、たかみなに、ビックリしたというのは?」
高橋みなみさんが、次のように、言ったんだよね。
『見えない貧困は、見えないようにしているんですよね。私自身も、あの、母子家庭なんで、すごく分かるところが、たくさんあったんですけども、本当に子供ながらに、我慢を知らない間に覚えてしまうんですよ。中学校に行く前に、中学校の運動会に行くと、前の子が使っていた制服を売ってるんですね。安く。でっ、そこで、手に入れて、入学式のときに着ていくんですけど、やっぱり、ブレザーとかも、ここの名前の刺繍が違ったりとかするんですけど、まっ、開かなければ見えない、ちょっと肩幅広くてもバレないっていう我慢を覚えてしまうっていうのを、すごく、今、ふと、思い出しました。』
「たかみなは、苦労してるのは、感じてたけど、ここまでだったとはね」
高橋みなみさんは、中学3年生(2005年10月30日)のとき、AKB48のオープニングメンバーオーディションに受かってるから、あの制服の話、本当だと思うな。
「太郎さんは、この貧困の問題を、どうすれば、解決できると思ってるの?」
この問題も、『お金』というものを、なくさないと、良くならない。
「すぐ壊すことを、考えるのね」
「あれば、やっかいだけど、でも、なくすことができないものもあるのよ」
麻友さん。ペストっていう伝染病知ってる?
「そりゃー、ペストくらい」
あの時代には、・・・
「あの時代って、いつ頃?」
詳しくは、Wikipedia調べなければならないけど、少なくとも、1665年頃にも、大流行したのは、確かだ。
「何よ、その、1665年というの?」
「それと、ペストと、どう関係があるの?」
ニュートンは、イギリスのケンブリッジ大学に通ってたんだけど、1665年頃、ペストが大流行して、学校閉鎖じゃないけど、大学が閉ざされちゃって、帰省していた1年半ほどの間に、『万有引力の法則』、『光をスペクトルに分けて分析すること』、『微積分』の3大発見をしてるからなんだ。
「えっ、太郎さんの頭の中では、そういうふうにつながるの?」
どうやって、つなげても、1665年頃の人間には、ペストは、共存しなければならない、困ったものだった。
「分かった。太郎さんは、当時の『ペスト』と、現代の『お金』は、同じようなものだ。今から何百年かしたら、人間は、『お金』というものを、なくせるんじゃないか、と言いたいのね」
この変化の速い時代に、何百年も、必用かな?
「えっ、太郎さんは、十年くらいで、やろうというの?」
やれるものなら、やりたいね。
「太郎さんは、その目標のために、何かしてる?」
このブログの記事自体が、そのためのものだよ。
「どうして、そう言えるの?」
このブログは、無料でやっているという話は、したよね。
「そうだったわね」
そして、逆に、私自身も、この記事を書くことで、原稿料をもらっているか、といったら、まったく、もらってない。
「あっ、そうか。太郎さんは、誰にもお金を払わず、誰にもお金をもらわず、この活動をしてるのね」
インターネットという、インフラがあっての話だけどね。
「分かった。私も、『お金を克服』するっていうことに、協力する」
ありがとう。
麻友さんの、頬の涙が乾いてきて、お化粧めちゃめちゃで、見られない顔だけど、抱きしめてキスしたい。
「いいわよ」
チュッ。
現在2017年2月13日6時50分である。おしまい。