現在2015年7月13日22時28分である。
この間の土曜日(7月11日)、前橋汀子さんのコンサートの記事を書いたが、シャコンヌが素晴らしかったことを書いたところで、これ以上書くと、せっかくの記事が台無しになると思い、そのまま打ち切った。
そのために、読んでいた人は、
「あのメッセージの紙は、渡したの?」
と、狐につままれたような気分になったことだろう。
コンサートの後のことを、ここに書いておこう。
素晴らしいシャコンヌだったのに、聴衆は、アンコールも要求せず、すぐに立ち上がってしまった。
前橋さんは、いつも、小曲を1,2曲、弾いてくれるのに。
仕方なく、私は、アンケート用紙に記入し始めた。
もう残っているのは、
「今日のコンサートはいかがでしたか?」
という感想の欄だけだった。
土曜日の投稿では、
「一音も、間違わなかった。」
とだけ書いたが、アンケート用紙にそれだけ書いたのではなかった。
「なんといっても、最後のシャコンヌがものすごく無茶苦茶、素晴らしかった。私は、前橋さんのCDを千回以上聴いているので分かるのだが、弓の当て方が違うため、音が異なるところはあるが、今日の前橋さんは、シャコンヌに関し、一音も間違えなかった。CDよりもすごいくらいの名演だった。」
というのが、最後のむすびだった。
これがむすびということは、その前があるわけで、私は、20分以上、ロビーの椅子で書いていたのだ。
そして、係の人が廻ってきたとき、
「この紙は?」
と聞いた。
「受け取ります。」
と言うので、あのCDのケースを開き、
「この紙を、前橋さんに渡して下さい。」
と言って渡した。
「はい。」
と言って受け取ってくれたので、出口に向かった。
もう係の人がいるだけで、お客はほとんどいなかった。
前橋さんと親しくて会っている人を除けば、私が最後だったかも知れない。
帰り道、私は、満足だった。
シャコンヌの15分は、長い。
だが、あの演奏なら、聴衆を飽きさせないのではないか。
あのシャコンヌを弾いて、アンコールされたら、パルティータ第3番の第6楽章を弾けば良いではないか。
恐らく今日のコンサートで、最後にシャコンヌを持ってきたということは、今日まで徹底的にシャコンヌの練習をしてきたのだろう。パルティータ第3番の第6楽章だって、もっと練習しておけば、神がかり的な演奏になるだろう。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を、勝ち取るためには、そこまでやらなきゃな。
などと楽しく夢想しながら、帰ってきた。
家に着き、パソコンを開くと、あの人が、
「明日の握手会休もう 嘘」
なんてツイートしていた。
調べてみると、日曜日(7月12日)に、同じ桜木町のパシフィコ横浜へ、握手会に来るのだと分かった。
もちろんそのシングルは買ってないから、権利はないし、そもそも、握手会には行かないことにしているのだから、今回は関係ない。
でも、人間は、握手するだけでも嬉しいものである。
それは、アイドルのあの人にとってもそうだ。
どうしたものかなあ。
考えながらその日のツイートをして寝た。
翌日(7月12日)、あの人は、延々と握手をしていた。
前橋さんも疲れるが、ちょっと笑顔が曇っただけで、ツイッターでツイートされてしまうあの人も、本当に疲れるだろうと思う。
あの人が、ツイートした。
「9月のソロライブで販売するグッズを今考え中です。皆さんどんなものが欲しいですか?」
「あっ、そうか。私、9月のコンサート行くんだ。あの人に、触らせてあげられる。」
そうである。どんなすごいアイドルでも、ファンからの、ぬいぐるみやメッセージなどを入れる箱を、用意しているものだ。
あの、「1から始める数学 可算級善良超フィルターの存在定理」のノートが、最後の2枚だけ残っていたのだ。その1枚を、前橋さんにあげてしまった。だけど、もう1枚「57,58」のページがあるではないか。
あのページにメッセージを書き、用意してある箱に入れれば、あの人は、私に、間接的に触れる。
絶対結婚するのだから、あのページを大切に持っていれば、結婚した後、私のノートにあてがって、本当に研究ノート第1号だったのだと確認できる。
最後のページは、前橋さんのところへ行ってしまったけど、私を手に入れられたのなら、あの人も怒らないだろう。
便箋が買えなかったために、却って、あの人に、最高の便箋で、メッセージを書けることになった。
必ず届けるよ。
今日は、ここまで。
現在2015年7月13日23時57分である。おしまい。