相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

ありがとう。物理学者諸君。

 現在2021年5月21日20時03分である。(この投稿は、ほぼ4289文字)

麻友「この題、どういうこと?」

私「お礼を、言ってるんだよ」

若菜「何に対してですか?」

私「世界中の物理学者達が、私のために、私でも解ける、易しい問題を、出してくれていたんだ」

麻友「それを、解いたというの?」

結弦「どういう問題なの?」


私「実は、記録が残っている」

若菜「何の記録ですか?」

私「私が、この問題を、出された日だよ」

結弦「そんな問題、あったかな」

私「ほらっ、


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私「これ、4月28日に買った、今年の『理科年表』なんだ」

国立天文台編『理科年表2020』(丸善

理科年表 2020

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  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

麻友「『理科年表』って言ったって、本だわ」

私「それは、分かってたんだけどね。新しい単位をきちんと確かめたくて、とうとう買ったんだ」

麻友「毎年、変わるんでしょう?」

私「麻友さんに、最新の科学を、話そうと思うと、必要になるんだ」


麻友「それで、新しいことは、分かった?」

私「買ったときは、気付かなかったんだけど、2018年に決まって、2019年から使われ出した、新しい単位系は、多分時間の単位が、近いうちにちょっと変わると思うよ」

麻友「えーっ、変えた早々、なんでまた」

私「決める方も、分かってて、暫定的に、今のにしたみたい」

麻友「どうしたら、そういうことが、分かるの?」

私「真空の透磁率(とうじりつ){\mu_0} (ミューゼロ)という数値があるんだけど、これが、今まで、

{\mu_0=4\pi \times 10^{-7} ~\mathrm{N~A^{-2}}}ニュートン・パー・アンペア・スクエア)

と、定まっていたのに、それを、{1.000~000~000~55} 倍することにしたんだ。どう見ても、汚い定義だろ。こんな定義」

麻友「何か理由があったのでしょうね。太郎さんは、暫定的なものだから、と取ったけど、将来どうなるかしらね」



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   (2020年5月3日の『行ってみたくなる家』という投稿より)



麻友「問題を、解いたというと、『多分時間の単位が、近いうちにちょっと変わると思うよ』というのの、どう変わるかを、見破ったということかしら?」

私「まあ、そういうことだね。でも、この問題解くのにも、まる1年かかってしまった。今年の理科年表が、刷られる前に、気付いてあげれば、良かった。ごめんなさい」

麻友「ちょっと、ちょっと。浮かれてないで、取り敢えず、どう解いたのか、教えてよ」

私「昨日の投稿(『場の量子論を制覇しよう!』のブログの『量子力学の冒険(その10)』の投稿)でも、


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物理学の単位は、まず秒の定義から始め、光の速さを、{c=299~792~458 \mathrm{m s^{-1}}} と定めることで、長さ(メートル)を定義している。


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と、単位に拘っている。どう考えても、汚らしい、定義を、なぜ物理学者達が、したのか? もっと洗練された定義にできないか? と、考えていた」

若菜「それで、どうするのですか?」

私「まず、手の内を見せよう」



真空中の光速 {c=299~792~458~\mathrm{m~s^{-1}}}

真空の透磁率 {\mu_0 =1.256~637~062~12(19) \times 10^{-6} \mathrm{N~A^{-2}}}

       {\mu_0/(4 \pi \times 10^{-7})=1.000~000~000~55(15) \mathrm{N~A^{-2}}}

真空の誘電率 {\varepsilon_0=1/\mu_0 c^2 =8.854~187~8128(13) \times 10^{-12} \mathrm{F m^{-1}}}

万有引力定数 {G=6.674~30(15) \times 10^{-11} \mathrm{N~m^2~kg^{-2}}}

プランク定数 {h=6.626~070~15 \times 10^{-34} \mathrm{J~s}}

電荷    {e=1.602~176~634 \times 10^{-19} \mathrm{C}}


以上、理科年表2020より。


国立天文台編『理科年表2020』(丸善

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麻友「最新のは、『理科年表2021』じゃない?」

国立天文台編『理科年表2021』(丸善

理科年表 2021

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私「本屋さんで、この部分が、去年と同じであることを、確かめてある」

若菜「お父さんが、汚い定義だと言っているのは、


真空の透磁率 {\mu_0 =1.256~637~062~12(19) \times 10^{-6} \mathrm{N~A^{-2}}}

       {\mu_0/(4 \pi \times 10^{-7})=1.000~000~000~55(15) \mathrm{N~A^{-2}}}


の部分ですね。9桁も{0} が並ぶなら、思い切って、{1} にしちゃえと」

私「そういうことではなく、2019年までは、真空の透磁率は、

{\mu_0 =4 \pi \times 10^{-7} \mathrm{N~A^{-2}}}

だったのだ。ほら、2012年(平成24年)の、理科年表見て御覧」

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結弦「本当だ。どうして、汚くしちゃったのだろう」

若菜「それを、お父さんは、これから時間の単位を、ちょっと変えるためだと、思ったわけですね」

私「そうだ」

麻友「どうしたら、そこで、時間をいじれば良いという考えが浮かぶの?」

私「『量子力学の冒険(その5)』で、書いたように、フェムト秒分光学などというものがある。つまり、{1 \mathrm{fs}=1 \times 10^{-15} \mathrm{s}} という短さの秒が、測られている。いや、そればかりじゃない。アト秒({1~\mathrm{as}=1 \times 10^{-18} \mathrm{s}}) というのも、測られていると、2008年1月の雑誌『パリティ』に、書いてある」

若菜「それは、論文誌ですか?」

私「一応、論文誌だよ。Physical Review みたいに、最新の発見が載っているわけではないけど、かなり新しい論文が、日本語に訳されて載っている」

結弦「ああ、日本語なんだ。英語の苦手なお父さんにとっては、『細胞の分子生物学』のときみたいに、日本語に訳されてから、読むんだな」

私「2008年のが、あったのは、半分偶然なんだ。2007年4月号が出る寸前、2007年2月8日、栄信工業を辞めた私は、時間ができたのだから、もっと物理学を勉強しようと、物理学の雑誌『パリティ』の、年間購読を、丸善に申し込んだ。そして、2009年3月号まで、2年間購読していた」

若菜「面白かったですか?」

私「この時期、私は、おじいさんに怪我をさせたり、ねくすとや、とらいむに行ったりと忙しくて、折角の情報源を、生かせなかった。でも、今、役に立っている」

若菜「いつも、前向きな、お父さん」

私「そういうわけで、小数点以下18桁も、秒を正確に測らなければならない」

若菜「理科年表の秒の定義は?」

私「以下だ」

時間:秒 秒は{\mathrm{s}}と表記するSIの時間の単位である。秒は,摂動を受けていないセシウム133原子の基底状態の超微細遷移周波数{\Delta \nu_{C_s}}{\mathrm{Hz}}の単位({\mathrm{s^{-1}}}と同じ単位)で表記した際の数値を {9~192~631~770}と固定値とすることで定義される.


結弦「あーっ、10桁だ。一番上の桁が9だから、11桁近く定義できてるけど、フェムトの15桁も、ましてや、アトの18桁も、定義できてない」

麻友「でも、{9~192~631~770} を、{9~192~631~770.000~000~000} まで、キッカリ定義しますって言うのは、どうなの?」

私「麻友さん、さすが特待生。普通そう逃げたくなるよね。でも、そうしたら、最初に見たように、汚い定義になっちゃったんだよ。{9~192~631~770.000~000~000}{000~000~000} のところは、本当は、{0} じゃない方が、綺麗な定義になるのだった、ということなんだよ」

若菜「そこを、変えちゃって、一般の人は、困らないのですかね?」

私「真空の透磁率のところで、変更するのは、

真空の透磁率 {\mu_0 =1.256~637~062~12(19) \times 10^{-6} \mathrm{N~A^{-2}}}

       {\mu_0/(4 \pi \times 10^{-7})=1.000~000~000~55(15) \mathrm{N~A^{-2}}}

のところで、下の式で、小数点以下10桁目だ。今までの有効数字9桁の世界では、その差は埋もれてしまって、不確かさと区別が付かなくなる」

麻友「そういうことか。太郎さんが、喜んでいたのが、分かったわ。もう23時14分よ。いい夢見てね」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

私「おやすみ」

 現在2021年5月21日23時15分である。おしまい。