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相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。

えー、消しちゃったの

 現在2015年3月6日7時08分である。

 2つ前の、


この世界の本当の姿は?3


という投稿で、雑学君と呼んでくれた男の人のことを書いた。

 その人は、私が、理屈ばかりこねると言っていた。

 そして、病棟にあったホワイトボードに、鶏の大きな絵を描いて、その鶏から吹き出しを書いて、

「マックナゲット食べたい、チキンも。」

と読んで、私に、

「この面白さが分かるか?」

と言った。

 だが、私が、ホワイトボードを見ると、

 チ マ
 キ ッ
 ン ク
 食 ナ
 べ ゲ
 た ッ
 い ト
   も

と、書いてあった。
 それで、私は、
「もし、鶏が、自分を食べたいと言っていると言いたくて、チキン食べたいって言いたいのなら、日本語は縦書きなら右から読むのだから、あれじゃ、逆だよ。」

と言った。

 その人は、
「それが、駄目なんだよ。こういうものは、文法で分かるんじゃないんだ。」
と言った。

 私は、笑いながら、部屋に引き上げた。

 それから、1時間ほどして、ディルームへ行ってみると、ホワイトボードに、

 マ チ
 ッ キ
 ク ン
 ナ 食
 ゲ べ
 ッ た
 ト い
 も

と、書いてあった。

「書き直したのかなあ。」

と思って、文字を丁寧に見た。だが、書き直した形跡はなかった。

 それで、私は気付いた。

 初めからこう書いてあったのだ。そして、こう書いておいて、あの人は、

「マックナゲット食べたい、チキンも。」

と読んだのだ。

 そういう声を聞いていたから、私は、

 チ マ
 キ ッ
 ン ク
 食 ナ
 べ ゲ
 た ッ
 い ト
   も

と書いてあるような、気がしてしまったのだ。

「あの人に、私が固定観念があることを指摘されてしまったな。」

と思った。


 そういうことがあったので、その人が退院するとき、

「2つ餞別をあげることにした。」

と言い、まず、

「おいしい、お酒を飲んだことがある?」

と聞いた。

「僕は、薬を飲んでいるから、お酒は飲まないんだ。」

と、応えてきたので、

「じゃあ、なおさら、このお酒を飲むべきなんだよ。」

と言った。

 そして、ホワイトボードに、

「ザ・マッカラン25年 税抜67,000円」

と書いた。

 その人は、

「6万もする、お酒なんて、ふざけるなよ。」

と言ったが、私は、冗談を言ったのではなかった。

 6万円もするお酒なら、1回にたくさん飲んだりしない。大事に飲むから何年ももつ。薬が効きすぎるからアルコールは控えて下さい、と言われている精神障害者でも、影響の出ない範囲で飲むことが出来る。そして、何より、若いときに、本当においしいお酒というものを、知っておいて欲しかったのだ。酔うなんてことにならない段階で、
「このお酒はおいしい。」
と思えるお酒は、私の人生で、数度しか出会っていない。その1つが、これなのだ。


ザ・マッカラン25年
ザ・マッカラン25年 商品情報(カロリー・原材料) サントリー


 現在では、85,000円になっているようだ。

 85,000円もお金をかけるなんて、非常識だと思うだろうが、毎週のようにビールを飲んでいる人なんてざらにいる。私は、かかっているお金は、変わらないと思う。


 さてもう一つの餞別は、私が数学が得意だから出来るものだった。

「高校で、必要条件とか、十分条件とかいうの習ったでしょう。あれ、どっちが必要条件なのか、紛らわしいよね。」

 実は、私は、自分では、必要条件と十分条件が分からなくて困ることはないのだ。ただ、数学の苦手な弟がすごいことを本で見つけて、教えてくれたのだ。それを、プレゼントしようと思ったのだった。

 私は、話した。

「直線ならば、曲線の一種だよね。だから、直線⇒曲線だ。この矢印を、方位磁石だと思うんだ。そうすると、
S⇒N
だよね。necessaryって必要品だよね・・・」

 ここまでしゃべったら、その人は、

「もういいよ。」

と言った。

 その人は、

「ホワイトボードの裏に、メッセージを書いておいたぞ。でも、明日になるまで、絶対見るな。」

と言った。

 私は、

「分かった。ありがとう。」

と、応えた。

 1日待つくらいは、この歳になった私にとって、大変なことではなかった。

 翌日、7時頃、私はホワイトボードの裏を見に行った。そして、驚いた。

 ホワイトボードを、看護婦さんか看護士さんが、消してしまっていたのだ。

「えー、消しちゃったの。あの患者さんが、退院したから、もう良いと思ったのかなあ。」

 消した看護婦さんか看護士さんを探し出して、何と書いてあったか、聞くしかないかなあ、と思ったが、合わせて30人もいるのだから、大変だ。

 その時、

「もしかして、うまくいくかも。」

と、思ったことがあった。

 よく、雪の降るような寒い日に、鏡のくもったところに、絵を描くと、その絵は、よっぽど丁寧に雑巾がけしないと、痕が残ってしまう、あの原理を利用しようと思ったのだ。

 私は、ホワイトボードを、蛍光灯と斜めになる角度にして、屈み込んで下から見上げた。

 果たして、どうなったか。

 消した後のホワイトボードの面の、反射率の違うところが、区別できたのである。

 私は、苦労して読み上げた。

 それは、同じく入院していた女の子への、ラヴレターだったのである。

 私が、苦労して読み上げていたとき、

「読んで聞かせて下さって、ありがとうございます。」

という声が聞こえたので、びっくりして、振り返った。

 その女の子だった。

 その女の子は若かったので、

「一人暮らしっていうのは、絶対経験してみると良いよ。ただ、男物の下着を干すとか、夜帰ってきたときには、『ただいま。』っていうとかして、ものすごく気を付けなきゃ駄目だよ。『ただいま』って言うのは、よく忘れるから、玄関に大好きなぬいぐるみを置いておくと良いよ。」

などとアドヴァイスしたのだった。

 その2人が、その後、連絡を取り合えたとは思えないが、そんな素敵な恋も、病院ではあったのだった。

 今日は、ここまで。

 現在2015年3月6日9時55分である。おしまい。