現在2016年8月7日23時01分である。
ハッとするほど、輝いている。
麻友さんではない。老人である。
「どういう意味?説明して?」
麻友さん自身は、謎かけしても、答えを言わないことが多いくせに。
「でも、握手会や写メ会で聞かれると、答えているわよ。」
じゃあ、まず、ヒント。
イギリスの作曲家が、関係している。
「エルガーかしら?」
私が、『ハッとするほど、輝いている』と言うんだから、スターなんだよ。
そう。
グスターヴ・ホルストは、作曲するとき、ひとつひとつの惑星に、愛称をつけている。
火星は、『戦争をもたらすもの』
金星は、『平和をもたらすもの』
水星は、『翼を持った使者』
木星は、『楽しさをもたらすもの』
土星は、『老年をもたらすもの』
天王星は、『魔術師』
海王星は、『神秘』
というように。
「あれっ、地球と冥王星は?」
ホルストは、星占いに凝っていて、これを作曲したので、地球から見た惑星と言うことで、地球自身は、含まれていない。
また、冥王星は、1930年に発見されたので、作曲当時1916年には知られていなかった。
「冥王星みたいな、遠くの星は、望遠鏡で一所懸命、探すの?」
アハハ、1930年当時は、今ほど写真の技術も発達してないし、デジタル加工もできない。
偶然だけで見つけるなんてこと、まず有り得ない。
「じゃあ、見つけるきっかけがあったの?」
うん。海王星を観測していると、ちょっと軌道が、予想と狂うんだよね。
「その狂いが、冥王星の影響だとして、位置を割り出すの?」
そう。
多分、麻友さんも、『万有引力』というものがある、という話は、聞いたことがあるでしょう。
「ああ、ニュートンが、りんごが落ちるのを見て、という話ね。」
その通り。つまり、どんなものの間にも、引力が働き合うんだ。
「というんだけどね。私、小さい頃から疑問に思っていることあるのよ。」
なんだい?
「電気だと、プラスとプラスは、反発して、マイナスとマイナスは、反発して、プラスとマイナスは、引き合うでしょ。磁石もN極とS極が同じようになる。これって、人間の男性と女性の区別と似てるわよね。」
確かにそうだね。
「ここまでは、いいのよ。ところがね。万有引力は、全部が引き合うんでしょ。男性だけでもないし、女性だけでもないし、両方いるのでもないし、どういう状態なの?」
そういうことか。
麻友さんは、カタツムリって飼ったことない?
「エスカルゴなら、食べたことあるけど。」
実はね。カタツムリって、雄雌ないんだよ。
「えっ、じゃあ、いつでも卵、産めるの?」
雄雌ないんだけどね、誰かと遺伝子交換しないと、卵産めないんだ。
だから、飼ってたカタツムリが、白い管を出して、互いに交尾してたの何度も見た。
「どうして、そういうややこしいことをするのかしら。」
「人間だって、女性と男性と、二人いなきゃ、子供が作れない、なんてことにしなきゃ、問題起こらないのに。」
でも、ほとんどの生き物に、性別がある、というのが、前にも問題になった、自然淘汰の結果なんだよ。
「ああ、『出逢いの続き』の『♪そう愛とは、自然淘汰 残るものは かけがえない真実』だったわね。」
「つまり、女性と男性の区別がある方が、生き残りやすくて、真実なんだ、というわけね。」
それが、ダーウィンの進化論。
ただ、これは、地球の年齢のような、30億年とか40億年という、長い時間生き残るかどうか、という物差しで測った結果。
人間の一生のような、80年とか90年では、この方が良いかどうか、違う物差しで測らなければならない。
「あっ、そうなのか。だから、太郎さん。『愛は、自然淘汰ではない。』って言ってたのね。」
あの時は、
『まゆゆと私の愛は、必然的なものだから、今から、いつまでも残ると予言できるよ。残ったから、真実の愛となるわけではないよ。』
と、言いたくて、ああ書いたんだけどね。
「あれから、1年2ヶ月。確かに太郎さんと私の愛は、続いてるわね。」
今は、お互い見つめ合わず、共通の目標に向かおう。
「万有引力を、男性と女性で、表せない、と言ったら、カタツムリが出てきたのよ。」
「あっ、そうか。カタツムリは、お互い同士、異性を求めるように、引かれあうのに、反発し合うことがないのね。」
でしょ。
「平和ね~。でも、人間の世界も、性的マイノリティの人の人権を認めようとか、随分、運動が盛んになってきたわよね。」
麻友さんは、私より、23年も後に生まれているでしょ。本当に、世界、変わってきたよ。
ひとつ例を上げるなら、北朝鮮って、ものすごく遅れてるでしょ。でも、私の小学校の頃の日本って、ある意味、今の北朝鮮に近かった。
同じって言うと、誤解を招くけど、子供の目から見た日本って、今の北朝鮮と、オーバーラップする。
「でも、ミサイルなんて、発射してなかったでしょ。」
その代わり、原子力発電所なんていう、作ってはならないものを、たくさん作ってしまった。
「前から、聞きたかったんだけどね。物理学者の目から見て、原子力発電所って、作らないと、電気が止まることになるのかしら。」
私は、電気工学の権威ではないから、私の言葉にあまり重みを持たせられないけど、原子力発電所は、実験のために、地球のどっかに1カ所作る必要は、あるかも知れないけど、電力をストップさせないために、原子力発電所を作る必要はないと思う。
「そうなのね。なのにどうして、あんなに作っちゃったのかしら。」
ああいう風に、お金のかかっているものは、科学とは縁のないものが、いっぱい関わっているんだよ。
「『原子力発電所をなくす。』みたいな難しい問題を解決するには、どうすればいいのかしら?」
『正しい魔法の使い方』を覚えて、魔法で解決するという手もある。
「私は、真面目に言ってるのよ。」
私も、真面目だよ。
ドラえもんのブログの目標は、人の心をひとつにまとめ上げるには、共感を呼ぶことで足りる。後は、共感を呼べるような、素敵なことを作れば良い。それを、作ろうというのが、目標のひとつになっている。
「それが、太郎さんの魔法?」
そうだよ。
こころをまとめれば、魔法になる。
「まだ、私には、どういうものか、思い浮かべられないわ。」
まだ見つかっていなかった、冥王星みたいなものだね。
「思い出した。輝いている老人、という謎を解いてたのよ。」
もう、答えが分かるよ。
「老年をもたらすものが、『土星』」
「つまり、『今晩、土星を天体望遠鏡で、観たよ。』って、言いたかったのね。』
当たり。
それと、もうひとつ。
昨日、
『水色のハッとさせられる封筒』
とツイートしたら、麻友さんが、今日、
『紺色のハッとさせられるドレス』
で、動画に現れたので、
『ハッとするほど、輝いている。』
と、かけたんだよ。
「土星って、観るの大変なの?」
少しは、大変。
今日も、19時頃から、望遠鏡のパーツを少しずつ運んで、組み立てて、実際に土星を観たのは、20時58分頃だった。
「その時間じゃなきゃ駄目だったの?」
流星群とは違うから、1時間くらい前後しても、土星は見られるよ。
ただ、今日は、21時半には雲が出てきちゃったので、あの時、観られて、ラッキーだった。
「私も、ハッとするくらい感動するかな?」
他の火星とか木星とかアンドロメダ大星雲と違って、土星だけは、絶対、感動する。
「そうなの?」
教科書や図鑑やプラネタリウムで習った通り、本当に、環があるんだよ。
『理科の勉強で教わってることって、本当なんだ。』
という、ものすごい衝撃と共に、あの映像が、焼き付く。
「太郎さん。私の期待、裏切らないでよ。」
あー、また、見つめ合っちゃった。
好き合ってるふたりを置いておくと、どうしても見つめ合っちゃうんだねぇ。
「土星の写真は、ないの?」
あの望遠鏡では、無理だった。
「土星って、環があるでしょう。他に、土星らしさって何かないの?」
実はねぇ。土星って、水に浮くんだ。
「星って、みんな、宇宙に浮いてるじゃない。」
そう取られちゃうと、ひとたまりもないんだけどね、水っていうのは、1ccが1グラムなんだけど、土星は1ccが、1グラムより軽いんだ。
「つまり、密度が、水より小さい。」
そう。その通り。
「それって、凄いことなの?」
太陽系の惑星の中で、唯一だよ。
水に浮く惑星は、土星だけなんだ。
「そういわれると、少し分かった。」
「ちょっと、調べてみよっ。グーグルで『地球の密度は』-あっ『5.51』だ。結構大きいんだ。太郎さんが、言うわけ分かった。」
今は、文献なくても調べられるんだ。
「そういう事実がある、ということを知っているかどうかが、勝敗を分けるわね。」
私から、どんどん吸収して。
「ありがとう。」
じゃあ、今晩は、もう寝るよ。
「おやすみ。」
おやすみ。
現在2016年8月8日2時49分である。おしまい。