相対性理論を学びたい人のために

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結婚をシミュレート(その23)

 現在2019年5月21日17時22分である。

「太郎さん、『結婚をシミュレート(その4)』から、ずっと1日のことを、描いているのよ。20回よ。もう、帰ってもらわなければ」

 統合失調症について、新たに分かったことも含めて、ずっと、しゃべってきたからね。

「私の実家を訪問するのの、最終回、お願いするわ」

 分かった。



 じゃあ、シミュレート、スタート。




麻友父「最後は、磁石がなぜ、引き合うか、だったな」

 はい。

 ちょっと、復習しましょう。

 絵を、見せるだけです。

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麻友母「速いですね」

 絵で見せちゃう、というのは、数学でも、物理学でも、重要です。

 そして、私の仮説は、静止しているとき、{\mathrm{-e}} クーロンと観測される電子は、自分に対して、速さ {\mathrm{v}} で動いている時、

{\displaystyle \mathrm{q=\frac{\mathrm{-e}}{\displaystyle \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}}} クーロン

と観測される、という法則を、認めるというものでした。

 そして、今度は、逆向きに、電流が流れているとき、実験通り、電線が、斥けあうかを、計算したいのでした。

麻友父「そうだった。次の絵は?」

 もちろん、こういう絵です。

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麻友父「ああ、そうか、クーロンの法則に、持ち込むというわけか」

「クーロンの法則って?」

 この図に書いてある式、

{\displaystyle \mathrm{F=} \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0}\frac{qq'}{r^2}}

というので、{\mathrm{F}} は、力、{4 \pi \varepsilon_0} は、{\pi} は、普通に、円周率で、{\varepsilon_0} は、真空の誘電率というある定数、{r} は、電荷電荷の距離、{q}{q'} は、それぞれの電荷の電気量、を、表している。

「そんなに、バーッと、言われても」

 この式全部は、分からなくて、いい。

 ただ、力、{\mathrm{F}} を、求めるとき、{q}{q'} を、かけるんだということだけ、知ってればいい。

「力が、{\mathrm{F}} って、force だから?」

 そうだと思う。物理学では、力を表すとき、{\mathrm{F}} を使うこと、多い。

「それで、これだけで、計算出来るの?」

麻友母「太郎さんの仮説では、式にルートが入ってますから、計算は、難しいですね」

 私も、そんな難しい計算は、しませんでした。

 近似を使ったのです。

「あっ、『相対論への招待(その12)』で、証明は、テイラー展開というオールマイティに近い武器でやるけど、今は認めてって言って、近似使った。思い出したわ。この式、あの時の式と、ほとんどそっくりよ」

 そうなんだよ。ローレンツ変換の式で、特殊相対性理論は、こればっかりなんだよ。

「そうだとすると、太郎さんは、磁石を、相対性理論で、説明しますって、言ってるけど、そのローレンツ変換の式で、計算して、電線と電線が、斥けあうことが、出てくれば、磁石の説明、ほとんど終わりということね」

 特待生には、もう分かったね。

麻友父「近似と言うことは、

{(1+x)^n \approx 1+nx}

という近似式の応用で、

{\displaystyle (1+x)^{-1/2} \approx 1-\frac{1}{2}x}

というのを、使うんだな」

 そうです。

 まず、陽子と陽子の間の反発力は、どちらも、静止してるので、

{\displaystyle \mathrm{F=} \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0}\frac{\mathrm{e^2}}{r^2}}

 次に、速さ、{v} で動いている電子と、止まっている陽子との間では、お互い相手が、速さ、{v} で動いていると、観測しますから、自分は同じまま、相手が、

{\displaystyle \mathrm{q=\frac{-e}{\displaystyle \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}}} クーロン

となって、引力が、次のように、なるはずです。

{\displaystyle \mathrm{F=} \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{e}}{r^2} \frac{\mathrm{-e}}{\displaystyle \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}}

 ここで、近似式の登場です。

{\frac{\displaystyle \mathrm{-e}}{\displaystyle \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}} \approx \displaystyle \mathrm{-e} \biggl(1+\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \biggr)}

ですから、

{\displaystyle \mathrm{F \approx } \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{e}}{r^2}  {(\displaystyle \mathrm{-e}) \biggl(1+\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \biggr)}}

と、なります。

「あっ、最後のまとめ、やってあげる。

{\displaystyle \mathrm{F \approx } \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{-e^2}}{r^2}  \biggl(1+\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \biggr)}

だから、

{\displaystyle \mathrm{F \approx } \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{-e^2}}{r^2} +\frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{-e^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} }

と、すれば、いいわね」

 よく、2つに分けることを、思いついたなあ。

「私と太郎さん、以心伝心よね」

麻友母「2つに、分けたのが、どう生きるんですか?」

「つまり、第1項が、止まっているときの力、第2項が、速さ、{v} になったとき増える力。だから、電子同士は、お互いを、{2v} で動いていると感じているとして、第2項だけを見て、{v}{2v} に置き換えるだけで、計算できてしまう」

 じゃあ、引力になるか、斥力になるか、計算してよ。

「この場合、力がプラスだと、斥力、マイナスだと、引力に、なるわね。2個の電子と2個の陽子で、止まっているときの力は、打ち消し合う。

{\displaystyle \mathrm{F \approx } \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{-e^2}}{r^2} \times 2+ \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{(-e)^2}}{r^2}+\frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{e^2}}{r^2}}

  陽子と電子   電子と電子  陽子と陽子

{\displaystyle +\frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0}\frac{\mathrm{-e^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \times 2 +\frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{(-e)^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{(2v)^2}{c^2}  }

  陽子と動く電子     動く電子同士

と、足して、どんどん消える。

{\displaystyle \mathrm{F \approx } \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{-e^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \times 2 + \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{(-e)^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \times 4}

 ああ、2の自乗で、4倍になるのか。

{\displaystyle \mathrm{F \approx } -\frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{e^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \times 2 +\frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{e^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \times 4}

とすると、

{\displaystyle \mathrm{F \approx } \frac{1}{4 \pi  \varepsilon_0} \frac{\mathrm{e^2}}{r^2}\frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2} \times 2 }

となる。

 プラスだから、斥力よ。

 それが、分かったばかりか、同じ向きに、流れてる場合、電子同士は、お互いを止まってると、太郎さんは、仮定した。

 だから、この {2v} のところだけ、取っちゃうと、同じ向きのときの力が、今計算したので、4倍のところが、消えて、逆に、2倍のところだけ残るから、結局、大きさは、反対向きのときの力と同じで、向きが逆、つまり引力だと分かる。同じ向きに電流が流れていると、引き合うと、定量的にも、求まる。

 つまり、磁気を使って計算したものが、全部、再現できる。

 はっきり言って、高校3年生で、磁石使わないで、電磁気学、全部マスターする方法知ってたなんて、太郎さん、反則よ」

 そう、私は、もの凄い武器を持っていた。

 1年浪人して、大学に入り、電磁気学の授業を、楽しみにしていた。

「授業、全部、分かったでしょ」

 ところが、どっこい、そんなに、甘くなかった。

 電磁気学の授業は、人気があり、廊下まで、学生があふれるほど。

 朝一番の授業は、座れるらしい、と聞いたけど、朝寝坊しやすい私は、なかなか授業に出られなかった。

 それまで、優等生だった私は、授業に出ないで、独学というのは、初めての経験だった。

「じゃあ、試験は?」

 前期の電磁気学の試験は、100点中26点だったかな?

「太郎さんの点数とは、思えない」

 勉強してなくて、物理学でこんな点を取ったのは、初めてだった。

「そんな、さっきの武器は?」

 私と同じことは、100年以上前から、分かってたんだよ。

 ただ、私は、このように、電子が動いていると、引力が働いたり、斥力が働くことを利用して、万有引力と言われている、重力を、見直そうとしていた。重力は、電磁気力とおなじ速さで、伝わる。だったら、重力と電磁気力は、同じものの、違う側面ではないのか、と考えた。

 これを、一生追求していたのが、アインシュタインだった。

「成功したの?」

 今まで、私、アインシュタインが、どういう結論を出したか、意識して見ないようにしてきたんだ。

「また、太郎さんも、アーベルと同じで、他の天才を、敬遠する」

 自分で、やりたかったんだよね、これは。

「それで、最近、気が変わったの?」

 まあ、アインシュタインが、どこまで、到達したのか、見てみようかな、と。

「どうやって見るの?」

 アインシュタインの論文が、訳されてるんだ。

アインシュタインアインシュタイン選集』(共立出版

「読んでみるの?」

 図書館で、予約した。

「でも、アインシュタインが全部解決したとは、聞いたことないわね」

 自然は、奥深いんだよね。

『ホーキング&エリス』が、脱稿したら、もっと量子力学を、勉強しようと思ってる。

「楽しみがあるわね」


麻友母「磁石は、相対性理論の効果というの、磁石の中で、電流がまわってるなら、N極とS極なら、同じ向きに回ってるから、引きつけ合う。N極とN極なら、逆に回ってるから、反発するというのは、慣れると、分かり易いですね」

麻友父「また、面白い話を、聞かせてくれ」

「それは、太郎さんを、認めるということね」

麻友父「こんなに、娘と仲良く話しているのを、裂くわけには行かないからな」

 ありがとうございます。

麻友母「麻友、良かったわね」



 じゃあ、シミュレート終了。


 麻友さん。今日は、随分頑張ったな。

「丁寧に説明してくれれば、分かるのよ」

 じゃあ、シャーペン期待してるよ。

「余りそれを、せかさないで」

 じゃあ、おやすみ。

「おやすみ」

 現在2019年5月21日21時42分である。おしまい。