現在2019年5月21日17時22分である。
「太郎さん、『結婚をシミュレート(その4)』から、ずっと1日のことを、描いているのよ。20回よ。もう、帰ってもらわなければ」
統合失調症について、新たに分かったことも含めて、ずっと、しゃべってきたからね。
「私の実家を訪問するのの、最終回、お願いするわ」
分かった。
じゃあ、シミュレート、スタート。
麻友父「最後は、磁石がなぜ、引き合うか、だったな」
はい。
ちょっと、復習しましょう。
絵を、見せるだけです。
麻友母「速いですね」
絵で見せちゃう、というのは、数学でも、物理学でも、重要です。
そして、私の仮説は、静止しているとき、 クーロンと観測される電子は、自分に対して、速さ
で動いている時、
クーロン
と観測される、という法則を、認めるというものでした。
そして、今度は、逆向きに、電流が流れているとき、実験通り、電線が、斥けあうかを、計算したいのでした。
麻友父「そうだった。次の絵は?」
もちろん、こういう絵です。
麻友父「ああ、そうか、クーロンの法則に、持ち込むというわけか」
「クーロンの法則って?」
この図に書いてある式、
というので、 は、力、
は、
は、普通に、円周率で、
は、真空の誘電率というある定数、
は、電荷と電荷の距離、
や
は、それぞれの電荷の電気量、を、表している。
「そんなに、バーッと、言われても」
この式全部は、分からなくて、いい。
ただ、力、 を、求めるとき、
と
を、かけるんだということだけ、知ってればいい。
「力が、 って、force だから?」
そうだと思う。物理学では、力を表すとき、 を使うこと、多い。
「それで、これだけで、計算出来るの?」
麻友母「太郎さんの仮説では、式にルートが入ってますから、計算は、難しいですね」
私も、そんな難しい計算は、しませんでした。
近似を使ったのです。
「あっ、『相対論への招待(その12)』で、証明は、テイラー展開というオールマイティに近い武器でやるけど、今は認めてって言って、近似使った。思い出したわ。この式、あの時の式と、ほとんどそっくりよ」
そうなんだよ。ローレンツ変換の式で、特殊相対性理論は、こればっかりなんだよ。
「そうだとすると、太郎さんは、磁石を、相対性理論で、説明しますって、言ってるけど、そのローレンツ変換の式で、計算して、電線と電線が、斥けあうことが、出てくれば、磁石の説明、ほとんど終わりということね」
特待生には、もう分かったね。
麻友父「近似と言うことは、
という近似式の応用で、
というのを、使うんだな」
そうです。
まず、陽子と陽子の間の反発力は、どちらも、静止してるので、
次に、速さ、 で動いている電子と、止まっている陽子との間では、お互い相手が、速さ、
で動いていると、観測しますから、自分は同じまま、相手が、
クーロン
となって、引力が、次のように、なるはずです。
ここで、近似式の登場です。
ですから、
と、なります。
「あっ、最後のまとめ、やってあげる。
だから、
と、すれば、いいわね」
よく、2つに分けることを、思いついたなあ。
「私と太郎さん、以心伝心よね」
麻友母「2つに、分けたのが、どう生きるんですか?」
「つまり、第1項が、止まっているときの力、第2項が、速さ、 になったとき増える力。だから、電子同士は、お互いを、
で動いていると感じているとして、第2項だけを見て、
を
に置き換えるだけで、計算できてしまう」
じゃあ、引力になるか、斥力になるか、計算してよ。
「この場合、力がプラスだと、斥力、マイナスだと、引力に、なるわね。2個の電子と2個の陽子で、止まっているときの力は、打ち消し合う。
陽子と電子 電子と電子 陽子と陽子
陽子と動く電子 動く電子同士
と、足して、どんどん消える。
ああ、2の自乗で、4倍になるのか。
とすると、
となる。
プラスだから、斥力よ。
それが、分かったばかりか、同じ向きに、流れてる場合、電子同士は、お互いを止まってると、太郎さんは、仮定した。
だから、この のところだけ、取っちゃうと、同じ向きのときの力が、今計算したので、4倍のところが、消えて、逆に、2倍のところだけ残るから、結局、大きさは、反対向きのときの力と同じで、向きが逆、つまり引力だと分かる。同じ向きに電流が流れていると、引き合うと、定量的にも、求まる。
つまり、磁気を使って計算したものが、全部、再現できる。
はっきり言って、高校3年生で、磁石使わないで、電磁気学、全部マスターする方法知ってたなんて、太郎さん、反則よ」
そう、私は、もの凄い武器を持っていた。
1年浪人して、大学に入り、電磁気学の授業を、楽しみにしていた。
「授業、全部、分かったでしょ」
ところが、どっこい、そんなに、甘くなかった。
電磁気学の授業は、人気があり、廊下まで、学生があふれるほど。
朝一番の授業は、座れるらしい、と聞いたけど、朝寝坊しやすい私は、なかなか授業に出られなかった。
それまで、優等生だった私は、授業に出ないで、独学というのは、初めての経験だった。
「じゃあ、試験は?」
前期の電磁気学の試験は、100点中26点だったかな?
「太郎さんの点数とは、思えない」
勉強してなくて、物理学でこんな点を取ったのは、初めてだった。
「そんな、さっきの武器は?」
私と同じことは、100年以上前から、分かってたんだよ。
ただ、私は、このように、電子が動いていると、引力が働いたり、斥力が働くことを利用して、万有引力と言われている、重力を、見直そうとしていた。重力は、電磁気力とおなじ速さで、伝わる。だったら、重力と電磁気力は、同じものの、違う側面ではないのか、と考えた。
これを、一生追求していたのが、アインシュタインだった。
「成功したの?」
今まで、私、アインシュタインが、どういう結論を出したか、意識して見ないようにしてきたんだ。
「また、太郎さんも、アーベルと同じで、他の天才を、敬遠する」
自分で、やりたかったんだよね、これは。
「それで、最近、気が変わったの?」
まあ、アインシュタインが、どこまで、到達したのか、見てみようかな、と。
「どうやって見るの?」
アインシュタインの論文が、訳されてるんだ。

アインシュタイン選集 2 ―一般相対性理論および統一場理論―
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「読んでみるの?」
図書館で、予約した。
「でも、アインシュタインが全部解決したとは、聞いたことないわね」
自然は、奥深いんだよね。
『ホーキング&エリス』が、脱稿したら、もっと量子力学を、勉強しようと思ってる。
「楽しみがあるわね」
麻友母「磁石は、相対性理論の効果というの、磁石の中で、電流がまわってるなら、N極とS極なら、同じ向きに回ってるから、引きつけ合う。N極とN極なら、逆に回ってるから、反発するというのは、慣れると、分かり易いですね」
麻友父「また、面白い話を、聞かせてくれ」
「それは、太郎さんを、認めるということね」
麻友父「こんなに、娘と仲良く話しているのを、裂くわけには行かないからな」
ありがとうございます。
麻友母「麻友、良かったわね」
じゃあ、シミュレート終了。
麻友さん。今日は、随分頑張ったな。
「丁寧に説明してくれれば、分かるのよ」
じゃあ、シャーペン期待してるよ。
「余りそれを、せかさないで」
じゃあ、おやすみ。
「おやすみ」
現在2019年5月21日21時42分である。おしまい。