現在2016年4月5日22時22分である。
「あっ、デート連れてってくれるのね。」
そうだよ。コンサートだ。
「太郎さんに取っては、昨日が、私と出会って、1年だったのよね。」
ぴったり1年だった。
このブログの、『2人の素敵な女の人』という投稿を読むと、その日のことが、生々しく伝わってくる。
「でも、どうして、最初から、私とうまく行くって分かってたの?」
分かってないよ。
うまくいったらいいな、と思いながら、手探りで進んでたんだよ。
「どこで、確信した?」
多分、これに答えると、麻友さんは、そのきっかけが妄想だったと証明して、私に諦めさせようとするんだろうけど。
「どうして、そんなひどいこと。私は、本当に太郎さんを好きなのよ。」
話してあげようか。
順々に、段階が上がってるんだよ。
・まず、麻友さんの写真botに、フォローされた。
・次に、フォローされていた、写真botが、落ちた。
・麻友さんのミニコンサートが当たった。
・情熱大陸で、私のことをまったく映さなかった。
・『おはよう ご ざ いま すまそん』とツイートした。
・私が、コンサートに行かれないように、入院させられた。
この一連のことを通じて、麻友さんは、私を好きなのだろうな、と判断しているんだ。
「意地悪なこと、指摘してあげましょうか。」
「その手掛かり、全部、入院前のものね。私が、その後、好きでなくなったかもね。」
えっ、そんな、残酷なこと。
そんなこというなら、デート連れてかないぞー!
「ウフフッ。交響曲第4番か。前回は交響曲第3番『英雄』だったわね。」
前回、映画まで持ち出して、盛り上げたけど、イマイチだったね。
「太郎さんもそう感じてた?私も、最高の曲『英雄』にしては、なんだかはぐらかされたな、みたいに思ってたの。」
だから、今回は、第4番なんだけれどもね、第3番『英雄』の話もしようと思う。
「リベンジが、かかってるのね。」
前回、失敗したのは、指揮者の話をほとんどしなかったからだと思う。
「太郎さんは、色んな指揮者の『英雄』を持っているのよね。」
全部で40種類以上持っているはずだけど、完全に聴き分けられるのは、10人くらいだと思う。
実は、2016年4月5日のデートは、実現しなかった。
これを書いていた頃、私は調子が悪く、『英雄』の話を始めたのに、疲れて眠ってしまったのだった。
そこで、デートの日取りを改めて決めて、再挑戦することとなった。リベンジのリベンジである。
現在2016年8月18日19時36分である。
リベンジのリベンジをする。
こっちの家に引っ越してから、少しずつ持ってきて、今は『英雄』のCDは、16枚になった。ほら。
「あれっ、ボッケボケだけど、パソコンの壁紙、私?」
そうだよ。前回の時は、ロック画面の大きな麻友さんだった。壁紙は、少し小さい麻友さん。
「常に私が、太郎さんを見つめてるのね。」
見つめられてるというほど、意識してないけど。
「それで、その16枚の中で、どの指揮者の『英雄』が、一番のお好み?」
一番聴いている『英雄』を挙げるなら、
- アーティスト:シャルル・ミュンシュ
- 出版社/メーカー: 日本ビクター
- 発売日: 2002/07/25
- メディア: CD
だね。
「特に思い入れがあるの?」
思い入れがあるという点では、
ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
- アーティスト:シュミット=イッセルシュテット(ハンス)
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2001/04/25
- メディア: CD
の方が上なんだ。
私が、中学2年生の時、ルパン三世で、『英雄』を聴いて、これを聴きたいと思って見つけ出したオープンテープが、このイッセルシュテットだった。
「じゃあ、30年聴いてるわけね。」
そう。それに、つい最近まで、私の『英雄』ベスト1は、イッセルシュテットだった。
「どこが、良いの?」
この曲は、50分くらいの大曲なんだけど、最初の3秒ほどの2つの和音が、命なんだよ。
「最初の3秒が、駄目だったら、全部、駄目?」
そう。
この出だしの和音に関し、イッセルシュテットほど、緊迫感のある、目の覚めるような音を聴かせてくれる指揮者はいないんだ。
「じゃあ、どうして、ミュンシュに心変わりしたの?」
音質だね。
「えっ、太郎さんのこだわる、音質?」
そう。ミュンシュの方が、丁寧にリマスタリングされていて、音質が素晴らしいんだ。
「太郎さんでも、心変わりするんだー。私以外のおん・・・」
馬鹿な想像するんじゃないの!
私が、イッセルシュテットを今でも聴いていることに、変わりはないんだよ。
ただ、一番聴いているのは、ミュンシュになったというだけ。
「リベンジのデート中なんですものね。茶化して悪かったわ。」
そうだよ。
さて、この2人以外にも、素晴らしい演奏は、いくつもある。
まず、モノラルだけど、
- アーティスト:トスカニーニ&NBC交響楽団
- 出版社/メーカー: グローバル・カルチャー・エージェンシー
- 発売日: 2008/10/07
- メディア: CD
は、素晴らしい。
戦前、4大指揮者というと、ウィレム・メンゲルベルク、アルトゥーロ・トスカニーニ、ウィルヘルム・フルトヴェングラー、ブルーノ・ワルターの4人だった。
この4人は、やっぱりすごいよ。
「太郎さん。何歳なんですか?」
44歳だけど。
「イヤイヤ。戦前は、こうだった。なんて、言うから。」
ああ、文献によるとね。
「太郎さんは、トスカニーニ以外の3人も、聴いたことあるの?」
うん。
ワルターのは、
- アーティスト:コロンビア交響楽団
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2000/11/01
- メディア: CD
が、ボッケボケの写真に写ってるし、
フルトヴェングラーのは、
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(1944年)
- アーティスト:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
- 出版社/メーカー: GRAND SLAM
- 発売日: 2004/07/21
- メディア: CD
と、
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(1952年)
- アーティスト:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 1995/08/30
- メディア: CD
の2つが、写真に写ってる。
メンゲルベルクの『英雄』も、持ってるんだけど、いずみ野からまだ持ってきてないだけなんだ。
「ウワッ、本当に聴いてるのね。『英雄』のデートをやり直して良かったわね。」
これ以外でも、気に入ってるのがある。
まず、
レナード・バーンスタイン指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
交響曲 第3番 変ホ長調 英雄 / 第7番 イ長調 [DVD]
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2001/06/27
- メディア: DVD
がある。
前回、これのリンクを張ったけど、著作権で問題があったんだろうね、リンクが切れちゃった。
「それで、見られなくなっちゃったのね。」
うん。
それから、すっごく恰幅の良い堂々とした演奏をしているのは、
- アーティスト:ショルティ(サー・ゲオルグ)
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/02/21
- メディア: CD
で、すごく気に入ってる。
「すごく気に入ってるのが、なぜ7番目まで出てこないのよ。」
だから、私は、『英雄』という曲を、ものすごく好きなの。
ものすごくよく聴くし、口ずさんでもいるの。
「でも、堂々としてるなら、これが、1番になりそうなのに。」
私は、1番のものに、ものすごく多くのものを、求めるんだ。
例えば、麻友さんは、
『お酒は飲めるけど、美味しくない。』
というようなことを言ってたけど、それは、本当に美味しいお酒を飲んだことがないから。
「本当に美味しいお酒って、どんななの?」
結婚祝いに、買ったらどうかと思ってるんだけど、
『ザ・マッカラン25年』
というお酒があるんだ。
「どんなお酒?」
これ。
ザ マッカラン 25年 [ ウイスキー イギリス 700ml ]
- メディア: Wine
「11万8800円!!ちょっと、ウィスキー1本に、そんなにかけられないわよ。」
いや、これは、それだけかける価値のあるお酒なんだよ。
「飲んだことあるの?」
私の父の勤めていた会社の話は、前からしてるでしょ。私の実家のお隣は、その会社の偉い人になっているので、結構お裾分けで、良いものをもらうんだ。
そんなある日、お隣のご主人はお酒を飲まないので、もらい物を、
『これ、飲んで下さい。』
と言って、もらったのが、これ。
お酒って言ったってみんな同じようなものだと思っていた私。
『お前も一口飲んで見ろ。』
と、父が渡してきたのを、ひとくち口に含んだ瞬間、舌の上が、場所場所によって違う味がして、とにかくものすごく複雑な味がしたのだ。
『これは、本当に、美味しい。』
と言ったら、
『太郎でも分かった。』
と、家族から言われた。
とにかく、こんな味がした、などというものではないのだ。ものすっごく複雑な味がするのだ。
麻友さんにも、若いときに、本当に美味しいお酒を、味わわせてあげたい。
「うーん。12万円はねぇ。考えとくわ。」
そういうわけで、1番になるのは、音質が良いとか、緊迫感があるとか、堂々としてるとか、楽器の音色が綺麗とか、テンポが適度だとか、色んな要素がどれも優れていなければ、ならないのだ。
結婚したら、みんな聴かせてあげるからね。
「デートで、私の気を引くには、良い方法かもね。ところで、今日は、交響曲第4番も、聴く予定だったわね。
そう。実は、ベートーヴェンの交響曲第4番という曲は、長いこと評価されない曲だったのだ。
「私も、エピソードすら知らないわ。」
この曲の素晴らしい演奏をして、有名にしたのは、カルロス・クライバーという指揮者なんだ。
「有名な指揮者?」
ヘルベルト・フォン・カラヤン、レナード・バーンスタイン、カルロス・クライバーの3人がいたときは、他の指揮者たちにとっては、氷河期だった、と言われるくらい、カリスマ的な指揮者だった。
このCD、
- アーティスト:クライバー(カルロス)
- 出版社/メーカー: キングインターナショナル
- 発売日: 2003/03/05
- メディア: CD
は、発売当時、たった31分くらいしか入っていないのに、3000円以上するということでも、驚かせたものだった。
「あっ、そうか。昔は、シングルだったら、8cmのディスクにしたし、MAXIシングルなら安いのが当然だものね。そうすると、これが、ベスト盤ね。」
まあ、ベートーヴェンの交響曲第4番は、これ1枚聴けばいいんだけど、クライバーは、別なオーケストラを振って、DVDも残している。
「それにしても、太郎さん。良く調べてるわねぇ。」
ベートーヴェンは、好きだからね。
それじゃ、今日のデートの終わりに、私らしい話をしよう。
「太郎さんらしいって?」
交響曲第1番の時、ベートーヴェンの全交響曲の調性の覚え方を、私流にやって見せたでしょう。
「ああ、最初だからハ長調、そのまま進んでニ長調、・・・というのね。覚えてるわ。」
あれの、作品番号版をやってみせようというわけ。
「面白そう。やって。やって。」
これをやるときはね。私流だということに、気を付けなくてはいけない。
私は、ベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』と、第5番通称『運命』を大好きだから、
と、
は、暗記しているんだ。
これを前提として、他の作品番号を思い出すわけだ。
まず、第1番は、ベートーヴェン30歳の時の作品だから、作品番号が、1桁ということは、有り得ない。
だとすると、10番か11番か12番か?いや、ベートーヴェンは、そんな平凡なことはしない。
1そして2の逆を行く。『21』つまり、
次に、第2番は、どうなるかな?英雄が、作品55だということを、知っている。
逆が好きな、ベートーヴェンである。英雄の前に、作品66なんてことを、やらないか?
でも、66じゃ、55より大きくて、どう考えても、おかしい。
じゃあ、6と6かけちゃえ、ということで、『36』つまり、
そして、
次は、あっさりしているんだ。有名にならなかった曲なのは、凝ったことをしなかったからなのかも知れない。
英雄の作品55より後で、第5の作品67の前で、あっさり決まる数といったら、『60』だよね。
そして、
次は、どうなると思う?
5番と並行して書かれていた、第6番『田園』が、直後に出来る。
さて、少し疲れたベートーヴェンは、しばらく交響曲を作らない。
70番台も80番台も1曲もなし。
さて、90番台に入り、100を前にして、立て続けに書き始める。
そして、ベートーヴェン最後の交響曲は、大好きな英雄の作品55の5をさらにもう1個増やして、5×5×5=125となる。
「これ、全部あってるの?」
もちろん。
「戦争交響曲なんて、初めて聞いたわよ。」
うん。これは、余り知られていない曲だし、戦争交響曲というけど、交響曲じゃないんだ。
「どうだったら、交響曲になれるの?」
ソナタ形式と呼ばれる、主題提示部、展開部、再現部、結尾部、という4つのパートからなる楽章を含んでいないと、交響曲の形式を満たしていないと、判断されてしまうんだ。
「じゃあ、覚えやすいように、どうでも良いものを、引っ張り出したわけね。」
そういうこと。
「太郎さんは、この数字、全部、覚えてるの?」
良くかける曲の作品番号は、覚えちゃってる。
「それにしても、太郎さんが、音楽のデートに誘ってくれるっていうから、どんなことになるかと思ったけど、本当に太郎さんらしい、デートね。」
褒め言葉と受け取っておきます。
『CROW’S BLOOD』が、もう少しで終わるね。
「見終わったら、お手紙ちょうだいよ。待ってるんだから。」
間接的に触れられるのは、やっと2回目だものね。
「デートの最後に、手をつなぐことも出来ないなんて。」
手をつなげたときの喜びが、何倍にもなる。
「さようなら。太郎さん。」
さよなら。
現在2016年8月18日23時11分である。おしまい。