現在2021年8月21日20時44分である。(この投稿は、ほぼ3343文字)
麻友「生命誕生に至る、大きなひとステップを、見せてもらったわね。処女のままで」
♪~ ♪~
麻友「あっ、クロイツェルソナタの第2楽章。太郎さんが、以前は、美しいメロディーが、繰り返し繰り返し流れるけど、何を描いているのか分からなかったけど、私を好きになった後、分かったと言ってた」
*******************************
クロイツェル・ソナタの第2楽章を聴いていると、何を描きたいのか、分からなくて、何でこんな楽章書いたのだろうと不思議だったが、私が、麻友さんにアンドロメダ姫になって! などと艶事を考えていたところを経ないと、再発見に達せられない。つまり、第3楽章に、至れなかったのだと気付き、クロイツェル・ソナタの第2楽章は、ベートーヴェンが好きな人との艶事を思い描いてたんだな、と分かったのであった(もちろん、このこと自体、再発見だが)。
*******************************
(『結婚をシミュレート(その32)』より)
麻友「クロイツェルソナタの女の人。今でも、あの人が、忘れられないの?」
私「もう、怒るよ。麻友さんともあろう人が」
麻友「私の若いときに、似てたとか。卒業アルバムないの? この狭い部屋にあるわけないか」
私「あるよ」
麻友「ほんとに? 見るの恐いけど、見てみたい」
私「仕方ない。見せてあげるよ」
ガラガラー、ずー。
パタパタ。
私「ほらこれだ」
麻友「あれっ、その絵の具で描いた絵が表紙になってるの、『ゴルゴ13とか、センコー』を覚えたって言ってた、『神のようなタイミング』の投稿に出てきた、小学校の卒業アルバム」
私「記憶力が素晴らしいのは、確かだ」
麻友「もしかして、卒園アルバムも、あるとか?」
私「さっちゃんか? 比べてみなよ、自分と」
麻友「小学校のときの太郎さん、小さいなあ。笑ってる」
私「そうか、麻友さんは、私の小学校や中学卒業の写真は、見たことないのか。私は、麻友さんの卒業写真見たことあるけど」
麻友「そうなのよ。それで、さっちゃんと撮らせてもらったというのは?」
私「ツーショット写真なんて、あるわけないよ。この写真、女の子6人で、ひとり男の子がいるだろう。この女の子なんだよ」
麻友「太郎さん。蝋人形館のマダム・タッソーでの写真でも、後ろから、近すぎず、遠すぎず」
私「もう、麻友さんを、抱きしめたいよ」
麻友「それで、クロイツェルソナタの女の人は?」
私「高校の卒業アルバムの、この人」
麻友「うーん。確かに、17歳頃の私に、似てなくはないわね。分かった認める。でも、私に対する気持ちは、本物なのね」
私「麻友さんは、読んだことあるかどうか知らないけど、紫式部の『源氏物語』って、女の人に結構好かれているんだよね。簡単に言えば、オペラ『ドン・ジョバンニ』にしても、『源氏物語』にしても、女の人を好きになって口説き落とすけど、征服すると、捨てちゃうということなんだけど、『源氏物語』の光源氏は、一人一人の女の人を、ずっと大事にするところが、女の人に好かれる理由らしいんだよね。だから、麻友さんも、『自分に対する気持ちが本物なら、他の女の人は、忘れて』みたいなことは、言わないで」
麻友「あっ、前から気になってる、怪盗ルパンの『結婚指輪』よね」
私「そう。麻友さんの優先順位が1番なのは、当然だよ。だけど、麻友さんが、大丈夫なら、他の女の人が困っていたら、助けに行ったって良いだろう」
麻友「怪盗ルパンは、結婚はしてないのよね」
私「子供向けのシリーズだと、1巻の『奇巌城(きがんじょう)』で、クラリスみたいに、一緒に泥棒になりますと言って、婚約してくれる女の人がいる。厳密に言うと、ルパン三世の『カリオストロの城』というのは、怪盗ルパンシリーズの『奇巌城』と『カリオストロ伯爵夫人』(和名『魔女とルパン』)とを混ぜ合わせたようなものなのだ」
麻友「でも、婚約はするけど、殺されちゃうのよね。太郎さんから聞いた」
私「モーリス・ルブランも、とんでもないことを、したと思うけど、イギリスのコナン・ドイルのシャーロック・ホームズが、フランスでも良く読まれているというので、自分の怪盗ルパンに登場させてしまった。ただ、今、百科事典調べて知ったんだけど、アロック・ショルム(Herlock Shormes)と、ホームズをもじって、使ったらしい」
麻友「そうよね。そのホームズが、ルパンの婚約者を、殺しちゃうんですものね」
私「うん。婚約者が、喉を撃たれて、クルクル回りながら、死んでしまうところは、何度も読んだ」
麻友「そこまでは、確かに史実なのよ。ただ、太郎さんが、
*******************************
怪盗ルパンの心の中に、一度だけ婚約までしたのに、シャーロック・ホームズに殺されてしまった、大切な女の人がいることを、読者は皆知っているから。
*******************************
( 『温度は4-velocity?』より)
と、書いている根拠が、分からないのよ」
私「ああ、麻友さんが子供のとき、どうだったか知らないけど、子供達って、沢山本を読むから、図書館で借りるわけだよね。そうなると、シリーズの1巻から読もうなんて考えていられないんだ。私の場合、最初に怪盗ルパンに触れたのは、公文の先生が、作ってくれた、『ザリガニ文庫』という小さな図書室みたいなところだった」
麻友「『ザリガニ文庫』って、まさか太郎さんの命名?」
私「私しか、そんなこと、しないよ。先生が、馬場先生っていうんだけど、図書室の名前を募集したんだ。私は、当時、教室で、ザリガニを飼ってたので、『ザリガニ文庫』って、札を入れて置いた。ところが、私以外だれも応募しなかったので、自動的に、『ザリガニ文庫』になってしまった。皆も後から抗議して、それから、『公文文庫』か何かに変わったんだったと思う」
麻友「そこで、何巻から、読んだの?」
私「実は、私は、ルパンというものは、まったく知らなかった。公文の教室に入ったのは、3年生の12月だったけど、4年生になってから、ザリガニ文庫はできたんだったかな? それまでにも、鶴見図書館に行ったりしていたが、ザリガニ文庫で、『怪盗紳士ルパン』という題名に、シビれてしまった。『怪盗なのに、紳士?』どんな話なんだろうと、その日の教材は、上の空で解いて、帰ってきて読みふけった」
麻友「太郎さん、一目惚れね。女の人も、本も」
私「それを、読み切ると、これは、もっとシリーズがあることを、知った。鶴見図書館で、探して、他の巻も、どんどん読んだ。実は、『奇巌城』は、全く別の図書室みたいなところで読んだんだ。マンションの忘年会をやるとき、お芝居の出番を待っているとき読んだんだ」
麻友「それで、『怪盗ルパンの心の中に、一度だけ婚約までしたのに、シャーロック・ホームズに殺されてしまった、大切な女の人がいる』というのは?」
私「怪盗ルパンシリーズは、30巻くらいあるんだ。でも、終わりの方は、別の作者が書いたものがある。その中に、怪盗ルパンが、年取ってから、住みかにしている部屋に、あの婚約者の写真を引き伸ばして額に入れて、今も飾っている。という描写があるんだ。モーリス・ルブランの本意だったかどうか分からないけど、『ルパン、本当にあの人好きだったんだなあ』と、伝わってくるじゃない」
麻友「そういうことか。太郎さんの想像も、含まれているのね」
私「うん」
麻友「この狭い部屋に、卒業アルバムまで、置いてちゃ、ガチャガチャになるわね」
私「しょうがないよ。じゃあ、今晩はおやすみ」
麻友「おやすみ」
現在2021年8月21日23時01分である。おしまい。