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微分・積分入門(その10)

 現在2021年10月29日20時06分である。(この投稿は、ほぼ4882文字)

麻友「前回は、いい加減に終わったわね」

私「時間的に、遅くなってしまって、やむなく、止めた。ちょっと復習する」



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 こんどは反対に円の周が {2\pi r} であることがわかっているとして,このことから円の面積がどうなるかを求めてみよう.

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 それにはまず第2図を御覧願いたい.小石を落した点を中心として図のように波紋が広がっていったわけであるが,円と円の間にはさまれた輪の部分の面積を,順々に {\Delta A_1,\Delta A_2, \cdots \cdots,\Delta A_n} とする.つまり {\Delta r} をきわめて小さな値にして,半径を {n} 等分し,円の輪を {n} 個作ったのである.そうすると半径 {r} の円の面積は,これを {A} とすると

{A=\Delta A_1 +\Delta A_2+ \cdots \cdot +\Delta A_n}                (3)

となることがわかる.これまた微小なものの和である.ところが,{\Delta A_1} はさきに述べたように {\Delta r \rightarrow 0} ならば

{\Delta A_1 =2 \pi r \cdot \Delta r}

となり,{\Delta A_2,\Delta A_3}

{\Delta A_2 =2 \pi (r-\Delta r) \cdot \Delta r}

{\Delta A_3 =2 \pi (r-2 \Delta r) \cdot \Delta r}

同様にして {\Delta A_n}

{\Delta A_n =2 \pi \{r-(n-1) \Delta r\} \cdot \Delta r}

となることが,式を順々に眺めてゆけばわかるであろう.これらの値を(3)式に代入すると

{A =2 \pi r \cdot \Delta r +2 \pi (r-\Delta r) \cdot \Delta r + 2 \pi (r-2 \Delta r) \cdot \Delta r + \cdots \cdots}
{~~~~~~~~~ +2 \pi \{r-(n-1) \Delta r \} \cdot \Delta r}

となり,この右辺を {2 \pi \cdot \Delta r} でくくると

{A =2 \pi\{ r +(r-\Delta r) + (r-2 \Delta r) + \cdots \cdot +r-(n-1) \Delta r)\} \Delta r}

{\{~~\}}の中で,{r}{n} 個あり,したがって

{A =2 \pi\{ nr -(1+2+\cdots \cdot +n-1) \Delta r \}\Delta r}


この {(~~)} の中は,等差数列の和の公式 {\displaystyle\biggl(\frac{(項数)}{~~~2}~ \times (a+l) \biggr)} から

{\displaystyle 1+2+3+ \cdots \cdots +(n-1)=\frac{n-1}{2} (1+n-1)=\frac{n-1}{2} \cdot n}

であるから



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           (『微分積分入門』6ページより)


麻友「あれっ、これ、誤植直したでしょ」

私「気付いてた? 


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となり,この右辺を {2 \pi \cdot \Delta r} でくくると

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の部分、 {2 \pi r \cdot \Delta r} と、なってた。{r} が、多かった」

若菜「でも、お父さん、この説明分かるんですか?


{\Delta A_1 =2 \pi r \cdot \Delta r}

となり,{\Delta A_2,\Delta A_3}

{\Delta A_2 =2 \pi (r-\Delta r) \cdot \Delta r}

{\Delta A_3 =2 \pi (r-2 \Delta r) \cdot \Delta r}


って、どういう計算しているんですか?」

私「まず、ここまでの話で、半径 {r} の円周が、長さ {2 \pi r} であるということを、認める。そうすると、{\Delta A_2} は、次のようになる。半径 {r-\Delta r} の円周の長さが、{2 \pi (r-\Delta r)} で、それに、{\Delta A_2} の円周の幅、{\Delta r} を掛けて、円周の面積は、{\Delta A_2 =2 \pi (r-\Delta r) \cdot \Delta r} ということになるんだ」

若菜「でも、円周って、不自然に曲がっていますから、面積を求めるとき、ほんのちょっと、補正しなきゃならないと、思うんですけど」

私「そこなんだよ。ニュートンが、成功したのは、その補正をしなくていい場合か、補正しなければならない場合かを、見分けられるようにしたからなんだ。無限小が、最後まで、無限小で終わるかどうか、分かるようにした。もう少し言うと、ニュートンの方法は、正しいんだけど、誰でもが使えるほど、易しくなかった。それを、見事な記号を幾つも発明して、微分積分を、誰でも使える便利なものにしたのが、ライプニッツなんだ。前にも、{\mathrm{Leibniz'~rule}}ライプニッツルール)なんていう言葉も、ちらっと、出てきたよね」

麻友「あっ、ニュートンライプニッツって、並び称されるのは、そういうことだったんだ」

結弦「量子力学のハイゼンベルグシュレーディンガーみたい。ちょっと難しくても、発表してみるのも、いいかもね」

麻友「そこが、分かれば、いいわ。等差数列の和の公式は、太郎さんの以前からの説明で、分かった。{a} は、初項で、{l} は、最終項ね」

私「じゃあ、進めるぞ、


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であるから

{\displaystyle A=2 \pi \biggl\{n r -\frac{n-1}{2} \cdot n \cdot \Delta r \biggr\}\Delta r}

 ところが {n \cdot \Delta r=r} であることに気付くならば、円の面積 {A}

{\displaystyle A=2 \pi \biggl( n r- \frac{n-1}{2} r \biggr) \Delta r}

{\displaystyle =2 \pi \biggl( \frac{2n r-n r +r}{2} \biggr) \Delta r}

{=\pi r (n+1) \cdot \Delta r =\pi r (n \cdot \Delta r + \Delta r)}

{n \cdot \Delta r=r} と変形すると

{A=\pi r ( r + \Delta r)}

{\Delta r \to 0} の場合を考えているのであるから

{A=\pi r \cdot r=\pi r^2}

となった.

 けっきょく,円の面積は,円をきわめて微小なものに分割して,円周の長さ {2 \pi r} を基本として,これに半径 {r} のこれまた微小な分割である {\Delta r} を掛けて,加え合わせていったものの極限({\Delta r \to 0} としたことを思え!)として求められたということになる.これは“微分”のときに行なった操作の逆をなしていることは,もう1度前に戻って,円の面積から円周の長さを求めたところを読み返さずとも,およその推察がつくであろう.こうした操作を積分と呼ぶ.


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                  (『微分積分入門』7ページより)


若菜「分かった。お父さん、積分を使いたいんだ。だから、そこまでの道を、作りたかったんだ」

結弦「僕、まだ中学3年生なんだよ。あー、でもお父さんは、中学3年のときから、微分積分、勉強したがってたんだった」

麻友「ファインマンも、似たような傾向が、あるわね。『ファインマン物理学』でも、微分の説明するより前から、インテグラルが、顔を出す」

私「良く勉強しているな。放送大学天文学の面接授業で、ファインマンの本を見せたら、先生から、『この人の本は、行間を読まなければならない』と、言われた」

若菜「放送大学で、『ファインマン物理学』が、必要だったのですか?」

私「『この世界で、丸いものはある。放物線のものは、吊り橋、双曲線は、ねじった灯台、だけど、楕円のものはなかなかない』と、先生が言ったので、『月の欠け際は、楕円ですよ』と、話した。光が片側だけに当たっているのを、斜めから見るからだ。そのとき、先生が、『吊り橋が放物線になるのは、ひとつ近似をしているんだ』と、言ったので、図書館で、

戸田盛和『一般力学30講』(朝倉書店)

を、見つけて、ワイヤーの重さを考えないという近似を使っているようですと、報告した。さらに、ファインマンが、

ファインマン『ご冗談でしょう、ファインマンさん 上』(岩波現代文庫


の中で、橋ができるにつれて、懸垂線だったのが、放物線になるのが、窓に傷を付けて分かるようになってた。と書いている(消えてしまう信管という短編の中)のを、見せたときの先生の言葉だったんだ」

結弦「物理学って、取り組み方によって、色んなものに、なるんだね」


麻友「積分に、いよいよ取り組むのね。『解析入門Ⅰ』のあのレビューでも、微分より積分の方が、難しいと、書いてあったわね」

私「全部、『微分積分入門』で、教える積もりはない。麻友さんは、受験のために、ドリルをやるわけではないから」

麻友「楽しみに、しているわよ。おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

私「おやすみ」

 現在2021年10月29日23時35分である。おしまい。