相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

数学を専攻するとはどういうことか

 現在2018年1月18日17時03分である。

 昨日の投稿で、数学のゼミで受けた訓練について、いずれ書こうと思っている、と書いた。

 だが、いずれなんて言ってると、いつまでたっても書かないだろう。

 思い立ったのだから、書いてしまおう。

「どんな、話になるの?」

 今日は、専門的な話も書くから、麻友さんには難しいかも知れない。

 でも、私が、どんなところで躓いて苦労したか、という話だから、ちょこっちょこっと、面白い話が転がっていると思う。

 高校生が、大学で数学を勉強するって、どんなことなのだろう、と思っているのにも、少し答えられるかも知れない。

「私も、高卒だから、同じね」

 まず、大学に入学すると、数学では、線形代数というものと、微積分というものを、学ばされる。

 この2つを知らないと、理系のほとんどの学術書が読めない。

 高校生が、これらを勉強するのにどうしたらよいかというと、ちょっと裏技を使った方が良い。

 いきなり大きな本を読むのでなく、微積分の最初のとっかかりを与えてくれる、次の110ページだけの小さな本を、丁寧に読むと良い。

イプシロン-デルタ (数学ワンポイント双書 20)

イプシロン-デルタ (数学ワンポイント双書 20)

 問題は、解かなくとも良い。

 なぜ、そんなことが言えるかというと、私自身、この本の問題は、1問も解かなかったからだ。


 さて、これを読んだら次は、線形代数に入門するのだが、ここでも、裏技が必要である。

 次の本は、非常に良い本なのだが、この本を第1章から読んでは駄目なのである。

線型代数入門 (基礎数学)

線型代数入門 (基礎数学)

 私が、どうやって勉強したかというと、最初のうち授業に出ていて、行列式の展開の仕方を学んだ後、佐武一郎の『線型代数学』を読み始めたのだが、具体例が少なくて、理解できなかった。後から、上の齋藤正彦の『線型代数入門』を読んで、補ったのだった。

線型代数学(新装版) (数学選書)

線型代数学(新装版) (数学選書)

 その時も、第1章は、苦労した。

 病気になって帰ってきた後、43歳にもなって、一緒に物理学のゼミをやっている相手の人に、

線形代数は、どうやって勉強した?』

と、聞いたら、

『齋藤正彦さんの本です』

という答えが返ってきたので、

『あの本、第1章が大変じゃなかった?』

と、尋ねたら、

『私、第1章読んでないんです。先生が読むなと言ったから』

と返されて、

『あー、それは、先生が良かったんだ』

と、深い感慨とともに、答えたのを覚えている。

 齋藤正彦の『線型代数入門』は、第2章から読むこと。

 これが、裏技2である。


 さて、裏技3。

 線形代数の入門は、その本で完璧だが、微積分は、もう少し本を読む必要がある。

 私は、いつも、杉浦さんの本を、勧めていたのだが、自分がどうやったかを思い出してみると、ここでも、裏技を使っていたことに気付いたのだ。

 どういうことかというと、まず高木貞治の本を読んだのである。

定本 解析概論

定本 解析概論

  • 作者:高木 貞治
  • 発売日: 2010/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 そして、もっと厳密な議論が欲しいなぁ、と思ってから、

解析入門 Ⅰ(基礎数学2)

解析入門 Ⅰ(基礎数学2)

に、取りかかった。

 最初から、これに取り組むと、なぜこんなどうでもいいことに証明つけるんだ、みたいに思えて、面白くないのである。

 第2巻は、2年生の内容も、少し含まれている。

 ここでも、裏技は、必要である。

解析入門  Ⅱ(基礎数学3)

解析入門 Ⅱ(基礎数学3)

の一番最後が、複素解析なのだ。

 だが、大学の授業では、2年生になるとすぐ、複素解析が必要になってくる。

 第2巻が、進まないよう! と思ってないで、第1巻を読んであれば、すぐに最終章へ飛べる。

 後は、必要に応じて、ちょこっとずつ、切り崩せば良い。

 これが、裏技4。

「えー、大学1年生で、こんなに、太郎さんでも躓きそうなところがあるの?」

 大学って、高校とは、全然違うんだよ。

「でも、私は、高校も、あまり味わってないのよねぇ」

 麻友さんを、無理矢理にでも、大学へ行かせたいなぁ。

 いや、京都大学や、東京大学でなくとも、良いんだ。

 高校生達が、自分の将来と学力を天秤にかけながら、いろんな大学のいろんな学部の様々な学科を、一所懸命選んで、そして入学して、何かを身につける。

 あっ、これ書いてて、思い出した。

 この間の日曜日(1月14日)に、TSUTAYAで、『Best Regards!』レンタルしてきたんだ。

「えっ、買ってくれたんじゃ、なかったの?」

 あんな、15,120円もするもの、買えない。

「じゃあ、どうやって、リクエストしたの?」

 ソニーからのメールのリンクをクリックしたら、投票できたよ。

「そうだったのか。太郎さんが、買えるはずないと思ったけど」

 でも、借りてきて、収穫あった。

「どんなこと?」

 通常盤だったけど、『守ってあげたくなる』が、入ってた。

「それで?」

 あんまり喜ばせすぎてもいけないんだけど、麻友さんの声が、ちょっとずつ良くなってる。

「褒めてるの? けなしてるの?」

 褒めてるのと、けなしてるの、半分ずつなんだ。

 麻友さんが、どの程度、ヴォイストレーニングしているか、分からないから、もっとトレーニングすれば伸びるのか、もう充分トレーニングしてるのに、この程度なのか、分からないんだけど、そこは、麻友さんの方で、判断して。

「結局良くないのね」

 私にこう言われたことを恨むかも知れないけど、麻友さんは歌手としては、(まだ)一流ではない。

「どうして、そんなこと言うの?」

 いや、私だって、京都大学へ行くくらいだから、数学の才能があったのは、確かなんだ。

 でも、一流の数学者になれるほどじゃなかったのは、見ての通りだ。

「障害者になっちゃったからでしょ」

 たとえ、障害者になっても、永遠不滅の業績を遺した人もいる。

「例えば?」

 ゲオルク・カントールという集合論を作った人。

「太郎さんは、何を言いたいの?」

 私は、数学の才能は二流くらいだったかも知れない。

 でも、本当に数学が好きで、ずっと数学の鍛錬を続けてきた。

 そうしたら、いつの間にか、麻友さんを振り向かせるほどになった。

 麻友さんだって、本当に、歌うのが好きなら、もっと練習して、そして、これが一番大事だけど、何十年でも、続けてみな!

「あっ、そういうこと。つまり、今は、二流だということを認めて、それでも、好きなら、ずっと続けろというのね」


 数学を専攻した場合の話は、また次回に回して、そのゼミで教わった一番大切なことは、将来にわたって数学を学んでいくとき、どうやったらハードルを越えられるかのパスポートをもらったことだった、ということを書いて、今日の投稿を終わろう。

「私、歌手になれるかしら?」

 それを、決めるのは、麻友さん自身だからね。

 じゃあ、バイバイ。

「うん。バイバイ」

 現在2018年1月18日19時43分である。おしまい。