現在2021年6月28日21時08分である。(この投稿は、ほぼ5075文字)
結弦「『フーリエの冒険』、やっと軌道に乗ったかな?」
私「前回、熱が伝わるのが、波で表せるかどうか? というような、話をしてたじゃない」
若菜「そういう話でした」
私「今日の投稿を書くに当たって、このブログ(女の人のところへ来たドラえもんのブログ)の未投稿の記事を、覗いたんだ。そうしたら、『熱伝導度』という記事が、眠ってた」
麻友「いつ頃、書いたの?」
私「2016年1月12日という日付があって、このドラえもんのブログの初回の、『最初に種明かしします』の1週間前。私が、『麻友さんと、色んな話をするんだ』と、いくつも書き溜めていた記事のひとつだったんだ」
麻友「そんな前。熱の話で、関係あるの?」
結弦「お父さんが、わざわざ持ちだしたということは、面白いのかな?」
私「ここまで、書けば、後は、即興で、残りは書けると思えるところまで、書いてあって、未完のままなんだ。書式も、『最初に種明かしします』の頃のままで、『麻友「』という書き方はしてないし、麻友さんが、敬語使っていたりする。若菜と結弦も登場しない。まだ新婚ほやほやの頃のような、書き方が、初々しいから、そのまま、見せるよ。未完のところは、今の私が、補う」
結弦「じゃ、見せて」
私「はい」
(現在2016年1月12日17時36分)
「小学生のために、物理学の本を書くんじゃなかったのですか。」
そのことで、大分悩んだんだけど、いきなり最初から小学生に分かる物理学の本を書くのは、無理だと悟ったんだよね。
「じゃあ、後から、書くということですか。」
場合によっては、書くかも知れない。
でも、良い文献自体は、本当はあるんだ。
ところが、ほとんどの人が、それを読めるレヴェルに達していない。
「だから、太郎さんが、そのギャップを埋めなければならないのでしょう。」
そうなんだけど、もう小学校卒業してから32年も経つし、小学生の目線には、なかなかなれないんだよね。
でも、小学生のときの疑問は、覚えている。
「その疑問に答えたら?」
私も、そう思ったんだよね。
麻友さんは、もう大人でしょう。そして、社会でちゃんと暮らしている。
「まあ、それは、そうだけど。それが、なにか。」
社会人としては、大人になっているけど、数学や物理学のことは、あまり分かってないでしょう。
「分かっていないと困るところまでは、勉強してありますもの。」
一応そのはずなんだけどね、知っておいた方が良いことが、たくさんあるんだ。
「それを、話してくれるわけですか?」
麻友さんに話すことで、麻友さんのようなお母さま、お父さまが、賢くなり、最終的に小学生も賢くなると良いなと思っているんだ。
「親が読む本は、あるんじゃないかしら。」
じゃあ、例えば、麻友さんには、こんな思い出はないかな。
私は、小学校6年生の頃、ある謎解きの本で、
『気温が30度だと、真夏の気候で、暑いですね。でも、気温が30度のとき、プールの水も水温30度になっているはずですが、プールに入ると、冷たいですね。どうしてでしょう。』
という問題に出会った。
「あっ、それは、私も経験あります。どうしてなんですか?」
その謎解きの本では、答えのところにこう書いてあった。
『空気よりも水の方が、温度を伝えやすいので、体温が36度くらいの人間にとって、同じように6度低くても、空気より水の方が温度差が大きく感じられるのです。だから、水は、冷たく感じるのです。』
「ああ、そういうことだったんですか。」
ゲッ、今の説明で分かったの?
「だから、温度を伝えやすいって。」
じゃあ、温度を伝えやすいって、どういうこと?
「それを説明するって、あまりにもむごい質問じゃありません?」
つまり、こういうことを考えていると思って良いのかな?
空気が、
『30度です。』
って、肌に訴えかけてくる勢いより、水が、
『30度です。』
って、肌に訴えかけてくる勢いの方が、強いっていう意味だと。
「そう、そう。それが、温度を伝えやすいってことでしょうね。」
本当に、それで、納得している?
「他に考えようがないもの。」
小学校の6年生のときから、この説明は、分からないと思って、ずっと気にかけていたんだ。
「エーッ、何十年もかけて、問題解いているんですか?」
解けていない問題はたくさんあるから、常に同じ問題と向き合っているわけではないんだ。
ただ、あのことはまだ解決してなかったなという問題は、今でもたくさんある。
「だから、数学者や物理学者をやっていられるんですね。」
まあ、そうなんだけど、さっきの問題は、10年ほど前に解決した。
「そもそも、どこが問題なんでしょう。」
『温度を、伝えやすい。』
っていう言葉の意味が分からなかったんだよ。
「どこが、分からないんですか?」
何が分かったかを言うために、どういう風にして、解決したかを話そう。
この場合は、父に解答を教わったんだけどね。
「お父さまに、質問なさったんですか。」
そうじゃないんだ。父に質問されたんだ。
「どうして、答える側の太郎さんが、教えてもらえるんでしょう。」
人に話しているうちに分かるとか、相手の反応から、逆にこっちが教わるということが、あるでしょう。
この場合もそうだったんだ。
「なるほど、We learn by teaching.(教うるは学ぶの半ば)ということわざもありますものね。」
今の、英語、どうして知ってたの?
「ちょっと、ググってみたんです。」
さすがぁ。
私「実は、ここまでが、未完成の原稿なんだ」
麻友「太郎さんが、新婚ほやほやとか言う理由も、分からないではないけど、私達は、結婚さえしてないのよ」
若菜「ここで、熱を伝えやすい、ということが、どういうことか、問題になっているわけですね?」
私「この記事では、10年ほど前に解決したとなっているけど、2016年の記事なので、今からだと、15年ほど前の、2006年頃なんだ」
麻友「場所は、どこで?」
私「栄信工業の社長さんも、私が非常に不器用な人間だし、おまけに薬のために手が震えるので、機械加工の仕事より、絶対コンピューターを使った、ある意味頭を使う仕事に向いているだろうと、手を尽くしてくれて、父も、そういう仕事を、見つけてきてくれた。父が部長の、特品営業部の社屋を、品川の近くに借りてもらって、品川営業所として、何度も、社長は、私を派遣した」
麻友「もの凄い、好待遇じゃない。どうして辞めるようなことに、なったの?」
私「結局、父も母も、社長も、私の病気で、薬で眠くなってなお、まだ伸ばせる才能は、プログラムを組む、システムエンジニアのような技能でなく、数学そのものを研究して、『新しい発見は、できなくとも、新しい数学の見方を見つけること』くらいなものなんだ。ということに、気付いていなかったんだ。システムエンジニアは、数学の才能とは関係ない。むしろ、数学の証明に拘っていたら、プログラムなんて組めない。先日図書館で、
涌井良幸・涌井貞美(わくい よしゆき・わくい さだみ)『ディープラーニングがわかる数学入門』(技術評論社)
という本で、なぜ、麻友さんと出会った2015年頃から、コンピューターの学習能力が、飛躍的に向上したか、少し知ったんだ。そこに使われている技術で、2つの絵が、似た絵だということを、コンピューターに分からせるために、その2つの絵を、数字で表して、それを1列に並べて、ベクトルとする。その2つのベクトルの内積が大きければ、似た絵だと言うんだ。確かに、内積の定義に従えば、正しい推論だ。でも、似た絵だったら、どれくらい内積が大きくなるか、などは、本当はブラックボックスのままだ。でも、技術はそれでも、進んで行く」
私「内積って、忘れてる? ベクトル と、 に対し、 の内積は、 と、定義されるんだ。なぜこう定義するかというと、こう定義しておくと、 が、 となるんだよ。 は、2つのベクトルの間の角度ね。実際には、2成分のベクトルでなく、画素の数だけ、例えば、 とかを、使うわけだけどね。だから、2つのベクトルが似てて、方向が近いと、間の角が に近付いて、 だから、全く同じ方向のとき、最大値 になるってわけよ。高校で、三角関数勉強してあって、良かったと思ったでしょう」
麻友「内積かー。こういう応用があったとは」
若菜「どうして、お父さんは、プログラミングが、嫌なの?」
私「嫌というより、プログラミングをしている間は、頭を使っているから、数学や物理学を考えていられないだろう。それが、嫌なんだ」
麻友「良く分からないけど、それで、品川営業所に派遣されて、お父様とお仕事をしていたのね」
私「当時、父は、
という本で、熱物理学を勉強していた。そして、ある日、品川営業所で、休み時間に私にこう質問したんだ」
父「エジプトなんかで、気温50度ということが、あるよな。でも、生きていられる。でも、50度のお湯だったら、火傷するよな。なぜだと思う」
私「(あの問題だなあ、と思いつつ。分からないけど、答えちゃえと)それは、太郎の数少ない熱力学の知識を使って、答えると、空気より水の方が、熱を伝えやすいからだと思う」
父「そうだよな。熱伝導度の問題だよな」
私「うん」
麻友「それで、どうなったの?」
私「『うん』と、答えながら、私は、内心では、再発見の喜びで、アルキメデスの原理を発見し、裸でお風呂屋から、家まで走って帰ったというアルキメデスのような思いを、噛みしめていた」
若菜「えっ、何が分かったんですか? お父様は、『そうだよな』と、言っているだけですし、何も教えてくれてませんが」
私「その文脈で、『熱伝導度』という言葉を使ったことで、熱が伝わりやすいというのが、どういうことか、謎が解けたんだよ」
結弦「熱伝導度って、単位は何か知らないけど、鉄だったら1分間で、ここから1メートル伝わり、金だったら1分間で、ここから2メートル伝わり、みたいなこと?」
私「イメージとしては、それでいい。そう思うと、『空気より水の方が、熱を伝えやすい』というのが、数値で表せるだろう」
麻友「つまり、熱が伝わっていく速さなのね。そして、伝わりやすい物質ほど、渡される先から、どんどん送り出すので、次の熱を、受け取れて、どんどん熱を、奪っていく。空気より水の方が、どんどん持って行くので、こっちとしては、30度の水は、冷たいとなる。逆に50度の水だと、受け取っても受け取っても、持ってこられるので、熱くて火傷する。太郎さん。2006年ということは、35歳。今でも、再発見しているのって、信じられるわ」
若菜「この投稿は、『フーリエの冒険(その6)』でなく、『熱伝導度』という題で、メインの相対論のブログの記事にしません? 独立でも楽しめる」
麻友「太郎さんは、こういう記事、書いているときが、一番、素敵よ」
私「分かってるけど、他のことを書いてしまうこともあるんだ。じゃあ、今日は、解散」
現在2021年6月29日19時28分である。おしまい。