相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

「子どもの多様性を伸ばす。これからの本当の教育とは」に寄せて

 現在2019年7月4日8時38分である。

「一体、何を書くの?」

 昨日は、トントンへ行ってたんだけど、帰ってきてパソコンをつけたら、りんさんが、次のようなツイートをしてた。



Lin Kobayashi | 小林りん
@linkobayashi


突然ですが、来週月曜に福島で講演します。

会場などの詳細が昨日まで決まらず、直前の告知になってしまい申し訳ありません。

お近くの方でもしまだご予定が会いてらっしゃる方は: https://www.facebook.com/events/696356054119937/




「太郎さん。まだ小林りんさんに、迷惑かけているの?」

 うーん。りんさんは、迷惑だと思ってないと思うよ。

「どうして、そんなことが、言えるの?」

 りんさんという人は、木があったら、普通の人なら、よけて通るのに、そのまままっすぐ進む人だから、ダンプカーというあだ名が付いているくらいの人だ。

 私ごときの変わり者は、りんさんの提唱する多様性(diversity)の良い見本のひとつとして、カウントしているくらいじゃないかな?

「それで、今見たけど、2019年7月8日に、福島県福島市で、「子どもの多様性を伸ばす。これからの本当の教育とは」という演題で、講演するのね」

 そうなんだ。

「その講演を、聞きに行くの?」

 そんなお金、あるわけないでしょ。

「えっ、でも、〈料金〉無料って、書いてある」

 東京じゃないんだよ。福島まで、交通費いくらかかると思ってるんだよ。

「あっ、太郎さんは、それくらい、貧しいんだった。じゃあ、この投稿は?」

 私、『これからの本当の教育とは』という言葉に触発されたんだよね。

 それで、りんさんに、私が考える、『これからの本当の教育』というものを、提案してみようと、思ったんだ。

「『これからの本当の教育とは』という講演をする人に向かって、『こんな教育があるぞ』って、あらかじめ提案するなんて、太郎さん、どこまでずうずうしいの?」

 いや、ずうずうしいのは、そこまでじゃない。

 実は、今日の私の提案の投稿に、小林りんさんにも、登場してもらおうと、思ってるんだ。

「ゲッ、この後に、りんさんが、しゃべり出すの?」

 それから、若菜と結弦も、来てもらおうと思っている。

 つまり、今日は、初めて、5人の登場人物が現れる日となる。

「りんさん、怒らないかしら?」

 だから、最初に、

『この投稿で、小林さんが、しゃべったとしてあるものは、全部私(松田太郎)の、創作です』

と、明記しておこう。

 さて、話したいことは、もの凄く重要なことだから、前置きは、このくらいにしよう。



小林りん「お会いするのは、初めまして。お招きいただき、ありがとうございます。最初にメールをいただいたのは、4年以上前でしたね」

 はい。2015年の4月2日の夜です。

 ちゃんと、私のメールに目を通して下さり、ありがとうございました。

小林「あの『2人の素敵な女の人』という投稿を、ブログに、私へのメールの後でされましたが、あのときの渡辺麻友さんと、4年経った今でも変わらず、フレッシュな関係を続けられてるのは、私から見ても、驚異です」

「初めまして。私、ずっと小さな妬みの気持ちがあったんです。だって、『2人の素敵な女の人』っていう投稿、私へのラヴレターのはずなのに、先にりんさんのことがたくさん書いてあるのですもの」

小林「男の人って、そういうものですよ。って言いかけたのですけど、渡辺さんと松田さんも、もうお子さんが2人もいらっしゃるのですね。ちょっと、年齢が合いませんけど」

結弦「はじめまして。その説明は、僕が簡単にしましょう。お父さん、つまり太郎お父さんは、この『相対性理論を学びたい人のために』というブログだけで満足できなくなり、『女の人のところへ来たドラえもん』という別なブログも始めたんです。『女の人』というのは、もちろんお母さん、つまり渡辺麻友さんで、『ドラえもん』というのは、お父さん自身を、表しているんです」

小林「いつ頃、始められたんですか?」

結弦「お母さんと会った次の年、つまり2016年の1月20日です。覚えている限り一番昔のこと、とか、卵を沈めた水に、食塩を加えて、浮かせる実験とか、色んな投稿があったんです。それだけでも、ふたりは楽しんでいたのですけど、ある日、お父さんが、子供達を加えようって言い出したんです。『女の人のところへ来たドラえもん』というブログの『数Ⅲ方式ガロアの理論と現代論理学』という投稿でだったんですが。そして、

『私はドラえもんなんだから、タイムマシン持ってる。未来の私達の子供たちに、会いに行こう』

って、言って、仮想的に過去の時代のミュージックチャートを表示できるという、インターネット上のサイトのプログラムに、風邪を引かせて、つまりコンピューターウィルスを感染させて、本当に未来へ行けるようにして、僕たちのいた2042年に来たんです」

結弦「ただ、僕とお姉ちゃんの、本物を、お母さんとお父さんが2018年に持って帰っちゃうと、2042年のお母さんとお父さんが、可哀想だというので、色々考えて、僕とお姉ちゃんの全データを、2042年の世界にある新しいスマホに、入力して、AI(人工知能)で、動く、ホログラフィとして、映し出せるようにしてもらって、この世界のお母さんとお父さんは、そのスマホを、もらってきたのです」

小林「じゃあ、結弦君は、AIなの?」

結弦「はい」

若菜「初めまして、私も、AIです」

小林「若菜ちゃん。松田さんの姪御さんが、モデルということは、今、中学3年生ですね。UWC ISAK Japanに、興味ある?」

若菜「興味はありますが、多分行かないと思います。ISAKって、リーダーを作るための学校ですよね。私、お母さんに似て、リーダーには向かないんです」

小林「あらっ、でも、麻友さんは、AKB48のエースだったのに」

若菜「周りは、そう言ってました。でも、リーダーって、ちょっとくらい間違ってても、みんなをまとめて、ワーッとやっちゃうようなところがないと、駄目ですよね。お母さんって、完璧主義なので、そういうことに向かないんです。だから、AKBグループのリーダーは、妹グループのHKT48の指原莉乃さんだったんです。私も、お母さんに似てますからね。あっ、リーダーを作る学校のりんさんに、リーダー論なんて、釈迦に説法でしたね」

小林「お子さん達、良く躾けられてますね」

 いや、それは、2042年の麻友さんと私が、躾けたものなんです。

小林「面白い一家ね」

「それで、太郎さん。『これからの教育』として、何を提案するの?」

 どういう言葉で表現しようか、考えたんだけどね、『プライベートなこと、なんていうことに、そんなに重要さを感じない人に育つ教育』と、今、言葉にした(2019年7月4日11時20分)。

小林「個人情報などが、もの凄く大切にされるようになった今の社会で、そういうことを、言うんですか?」

若菜「あー、お父さん。時代より、7年、先走ってる」

結弦「お父さん。今、47歳でしょ。今年生まれてれば、7年後に小学校2年生で、

『プライベートなこと、というのは、昔は、その人の尊厳に関わるものとして、大切にされていましたが、インターネットで、何でも調べられる時代になって、もはや、その人が、心の中で、どう思っているかだけが、プライベートなこととなっていました。ところが、MRI(磁気共鳴撮影法)の進歩によって、その人が今何を考えているかも、分かるようになったので、もはや、プライベートなこと、というものは、なくなりました。だから、『プライベートなこと』という言葉は、もう死語です。でも、ほんの数年前までは、大事にされていた言葉なのですよ』

と、道徳の時間に習って、幸せな人生が、送れたのに」

 そういう方向に、今後の社会が、動くのか?

小林「じゃあ、今、個人情報のことが、あんなに叫ばれているのは、なぜなのでしょう?」

 話を具体的にした方が良いですね。私との会話に慣れていない、りんさんのために、ひとつ例を持ってきましょう。


 私の弟は、モンテパズプロダクツという、主にサングラスの営業をしている会社を起業して、社長をしています。

 私も、ときどき、弟の会社のホームページを見たりして、麻友さんに、

『ここのサングラスかけてあげてよ』

なんて、言っていました。

 ところが、あるときから、Googleで、『モンテパズプロダクツ』と、検索すると、弟の会社の文字が、グレー表示されるように、なったのです。

 弟に、調べるように注意したのですが、

『こっちでは、ならないよ』

なんて言って、のんきなのです。

 私は、徹底的に調べ、グレー表示されるのは、トレンドマイクロのウィルスバスターを、セキュリティソフトにしているパソコンだけで、さらに、グレーになるのは、そのサイトを、まだ、トレンドマイクロが、安全かどうか、チェックしてないので、責任を持てませんよ、という意味だと分かりました。

 ただ、同時に分かったことは、ウィルスバスターは、日本で、セキュリティソフトのシェアNo.1であり、これで、グレー表示されたら、クリックしてくれる人が、かなり減るのは、確かだということでした。

 私が、そのことを伝えると、弟も調べだして、

『なんか、http:// というのは、攻撃されたりして、危ないけど、https:// っていうのは、安全らしいね。今、変更してもらってる』

という返事。

 私は、怒ってしまった(もちろん、穏やかにだけど)。

『http:// より、https:// の方が安全って、自分の会社が、攻撃されるんじゃないかと、心配してるのか? そうじゃないだろう。お客さんが、ウィルスなんかで被害を受けないようにしてあげるのが、先ず第一じゃないか。そのウィルスなんかが大丈夫となれば、グレー表示が消えるんだよ。誰を第一に守るのかの考え方間違えてるんだよ』

結弦「お父さんでも、そんなに、怒ることあるんだ」

小林「松田さん、不正に対してだと、結構、厳しいんですね」

若菜「お母さんに、ラヴレター書いたりしてるのが、ストーカーだと、お父さんも、不正を働いていることに、なりますが」

「私から見て、太郎さんは、ストーカーでは、ないわね。それより、プライベートの話にならないじゃない」

 うん。これは、説明が、難しいんだよ。

 結局、弟の会社のホームページは、https:// にしても、グレーのままだった。トレンドマイクロが、チェックをまだしてないのだから、当然だ。

 さて、この話で、私が言いたいのは、一部の本当に分かっている人を除き、ほとんどの人が、http:// のところが、https:// になっているだけで、このサイトは、安全なんだ、と思ってしまっているということ。

小林「それは確かに、その1文字を見ただけで、安全かどうか分かるなんて、この世界のものがそんなに単純にできてるはずありませんね」


 さあ、ここからなんだよ。

「えっ、何が?」

 一般の人が、なぜ、http:// が、https:// になっただけで、安全だと、信じ込まされているか。

小林「理由が、あるんですか?」

 あるんです。

 実は、インターネット上に、こんなことが、書いてあるんです。

https:// だと、通信が暗号化されるので、第3者からのぞき見されたり、勝手に何かを書き加えられたりしないんです』

小林「暗号通信しているという表示だったんですか、あの『s』は」

若菜「ほーんと、笑っちゃいますね。2019年。つまり令和になった後でも、一般の人が、そんなので、安心してたなんて」

小林「えっ、どういう意味ですか?」

結弦「2042年では、もう暗号通信なんて、そんな古いもの、ないんですよ」

「太郎さんが、後7年後には、量子コンピューターのスピードが、もの凄く速くなって、解けない暗号はなくなり、仮想通貨というものは、意味を失うと言ってた。でも、コンピューターのスピードが速くなると、どうして暗号が解けるの? 全部の場合、しらみつぶしにチェックするって言ったって、そんなことしたら、どれが、本物か、分からないじゃない」

 そう。今日の主題は、『暗号』なんだ。

 最近、インターネットの閲覧履歴を残らないようにするとかして、個人情報を守ってるようなこと、言ってるじゃないですか。あんなの、信じられます? りんさん?

小林「電子的なものだから、消去すれば、電子的には消えますが、でも、他のところにバックアップを取られてる可能性だってありますよね」

 そうですよね。そう思うのが、正常な人間です。

 ところが、一般の人は、

『例えバックアップを取られていても、そのバックアップは、暗号化されていて、他の人に見られたりはしないんだ』

みたいに思って、自分を納得させているんだと、思います。


 さて、いよいよ、コンピューターのスピードが速くなると、なぜ暗号が解けるのか、やってみせようと、思うのです。

「暗号を、解いて見せてくれるの?」

 私、最初、麻友さんに、暗号文を送って、それを、解いて見せて、こうやって、暗号って解くんだよ、という結末にするつもりだったんだ。

 だけどね、麻友さんへの暗号作っているうちに、結構大変で、何時間もかかって、そのうちに、麻友さんに暗号を解くところだけでなく、作るところも見せた方が、絶対麻友さんの理解も深まるって、思ったんだ。

 そして、りんさんって、東京大学経済学部だけど、数学結構苦手みたいだから、『数学って、こんなに面白いんだ』という体験を、共有できないかな、と思って、お招きしたんです。

小林「私、中学くらいまでは、数学の成績も良かったんですよ。だけど、高校に入って、授業が分からなくなりだして、おまけに数学を使う物理も、試験でひどい点を取って、先生に3者面談で、『物理がこれでは、東大は無理です』みたいに言われて・・・」

 それ、当然なんですよ。国語が好きだから、中学のときから、源氏物語とか読んでましたっていう子でも、学校の国語の試験が良い点数にはならないですよね。でも、数学が得意な子、勿論私を含めてですが、そういう子は、何学年も先に習うことを、どんどん勉強していて、高い見地に立って見てますから、授業も全部分かるし、特に私のように、教わらなくても、自分で分かっちゃう人間は、公式を覚えるんじゃなくて、あのとき私がああやって見つけた公式、みたいにして知識になってますから、間違わないんですよ。

小林「羨ましいですね」

 物理もそうです。私なんて、中学3年のとき、『エントロピーとは何だろうか』という本を読んで、

エントロピー、分かりにくいな』

と思って、中学2年生のとき読んだ、朝永振一郎の『物理学とは何だろうか 上・下』を読み直して、

『やっぱり朝永さんの方が、説明上手いな』

なんて思ってるような少年でしたから、高校に入ってから、やっと物理の勉強始めた人が、太刀打ちできるはずないんです。



 ただ、数学や物理学を、本当に面白いと思ったのなら、紙と鉛筆と、以前なら関数電卓でしたが、今なら、スマホを持ってれば、数学や物理学の本を、趣味で読むのは、上品な愉しみ方だと思いますよ。空が青いのはなぜか? なんてことひとつ取ったって、物理学と数学で答えを出せるのですから。

小林「今日は、その『数学は、面白い』への招待ですね」

 はい。


結弦「暗号を作るって、お父さん、暗号の作り方って、習ったことあるの?」

 学校の授業サボってるから、暗号の授業なんて受けてないと、思ってるだろ。

 ところが、実は、お父さん。放送大学の授業は、ちゃんと出てたんだなあ。

 放送大学の授業って、2種類あって、世間の人の良く知ってる、テレヴィやラジオの放送の授業を受けるのの他に、いわゆるスクーリングだよね、学校の本当の授業もあるんだ。面接授業っていうんだけどね。

 その中で、『初等整数論と超複素数を、論じる』という授業があったんだ。

 テキストは、次の二つ指定してあった。

楫元(かじ はじめ)『工科系のための初等整数論入門』(培風館

カントル・ソロドニコフ『超複素数入門』(森北出版)


 面接授業は、学期の最中に、案内が送られてきて、登録すると、学期末に、授業があるんだ。

 これねえ、学生にとっても、先生にとっても、かなり、しんどいんだ。

若菜「休み時間がないとか?」

 そうじゃなくてね、放送大学の学生って、働いている人が多いから、なるべく仕事を休まなくていいように、たった2日間で、1学期分の授業やったりするんだ。

 1コマの授業が、2時間15分。それを、5コマで、1学期分。

 そうなると、土曜日2週やるとして、1回は、2コマ、もう1回は、3コマとかなる。

 2コマの、4時間半は、普通の大学生だって、同じようなことやってるけど、3コマの6時間45分は、さすがに緊張がもたない。

小林「正味6時間45分ということですか?」

 そうです。休み時間は、カウントせずにです。


 私は、この授業に、余り、期待してなかったのです。

「何か理由があったの?」

『工科系のための初等整数論入門』

でしょ。

「あっ、分かった。いつもの太郎さんの、応用のための、証明が省かれている、使い方だけの数学の本馬鹿にする、だ」

 そう。そうなんだよ。

 だけど、私も、やっぱり数学好きだからね、誠意は見せたんだよ。

「どうやって?」

 上に挙げた2冊の本、『超複素数入門』は、2002年12月6日 池袋のリブロで買ってる。でも、『工科系のための初等整数論入門』は、2003年1月9日にリブロで、買ってる。

「1月以上、違う。お金がなかったの?」

 当時は、お金は、十分あった。

 実は、私は、この上の方の本を、書店で見付けられず、あっちこっちで、探してたんだ。

「アマゾンで注文すれば良かったのに」

小林「2002年では、アマゾンは、今のようには、本はなかったでしょう」

 さすが、年の功ですね。

 2002年っていったら、マーケットプレイスもない時代ですからね。

「それで、結局、1月後に、同じリブロで買ったのは?」

 池袋で、一番本があるのは、ジュンク堂なんだ。

 それで、ジュンク堂の検索機で、検索したら、あったんだよ。ただ、なぜリブロで買ったかというのは、ジュンク堂の検索機に教わって、本の場所へ行ったら、私が想像していた本と、まったく装丁も違って、厚さも薄い本だったのだ。それを、見てみたら、

『ああ、これなら、リブロで見た』

っていうわけ。

小林「ジュンク堂書店で買われなかったのは、クラブオンカードを、持っていらしたから?」

 冴えてますねえ。

「誠意を見せたというのは、ひとつき以上、探していたということね」

 そして、この授業は、放送大学で受けた、素晴らしい面接授業の中でも、特に素晴らしいものだった。

 超複素数の本の話の方は、いずれ四元数(しげんすう)の話をする機会があったら、話そう。

 さて、先生は、四元数の授業に2コマを当て、翌週3コマで、整数論をやることになった。

 整数論は、いつも言ってるように、私があまり勉強していない分野だ。

 だが、放送大学の数学の授業で、分からないことなんて、あるわけない。


 さて、当日、いつもと同じように、一番前の机に座って、授業を受けた。

 だが、眠くなってしまった。つまらなかったのだ。

 数学が、つまらないのではなく、つい先日話した、京都大学時代に、博士課程1年の吉冨賢太郎さんに、河田敬義の『数論』で、しごかれた私には、易しすぎたのだ。

 2コマ半ほど、つまらない授業をやった後で、先生が、

『良く頑張りました。じゃあ、今まで勉強したことを使って、RSA暗号というものを、実際に作ってみましょう』

と言って、私の目の前で、

『まず元の文を、平文と言って、今仮に、{26} という数を伝えたいとしましょう。アルファベットの {26} 番目の文字、『z』を伝えたいのだとしても、良いです。{x=26} とします』

『次に、相異なる2つの素数を選びます。今は、{p=2,q=17} を取ったとします。そして、{n=pq} とします。実際には、{p}{q} も大きな素数なので、 {n} は、10進数で300桁以上の数にも、上ります。最近の(2000年頃の)コンピューターで、 {n} の素因数を手がかりなしで、計算で求めることは、その暗号を解かなければいけない時間内にはほとんど、無理です』

『さて、先ほどのオイラーの関数を、使いましょう。オイラーの関数 {\varphi(n)} とは、例えば、{60=2^2\times 3 \times 5} なら、2乗などを無視して、素因数 {2,3,5} だけをみて、

{\displaystyle \varphi(60)=60 \biggl(1-\frac{1}{2} \biggr) \biggl(1-\frac{1}{3} \biggr) \biggl(1-\frac{1}{5} \biggr)}
   {=16}

と、求まるものでしたね』

『だから、

{\displaystyle \varphi(n)=\varphi(2 \times 17)=34\biggl(1-\frac{1}{2} \biggr) \biggl(1-\frac{1}{17} \biggr)=(2-1)(17-1)=16=2^4}

ですね』

『ここで、オイラーの関数で求めた、{\varphi(34)=16=2^4} と互いに素となる数、{e} を、選びます。互いに素となるとは、{\varphi(34)} と、{e} の最大公約数が、{1} となるということです。つまり共通因子が1以外ないということですね。{e} という記号は、自然対数の底として {e=2.7182818284590452 \cdots} を、表すこともありますが、今は整数論を考えているので、ここでの {e} は、自然対数の底ではありません』

『簡単な例にするため、{e=3} としましょう。{16=2^4} と、{3} の最大公約数が、{1} なのは、大丈夫ですね』

『さて、先ほど説明した、合同式で、

{ed \equiv 1 ~~(\mod \varphi(n)~)}

となる {d} を、1つ見つけます。合同式とは、左辺の {ed} を、{\varphi(n)} で割った余りと、右辺の {1} を、{\varphi(n)} で割った余りとが、等しいということでしたね。大丈夫ですか』

『このような、 {d} が、必ずあるということは、{\varphi(n)=16} と、{e} が、互いに素であることから、証明できることです』

『今の場合、{d=11} とすると、{ed=3\times 11=33 =16 \times 2+1} ですから、左辺も右辺も、{\varphi(34)=16} で割ったとき、余りが {1} で一致するので、{\varphi(34)=16} を法として合同といい、このことを、{3\times 11 \equiv 1 ~~(\mod 16~)} と、表すのでしたね。図形が合同というのと、整数が合同というのは、まったく違いますよ』


『これで、準備完了です。平文を、暗号化して、届けたい人に送るのですが、平文を暗号文にするときと、暗号文から元の文を復元するときは、まったく違う操作をするということを、良く見ていて下さい』

『まず、現れている数は、この暗号を解く人だけが、知っているはずの、{p} と、{q} という非常に大きな2つの素数{n} は、{p} と、{q} の積 {n=pq} だから、{p} と、{q} を知っている人には、分かってますね。
それから、オイラーの関数で求めた数 {\varphi(n)=(p-1)(q-1)} と互いに素だという条件で、選んだ数、{e}
そして、合同式を用いて、{ed \equiv 1 ~~(\mod \varphi(n)~)} という式から、求めた数、{d} でしたね』


 このように、説明して、先生は、目の前で、平文 {x=26}

{y=x^e=26^3 \equiv 32 ~~(\mod 34~)}(この計算は、後で麻友さん達も、できるようになります)

と、計算し、

{y=32} が、暗号文です』

と言い、次に、これを、第三者が不正に解読するのではなく、正規の人間が、復号化する場合(解読と復号化と、呼び分けている)、最後の数、{d} を用いて、

{z=y^d=32^{11} \equiv 26 ~~(\mod 34~)}

と、計算し、

{z=26} は、最初の平文、{x=26} と一致してますね。暗号を、復号化できたのです。』

と言ったのです。


 復号化する人は、{d} しか知らない場合もあり得ます。つまり、暗号の元になっている、大きな2つの素数 {p,q} を知らなくても、{d} を使って、元の平文を読めるのです。例えば、私が麻友さんのパスワードを、偶然知った場合、麻友さんがパスワードを変えてしまうまでは、そのパスワードを使って、麻友さんのところへ来るメールを、読めるわけだね。ときどき、麻友さんの寝てるとき、麻友さんのスマホを開いて。あっ、指紋認証なら無理だけど。

 だけど、私は、大きな二つの素数を、計算で、見つけられるほど、力がないから、麻友さん自身が、パスワードを変えてしまった場合、要するに、2つの大きな素数 {p,q} を、さっきの {p=2,q=17} から、もっと大きな素数、例えば、{p=19,q=37} に変えてしまうようなことをされてしまったら、もう、麻友さんのところへくるメールを、勝手に読むことは、できなくなる、ということなんだね。


「太郎さん、そんな暗号の知識もあったのなら、私へのラヴレターに、その暗号の作り方、書いてきて、私に、メールアドレス教えて、とか、いくらでも、できたんじゃない? だって、2003年には、もう知ってたんでしょ」

小林「松田さんが、そんな、秘密のデートで、満足する人ではないことは、『プライベートなこと、なんていうことに、そんなに重要さを感じない人に育つ教育』を、提案してくることに、如実に表れているんじゃないかしら」

若菜「ああ、でも、お母さんって、結構闇を抱えている人なんです」

結弦「あの、インスタグラムも、本当なのかなあ」

「太郎さん、あのインスタグラム、修正液で消す前のも、見たの?」

 いや、見てない。

 ただ、こんなことが、書かれているという、周りの説明の文章から、想像しただけだよ。

 だけど、羽生結弦君のことは、本当に好きだったんだろうな、と思ったから、息子の名前を、結弦にしたんだよね、ブログの著者の私が。

小林「インスタグラムというのは?」

 私が、麻友さんを好きになる前に、麻友さんの裏アカウントのインスタグラムが、見つかったというニュースが、流れたらしいんです。私がこのブログで、直接家族に言えない、『働けって言うけど、働きたくても、働けないんだよ』という持って行き場のない不満をこぼして、なんとか精神の安定を保っていた時期があったので、麻友さんに取っても、そのインスタグラムが、心の支えだったのかな、と気の毒に思ったんです。

「えっ、太郎さん、そう取ってたの?」

 他に、どう解釈するんだよ。これ以外、もし解釈があるとしたら、あの裏アカウントは、本当に麻友さんのものでなかったとでも、取れっていうのか? だったら、メンバーの子に謝る必要なかったじゃないか。

「太郎さんに取って、このブログって、精神の支えなんだ」

 麻友さんと、恋人関係になれば、麻友さんが、支えになるかも知れないけど、現状では、ブログで麻友さんに伝えるのが、支えだよ。

小林「本当に、仲の良い、カップルですね。最後に、コンピューターが、速くなると、解けない暗号が、なくなる、というのを、実演してもらえませんか?」

 初めに断っておきますが、暗号は、RSA暗号だけではありません。もっと、解かれにくい暗号も、開発されています。

 ただ、いずれにしても、計算が速くできるようになれば、解けやすくなるのは、共通しています。


 それでは、先生が授業でやった例よりも、数段手のかかる暗号を、やってみせます。


 こういう大変な計算をするとき、本当にこれを届けたいという強い気持ちがないと、途中で嫌になります。

 私が、麻友さんに、暗号文で届けたいものとして、選んだのは、陳腐ですが『愛』でした。

 麻友さんに会う前の記事でしたが、麻友さんは、このブログの『SONY許せぬと書きたかったが1』という投稿を、読んでいるはずです。その投稿で、私は、『愛』という漢字の16進コード(正確にはJIS漢字コード表の『愛』のコード、漢字コード表参照)が、3026であるということを、書きました。

 2進数では、0011000000100110であり、

10進数では、{2^{13}+2^{12}+2^5+2^2+2^1=12326}

です。

 この {x=12326} を平文として、暗号文を、作ることにしました。

 大きな素数を2つ用意するのですが、こういうとき、私には、武器があります。たったひとりの女性の親友と言っていた人と、フェラーリの親友と言っている人とのふたりの親友から、2007年の12月に誕生日プレゼントとしてもらった、

岩波『数学辞典 第4版』(岩波書店)です。

 普通の人は、こんな辞典、いったい何に使うのだろう? と、分からないのでしょうが、もの凄く、肝心なところで、必要になるのです。

 私は、大きい素数が、2つ必要になったと分かった瞬間、

『数学辞典の素数表見よう、と思いました』

 数学辞典の巻末に、『数表』というものがあって、

{\sqrt{2}=1.4142135623,~\sqrt{3}=1.7320508075}

なんてのも、載ってるのです。

小林「一夜一夜に人見頃、人並みに奢れや女、さすがに、小数点以下10桁では、かないませんね。でも、無理数ですよね。等号で結んで良いのですか?」

 大学の数学科に行くような人で、{\sqrt{2}} や、{\sqrt{3}}有限小数で表せないなんていう易しいことを知らなかったら、とても、研究者なんかには、なれません。等号でないのは編者も分かってますが、当然近似値だと分かるものとして、こう書いてあるのです。

 さて、数表の第一番目に、『素数と原始根』という表があって、次のようになっています。

「うわっ、太郎さん。本物持ってきた」

結弦「原始根って?」

 原始根(げんしこん)は、『数Ⅲ方式ガロアの理論』を、第21章まで読むと、分かるぞ。

「第20章が、5次方程式の代数的非可解性の証明を、アーベルが完成する章のはずよね。それより、難しいということ?」

 まあ、歴史としては、そうも取れるな。でも、後から分かったことだから、難しいとは限らない。つるかめ算を、中学行って、連立方程式習うと、何も考えなくても解けるようになる、ということもあるのと同じだ。

「あっ、そうか」

 さて、どの素数にするかだが、ちょっと眺めて、見てよ。

小林「左側のが、素数で、右側のが、原始根なのですね。今、原始根は、見なくて良いのですか?」

 はい。

「AKB48は、東日本大震災のとき、何度も現地へ、応援に行ったのよね。2011年3月11日、つまり『3.11』は、AKB48の古いメンバーにとっては、忘れられないわね。その3.11が、素数の中に、311って、あるんじゃない。私、{p} として、{311} を、選びたいわ」

小林「そういう見方も、あったんですね。数字を選ぶのに、その数字の連想させるものを、考える。じゃあ、二番煎じですが、2001年9月11日のアメリ同時多発テロの『9.11』が、あるかなと見ると、911本当に素数ですね。じゃあ、私は、{q=911} にしてみたいです」

 ほらね。数学って、自分から積極的に働きかけると、すっごく面白いんだ。

 さて、{p=311,q=911} と、決まった。

 次は、どうするのかな?

オイラーの関数とか・・・」

小林「その前に、{p} と、{q} をかけて、{n} を、求めないといけないですよね」

 りんさん、分かってるね。麻友さん名誉挽回で、計算してみない?

「分かった。こんなの、スマホがあれば、簡単なのよ。ポン、ポン、{n=283321} だわ」

小林「今の若い人達は、本当にいいわねえ。私の中学や高校時代に、スマホがあったら、もっと効率よく、勉強できたのに」

 少なくとも、重い辞書を、持ち歩かなくて、良かったとしたら、どんなに楽だったかと、思いますよね。

若菜「さあ、オイラーの関数。このオイラーって、指数関数と三角関数の間の公式の『オイラーの公式』のあのオイラー?」

 もちろん、そうだよ。数学のクイーンと言っていい、レオンハルト・オイラーだよ。

結弦「じゃあ、計算してあげるよ。さっき見てたら、{\varphi(n)} を、定義通り、

{\displaystyle \varphi(n)=n \biggl(1-\frac{1}{p} \biggr) \biggl(1-\frac{1}{q} \biggr)}

と、計算するより、

{\displaystyle \varphi(n)= (p-1)(q-1)}

とした方が、簡単だなあ」

小林「そうですね。って、えっ、なぜ、{n} が、{p}{q} の積だって分かってるんでしたっけ?」

結弦「それは、お母さんが、スマホで計算したから」

 いや、りんさんは、今、分かったんだよ。なぜ、大きい素数を使っていれば、その暗号が破られにくいか。{n} は、公開しちゃうんだよ。これを、公開鍵というんだ。だけどそれが、どんな2つの素数の積になっているかは、公開しないんだ。どんな2つの素数か、チェックしていくのは、小さい数だと簡単だけど、{n} が大きくなると、もの凄く大変になるんだ。さっき、2000年頃には、10進数で300桁くらいの数だったら、事実上、コンピューターで素因数分解できなかったと、先生が言ってたと話しただろう。だから、ちょっと前までは、この方式の暗号が、実際に使われていたんだ。

若菜「じゃあ、結弦の公式を使って、オイラーの関数を計算します。これは、素因数分解を知ってるから、計算できるんですね?

{\varphi(n)=\varphi(pq)=(p-1)(q-1)=(311-1)(911-1)=310\times 910=282100}

です」

「この辺から、どんどん難しくなるのよね。{\varphi(n)} と互いに素となる、{e} を、選ぶとか言って」

 麻友さんを、特待生と見込んで、{\varphi(283321)=282100} が、{3} で、割り切れるかどうか、判定してもらえないか?

{3} の倍数? じゃあ、{2+8+2+1+0+0=13} として、{13} が、{3} で、割り切れないから、{\varphi(283321)=282100} は、{3} で、割り切れない」

「あっ、そうか。{282100} が、{3} の倍数じゃないから、{3} を、{e} に選べばいいんだ。そうすれば、最大公約数は {1} になる。解かれちゃうかは、ともかく、間違ったやりかたじゃ、ないわよね」

小林「太郎さんが凄いのは分かってますが、奥様も、素晴らしいですね」

 一応、まだ、結婚はしてないんですよね。

 子供は、いますが。

小林「認知してないということですね」

 AIを認知するって、どういうことなんでしょう。

小林「こうやって、日本の人口を増やすという手もありますね(笑)」

若菜「最後の {d} が、求められません」

 そうだ。

 この {d} の求め方を、放送大学のあの先生は、何時間も教えてたんだ。

 ちょっと、荒っぽいけど、みんな付いてこい。

 まず、問題は、

{3d \equiv 1 ~(\mod 282100~)}

(さんディー ごうどう いち モッド にじゅうはちまんにせんひゃく、で)

の根 {d} の1つを求めることだ。

 合同式というのは、上の場合、左辺を {282100} で割った余りと、右辺を {282100} で割った余りが、等しいということだった。

小林「独学だと、こういう読み方を知るのが、難しいんですよね」

 分かってて、読み方、入れました。

 さて、そうすると、整数 {d} について、

{282100d \equiv 0 ~(\mod 282100~)}

が、正しいのは、分かるよね。

若菜「割り切れるんだから、余りは、{0} ですね」

 次に、 {282100} を、{e=3}{3} で、割ってみる。

結弦「スマホで、ポン、ポン{282100 \div 3 =94033.33333333}

 それくらいで、いいよ。それで、割った余りは?

結弦「ああ、余りか。{94033 \times 3 = 282099} だから、{282100-282099=1} 。つまり、

{282100=94033 \times 3 +1}

で、余りは {1} だ」

 良くできた。

 じゃあ、りんさん、美味しいところを計算させてあげましょう。

{3d \equiv 1 ~(\mod 282100~)}

の両辺に、{94033} をかけると、どうなりますかね?

小林「えっ、いきなり、

{94033 \times 3 \times d \equiv 94033 \times 1 ~(\mod 282100~)}

ですから、

{282099 d \equiv 94033 ~(\mod 282100~)}

で、余りが {1} だったから、

{282100d-d \equiv 94033 ~(\mod 282100~)}

 割って、割り切れたら、余りは、ゼロなんだから、

{282100d \equiv 0 ~(\mod 282100~)}

だから、

{-d \equiv 94033 ~(\mod 282100~)}

 松田さん、マイナスディーしか、求められないんですけど」

 十分です。りんさん、良く理解してますよ。

結弦「

{-d \equiv 94033 ~(\mod 282100~)}

から、どうするの?」

 まず、

{d \equiv -94033 ~(\mod 282100~)}

とする。

「あっ、分かった!」

 どうした、大きな声出して。

「これ、両辺に、{282100} を足すのよ。でも、{282100 \equiv 0 ~(\mod 282100~)} だから、左辺は、変化しない。でも、右辺では、{-94033+282100=188067} となって、最終的に、

{d \equiv 188067 ~(\mod 282100~)}

となって、{d=188067} と、求まる」

「私、復号化鍵、求められた!」

 復号化鍵(ふくごうかかぎ)なんて言葉、まだ教えてないのに。昨日私が、ブログ中断して寝た後、この本読んで、勉強したな?

「うん。太郎さんの説明は、いつも省略が多くて、速いから、昨日太郎さんが、22時頃、薬で眠くなって寝た後、『工科系のための初等整数論入門』、暗号のところだけ、読んだのよ。暗号って、もの凄い数学を使ってるのかと思ったら、足し算引き算掛け算割り算しか使ってないことが、分かったの。でも、今日いきなり太郎さんが、3.11と9.11の暗号作ろう、なんて言い出したから、予習したこと、黙ってたのよ」

 大したもんだ。

 じゃあ、平文 {x=12326} つまり、『愛』は、どうやって、暗号化する?

「暗号文を、{y} とします。{y} は、次のようにして、求める。{n=283321} と、{e=3} は、公開鍵として、公開されてるのよね。だから、誰でも、暗号文は、作れる。でも、読んでくれられるのは、復号化鍵を、知っている人だけ。

{y \equiv x^e \equiv 12326^3 \equiv 1872692581976~(\mod 283321~)}
 {\equiv 283321 \times 6609790 +269386 \equiv 269386~(\mod 283321~)}

だから、{y \equiv 269386~(\mod 283321~)} と、暗号化でき、{y=269386} が、暗号文」

 まさか、手計算するのかと、思ったけど、スマホ使ったか、でも、{1872692581976=283321 \times 6609790 +269386} は、頑張ったな。特待生といわれるだけある。

小林「{269386} に、愛が詰まってるんですね」

若菜「お父さん。もっと早く、この話すればいいのに」

結弦「それを、解読するには?」

 さっきも言っただろう。第三者が暗号文の内容を(不正に)解明することを、解読というのだと。

若菜「じゃあ、さっきの復号化鍵を、使って、復号化するのですね」

小林「復号化鍵を知ってると、内容を読めるのですから、この復号化鍵は、当然極秘情報ですね」

 もちろん、今の社会では、インターネットのメールなどや、ネットバンキングや、クレジットカード情報など、それぞれに復号化鍵があって、それぞれの企業が、威信をかけて、保護しています。

「太郎さんは、当然、私に、復号化もやってみろって、言うんでしょ? できないわよ」

小林「えっ、じゃあ、私ですか?」

 いや、これは、ここにいる、5人のうち、私以外、無理です。

「えっ、太郎さんが、そんなことを、言うなんて、そんなに凄いの?」

 昨日勉強したんだろ。だったら、どうやって求めるか、やってみなよ。

「さっき、私が、大きい声を出した、復号化鍵 {d=188067} を使って、暗号文 {y=269386} を、{d} 乗して、{\mod n~} つまり {\mod 283321~} で、計算する」

「つまり、{z \equiv y^d \equiv 269386^{188067} (\mod 283321~)} で、この {z} が、{x=12326} に一致するはずなんだけど、証明できないのよ。6桁の数を、18万乗するなんて、できない」

小林「松田さん。どうするんですか?」

 りんさんに、以前、大切なのは、速い計算機です、という話をしました。

小林「そういえば、Mathematica とか仰ってましたね。あれ、高いんですよね」

 この問題を解けるのは、Mathematica だけです。

小林「お持ちなんですか?」

 実は、そのMathematica の一部の計算が、ネット上で、無料で、使わせてもらえるんです。

結弦「ウルフラムアルファだ」

若菜「お父さん、あれ使ったら、無敵じゃないですか」

小林「そんなに、凄いものなんですか?」

 実際やってみれば、分かります。

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 この記事の読者が、パソコンで、これを読んでいると仮定して、話すこととする。スマホで、やってみるのも、不可能ではない。

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 まず、ブラウザの他のタブで、グーグルかYahoo Japan!を開いて欲しい。

 次に、『ウルフラムアルファ』と、検索して欲しい。

 そして、恐らくトップに、『Wolfram|Alpha:計算知能』というのが、ヒットしていると思う。

 同じ名前のものが、他にもヒットしていると思うが、英語バージョンなどである。

 『Wolfram|Alpha:計算知能』をクリックすると、こんな風な、ページになる。

結弦「小さいなあ、拡大してみよう。『高等学校 数学』とか、『代数』とか、色んな計算できるんだなあ」

若菜「合同式は、どのくくりかしら?」

 私も、色んな分野、探したけど、合同式は、見つからなかった。

小林「やっぱり、本物の Mathematica でないと駄目ですか?」

 数学というのは、万国共通の言語です。だから、計算したい式を入れれば、コンピューターは、分かるはずなんです。

 それでダメもとで、『計算したいことや知りたいことを入力してください』というメニューに、こう入力したんです。

結弦「拡大してみよう。あっ、お父さん、本当に、269386^188067(mod283321) って、入れて、計算してる。計算結果は、{12326} 。やったよ。お母さん。愛が届いた」

「どうすれば、いいってこと?」

小林「普通の人だと、合同式計算するには、どの分野を選べばいいのかな? 高校生のところにあるかな? とか思って、合同式ってメニューにないから、ウルフラムアルファでは、合同式計算できないのかな? って諦めるものなのに、松田さんは、四則演算だけできそうな、ルートのメニューに、{269386}^{188067(\mod283321~)} って放り込んじゃったんですよ。それで、計算できるんですね。6桁の数の18万乗って、何秒かかりました?」

 2秒弱です。ホストのコンピューターが、どれだけ速いかということですね。

小林「そうなんですね。松田さんのパソコンで計算してるんじゃ、ないんですね。ウルフラム・リサーチのコンピューターで、計算してるんですね。ああ、だから、速いコンピューターを、持つことが、情報戦争が起きたら、絶対有利になるんですね」

若菜「お母さん。確かに、愛、送られて来ましたよ。{z=12326=x} です。この投稿は、『これからの本当の教育とは』というのが、メインテーマですが、私達、お父さんからの『愛』に乗って、暗号の秘密を、垣間見ることができました。これは、お父さんから、お母さんへの愛が生み出した、副産物です」

「太郎さん、これに、秘めたメッセージは?」

 ひとつ、感じたのは、麻友さんにペンケース欲しいって言ったけど、19cmの定規が入るペンケースって、かなり難題だったかなと、思ったんだ。自分がアマゾンで探してみて、これカッコいいな、と思うのが、長さ18cmくらいのことが、多くて。だから、もし、もう、ペンケース買ってあるなら、7月末までには、送ってよ。8月1日になってもまだ、送られて来なかったら、麻友さんは、ペンケース買ってないんだ、と判断して、東急ハンズか、LOFTへ行って、自分の好みで、買ってくることにする。

 麻友さんが、今回ペンケースをくれなかったからと言って、麻友さんが私に無関心だ、なんて、思わない。だって、この投稿だって、読んでるでしょ。

 だから、秘めたメッセージというほどのものは、そんなにない。

 でも、私も、暗号の研究できて、面白かった。

 麻友さんに説明するために、合同とか、オイラーの関数とか、もの凄くかみ砕いて、説明したつもり。でも、いい加減な説明はしなかった。最後に、どんな合同式でも、ウルフラムアルファで、計算できることを説明したから、麻友さんは、自分のパソコンやスマホで、全部計算を、チェックできる。偽りは、一切ない。

「太郎さんは、いつもそうね。おしゃべりな、村ちゃん。これからの本当の教育って、なんだと思うの?」

 隠し事、っていうものは、絶対できないんだ、というのが、生まれたときから、空気のように感じられている子供達が生まれ、その子達が、大きくなって子供を産んでも、その子供達を、隠し事っていうものは、絶対できないというように、空気のように感じるように、育てるようになる社会にするのが、『これからの本当の教育』だと思う。

「そういう理想を言うのは、簡単よ。でも、どうやったら、そんなこと実現できるの? 隠し事って言ったって、悪気があって、したものとは、限らないのよ」

 違うんだよ。私が言ってるのは、隠し事が、できない社会にすればいい、って言ってるんだよ。

「でも、例えば、私が、間違って、人を殺しちゃったとするわね。その場合、自首して、刑に服するのが、この社会の常識よね。でも、私の百万人のファンにとっては、私が、一線で女優をやってる方が、ずっと嬉しいのよ。こういう場合、私は、ファンのために、自首を、しないかも知れない。これは、罪になるの?」

 罪なんて、そんなもの、ないんだよ。あるのは、麻友さんの心の中にある、『これからも人生があったかも知れない人の人生を、止めてしまった』という良心の呵責だよ。それは、自首して刑務所に入ったって、消えはしないよ。

「どうして、そんなこと、言えるの? そういえば、太郎さんは、以前、おじいさんに怪我をさせちゃって、おじいさんの死を早めてしまったことが、あったわね。あのことを、罪に感じることは、ないの?」

 罪には、感じてない。だけど、あれから、11年になるけど、例えば麻友さんの言葉として、『例えば、私が、間違って、人を殺しちゃったとするわね』と、書いていると、あのおじいさんのことを、思い出す。

「どういう風に、思い出すの?」

 おじいさんの入れ歯、30万円あれば、治せたんだよ。父に無理矢理頼んででも、30万円渡せなかったかなあ、って、思うんだ。

「それより、太郎さん、20万円のアンプと、16万円のスピーカーを、売ることは、考えなかったの?」

 いくら231,000円のアンプって言ったって、中古になったら、3万円にもならないよ。スピーカーだって、2万とかにしか、ならない。

「そんなになっちゃうの?」

 うん。

 それに、私の父が、保険を使って、30万円近く、送金したんだ。だけど、おじいさんが、生活保護受けてたから、そのお金は、国のものになっちゃったんだ。

 だから、私には、どうすることも、できなかったんだ。

 なんとか、30万円作って、こっそり歯医者で、入れ歯作っちゃったら、結果オーライになったかも知れないけど、あの事故で、失業したから、それは、無理だった。

 でも、なんとかおじいさんに、『美味しい』って思える食事を、させてあげられなかったのかなあ? って、考える。

 こういう思い出が、『罪』とかいう言葉を使うたびに、思い出されるんだ。

「それが、良心の呵責というものなのね」

 これは、刑務所に入って、罪を償うなんていうこととは、別次元の話だよ。刑務所に入ったって、罪を償うなんてこと、できるはずない。人を殺してしまった人は、刑務所に入れるんじゃなくて、分子生物学を勉強させて、殺してしまった人を、生き返らせる研究を、させるべきだ。

 子供を殺された親が、殺した犯人に、死刑を求刑したりするのは、ただ、自分の子供を殺された恨みを、見当違いな方向へ、向けてしまってるだけだ。

 その親にとって、我が子が帰ってくるのが、一番の幸せなのは、誰だって分かる真実のはずなのに。

「じゃあ、太郎さんは、私が、ファンのために、自首しない、という道を選んでも、間違いではないというの?」

 これは、その状況によるんだよ。間違って殺してしまった人が、実は、ものすごく悪いやつだった場合。例えば、麻薬取引業者とか。そういう場合は、麻友さんも、良心の呵責が小さいから、自首せず、ファンのために一線で働き続けた方が、良いかも知れない。ところが一方、間違って殺してしまった人が、小学校1年生などの、これから人生を生きていく人だった場合、麻友さんの良心の呵責は、もの凄く大きくなる。少しでも、気が楽になるように、刑務所で刑に服した方が、気持ちが楽かも知れない。

「そうか。刑に服するというのは、あくまでも、今の日本の常識で、一番大切なのは、その死んでしまった人の人生を、自分が止めてしまったということを、私が、どう社会に対し、還元するか、なのか。刑務所に入って、単純労働するなんて、私の場合、社会に還元するのと反対のことなのかも、知れないわね」

 そう。

 そして、ここで、重要なのが、人を殺してしまった、ということを、隠さなければ、麻友さんが、一線で働き続けられない、ということ。

「それは、当然なのでは?」

 もし、本当に麻友さんが、間違って人を、殺してしまったとしよう。そのとき、なぜ、麻友さんが、

『間違って、人を殺してしまいました』

と、正直に言えないんだ。

「それは、言えないわよ。さすがに」

 今、日本中に、防犯カメラを設置し、スマホでは、自分の位置を、見かけ上不確かさ15mくらい、本当は3cmの違いまで、分かるんだけど、それくらいまで、分かるように、している。個人情報だの、マイナンバーカードだのと言って、日本にいる全員の人間を、それこそ不確かさ0人まで、把握しようとしているのは、それぞれの人のプライバシーという個人情報を、守るためじゃないんだ。

「でも、マイナンバーカードは、パスワードも4つも入れて、鉄壁にした」

 さっきまで話していた、暗号を、復号化でなく、解読するには、復号化鍵でなく、公開されている、公開鍵 {n,e} を、特に {n=pq} と、素因数分解すれば良いのだった。{p}{q} が分かってしまったら、もう、暗号文は、暗号でない。

 7年後に、本当に、宇宙の最初から今までかかったような計算を、1時間でできるようになったら、世の中で、暗号で守られているはずの、インターネットのメールや、ネットバンキングや、クレジットカード情報など、全部が、白日の下にさらされることになる。

「でも、その速くなった、コンピューターで、もっと大きな素数を見つけて、暗号を強化したら?」

 いたちごっこに、なるわけだけど、今はまだ、新しい暗号を作ってから、解かれるまで、1年とかかかってるけど、それが1日で、新しいもっと大きな素数にしなきゃ、となったら、もう無理でしょ。

「ああ、そういうことなんだ」

小林「楽しそうに談笑されているところに、申し訳ありませんが、ちょっと調べたところ、松田さんも、私の原点である、メキシコでの

『ここに生まれただけで、貧困に甘んじ教育を受けられない。そんなことが許されるのか。スラムで感じた17歳の時の強い憤り』

のようなものを、感じていらっしゃるのですね。私は、完全解決できていません。でも、行動は、起こしました。松田さんは、見かけ上、行動を起こしていないように見えましたが、得意の数学を使って、行動し続けていたのですね」

 はい。私が、貧困層の問題に、特に熱を入れるようになったのは、AKB48の高橋みなみさんの言葉を聞いてからですが、・・・

「えっ、たかみなのあの話? あの、このブログの『お金を克服』のとき、たかみなを見たって書いてきた」

 そう。

 それまで、ホーキングが、

『人間というものは、不平等なんだ、ということを、受け入れると、人生は、生きやすくなる』

と言ってるのなんかを、半分信じてたんだ。

 でも、あの高橋みなみさんの言葉を聞いて、

『お金に関しての、不平等は、なくさなければならない』

と、強く思ったんだ。

「太郎さんは、書いてきた。全員に、仮想通貨を使わせるようにして、後から、現金を使えないものにする」

 そう。

 当然そうしてから、仮想通貨で、貧しい人にも、お金ってもう言わないんだけど、通貨を平等に、行き渡らせる。

小林「経済学の立場からでは、発想は幼稚ですが、本当に仮想通貨の担保になってる暗号が、解けるのだとしたら、あり得ない話では、ないですね。時代劇のねずみ小僧のように、貧しい人に、金貨を配るってのを、本気でやるとしたら、いや、松田さんが、ここに書いたということは、本当に、行動したのですよね」

 そうです。

小林「松田さんの提唱する、『プライベートなこと、なんていうことに、そんなに重要さを感じない人に育つ教育』という『これからの本当の教育』が、実現したら、自分の所得を隠して、少しでもお金を持っていないように、見せる、なんて発想は、逆転しますね。あの題で、投稿を始めて、なぜ暗号なのだろうと、疑問に思っていましたが、最後にきて氷解しました。ただ、ストーカーなどに、住所を調べられたら、困るという問題は、どうやって解決されるおつもりですか?」

 今は、日本の話をしましたが、世界全部でも、人間は80億人よりは、少ないはずです。だったら、全員を、位置や何をしているか、チェックできるはずです。もし、ストーカーをしている人が、いたら、いや、そもそも、ストーカーをしている人は、引き離されるからストーカーになるのですが。とにかく、まず、なぜストーカーをしているかを、MRIなどで、脳を調べ、突き止めます。私が言っているように、プライベートなことを知られることを、嫌がらない人の世界になっていれば、MRIに入ることを、嫌がらないはずです。そして、ストーカーをしている理由がはっきりしたら、それを、実現できるか、実現できないか、きちんと理由もつけて、話すべきです。それでも、ストーカーをするというのなら、その人は、もう人間社会に、置いておけません。入院させるか、私の場合に妄想を振り切るために、薬を飲まされたように、向精神薬で、頭をリセットして、20年くらい治療の期間を設けるべきです。

 人間全員を、管理できるところまで、科学技術が進歩したと、私は、見ています。

小林「MRIが、そこまで進歩しているのかどうか、私は、分かってませんが、でも、脳の精巧な断層写真が撮れるというのが、そこまでできるんですか?」

 若菜が、『あー、お父さん、時代より、7年、先走ってる』って言ってましたが、それは、7年後かも知れません。

小林「来年にだってできると、本当は、良いのかも知れませんね。ありがとうございました」

 麻友さんには、いつも、書いてるし、りんさんには理解してもらったから、これで終わりにしていいですかね?

小林「最後の論証が、ちょっと甘いですが、これは、論文ではありませんからね。それに、もう25,002文字にも、なっている。400字詰め原稿用紙62枚半。7月3日から今日(2019年7月6日)まで、4日で、サラサラっと、これが書けるのは、普通じゃないですね。映画監督とか、作家になってても、食べて行かれたかも知れません」

 りんさんに、褒められるなんて、嬉しいです。

 でも、やっぱり数学の好きな私は、

『暗号の計算を、解剖して見せてくれたのが、面白かったです』

と、言って欲しかったですね。

結弦「いや、あれは、付いて行くのが、やっとだったんだよ。お父さんは、ここで、どういう思考をして、これを導いたんだろうって、謎を解くのが、大変だったんだ」

若菜「お父さん、なんでもないように、計算して、パッと答えを書く。神業よ」

「若菜、結弦。太郎さんは、『麻友61』のノートの3641ページから、3651ページまで、11ページにわたって、この記事のための計算を、何度も勘違いして間違いながら、計算してるの。太郎さんは、神様ではないのよ」

小林「それを聞いて、安心しました。松田さんに取っても、今回の暗号の研究は、楽しいものだったのだと、良く分かりました」

 じゃあ、これで、お別れです。『自分の内なる声と本当に得意なもの、社会のニーズの接点に耳をすませ、目を見開く。それが自分らしい人生を生きるために必要だと思います』(Forbes Japanのインタビューで、『小林さんが「自分らしく」夢を追い続けることができたのはなぜでしょうか』という問いに、りんさんが答えた解答から引用)。私に取って、この社会の(経済的)格差の克服というのが、私にでも解決できる課題と、見えています。私の行動は、ミクロなようで、マクロに影響しないと思われるかも知れませんが、そんなことは、ないのです。なぜなら、人間の数は、たった80億人だからです。ミクロとマクロの差はありません。

小林「また、機会があったら、招いてくださいね。福島の講演のツイートを読まれて、この記事を書き始められて、途中で、『あなたの「わくわく」は何ですか?』のツイートを読んで下さったのですね」

「太郎さんは、社会のことに疎いので、りんさんのツイートを通して、社会情勢を見てるんです。本当に、尊敬しているりんさんに、お会いできて、感激です。もう妬んだりしません」

若菜「お父さんは、リーダーは、やっぱり必要だ、という考え方です。その根拠は、数学の歴史で、本当に時代を超越した天才が、数学を作ってきたからだ、と言います。その一方で、政治判断や裁判なんかは、古代ギリシャのように世界全員の多数決で決定すればいいなんて言います。そのために、世界中の人間に、インターネットにつながった、パソコンとスマホを、配ればいいと言います。でも、これ可能だと思いませんか?」

結弦「2042年から来た、僕たちにとって、例えば、2019年に令和なんていう元号があったのなんて、学校の歴史の授業で習っただけで、実感が湧きませんでした。でも、2018年の世界に来て、本当に令和という元号が生まれて、令和元年なんて言ってるのを見て、カルチャーショックです。だけど、2019年の人に取って、それは、現実。人間は、教育で、ものすごく変わるものです。ただ、その人の原型といいますか、その人らしさを、良いものにするには、本当に小さいとき。恐らく生まれてすぐから、幼稚園に入園するくらいまでに、どれだけ大切に育てられたか、で、すべて決まるように思うんです。お父さんの、人を信じられるという才能は、数学の才能と、物理学の才能に、引けをとらないもの凄い才能です。お父さんは、盲目的に人を信じてるんじゃないんです。『ここで、この人がこう言っているが、もしウソだったとしても、私は、それを直してあげて、さらに良い結果として、導いてあげられる。だから、信じていてあげよう』これが、お父さんの信じるなんです。だから、裏切られても、怒らない。ここまで、できるのは、本当に、小さいとき、大切に育てられて、そして、その後も、変わらず、大切に育てられ続けたからなんです。りんさんは多様性を、大切にされていますが、人間の持っている倫理観のようなものには、やっぱり、ある程度、方向性が必要だと思います。若い女の人が、男の人に暴行されているのを見て、暴行する側に加わって、一緒に輪姦するのと、人を呼んで、なんとかして、その女の人を助け出すのとで、多様性が必要だから、一緒に輪姦する男の人も、いて良い、というのは、やっぱり間違ってます。確かに、生命の一番の目的は、生き延びることです。強姦でも良いから、子孫を残すような個体は、尊重すべきです。でも、進化というのは、子孫をたくさん残す種が、残ってきたというばかりでは、ありません。進化で勝つためには、競争に勝たなければならないのです。ところで、強姦で生まれた子は、シングルマザーの子供となります。当然、人間社会で成長するうえで、大きなハンディキャップを負います。成人してからも、その子が、苦労するのは、目に見えています。競争に勝つのが、困難になるのです。ここまで来ると、一緒に輪姦する男の人も、いて良い、という多様性の良さは、疑わしくなります。多様性だけの一本槍では、生命の一番の目的である、生き延びることすら、勝ち取れないのです。進化の結果として、僕たちが、いるのは、倫理観も含めて脳が判断する生命だからです。もう説明は、いらないですね。「これからの教育」は、この倫理観を、徹底的に、磨くことに全勢力を傾けるべきです。後のものは、それに付いてきます。それじゃ、僕は、映画監督を目指してるので、今度お会いしたときは、そんな話をしましょう」

小林「皆さん、ありがとう。じゃあ、さようなら」

 じゃあ、解散。


「太郎さん。こんな長い投稿、書くの大変だったでしょう」

 いや、モーツァルトみたいに、頭に浮かんでくるのを、どんどん、書いてたんだ。

「また、格好つけちゃって」

 いや、ホント。なんて書いたらいいかなあ、と、悩みながら書いたところは、ないよ。

「じゃあ、こういう問題意識で、いつも、考えてるの?」

 ああ、普段考えていたことを、言葉を変えて書いたというのは、言える。

「じゃあ、ちょっと、昼寝でもしたら?」

 麻友さんとりんさんに、URLツイートして、少しのんびりするか。

「じゃあ、バイバイ」

 バイバイ。

 現在2019年7月6日9時51分である。中断。


 全文を、推敲し、不満の残る説明を、分かり易いものに、可能な限り、改めた。

 『これからの教育』というテーマが、『プライバシーというものを重んじない子供を育てる』というのが結論だ。という論証は、この投稿の中で、完全には、行えていない。だが、その論証のスケッチは、最後の結弦の言葉の中に、人間がこれからも生きていきたかったら、自分のことだけ考えていたら、無理なんだよ。自分の秘密を囲っている生き方を、子供に勧めるのは、良くないことなんだよ。という形で、与えてある。私は、『医学に倫理なんて、持ち込むな』などという人間であるが、そう言うときの、倫理というのは、宗教などを根拠とした倫理である。誰が考えても、おかしい、と思えることは、やっぱりあると思う。そういう、理性から来る倫理は、やっぱり守るべきだし、そういう私なりの倫理を、見せて欲しいと言われたら、私は、見せられると思う。あまり、この場合はどうですか?、あの場合はどうですか?、と追求されたら、嫌になるかも、知れないが。

 私は、現在の個人情報の徹底的な保護の政策が、むしろ究極まで行ききって、その反動で、個人情報なんてものは、幻想だったのだということに、世界中の人間が気付く日が、7年以内に来ると思っている。その後の世界を生きる子供達に、どういう教育をするか? それを、考えたいと、読者のあなたは、思わないか?

 このあとがきを加えて、投稿することにした。

 麻友さん。二人の愛が、また副産物を産んだよ。

 おやすみ。

「おやすみ」

 現在2019年7月6日22時04分である。おしまい。