相対性理論を学びたい人のために

まだ一度も相対性理論を勉強したことのない人は、何か一冊相対性理論の本を読みかじってみて、なぜこんなことが?という、疑問を持ってからこのブログに来てください。ブログの先頭に戻るには表題のロゴをクリックしてください

キラキラ星変奏曲(変奏9)

 現在2020年8月19日3時50分である。

麻友「随分早い時間ね」

私「1時31分に、目が覚めた。そのときは、眠れた。だが、2時37分に、また目が覚めて、あまり眠れそうにないから、昨日の続きを書くことにした」

麻友「疲れたら、昼寝するのよ」

私「うん」

若菜「前回は、

{\cos x=\sin \biggl(\displaystyle \frac{\pi}{2}-x \biggr)} と、{\sin x=\cos \biggl(\displaystyle \frac{\pi}{2}-x \biggr)}

を、導くという話で、止まってましたが」

私「三角関数というのは、あの波のグラフの、どこがどれくらいの高さか、というのを、大雑把にでも、把握していないと、何もできない。逆に、それが分かっていると、公式なんて、ほとんど覚えなくて済む。今回の場合でも、次のように、サインとコサインの入れ替えが、あっさりできる」

結弦「{\displaystyle \frac{\pi}{2}} のところから、マイナスの側に、{x} を増やすと、{\sin} の方は、{\cos} を、{0} からたどったグラフになり、{\cos} の方は、{\sin} を、{0} からたどったグラフになるということだね。公式を覚える必要は、なかったんだね」

若菜「それを、{\displaystyle \frac{1}{\tan x}} に応用すると、

{\displaystyle \frac{1}{\tan x}=\frac{1}{\displaystyle \frac{\sin x}{\cos x}}=\frac{\cos x}{\sin x}=\frac{\sin \biggl(\displaystyle \frac{\pi}{2}-x \biggr)}{\cos \biggl(\displaystyle \frac{\pi}{2}-x \biggr)}=\tan \biggl(\frac{\pi}{2}-x \biggr)}

と、なるわけですね」

私「そうだ。{\displaystyle \frac{1}{\tan x}} のグラフは、左右ひっくり返して、{\displaystyle \frac{\pi}{2}} ずらしたものになる。もう一度、グラフを持ってくるよ」

麻友「ここから、何をしたいの?」

私「{\displaystyle \frac{1}{\tan x}} の、部分分数展開ということを、やりたい」

麻友「テイラー展開でなく?」

私「テイラー展開ではない」

結弦「どうやるの?」

私「上の {\displaystyle \frac{1}{\tan x}} のグラフの、無限大のところに、注目する。無限大になるのは、{x} が、いくつのときだ?」

麻友「例えば、{0} とか」

若菜「{\pi} も」

結弦「結局、{n} を整数として、{n \pi} のとき全部」

私「そうだなあ。それで、今、例えば、{0} のとき、無限大になるというのは、{\displaystyle \frac{1}{x}} というシンプルな関数で、近似できないかと、考える」

麻友「近似? 大体これくらい、ということ?」

私「そう」

麻友「だったら、他の無限大は、例えば、{n \pi} のときは、{\displaystyle \frac{1}{z-n \pi}} で、近似するみたいな?」

私「おー、さすが特待生。数学って、元来素直にできているものなんだよ。だから、無限大になるところは、

{\displaystyle \{\cdots,-3 \pi,-2 \pi,- \pi,0,\pi,2 \pi,3 \pi,\cdots\}}

というようなところだから、

{\displaystyle \biggl\{ \cdots ,\frac{1}{x-(-3 \pi)}, \frac{1}{x-(-2 \pi)}, \frac{1}{x-(- \pi )},\frac{1}{x},\frac{1}{x- \pi },\frac{1}{x-2 \pi }, \frac{1}{x-3 \pi },\cdots \biggr\}}

という関数で、近似できるだろう」

麻友「あくまで、近似ね」

私「そこで、{\displaystyle \frac{1}{\tan x}} という関数は、これらの分数の和で、表せないかと、考える」

若菜「えっ、

{\displaystyle \frac{1}{\tan x}= \cdots +\frac{1}{x-(-3 \pi)}+ \frac{1}{x-(-2 \pi)}+ \frac{1}{x-(- \pi )}}

{\displaystyle ~~~~~~~~~~+\frac{1}{x}+\frac{1}{x- \pi }+\frac{1}{x-2 \pi }+ \frac{1}{x-3 \pi }+\cdots }


みたいなことを、しちゃうということですか」

私「そう」

麻友「乱暴だけど、太郎さんが、書いているということは、根拠があるんでしょうね」

私「実は、この近似が正しいと、お墨付きをくれるのが、留数解析(りゅうすうかいせき)なんだ。ただ、この留数解析は、麻友さんの前で、証明するのは、まだ無理。大学の数学科か、物理学科で、2年生か3年生で、習うことだから。ただ、この近似が、凄く綺麗に纏まることで、正しいのだろうなと、納得して欲しい」

若菜「纏まるって?」

私「上のように、いくつもの分数の和で表すことを、部分分数分解とか、部分分数展開というのだけれど、この項の並びの順番を、入れ換えてみる」

{\displaystyle \frac{1}{\tan x}= \frac{1}{x} +\biggl( \frac{1}{x+\pi} +\frac{1}{x- \pi }\biggr)+\biggl(\frac{1}{x+2 \pi}+\frac{1}{x-2 \pi}\biggr)}

{\displaystyle ~~~~~~~~~~+\biggl(\frac{1}{x+3 \pi}+\frac{1}{x-3 \pi}\biggr) +\cdots}

結弦「こういう順番の入れ替えは、許されるの?」

私「いいこと聞いたな。どんな場合でも許されるかというと、そんなことは、ない。ただ、交換が許されるための、十分条件のひとつとして、その数列が、絶対収束しているか、というものがある。今回、収束半径の話は、オミットすることにしたから、今は、順番の入れ替えは、許されるものとしよう」

若菜「お父さんは、こういう計算を、考えているのでしょう。

{\displaystyle \frac{1}{\tan x}= \frac{1}{x} +\frac{(x-\pi)+(x+\pi)}{x^2-\pi^2}+\frac{(x-2\pi)+(x+2\pi)}{x^2-(2\pi)^2}}

{\displaystyle ~~~~~~~~~~+\frac{(x-3\pi)+(x+3\pi)}{x^2-(3\pi)^2} +\cdots}

私「そうだ。計算すると、どうなる?」

若菜「

{\displaystyle \frac{1}{\tan x}= \frac{1}{x} +\frac{2x}{x^2-\pi^2}+\frac{2x}{x^2-(2\pi)^2}}

{\displaystyle ~~~~~~~~~~+\frac{2x}{x^2-(3\pi)^2} +\cdots}

だから、

{\displaystyle \frac{1}{\tan x}= \frac{1}{x} + \sum_{n=1}^{\infty} \frac{2x}{x^2-(n\pi)^2}}

と、なります」

麻友「確かに、綺麗。全部、纏まったわ」

私「ここで、思い出して欲しい。左辺は、タンジェントの逆数ということで、完全に決まっている。ところが、右辺は、タンジェントの逆数の無限大になる点の場所を与えただけで、計算されている。いつも言っている、この辺のこと(今の場合、{x} が、整数 {\times \pi} の点だけで、無限大だということ)が、分かっただけで、あの辺のこと(今の場合、実数全体でのこと)が、分かってしまう。これが、解析関数の解析性というものなんだ」

麻友「言いたいこと、少し分かったわ。解析性。面白いわね。でも、これと、キラキラと、どう関係があるの?」

私「覚えているかなあ、


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関数 {\displaystyle \frac{z}{e^z-1}} は、解析関数 {e^z} と、解析関数 {z} と、解析関数 {1} の足し算引き算掛け算割り算で、できているので、解析関数なんだ。

だから、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{b_n}{n!}z^n,~~~~(|z| \leqq 2 \pi)}

というように、整級数展開できるはずだと言うことになる」


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(『キラキラ星変奏曲(変奏5)』より)


というやり取りが、(変奏5)であったんだけど」

麻友「覚えているわ。{b_n} というのは、ベルヌーイ数というものだったわね。そう言えば、最初の方を、(変奏6)で、実際計算したわね。

{\displaystyle b_0=1,~~~b_1=-\frac{1}{2},~~~b_2=\frac{1}{6},~~~b_3=0,~~~b_4=-\frac{1}{30},\cdots}

だった」

私「その通り。良く覚えていた」



 現在2020年8月19日7時48分である。眠くなってきたので、一旦中断。



 現在2020年8月19日11時36分である。再開。

麻友「やっぱり、昼間にいきなり眠くなるのね。よく会社なんかに、務めていたわね」

私「分かるでしょう。向精神薬を飲んでいると、いきなり頭が働かなくなるんだ。向精神薬は、ほとんどが、眠り薬だからね」

若菜「でも、7時頃、向精神薬を飲んだわけでは、ないのに」

私「頭の中で、起こっていることは、単純じゃない。若菜だって、学校で、つまらない授業だと、眠くなったりするだろう?」

若菜「それは、分かりますけど。でも、ブログ書くのは、お父さんに取って、楽しいことじゃないんですか?」

私「楽しいことを、やっていても、一瞬気持ちが緩むことはある。そういうとき、睡魔が襲ってくる」

麻友「普通は、ボーイフレンドが、車の免許取って、乗せてくれるものだけど、太郎さんは、免許なんて取れないので、私が、免許取って、乗せてあげる。免許取るのって、大変だったのよ」

私「妹や弟も、苦労してたから、ある程度、知ってる。楽しみにしているよ」


私「さて、ベルヌーイ数の話に戻って、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{b_n}{n!}z^n,~~~~(|z| \leqq 2 \pi)}

と表されていると、{i=1} 以外の奇数では、{b_i} は、ゼロだったから、

{b_{2n}=(-1)^{n-1}B_n ~~~~~~~~(n \in \mathbb{N}-\{0\})}

として、{B_n} を定めると、無駄がないのだった。こうしたときの具体的な、値は、

{\displaystyle B_1=\frac{1}{6},~~B_2=\frac{1}{30},~~B_3=\frac{1}{42},~~B_4=\frac{1}{30},~~B_5=\frac{5}{66}}

{\displaystyle B_6=\frac{691}{2730},~~B_7=\frac{7}{6},~~B_8=\frac{3617}{510},~~B_9=\frac{43867}{798},~~B_{10}=\frac{174611}{330}}

と、どんどん数字が大きくなる」

結弦「お父さんに、お母さんの前で、恥かかせてやろうと思って、{B_{50}} は? とか言ったら?」

私「

{\displaystyle B_{50}=\frac{945~98037~81912~21252~95227~43306~94937~21872~70284~15330~66936 \times 10^{30}}{33330}}

{\displaystyle +\frac{13338~56962~04311~39541~51972~47711}{33330}}

だよ」

結弦「ゲッ、これ、どうやって計算したの? 画面の縁から、あふれてるじゃない」

若菜「もしかして、Mathematica ?」

麻友「太郎さんは、文献よ」

結弦「でも、こんなの載っている文献なんて、あるのかな?」

私「ハハハ、実は、ベルヌーイ数のための本というのが、あるんだ。これだよ」

山口周(やまぐち いたる)『整数論』(産業図書)

若菜「ベルヌーイ数のためって?」

私「この本、330ページの本なんだけど、230ページまで、整数論を説明した後、最後の第9章が『Bernoulli 数』で、残り全部ベルヌーイ数の話なんだ。この山口さんの発見した定理も、いくつも書いてある」

麻友「太郎さんは、整数論は、勉強してないって、言ってたけど」

私「ベルヌーイ数だけは、自分で発見したのもあって、文献かなり集めているんだ」

結弦「それに、{B_{50}} なんかも、書いてあったの?」

私「いつか、使えるかなあ、と思っていたら、結弦が、意地悪したので、反撃してやった」


麻友「また、すぐ戦争の話題。でも、日本語でも、どこの言葉でも、戦争の用語が、日常で使われるというのは、仕方ないのかしらね。リーマン・ゼータ関数を、制覇するだって、女の人を征服する、だって、完全に日常語ですものね」

私「昔、麻友さんが、ドラマ『戦う!書店ガール』に出ていた頃、山田詠美(やまだ えいみ)よりアンリ・ファーブルを挙げる男の人の方が、麻友さんには、相応しいと書いたのを、覚えているだろうか?」

麻友「ああ、あったわね。それで、山田詠美さんが、何か?」


私「『私は変温動物』という本の中で、山田詠美が、『あの国を征服したい、というのと、あの女を征服したい、というのは、同じ感情なんだから、戦争をなくすには、男と女が、欲求不満にならないように、交わればいいんだ』というようなことを、書いている。麻友さんは、それだけで、戦争がなくなると、思うかい」

麻友「太郎さんは、軍備を整えるのは、大きな企業を、儲けさせるためだという。そして、武器を持てば、戦争を仕掛けたくなるのは、人情よね」

私「今、考えたんだけどさあ、オリンピックって、各国の選手が、技を競うよね」

麻友「今度は、オリンピック?」

私「いや、つながりが、あるんだけどね。オリンピックで、消防の隊員たちに、救急救命の技術を、競ってもらうとか、そういう風に、戦いでないもので、技を競う種目があったら、良いなあと思って。だって、スポーツって、そのもの自体は、日常で、役立たないでしょ」

結弦「オリンピックでなくとも、戦いでないもので、技を競わせたいんだね」

私「うん」

若菜「戦争の惨禍から人々を救うというのは、お母さんとお父さんの、テーマのひとつですからね」

麻友「山田詠美さんの案では、無理があるとは、思う。でも、例えオリンピックでも、結局大国の思惑で、ルールが変更されたりする。何を、信じたら良いのかしら?」

私「ちょっと前までは、お金をたくさん持っていれば、なんとかなる世の中だった。だが、昨日のネットニュースで、指原莉乃さんが、年収2億でも、不安があると言ってるようだと、書かれていた。確かに、お金を持っていると、テロリストに殺されるときでも、痛くない殺され方をしてもらえたりする。やっぱり、お金を持っているのは、良いことのようだ。そうなんだけど、汚い、きつい、危険の、3Kの仕事をすれば、ある程度お金をもらえた時代は、AIを積んだ、ロボットに、駆逐されつつある。そもそも、なんで、働く必要があるの?」

結弦「そう、つぶらな瞳で、言われてもなあ」

麻友「それは、この2カ月半、随分考えたわ。私に、太郎さんに取っての、数学みたいなものが、あるのかしらってね」

私「この4カ月間は、麻友さんに取って、自分の未来のための、よい準備期間だと思う。今まで、サンザン使い回されて、ボロボロにされてしまったんだものね。そして、麻友さんが、どんな選択をしても、私は、それを、尊重するよ」

麻友「数学に、戻りましょ」

私「分かった」


私「ベルヌーイ数の定義から、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{b_n}{n!}z^n,~~~~(|z| \leqq 2 \pi)}

なんだけれども、ちょっとずつ変形する」

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=b_0+b_1z + \sum_{n=2}^{\infty}\frac{b_n}{n!}z^n,~~~~(|z| \leqq 2 \pi)}


*******************************

私「あっ、今、気付いた、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{b_n}{n!}z^n,~~~~(|z| \leqq 2 \pi)}

という式を、今まで、{z^n} を書き忘れて、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{b_n}{n!},~~~~(|z| \leqq 2 \pi)}

と、書いてたね。ごめん。今までのところは、全部修正したからね。

*******************************


私「{b_0,b_1}{\displaystyle 1,-\frac{1}{2}} を代入して、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=1-\frac{z}{2}+\sum_{n=2}^{\infty}\frac{b_n}{n!}z^n}

となるが、その後は、{n} が奇数の項は、{0} になるので、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=1-\frac{z}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{b_{2n}}{2n!}z^{2n}}

と、書ける。心配だったら、

{\displaystyle \frac{z}{e^z-1}=1-\frac{z}{2}+\frac{b_2}{2!}z^2+\frac{b_4}{4!}z^4+  \cdots}

のように、具体的に書いて、確かめてね。私は、慣れているから、添え字を見ただけで、分かるけど、最初からそうだったわけでは、ないからね」


若菜「今、どういうことを、目指しているのですか?」

私「それは、重要なことだねえ。私達は今、{\displaystyle \frac{z}{\tan z}} という関数のテイラー展開を、二通りの方法で、求めようとしているんだ。その一方は、係数にベルヌーイ数が、現れ、もう一方の係数には、リーマン・ゼータ関数が、現れるんだ。だから、比較することにより、リーマン・ゼータ関数の偶数での値が、ベルヌーイ数で、表せるということになる」

麻友「あっ、留数解析、勉強してたって、リーマン・ゼータ関数のためだったの」

私「そうなんだ。説明してなくて、ごめん」


結弦「だとしたら、俄然張り切るなあ」

私「なるべく、記号を多くしないように、気を使ってきたんだけど、{\displaystyle \frac{1}{\tan z}} というタンジェントの逆数の関数を、{\cot z} と表すことに、同意してもらいたい。逆関数 {\arctan z} というわけではなく、あくまでも、タンジェントの逆数、コタンジェントである」

{\displaystyle \cot z:=\frac{1}{\tan z}}


麻友「話が、数学だけでなく、薬の方へ飛んだり、免許の方へ飛んだり、戦争の方へ飛んだり、ということを、しているから、もう9230文字よ。一旦、投稿してよ。読むのに疲れるわ」

私「そうだね。じゃあ、ベルヌーイ数で、リーマン・ゼータ関数を表すの、楽しみにしてて。解散」

 現在2020年8月19日16時41分である。おしまい。